WBC開催後のダルビッシュ・岩隈久志・田中将大はどのような評価を受けていたのか?ベースボールアメリカのレポート

前回、WBC2013と2009の終了後にアメリカの野球専門雑誌であるベースボールアメリカが公開した、プロスペクトランキングを紹介しました。

>>ベースボールアメリカによるWBC2013と2009のプロスペクトランキング

そのランキングには、MLBで高く評価されているダルビッシュ、岩隈久志、田中将大の3人がランクインしていました。

そうなると気になるのは、どのような理由で評価されていたのか?ということになるのではないかと思います。

そこで今回は、前回の続きとしてベースボールアメリカがWBC2009とWBC2013終了後にこの日本人3投手に出した評価について紹介します。

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WBC開催直後の日本人投手3人に対する評価

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ここからはダルビッシュ、岩隈久志、田中将大へのWBC当時のベースボールアメリカの評価とともに、WBC開催前年の日本プロ野球でのシーズン成績とWBCでの成績もあわせてまとめています。

まずは2009年で1位評価されたダルビッシュからです。

ダルビッシュ:WBC2009-プロスペクトランキング1位

WBC2009の前年となる2008年シーズンのダルビッシュの成績は以下のとおりとなっています。

  • 25試合200.2回/防御率1.88/16勝4敗/奪三振208/WHIP0.90

この数字ですが、1つもタイトルは獲れていません。最多勝(24勝)と防御率(1.87)は岩隈久志で、奪三振は杉内俊哉(213個)がとっています。この当時のパ・リーグの先発投手はかなりハイレベルでした。

そしてWBC2009での成績は以下のとおりとなっています。

  • 5試合(先発2試合)13.0回/防御率2.08/奪三振20/WHIP1.00

先発した試合で結果があまり残せなかったことと、藤川球児が不安な状態だったためクローザーにまわりましたので、先発は2試合にとどまっています。ただ、13回で20奪三振は奪三振率13.85と圧巻の数字で、今のMLBでの姿を彷彿とさせます。

そのWBC2009終了後のベースボールアメリカのダルビッシュ有への評価は以下のようなものです。

  • 持ち球の素晴らしさで際立っていた。ベストでかつ豊富な球種を投げ分けることができる。
  • ファーストボールは93-95マイル(150-153キロ)をコンスタントに記録し、最速は99マイル(159キロ)に達する。
  • 82-84マイル(132-135キロ)のスライダーと76マイル(122キロ)の縦のカーブのほうが、さらに効果的な球種かもしれない。
  • それに加えて彼は90-91マイル(144-146キロ)のプレート上で落ちるスプリットももっている。
  • もしアメリカのスカウトが不満を持つとしたら打者を片付けるのに十分なファーストボールがありながら、変化球を多投することだ。
  • アメリカにくることになれば松坂大輔のポスティング費用の5100万ドルを超える金額となるだろう。

2009年の時点で、現在、MLBで受けている評価と似通った内容で評価しています。

WBC2009のプロスペクトランキングでは、104マイルを記録することで日本メディアでもたびたび取り上げられるアロルディス・チャップマンが2位となっています。

その当時、チャップマンは21歳でしたが、100マイルに到達する左腕という希少価値もあったチャップマンを押しのけての1位評価をダルビッシュは受けていたことになります。

ダルビッシュは、ファーストボールもメジャーレベルでもパワーピッチャーに属する球速があるところに、一級品のブレーキングボール、変化球を複数投げ分けることができる総合的な力が高く評価されていました。

岩隈久志:WBC2009-プロスペクトランキング3位

岩隈久志の2008年の成績は以下のとおりとなっています。

  • 28試合201.2回/防御率1.87/21勝4敗/奪三振159/WHIP0.98

ラビッドボールと呼ばれたボールが飛ぶ時代でありながら防御率1点台で、パ・リーグには良い投手が多く、楽天が強くなかったときに、この21勝4敗は驚異的と言わざるをえません。田中将大の24勝0敗と質は違うものの、それに近い評価を受けるべき成績と言えます。

その岩隈久志のWBC2009での成績は以下のとおりとなっています。

  • 4試合(先発3試合)20.0回/防御率1.35/1勝1敗/奪三振15/WHIP0.90

松坂大輔がMVPを取りながらも、やや申し訳無さそうにしていたのは、この時の岩隈久志は勝利数こそ少ないものの、投球内容が素晴らしく、MVPでもおかしくなかったからに他なりません。

ベースボールアメリカのWBC2009終了後の評価は以下のようなものです。

  • 岩隈久志はファーストボールが平均89-90マイル(143-144キロ)、最速でも93マイル(150キロ)で、スピードガンでは際立立たない。
  • しかし、プレート上で落ちるやっかいな(Nasty)スプリットと信頼でき質の高いスライダーを組みあわせることができる。
  • WBCで常にそうだったが、とても効率的な投手。キューバをねじ伏せた試合で6回を66球で投げ切っている。

そしてア・リーグのあるスカウトの評価として以下の内容が紹介されていました。

「彼はすぐにでもメジャーの先発ローテに入るだろう。メジャーの半分の球団(15球団)で彼はNo.1スタータになれるかもしれない。彼はずっと素晴らしかった。」

2014年現在の岩隈久志は、「マリナーズにはフェリックス・ヘルナンデスがいるのでエースとは呼ばれないが、MLBの他の半分の球団であればエースだ」という評価を受けていますが、それと同様の評価が5年前になされていたことになります。

