楽天イーグルスの2015年の先発ローテーションをFIPとLOB%を使って分析

初回投稿日時:2015/02/19
最終更新日時:2015/02/19

このページでは日本プロ野球の東北楽天ゴールデンイーグルスの投手陣の分析をしています。

先発ローテーションでの起用が予想される選手を、2014年までの年度別成績などを元に分析しています。あくまでも前年までのデータに基づくもので、キャンプ、オープン戦での成績はあえて考慮していません。

また新人は日本プロ野球での過去データがありませんので、対象から外しています。

なお、パ・リーグ6球団の先発ローテーションの分析は以下のページにそれぞれまとめています。

ソフトバンク オリックス 日本ハム
ロッテ 西武 楽天

続いて、東北楽天ゴールデンイーグルスの主要な先発ローテ候補投手の分析です。

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イーグルスの先発ローテーションの主力候補を分析・予想

まずこの分析をしていく前に、FIPとLOB%の簡単な説明を記載しておきます。

【用語】

  • LOB%(残塁率):LOB%が高いと残塁が多くなるため失点が少なくなり、逆に低いと残塁が少なくなり失点が多くなる。投手のがコントロールすることが難しい指標で、運の影響を受けやすい。投手のタイプに関わらず、多くの投手がリーグ平均前後に落ち着くとされていて、そこから大きく外れた場合は、翌年以降にその平均値に戻る傾向がある。MLBでは70%から72%、近年のNPBでは72%-75%程度。
  • FIP(Field independence Pitching):味方チームの守備力の影響を除外して、投手の実力を測るための指標で、与四死球、本塁打、奪三振、投球イニングを元に算出する擬似防御率。防御率よりもFIPが低ければ味方の守備によって自責点が増えていると考えられ、FIPよりも防御率が低ければ、味方の守備によって自責点が減っていると、一般的に考えられている。
  • FIP+:日本プロ野球全体の平均FIPよりもどれだけ傑出しているかを示す。平均を100で、100以上が平均以上となり、100より小さくなると平均以下となる。FIP+が120であれば平均よりも20%傑出していることになる。本来は球場ごとの特性に拠る補正をかけますが、ここでは除外しています。
  • ERA+:リーグ平均の防御率よりもどれだけ傑出しているかを示す。平均を100で、100以上が平均以上となり、100より小さくなると平均以下となる。ERA+が120であれば防御率がリーグ平均よりも20%傑出していることになる。本来は球場ごとの特性に拠る補正をかけますが、ここでは除外しています。

先発ローテ候補として、則本昂大、辛島航、美馬学、塩見貴洋、菊池保則、森雄大、松井裕樹の79名を分析しています。

先発ローテーション候補1:則本昂大

則本昂大の年度別投球成績は以下の表のとおりとなっています。

Takahiro Norimota Stats 2014

新人王の後の2年目ということで各球団から研究され、マークが厳しくなるにも関わらず、1年目以上に凄みのある投球を見せました。

勝敗は15勝8敗から14勝10敗に落ちたものの、最下位に低迷したチーム状況を考えれば、出色の成績です。

そして防御率は3.34から3.02に向上したのですが、味方の守備の援護も少なかっため2点台にならなかっただけで、投手の実力を示すFIPは3.36から2.52へと大幅に向上しました。

2013年は勝率がかなり良かったのですが、味方打線との兼ね合いもかなり良かったと考えられます。

というのも防御率3.34、FIP3.36はともに平均を7-8%上回る程度でしかないためです。

しかし、2014年は防御率には大差がないものの、内容が格段にレベルアップしています。

奪三振率(9イニングあたりの奪三振数)は7.09から9.06、与四球率(9イニングあたりの与四球数)は2.70から1.73、被本塁打は0.74から0.62に向上するなど、投手としての凄みが増しました。

そして、2014年は防御率よりもFIPが0.50も良いため、味方の守備に足を引っ張られていたと考えられます。また、LOB%(残塁率)は平均値に近いため、運に大きく助けられることなく、実力で残した成績だったと考えられます。

しかも、このFIP2.52は両リーグの規定投球回数に到達した投手の中で、金子千尋の2.12、大谷翔平の2.48に続く3番目の数字で、平均的な投手を49%も上回っています。

