米大手メディアの1つであるEPSN系列のラジオ局『1500ESPN』の電子版が、ミネソタ・ツインズがクリス・ジョンソン投手を広島カープへ移籍させることで合意したと報じています。
またその記事の中でクリス・ジョンソン投手自身が「私は広島カープでプレーできることに興奮しているし、それを可能にしてくれたツインズに感謝している。様々なプレーヤーからファンとチームの外国人への対応は素晴らしいと話で聞いている。私は彼らが交渉の過程で見せてくれたリスペクトにとても感動している」と述べています。
そのクリス・ジョンソン投手のメジャー、マイナーでの成績、球種や球速、そして投球フォームなどを含めた動画で分析していきます。
ドラフト1巡目全体40番目の高評価でプロ入りしたクリス・ジョンソン
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クリス・ジョンソンは今年の10月で30歳になったばかりで、来季の開幕も30歳で迎えることになります。
2006年ドラフトで1巡目全体40番目という高い評価での指名を受けて、レッドソックスに入団していますが、プロデビューは2013年8月とメジャーデビューまで時間を要しています。
メジャーではパイレーツとツインズの2チームで、先発3試合を含む7試合に登板し、23.2回で防御率5.32/WHIP1.77という成績を残しています。
そのクリス・ジョンソンのメジャーとマイナーでの年度別成績は以下のとおりとなっています。マイナーでの成績は2A以上のみを記載しています。
クリス・ジョンソンは2Aでは、45試合(先発39)209回1/3で防御率3.44/11勝14敗/奪三振162/WHIP1.45で、3Aでは127試合(先発97)563回で防御率4.46/36勝41敗/奪三振385/WHIP1.44となっています。
奪三振数は投球イニングを下回っていることからもわかるとおり、三振を多く奪うタイプの投手ではありません。基本的にはゴロを打たせてとるタイプで、データとしてもゴロアウトの比率がフライアウトを上回っています。
制球力ですが、マイナーの成績では、おおよそ2.5イニングに1個の四球を与えているため、先発して6回から7回を投げると、おおよそ2個から3個の与四球となる計算になります。
好材料なのは2014年シーズンは3Aではありますが、23試合132.0回で防御率3.48/10勝7敗/奪三振102/WHIP1.29と好調だったことです。
そこでもやや引っかかるのは9イニングあたりで3.75になる与四球で、そのあたりを克服できるかどうかが、日本での成功のカギになりそうです。
クリス・ジョンソンの球種や投球のスタイル
クリス・ジョンソンの持ち球は、アメリカのデータによるとフォーシーム、シンカー(ツーシーム)が主体で、そこにスライダーとチェンジアップを織り交ぜながら、たまにカーブを投げる構成となっています。
フォーシームとシンカーはともに最速95マイル(約153キロ)で、平均では92-93マイル(148-150キロ)程度となっています。
アメリカでは取り立てて速い方ではなく、平均か、それよりやや速い程度となりますが、日本では速い部類となります。
投球はシンカーが主体で投球の45%を占め、スライダーが20%、フォーシームとチェンジアップそれぞれ15%前後の割合となっています。
球種のなかではシンカーがゴロを多く打たせるのに効果を発揮し、空振りを奪えるボールとして一番効果的なのがスライダーで、それに次ぐのがフォーシームとのデータが残っています。
特にスライダーは打者がスイングした場合の50%が空振りとなっていますので、クリス・ジョンソンの決め球と考えて良さそうです。
続いて、クリス・ジョンソンの投球フォームですが、2014年7月21日に先発し5回を5安打2失点の4奪三振を記録した試合の動画です。
クセの少ないスリークォーターのフォームです。身長も195センチあり、腕も長いため、ボールに角度がつきます。
またフォームそのものはゆったりとしているのですが、球速は150キロに到達しますので、タイミングをとるのに苦労しそうです。
この動画ではスライダーが高く抜けているのがやや気になりますが、低めにコントロールされているときは効果的であることがわかります。
日本の少なくとも6球団による争奪戦があったクリス・ジョンソン
キャリアの大半は先発投手ではありますが、リリーフの経験もあるため、日本野球での適性に応じて、前でも後ろでも柔軟に対応できそうなのは、左腕不足のカープにとって魅力となりそうです。
アメリカの記事では、日本プロ野球(NPB)の少なくとも6球団が入札し、その入札金額で広島カープが一番高額だったため、ツインズが移籍に応じたと報じられています。
そのためカープだけでなく、多くのチームが日本での適性があると評価・分析し、興味を持っていたことになります。
近年の、カープの外国人は当たりが多く、海外でのスカウティングで成果をあげています。さらに上記のような争奪戦があったことを考えると、制球面の課題は少し気になりますが、楽しみな新外国人の1人となるのではないでしょうか。