東京ヤクルトスワローズの2015年の先発ローテーションをFIPとLOB%を使って分析

初回投稿日時:2015/02/14
最終更新日時:2015/02/14

このページでは日本プロ野球の東京ヤクルトスワローズの投手陣の分析をしています。

先発ローテーションでの起用が予想される選手を、2014年までの年度別成績などを元に分析しています。あくまでも前年までのデータに基づくもので、キャンプ、オープン戦での成績はあえて考慮していません。

また新人は日本プロ野球での過去データがありませんので、対象から外しています。

なお、セ・リーグ6球団の先発ローテーションの分析は以下のページにそれぞれまとめています。

巨人 阪神 広島
中日 DeNA ヤクルト

続いて、東京ヤクルトスワローズの主要な先発ローテ候補投手の分析です。

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スワローズの先発ローテーションの主力候補を分析・予想

まずこの分析をしていく前に、FIPとLOB%の簡単な説明を記載しておきます。

【用語】

  • LOB%(残塁率):LOB%が高いと残塁が多くなるため失点が少なくなり、逆に低いと残塁が少なくなり失点が多くなる。投手のがコントロールすることが難しい指標で、運の影響を受けやすい。投手のタイプに関わらず、多くの投手がリーグ平均前後に落ち着くとされていて、そこから大きく外れた場合は、翌年以降にその平均値に戻る傾向がある。MLBでは70%から72%、近年のNPBでは72%-75%程度。
  • FIP(Field independence Pitching):味方チームの守備力の影響を除外して、投手の実力を測るための指標で、与四死球、本塁打、奪三振、投球イニングを元に算出する擬似防御率。防御率よりもFIPが低ければ味方の守備によって自責点が増えていると考えられ、FIPよりも防御率が低ければ、味方の守備によって自責点が減っていると、一般的に考えられている。
  • FIP+:日本プロ野球全体の平均FIPよりもどれだけ傑出しているかを示す。平均を100で、100以上が平均以上となり、100より小さくなると平均以下となる。FIP+が120であれば平均よりも20%傑出していることになる。本来は球場ごとの特性に拠る補正をかけますが、ここでは除外しています。
  • ERA+:リーグ平均の防御率よりもどれだけ傑出しているかを示す。平均を100で、100以上が平均以上となり、100より小さくなると平均以下となる。ERA+が120であれば防御率がリーグ平均よりも20%傑出していることになる。本来は球場ごとの特性に拠る補正をかけますが、ここでは除外しています。

先発ローテ候補としては2014年の2位指名の風張蓮などがいますが、ここでは対象外として、小川泰弘、石川雅規、成瀬善久、八木亮祐、石山泰稚、杉浦稔大、館山昌平、由規、村中恭兵の9名を分析しています。

先発ローテーション候補1:小川泰弘

小川泰弘の年度別成績は以下の表のとおりとなっています。

Yasuhiro Ogawa Stats 2014

1年目に防御率2.93/16勝4敗/WHIP1.12で最多勝と最高勝率を獲得しましたが、投手の実力を示すFIPも2.77とNPB平均を30%上回り、内容と実力の伴った新人王を獲得した小川泰弘でした。

2年目は負傷によってシーズンの多くを失いましたが、108.1回で防御率3.66/9勝6敗/WHIP1.30の成績を残し、FIPも3.28でリーグ平均を15%上回り、1年目の好成績が偶然ではないことを、あらためて証明しました。

被本塁打率(9イニングあたりの被本塁打数)が0.46から1.08に増えた点は気になるところですが、奪三振率は6.83から8.98、与四球率(9イニングあたりの与四球数)は2.28から1.183に向上させるなど、投手としての実力も伸ばしつつあります。

故障などがなければ、エースとしての期待が十分にできる数字が1年目、2年目ともに残っていますので、2015年も安定した成績が期待できそうです。

先発ローテーション候補2:石川雅規

石川雅規の年度別成績は以下の表のとおりとなっています。

Masanori ishikawa Stats 2014

プロキャリア13シーズン中12シーズ、2008年から7年連続で規定投球回数に到達するなど、先発6人制による中6日が定着した時代に、コンスタントに投げ続けている石川雅規です。