岩隈久志は2012年からMLBに移籍しましたが、その際のマリナーズとの契約は1年150万ドル+インセンティブ、そしてそのシーズン終了後に2年1400万ドルという低い金額になったのも、2011年の右肩の故障が理由の1つでした。

それがなければ最初の契約も複数年契約で、2014年も高い年俸をもらえていたことは間違いありません。

ボストン・グローブのNick Cafardoは「レッドソックスのクレイ・バックホルツ(770万ドル)と岩隈久志(650万ドル)の2014年の年俸は変わらない。しかし、(成績の悪いにも関わらず)バックホルツは1200万ドルに上昇するが、岩隈は2015年も700万ドルという金額なのはバーゲンだ。」と述べるほど、マリナーズにとって素晴らしい契約となっています。

田中将大:WBC2013-1位 WBC2009-4位

田中将大のWBC前年のシーズン成績は以下のとおりとなっています。

  • 2008年:25試合172.2回/9勝7敗/奪三振159/WHIP1.30
  • 2012年:22試合173.0回/10勝4敗/奪三振169/WHIP1.03

そしてそれぞれのWBCでの成績は以下のとおりです。

  • 2009年:4試合2.1回/防御率3.86/0勝0敗/奪三振5/WHIP1.29
  • 2013年:4試合(先発1試合)7.0回/防御率2.57/奪三振12/WHIP1.43

と、目立つ数字は奪三振が多いことくらいで、全体的には悪くはないものの良くもないという数字です。特に2013年はエースと期待されながら先発はわずかに1試合にとどまっています。

それでも2009年版のランキングでは、ダルビッシュ、チャップマン、岩隈に次ぐ4位。そして2013年版では1位となっています。

田中将大は2009年と2013年WBCのそれぞれのランキングに入っていますので、その評価を大会ごとにわけてまとめています。

WBC2009-4位

ベースボールアメリカのWBC2009終了後の評価は以下のようなものです。

  • 93-95マイル(150-153キロ)のファーストボールと打者を圧倒する87-89マイル(140-143キロ)のスライダーがある。
  • この2つの球種は”20-80スケール評価”で70とされる(*高評価です。)
  • 20歳にして投手として洗練されている
  • WBCではブルペンだったがアメリカでも先発として通用する

この頃は、高校時代からプロ級と評価されていた縦のスライダーが高く評価されています。

また現在MLBで活躍しているドジャースの柳賢振(5位)やレッドソックスのヨエニス・セスペデス(6位)よりも、4試合でわずかに2.1回しか投げていない田中将大をより上位で評価していることろに驚きを覚えます。

2.1回を投げているということは7つのアウトをとっていることになりますが、そのうち三振5個で奪っていたのも、目を引いた理由の1つかもしれません。

それでもこの時点では、日本ロ野球の将来有望なスター候補ではありましたが、楽天では岩隈に次ぐ2番手で、同じパ・リーグのダルビッシュ、涌井、杉内、和田らからすると、まだまだという印象でした。

それにも関わらず”20歳にして洗練された投手”と評価し、MLB移籍後に”25歳にしてピッチングを知っている”と評価されている片鱗を、5年前に短期間で見出していたスカウティングには感嘆するばかりです。

WBC2013-1位

ベースボールアメリカのWBC2013終了後の評価は以下のようなものです。

  • 3つの質の高い球種を持っている(ファーストボール・スプリット・スライダー)
  • 球速は1試合目は88-94マイル(144-151キロ)程度だったが、その後、91-96マイル(146-154キロ)まで上がった
  • 重心を落として投げるフォームのためマウンドの傾斜を利用することによるボールの角度はない
  • ボールの角度がないことが球速の割にファーストボールが打たれやすい原因
  • 85-87マイル(137-140キロ)のスプリットは高く評価されている。
  • スプリットが打者の手元で急激におちるため、ボールに角度がないという懸念を軽減している
  • 縦と横に曲がるスライダーも素晴らしい
  • 71-74マイル(114-119キロ)のカーブも早いカウントで使える

とした上で、最後にスカウトが「No.2スターターになれる可能性がある」と高く評価されていることを伝えています。

WBC2017や2015年のプレミア12も日本人選手はターゲットに

このベースボールアメリカのよるプロスペクトランキングは当然のことながら、MLBで通用するであろう選手をリストアップしてランキングしています。

そのためその選手がMLBレベルでも通用するであろう技術や才能を分析して、見出して評価しているわけですが、特にダルビッシュ、岩隈久志、田中将大の3人に関してはかなりの精度で当てていると考えられます。

プロスペクトのスカウティングに定評があるベースボールアメリカの凄みを感じざるをえませんでした。

WBC2017やそれに先駆けて2015年に開催が予定されているプレミア12でも、再び日本人選手がスカウティングされることは間違いありません。

大会の結果もさることながら、また大会での日本人プレーヤーに対する評価や分析も楽しみの1つとなりそうです。

参照元:ベースボールアメリカ(Baseball America)
http://www.baseballamerica.com/majors/world-baseball-classic-top-10-prospects-2/
http://www.baseballamerica.com/international/wbc-top-10-prospects-7914/

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