下位に低迷するもクライマックスシリーズ圏内までは3.5ゲーム差、首位までも5.0ゲーム差につけているため、完全に諦めるような位置ではない中日ドラゴンズが、左肘痛で離脱中のバルデスに代わる外国人投手としてラファエル・ペレスを獲得したと報じられています。
ラファエル・ペレスはドミニカ共和国出身の左腕投手で、2002年クリーブランド・インディアンスとアマチュアFAとして契約しプロ入りしています。
メジャーでのキャリアはインディアンスだけでのものとなっていますが、3A傘下ではツインズ、レッドソックス、レンジャーズ、パイレーツと渡り歩き、今年の7月1日にマリナーズから自由契約となっていました。
そのラファエル・ペレス投手をメジャーとマイナー時代の成績などのデータを元に分析していきます。
メジャーとマイナー時代の年度別成績から分析
ラファエル・ペレス投手のメジャーと日本の球団が獲得の際に重視する3Aと2A時代の年度別成績は以下の表のとおりとなっています。
メジャーでは、全てリリーフとして338試合に登板して329.0イニングを投げて、防御率3.64/奪三振268/WHIP1.33と悪くない数字を残しています。
しかし、2012年のインディアンス時代で投げた後は、マイナーでの登板はあるものの、メジャーに昇格することはありませんでした。
マイナーでのキャリアの大半はリリーフ投手としてものでしたが、2014年は24試合中16試合、2015年は13試合全てが先発登板となっていて、先発投手へ転向している状態でした。
その先発投手として投げた2014年はレンジャーズとパイレーツの3Aで103.1回を投げて、防御率2.87/6勝7敗/奪三振80/WHIP1.32とまずまずの成績を残します。
2015年はマリナーズと契約し、その傘下の3Aタコマでプレーしたのですが、81.1回で防御率1.99/5勝5敗/奪三振52/WHIP1.06と素晴らしい成績を残しています。
通常であればメジャー昇格してチャンスが与えられてもおかしくないのですが、マリナーズは故障離脱していた岩隈が復帰したことや、若い投手の台頭などがあり、先発枠に空きがないため昇格とはなりませんでした。
基本的には打たせてとるタイプの投手で通算の奪三振率(9イニングあたりの奪三振数)は2Aで6.88、3Aで6.98、MLBで7.33となっています。
制球面では2012-13年にかけて苦しんだ時期がありましたが、与四球率(9イニングあたりの与四球数)は2014年と2015年ともに1.7個と少なく、安定した制球力を持っていることがうかがえます。
ラファエル・ペレス投手の持ち球・球種のデータと動画から分析
続いて、ラファエル・ペレス投手の持ち球・球種ですが、メジャーリーグのデータを集計しているブルックスベースボールによると、フォーシームファーストボール、チェンジアップ、スライダーの3種類となっています。
その3つの球種のデータ一覧は以下の表のとおりとなっています。
フォーシームは最速152.3キロ、平均で145.8キロとなっています。ですが、これはキャリア全体の平均で直近のデータではここまでの数字は出ていません。
2014年はスプリング・トレーニング(日本でいうオープン戦)で最速が141キロ、平均が140キロを記録したにとどまっています。
日本のマウンドはアメリカに比較して柔らかく球速が出にくいため、この数字よりもさらに4-5キロ程度落ちる可能性があると予想されます。
スライダーもキャリア全体では平均で137.6キロを記録したこともありますが、2014年は最速で133キロ、平均で131キロとこちらも球速が落ちています。
このような球速の低下があったことがリリーフから先発への配置転換につながったと考えられそうです。
投球に占める割合はフォーシームが43.38%、スライダーが50.60%、チェンジアップが6.00%となっていて、投球の大部分がフォーシームとスライダーの2種類となっています。
三振、空振りを奪うのに効果発揮しているのがスライダーで、奪三振の82.4%を占めていて、打者のスイングの30%が空振りになるというデータが残っています。
基本的には打たせてとるタイプであることに加えて、グランドボールピッチャー、すなわちゴロを打たせることができる投手で、3つの球種ともにバットに当たったボールの5割から6割がゴロになっています。
フォーシームの被打率と長打率が高く、フォーシームの球速も落ちていったため、メジャーからはじき出されるようになったと推測されますが、制球はよく、ゴロを打たせることができる技巧派タイプの投手と考えられるラファエル・ペレスです。
最後にラファエル・ペレスの動画です。2012年の時の動画で、スライダーで三振を奪っています。
同じく2012年の登板時の動画です。
2つの動画を見る限り、スライダーは2種類あるようで、カットボールに近い速く小さい曲がりのものと、球速が落ちて大きい曲がりのものとの2種類があるように見受けられます。
タイプ的には故障離脱しているバルデスと似ている印象で、圧倒的な投球までは期待できないものの、制球も悪く無いと考えられるため、ある程度試合を作ってくれる期待ができそうなラファエル・ペレスです。