二桁勝利は9度を数えるものの、本塁打の出やすい神宮球場を本拠地とすることもあり、通算防御率は3.75、FIPは3.90となっていて、図抜けた成績ではありません。

2008年から2012年までは防御率3点台もしくは4点台で推移していたのですが、2014年は防御率4.75と久々に防御率4点台となってしまいました。

気になるのはこの成績下落が年齢による衰えなのかどうかというところです。

2014年は防御率4.75でしたが、FIPは4.35と良くはないものの、防御率よりも良い数字で、味方の守備に足を引っ張られていたと考えられる数字が残っています。

また、投手がコントロールすることが難しく、運に大きく左右されるLOB%(残塁率)は2014年に66.8%と低い数字で、リーグ平均や自身のキャリア平均を大きく下回っています。

このLOB%は率が低いと失点が多くなりますので、防御率の悪化につながっていくのですが、2014年の石川雅規はこのLOB%が低く、「運が悪かった」面があったことが否定できません。

LOB%は投手のタイプに関わりなく、平均値の範囲内におさまる傾向があるため、平均値を大きく外れた年があると翌年以降に揺り戻しが起こります。

石川雅規は2004年から2006年に60%台のLOB%が続きましたが、その揺り戻しが起こって2008年には84.9%に跳ね上がり、2011年にも83.2%に上昇し、防御率などの好成績につながっています。

LOB%-はNPBではおおよそ72%-74%で推移しているのですが、石川雅規は2012年から3年連続で低い数字が続いているので、揺り戻しが2015年は起こって高いLOB%になる可能性があります。

そのため年齢による衰えが急激でなければ、昨年以上の成績を残す可能性が高いと考えられます。

球威に頼るタイプではない技巧派のため、年齢による衰えの影響は受けにくく、ゆるやかに降下すると予想されますので、2015年も一定の期待をして良いのではないでしょうか。

先発ローテーション候補3:成瀬善久

成瀬善久の年度別成績は以下の表のとおりとなっています。

Yoshihisa Naruse Stats 2014

オフの補強の目玉となったの千葉ロッテからFA宣言した成瀬善久です。

2007年には防御率1.82/16勝1敗/WHIP0.92を残しているのですが、投手の実力を示す指標としてアメリカで重視されているFIPは2.68と防御率よりも0.86も悪い数字のため、かなり守備に助けられていました。

さらにLOB%(残塁率)は85.2%と非常に高い数字で、かなりツイていたシーズンでもあったことが否定できません。

2007年はFIPが2.86で平均を38%と上回るなど実力もあったのですが、防御率1.86や勝率.941は出来すぎだったと判断せざるを得ません。

このように2007年は出来すぎでしたが、2006年から2011年の6年間にわたってNPB平均を40%弱から10%強上回る(FIP+ 139-111)など、かなり高い実力をキープしていた投手であったことは間違いありません。

気になるのは防御率2.83/12勝11敗という成績を残した2012年あたりからFIPが急激に悪化していることです。

2012年はFIPが3.28と表面上は悪くないのですが、飛ばない統一球の影響で、全体的に投手の数字が良くなっていましたので、著しく悪いわけではないものの、NPB平均を10%下回っています。

その下落傾向は続いていて、2013年は防御率3.00と悪くないのですが、FIPは4.54と防御率よりも1.54も悪く、千葉ロッテの守備にかなり助けられていた上に、LOB%も80.2%と高く運にも恵まれていました。

LOB%は高かった翌年以降に平均値に近づく揺り戻しが起こる傾向があるのですが、2014年にLOB%がそれが起こり、69.4%と低くなった結果、FIPは4.37と前年より良くなったものの、防御率は4.67に急降下してしまいました。

3年連続でFIPが平均よりも10%以上下回り(FIP+ 2012年:90/2013年:80/2014年86)、生命線だった制球力も2年連続で与四球率(9イニングあたりの与四球数)が2.59と低下するなど、20台後半でありながらパフォーマンスが急速に低下しているところが気にかかります。

2014年の成瀬善久の防御率4.67/FIP4.37は、ナーブソンの防御率4.53/FIP4.34とほぼ同じ数字となっていますが、成瀬が千葉マリンを本拠地として投げていたのに対して、ナーブソンが神宮球場であることを考えると、ナーブソンのほうが内容が良いとも考えられます。

