前田健太は年俸の満額を手にできるのか?ドジャースとの契約内容とインセンティブの実現可能性について

前田健太が保証額では8年総額2500万ドルとなり、そこに毎年の1015万ドルのインセンティブがつくことになるため、8年最大でではを含めると1億620万ドルに到達することになります。

途中で契約を破棄してFAとなるオプトアウトの権利を含まないため、基本的にはドジャースが8年間、前田健太を自由にコントロールできることになりました。

そうなると気になるのは詳しい年俸の内訳とインセンティブの条件、さらにその実現可能性です。

それらの内容について見ていきたいと思います。

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目次

1. 年俸の内訳とインセンティブの条件

保証されている8年2500万ドルの内訳は以下のとおりとなっています。


  • 契約金:100万ドル
  • 年俸:2400万ドル(300万ドル×8年)

続いて、インセンティブですが開幕ロースター入り、先発試合数、投球回数という3つの基準を元に設定されています。その内容は以下のとおりだと伝えられています。


  1. 開幕時に25人枠ロースター入り:15万ドル
  2. 先発試合数:15、20試合到達で各100万ドルの最大200万ドル
  3. 先発試合数:25、30、32試合到達で各150万ドルの最大450万ドル
  4. 投球回数:90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190回到達で各25万ドルの最大275万ドル
  5. 投球回数:200回到達で75万ドル

15万+200万+450万+275万+75万=1015万ドル(1年のインセンティブ総額)


開幕ロースター入りがインセンティブの内容になっていて、なおかつ8年すべてに設定されていることからもわかるとおり、メジャーでプレーできることを保証されてはいません。

そして先発試合数の条件は、そもそも先発ローテに入れなければ達成できませんし、投球回数は2015年にリリーフとして一番投げたデリン・ベタンセスが84.0回となっていますので、リリーフ専任では到達するのは困難です。

基本的には(1)先発ローテを守り続ける、それができない場合には、(2)ロングリリーフと先発の両方をこなす”スイングマン”の役割を果たす、のどちらかを満たさないと、インセンティブはほとんど有効にならない契約となっています。

リリーフに完全に固定されてしまった場合は、どんなに素晴らしいパフォーマンスを発揮しても、年俸300万ドルに開幕ロースターの15万ドルが加わるだけのため、労力の割には報われない契約と言えます。

そのためインセンティブを手にするためには先発ローテ5人に入る、それができない場合には比較的先発のチャンスが多くなる6-8番手クラスには入っておく必要があると言えます。

2. 満額を獲得できる可能性を検証

前田健太が満額である1300万ドルを手にできる可能性についてはFOXスポーツのケン・ローゼンタールが契約の詳細が報じられる前には、”the bonuses at the back end are largely unattainable(ボーナスの後半部分はほとんど達成できないもの)”だと関係者からの情報として伝えていました。

前田健太が満額を手にするためには(1)開幕の25人枠に入る、(2)先発試合数32試合、(3)投球回数200回を記録する必要があります。

この条件を満たすことは正直言って簡単ではありません。

まず2015年の全30球団のメジャーリーグの投手で32試合以上に先発した投手は17名で、200イニング以上を投げた投手は25名です。(注:初回更新時の11名はア・リーグのみだったため修正しました。)

その25名とはクレイトン・カーショー、ダラス・カイケル、ジェイク・アリエッタ、マックス・シャーザー、ザック・グレインキー、コーリー・クルーバー、デビッド・プライス、マディソン・バムガーナー、ジョン・ラッキー、R.A. ディッキー、ジェフ・サマージャ、コール・ハメルズ、クリス・アーチャー、ジョニー・クエト、ゲリット・コール、ギャレット・リチャーズ、ホセ・キンタナ、シェルビー・ミラー、ジョン・レスター、コルビー・ルイス、コリン・マクヒュー、ジェームズ・シールズ、ジョーダン・ジマーマン、フリオ・テヘラン、エディンソン・ボルケスです。

いずれも各チームのエースもしくは2番手でも、それに近い力量を持つとされるフロントスターターばかりです。コルビー・ルイスは力量や実績はかなり劣りますが、レンジャーズは先発投手が足りなかったこともあり重用されていました。

つまり、>シーズンを通じて故障することなく、なおかつ優勝争いをするであろうドジャースの先発ローテの1-2番手を任せられるような投球内容を続けることができないと、満額の条件は満たせないことになります。

また、このインセンティブの条件が過去の日本人の成績から見てもかなり難しいハードルであることがわかります。

以下は、過去に日本人先発投手でMLBで1シーズンに100イニング以上を投げたことがある投手についてのデータです。表内の試合数は先発登板数です。

選手名 内容
野茂英雄(123勝109敗) >通算12年4回:33試合228.1回(1996年)、33試合207.1回(1997年)、34試合220.1回(2002年)、33試合218.1回(2003年)
黒田博樹(79勝79敗) >通算7年3回:32試合202回(2011年)、33試合219.2回(2012年)、32試合201.1回(2013年)
他にも2008年には31試合183.1、2010年に31試合196.1回、2014年に32試合199回など2009年以外は32試合200イニングに近い数字を記録。
松坂大輔(56勝43敗) >通算8年1回:32試合204.2回(2007年)
岩隈久志(47勝25敗) >通算4年1回:33試合219.2回(2013年)
ダルビッシュ有(39勝25敗) >通算3年1回:32試合209.2回(2013年)
大家友和(51勝68敗) 通算10年0回:2003年に34試合に先発も199.0回が自己最多
長谷川滋利(45勝43敗) 通算9年0回:1997年に50登板中7試合に先発しての116.2回が自己最多
石井一久(39勝34敗) 通算4年0回:2004年の31試合172.0回が自己最多
伊良部秀輝(34勝35敗) 通算6年0回:1998年の28試合173.0回が自己最多
吉井理人(32勝47敗) 通算5年0回:1998年の29試合171.2回が自己最多
田中将大(25勝12敗) 通算2年0回:2015年の24試合154.0回が自己最多
鈴木誠(16勝31敗) 通算6年0回:2000年の29試合188.2回が自己最多
川上憲伸(8勝22敗) 通算2年0回:2009年の25試合156.1回が自己最多

日本人投手としては図抜けてタフであったと言える野茂英雄でキャリア12年の間で4回、黒田博樹でさえ7年で3回となっています。

ドジャースのフロント陣はMLBでもかなりデータにこだわる部類に入る面々が揃っていますので、上記のデータくらいは把握していることが容易に想像できます。

そのため32試合200イニングという>日本人投手としては異例のパフォーマンスを見せないと達成できない厳しいものであることをドジャースのフロント陣は把握した上で、設定していると考えられます。

余談とはなりますが黒田博樹に関しては1年を除くと、32試合200イニングという基準前後に達していますので、日本人投手としては異例と言えるタフさです。野茂英雄と並ぶ日本人投手の成功例とされ、2016年の現役続行がアメリカで報道されるのも納得という実績です。

本来であれば万全な状態で前田健太にはメジャーに挑戦して欲しいところでしたが、残念ながら肘や肩に問題を抱えた状態での挑戦となってしまいました。

契約の満額、もしくはそれに近い金額を手にするのは8年のシーズンのうち、どれだけになるかはわかりませんが、この厳しい評価を覆す活躍を見せ、今後のメジャーに挑戦する日本人投手の道を明るくしてくれることを期待しています。

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