先発投手がフルシーズンを投げ切って、FIPが平均を50%近く上回るということは、かなり素晴らしいことで、球界を代表するような投手が残す数字です。

もちろん球界を代表するような投手は、このような数字を3年くらいは残しているので、一歩階段を登ったという段階ではありますが、則本昂大の今後がさらに期待されます。

先発ローテーション候補2:辛島航

辛島航の年度別投球成績は以下の表のとおりとなっています。

Wataru Karashima Stats 2014

8勝13敗に終わったものの、今後が期待されるのが辛島航です。

初めて規定投球回数に到達し、防御率3.79という成績を残したのですが、投手の実力を示すFIPは防御率よりも良い3.59でNPB全体の平均を5%上回っています。

規定投球回数に到達した投手はセパ両リーグで28名いたのですが、その中でFIPが平均以上だった投手はさらに絞りこまれ21名しかいません。

辛島航はその中のひとりで、セパ両リーグで12球団あることを考えれば、かなり質の高い投球をしていたと考えられます。

勝敗は打線の援護、防御率は味方の守備力などに加えて、運にも大きく左右されるものですが、FIP自体は平均レベルに達するシーズンが多いため、投手としての能力そのものが高い投手です。

奪三振率、被本塁打率、与四球率などの指標で、際立つ数字はないものの、投手としてのバランスが良いことがわかる数字が残っていますので、先発2番手に相応しい投手になれるポテンシャルを持っています。

うまく味方の守備や打線の援護と噛み合えば、2014年以上の成績が期待できそうな辛島航です。

先発ローテーション候補3:美馬学

美馬学の年度別投球成績は以下の表のとおりとなっています。

Manabu Mima Stats 2014

日本シリーズ制覇に田中将大、則本昂大とともに大車輪の活躍をし、2015年に期待された美馬学でしたが、

シーズンを通じでローテを守ることができなかった上に、防御率4.83/2勝9敗/WHIP1.50と期待を大きく裏切ることになりました。

ただ、投球のクオリティは表面的な数字ほど悪いシーズンではなかったと考えられます。

与四球率(9イニングあたりの与四球数)は3.10と悪いことが問題ではありましたが、奪三振率(9イニングあたりの奪三振数)6.32はキャリアハイで、被本塁打率(9イニングあたりの被本塁打数)も0.50と少ない数字です。

それでも防御率が悪くなってしまったのは、味方の守備に足を引っ張られた上に、運もなかったことに影響を受けたためだと考えられます。

防御率は4.83だったのですが、FIPは3.61と1.22も良いため、味方の守備がかなり足を引っ張ったと考えられます。

さらに率が高いと失点が少なくなるのですが、運に大きく左右されるため投手がコントロールすることが難しいLOB%(残塁率)が67.9%と低いため、運も味方しなかったと考えることができます。

規定投球回数に到達していないため参考程度にはなりますが、FIPは平均的な投手を5%上回っていますので、投球そのものは防御率ほど悪くはなかった美馬学です。

シーズンを通じで投げれないことが課題ですが、年間を通じで投げれば、先発3番手もしくは4番手クラスの力量は持っていると考えられますので、体調管理がまずは重要な課題となりそうです。

先発ローテーション候補4:塩見貴洋

塩見貴洋の年度別投球成績は以下の表のとおりとなっています。

Takahiro Shiomi Stats 2014

8勝7敗と勝ち越したものの、114.2回を投げて防御率4.71/WHIP1.41と課題の残るシーズンでした。

しかし、塩見貴洋も防御率よりもFIPが0.57も良い、4.14で平均を9%下回る程度で、防御率ほど悪いわけではありません。

FIPが防御率よりも良いことからわかるように、味方の守備に足を引っ張られていましたし、LOB%が67.4%と低いため、運もありませんでした。

被本塁打率(9イニングあたりの被本塁打数)がやや悪いのが気になるところですが、制球面で難がある投手が多い楽天先発陣の中では安定感があるほうで、奪三振率も及第点レベルのため、良ければ先発4番手、そうでなければ5番手であれば計算できるという印象です。

先発ローテーション候補5:菊池保則

菊池保則の年度別投球成績は以下の表のとおりとなっています。

Yasunori Kikuchi Stats 2014

1試合10失点という大炎上があったため、防御率などは良くなかったものの、8月以降は先発投手として一定の結果を残しました。

1試合10失点は普通であればもっと早い段階で降板させられるところですが、将来的なことを考えての続投であったため、表面的な成績から単純に判断しないほうが良さそうです。

仮に5失点の時点で降板していれば、防御率は3.15となっていますので、この試合以外は悪くない投球をしていたことがわかります。

また規定投球回数に到達していないため、参考程度の数字となりますが、FIPは4.11でリーグ平均を9%下回る程度のため、投球の質そのものは先発ローテの6番手、もしくは5番手に入ってもおかしくはないものでした。