成瀬善久は近年の被本塁打率(9イニングあたりの被本塁打数)が高く、2014年では被本塁打率1.14は90イニング以上を投げた投手の中では、6番目に多い数字です。

パ・リーグは投手有利の球場が多いのですが、セ・リーグは神宮、横浜スタジアム、東京ドームと打者有利の球場が多いため、投球内容が大きく改善されなかった場合には、かなり苦しむ可能性があります。

20代前半の頃の実力であれば小川泰弘と強力なNO.1-2を形成できましたが、そうでないからこそ、争奪戦にならなかった現実があります。

それでも、ピークの時よりは落ちていると考えられる直近の3シーズンでも、1年を通じで投げれば10勝前後を期待できるレベルは維持しています。

2015年シーズンで29歳という若さで、バウンスバックする可能性はありますので、それがあれば大幅な戦力アップになり、そうでなくても先発ローテ投手として一定の仕事をしてくれることは期待できそうです。

先発ローテーション候補4:八木亮祐

八木亮祐の年度別成績は以下の表のとおりとなっています。

Ryosuke Yagi Stats 2014

FIPは4.14、3.97、3.96と推移するなど、リーグ平均を上回ったシーズンはないものの、先発6番手としてならば期待ができると考えられるのが八木亮祐です。

ただLOB%は2013年に74.7%、2014年に75.7%と2年連続で平均値に近いにも関わらず、被安打率が10.01、10.33と高く、90イニング以上を投げた投手の中では唐川侑己に次ぐ2番目の多さです。

さらに与四球率も高く、ランナーを背負うことが多いのがネックで、故障から復帰してくる館山昌平や由規が順調であれば、先発ローテからはじき出される可能性が高いのではないかと予想されます。

キャンプ、オープン戦での上積みがなければ、ロングリリーフやスポットでの先発が精一杯となりそうです。

先発ローテーション候補5:石山泰稚

石山泰稚の年度別成績は以下の表のとおりとなっています。

Taichi Ishiyama Stats 2014
2013年はリリーフとして60試合に登板し防御率2.78を記録しましたが、この数字だけを見れば安定していたように見えるのですが、FIPは3.63と防御率よりも0.85も悪く、LOB%は84.4%と非常に高いため、味方守備と運に助けられた成績であったことが否定できません。

2014年は先発として14試合に登板するなど、リリーフとしての併用になりましたが、奪三振率(9イニングあたりの奪三振数)は9.10から6.50に、被本塁打率(9イニングあたりの被本塁打数)は0.93から1.23に悪化しています。

リリーフに専念していた2013年には、高い奪三振能力を示していましたので、先発が足りているならば、リリーフで起用したほうが本人にとっても、チームにとってもプラスになるのではないかと予想されます。

この石山泰稚をリリーフに回せるような先発ローテが組めれば、ヤクルトも期待できそうです。

先発ローテーション候補6:杉浦稔大

杉浦稔大の年度別成績は以下の表のとおりとなっています。

Toshihiro Sugiura Stats 2014

2014年に4試合23.0回しか投げていませんので参考程度の成績となるのですが、可能性を感じさせるのが杉浦稔大です

防御率3.52はLOB%が89.5%と高いことに助けられていますが、FIPは3.80とまずまずで、奪三振率(9イニングあたりの奪三振数)は10.96と高く、与四球率(9イニングあたりの与四球数)も0.78と少なく、安定しています。

被本塁打率(9イニングあたりの被本塁打数)が1.96と高いことが、FIPが悪くなっている原因で、今後の課題ではあるのですが、投手としてのポテンシャルを感じさせるものがあります。

館山や由規が問題なく投げられれば、負担の少ない先発5番手もしくは6番手くらいで起用し、将来的には先発の3番手までを務めれるように育てるのが良いのではないかと考えられます。

先発ローテーション候補7:館山昌平

館山昌平の年度別成績は以下の表のとおりとなっています。

Shohei Tateyama Stats 2014

2005年以降はFIPが2点台と3点台の間で推移し、2009年を除いてNPB全体の平均を超えるなど、ヤクルト投手陣の中ではトップの実力を保持し続けてきました。

本塁打の出やすい打者有利の神宮球場でありながら、2005年以降は防御率とFIPともに4点台以上がないのは素晴らしく、復活が期待されます。

2015年シーズンで34歳という年齢になるのが気になるところですが、手術などの離脱により、肩や肘を休めることができていますので、勤続疲労による衰えは出にくいのではないかと予想されます。

館山昌平が2013年以前の成績に近づくようであれば、小川泰弘と強力なNo.1-2を組めるようになるため、ヤクルトが最下位から躍進するためのカギを握っていることは間違いありません。

先発ローテーション候補8:由規

由規の年度別成績は以下の表のとおりとなっています。

Yoshinori Stats 214

2010年に防御率3.60/12勝9敗/WHIP1.38という成績を残したのですが、FIPも3.60とNPB平均を12%も上回り、LOB%も72.1%と平均値に近いため、実力で結果を残した考えられる由規でした。

2008年から2009年にかけてもFIPは3.94、3.98と推移して、わずかにNPB平均を下回る程度で、元々、投手としての高いポテンシャルを持っていたのが、2010年に本格化したという状況でした。

さらに2011年も良い成績を残し、エースの階段を登り始めていただけに、ヤクルトにとっては、かなり痛い長期離脱となりました。

3年間も一軍で投げれていないことは不安視されるものの、2014年に二軍で5試合15イニングを投げて防御率2.40の数字を残し、確実に一歩を踏み出しています。

表面上の成績だけでなく、実力がともなっていた成績を残していましたし、年齢もまだ25歳と若いため、復活が期待されます。館山昌平とともにヤクルトの躍進のガキを握ることになりそうです。

先発ローテーション候補9:村中恭兵

村中恭兵の年度別成績は以下の表のとおりとなっています。

Kyohei Muranaka Stats 2014

やや伸び悩んでいる感があり、シーズン毎に成績のバラつきが大きいものの、調子が良いシーズンは、リーグ平均以上の力を発揮するのが村中恭兵です。

2014年は35.2回しか投げていませんので、参考程度になるのですが、防御率3.79/FIP3.61とまずまずの成績でした。

その上に、2014年のLOB%は67.9%と低く、余りツイていなかったと考えられるなかでの成績のため、LOB%が平均値に近く戻る揺り戻しがあれば、2015年に上積みが期待できる可能性があります。

シーズンごとの波が大きく、当たり外れがあるというリスクはありますので、責任が重くならない6番手として起用できれば面白そうです。

総括・まとめ

2014年は打線が強力だったため、小川泰弘、館山昌平ら主力投手の故障がなければ、最下位はなかったと考えられ、元々Aクラスを狙える地力はあったと考えられるヤクルトです。

2015年は館山昌平、由規が復帰し、さらに成瀬善久が加わりましたので、これらの投手が健康であれば、最下位を脱することは難しくなく、クライマックスシリーズ進出も十分に可能です。

小川泰弘はプロデビュー後2年間で、実力的にはセ・リーグでトップ5に入ろうかという成績を残し、内容も伴っていましたので、今年も期待されます。そして、その後を石川雅規、館山昌平、成瀬善久、由規が固め、6番手を杉浦、村中、八木、石山ら競い争うようであれば、上位3チームとも遜色ないか、それ以上になる可能性もあります。

ただ、年俸2億円で獲得した成瀬善久は、先発の2番手もしくは3番手を期待するのはリスクが高いため、館山昌平、由規のどちらかが先発2番手もしくは3番手に入れて、成瀬を4番手もしくは5番手におけるようであれば、ヤクルトのクライマックスシリーズが現実的なものとなりそうです。

リリーフもバーネット(防3.34)、ロマン(防0.56)、秋吉亮(防2.28)、山本哲哉(防3.55)、岩橋慶侍(防2.57)に、新人の竹下真吾など勝ちゲームで期待できる投手の頭数もメドが立ちつつあります。

戦力的には巨人、阪神、広島が充実しているのですが、主力選手が健康でさえあれば、ヤクルトがその一角を崩す可能性を一番秘めているという印象を受けます。

この戦力で小川監督が指揮をとっていればAクラスの確率は高かったと考えられるだけに、真中監督の采配、選手起用が注目されます。その指揮官のタクト次第では、サプライズを起こしてくれそうなヤクルトです。