問題はフルシーズンを投げ切って、どれほどの数字を残せるかというところになるのですが、ポテンシャルは感じさせる投手です。

先発ローテーション候補6:森雄大

森雄大の年度別投球成績は以下の表のとおりとなっています。

Yudai Mori Stats 2014

8試合(先発5)で29.1回を投げて防御率5.52/2勝3敗/WHIP1.81と期待に応えることができなかった一軍デビュー1年目となりました。

FIPは4.45と、防御率よりはやや良いものの、お世辞にも良いとは言えない数字で、実力不足だったと言わざるをえません。

WHIP(1イニングあたりの与四球+被安打)が1.81となっているため、1イニングに2人以上のランナーを背負うことが多かったことになります。

被安打率も高いのですが、それ以上に問題なのは与四球率(9イニングあたりの与四球数)が5.83と非常に悪く、制球難が大きな課題となっています。

この制球難が落ち着かない限り、先発ローテーションを一軍で守ることは難しそうです。

先発ローテーション候補7:松井裕樹

松井裕樹の年度別投球成績は以下の表のとおりとなっています。

Yuki Matsui Stats 2014

中継ぎでの起用を大久保監督が示唆していますが、先発投手陣の編成や2014年に松井裕樹が残した数字を見ると、やや疑問を感じる面はあります。

4勝8敗ではありましたが、116.0イニングを投げて、防御率3.80/WHIP1.36という数字を残しました。

際立つのは投手の実力を示すFIPは3.01と非常に良い数字を残していることで、セパ両リーグの90イニング以上を投げた投手の中で7番目となる非常に内容のあるものです。

このFIP3.01は平均を25%上回る素晴らしい傑出度で、先発ローテの1番手を務めることができるポテンシャルを感じさせるものです。

奪三振率(9イニングあたりの奪三振数)は9.78と、90イニング以上を投げた投手の中では、大谷翔平の10.74につぐ2番目に高い数字で、高卒新人1年目の数字としては、かなり図抜けたものです。

与四球率(9イニングあたりの与四球数)が5.20と、与四球が多いにも関わらずWHIPが1.31ですんでいるのは、被安打が少ないためです。

運に大きく左右されるLOB%は69.9%と平均よりやや低い数字なのですが、それでも被安打率が7.06と、岸孝之の7.03に次ぐ、非常に素晴らしい数字を残しています。

また被本塁打率(9イニングあたりの被本塁打数)は0.16と両リーグNO.1の少なさで、金子千尋の0.33も上回っています。

これだけのポテンシャルを持っているため、楽天、パ・リーグのエースにとどまらず、球界を代表するようなエースになれる素材と考えられるため、ブルペンに回すのはもったいない気がしてなりません。

ただ、メジャーなどでは肩の筋肉を作るために、メジャー昇格から1-2年はブルペンで起用することで育成するという方法もとられています。それと同様の方法で育成することが目的での配置転換で、松井裕樹を将来的に先発に戻すことを考えているのであれば納得できますが、クローザーにするにしても惜しい投手です。

監督のコメントを聞く限り、どちらかと言えば2015年の目先の勝利のことが優先されているようにも受け取れますので、気になるところです。

高卒1年目で残している数字を見る限り、そう頻繁には現れない稀有な素材だけに、大きく育てて欲しいところです。

総括・まとめ

【総括・まとめ】
投手陣全体の防御率があまり良くはないのですが、投手個々の成績の内容を見ていると、防御率よりはFIPが良い投手ばかりで、表面的な数字ほど先発投手陣は悪くないと考えられます。

気になるのは、投球イニングが多い投手は軒なみ、防御率よりもFIPが良いため、守備に足を引っ張られて、成績を落としていると考えられるため、記録上はエラーにならないものの実質的にはエラー同様のプレーだったり、他チームであればアウトに出来るような打球をアウトにしきれていないかったりしている可能性があります。

ポテンシャルのある投手は揃っているようなので、もう少し内外野の守備が安定すれば、チームの失点も減り、投手も結果を残せるように思われます。

先発ローテに関しては、現存の投手の上積みに期待することになるのですが、佐藤義則コーチがいなくなったことの影響が懸念されます。

投手は高卒を中心に指名する方針のため、育成がかなり重要になるのですが、その点では十分に成果が出ているとは言いがたいため、なおさら佐藤コーチの流出がボディーブローのように効いてきそうです。

戦力的にはソフトバンクやオリックスは遠い彼方で、日本ハムや西武とも差を感じるため、最下位脱出も容易ではない印象です。

そのため、なおさら若い選手の育成を重視し、チーム全体の底上げが必要だと考えられるのですが、それにも関わらず目先の勝利にこだわって、松井裕樹をリリーフに回すというのはややクビを傾げてしまいます。

アイディアが豊富な監督のため、それらが噛み合えば大きな当たりが出そうでもありますが、それと同時に、外れてしまった場合には壮大な空振りになりそうな2015年の楽天です。