中日ドラゴンズの2015年の先発ローテーションをFIPとLOB%を使って分析

初回投稿日時:2015/02/12 13:15
最終更新日時:2015/02/12 13:15

このページでは日本プロ野球の中日ドラゴンズの投手陣の分析をしています。

先発ローテーションでの起用が予想される選手を、2014年までの年度別成績などを元に分析しています。あくまでも前年までのデータに基づくもので、キャンプ、オープン戦での成績はあえて考慮していません。

また新人と新外国人は日本プロ野球での過去データがありませんので、対象から外しています。

なお、セ・リーグ6球団の先発ローテーションの分析は以下のページにそれぞれまとめています。

巨人 阪神 広島
中日 DeNA ヤクルト

続いて、中日ドラゴンズの主要な先発ローテ候補投手の分析です。

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ドラゴンズの先発ローテーションの主力候補を分析・予想

まずこの分析をしていく前に、FIPとLOB%の簡単な説明を記載しておきます。

【用語】

  • LOB%(残塁率):LOB%が高いと残塁が多くなるため失点が少なくなり、逆に低いと残塁が少なくなり失点が多くなる。投手のがコントロールすることが難しい指標で、運の影響を受けやすい。投手のタイプに関わらず、多くの投手がリーグ平均前後に落ち着くとされていて、そこから大きく外れた場合は、翌年以降にその平均値に戻る傾向がある。MLBでは70%から72%、近年のNPBでは72%-75%程度。
  • FIP(Field independence Pitching):味方チームの守備力の影響を除外して、投手の実力を測るための指標で、与四死球、本塁打、奪三振、投球イニングを元に算出する擬似防御率。防御率よりもFIPが低ければ味方の守備によって自責点が増えていると考えられ、FIPよりも防御率が低ければ、味方の守備によって自責点が減っていると、一般的に考えられている。
  • FIP+:日本プロ野球全体の平均FIPよりもどれだけ傑出しているかを示す。平均を100で、100以上が平均以上となり、100より小さくなると平均以下となる。FIP+が120であれば平均よりも20%傑出していることになる。本来は球場ごとの特性に拠る補正をかけますが、ここでは除外しています。
  • ERA+:リーグ平均の防御率よりもどれだけ傑出しているかを示す。平均を100で、100以上が平均以上となり、100より小さくなると平均以下となる。ERA+が120であれば防御率がリーグ平均よりも20%傑出していることになる。本来は球場ごとの特性に拠る補正をかけますが、ここでは除外しています。

先発ローテ候補としては新外国人のリーバス、バルデスの2人に、ドラフト1位・2位指名の新人の野村亮介や浜田智博などが候補としていますが、ここでは対象外として、山井大介、大野雄大、雄太、浜田達郎、朝倉健太、吉見一起の6人を分析しています。

先発ローテーション候補1:山井大介

山井大介の年度別成績は以下の表のとおりとなっています。

Daisuke Yamai Stats 2014

山井大介はシーズン中に36歳となった2014年に173.2回を投げて防御率3.21/13勝5敗/WHIP1.28の成績を残し、セ・リーグ最多勝と最高勝率のタイトルを獲得し、防御率もリーグ8位となりました。

この結果、新たに37歳から39歳にかけての3年間を年俸1億2000万円で契約更改することになりました。

かつての投手王国の面影を失いつつある中で、山井大介の働きがなければ2014年のリーグ4位も怪しかったのですが、焦点は3年契約を結んだ2015年以降も同様のパフォーマンスを期待できるかどうか?というところになります。

山井大介は2014年にはじめて二桁勝利と規定投球回数に到達したことからも、わかるようにキャリア全体を通じで図抜けた成績を残してきたわけではありません。

36歳になってブレイクした遅咲きとも考えられるのですが、FIPやその他の指標を見る限り、実力や能力が著しく向上したようには受け取れません。

2013年は97.2回を投げて、防御率4.15/5勝6敗/WHIP1.53という成績で、FIPは4.40となっていました。

2014年は軒並み表面上の成績は上がったのですが、FIPは4.00と大きく向上していません。

さらに防御率よりもFIPが0.79も悪く、運に大きく左右されるLOB%(残塁率)は率が高いと失点が少なくなるのですが、78.0%とリーグ平均と本人のキャリア平均の両方を上回る数字となるなど、味方守備と運にも助けられての好成績だった面があることは否定できません。

実際に被本塁打率(9イニングあたりの被本塁打数)は0.67と2013年より改善されていますが、奪三振率(9イニングあたりの奪三振数)は5.81から5.34に低下しています。

そして与四球率(9イニングあたりの与四球数)は改善されたものの3.42と、90イニング以上投げた投手54人の中で16番目に多い割合となるなど、多く与四球を出していました。

さらに投手の実力を測る指標としてアメリカで重視されているFIP4.00はNPB全体の平均を7%も下回っています。

このように投手としての三振を奪う力、制球力などの面で、能力が大きく向上したとは考えられないにも関わらず、表面的な成績が向上したため、「2014年はめぐり合わせが良かったことに助けられた好成績」と考えざるを得ない面があります。

中日は守り勝つ野球を標榜し、選手起用でも守備力が重視されていますので、2015年も守備に助けてもらえる期待は出来ますので、2014年に近い成績を残す可能性はあります。

しかし、実力的には先発ローテの4番手もしくは5番手を任せる計算をするには良いのですが、2015年にそれ以上の働きを期待するのはリスクが高いと言えそうです。

先発ローテーション候補2:大野雄大

大野雄大の年度別成績は以下の表のとおりとなっています。

yudai ohno Stats 2014

エースとしての役割が期待される大野雄大ですが、2014年は165.0回を投げて防御率 2.89/10勝8敗/奪三振119/WHIP1.23という成績を残しました。

自己最多の165イニングに加えて、防御率はリーグ4位、奪三振はリーグ7位、勝利数はリーグ8位となり、これらの数字を見れば、順調に成長しているようにも見えます。

しかし、投手の実力を測る指標であるFIPでは3.30から3.64に落ちている上に、NPB平均よりも3%上回る(FIP+ 103)だけのレベルにとどまっています。

防御率よりもFIPが0.75も悪くなっているため、「味方の守備に助けられた実力以上の防御率」となった可能性が否定できません。

投手が実力でコントロールしやすい指標である奪三振率(9イニングあたりの奪三振数)は7.20から6.49に落ち、被本塁打率(9イニングあたりの被本塁打数)は0.74から0.76、与四球率(9イニングあたりの与四球数)は2.64から2.56と、ともに横ばいです。

これらの数字を見る限り、三振で打者を封じ込めたり、芯でとらえてスタンドインされるようことを防いだり、四球を与えない制球力などの、投手としての能力向上が大きくあったとは言えないため、防御率2.89は、味方守備や運に助けられた、出来すぎの数字だったと考えられます。

リーグを代表するような投手はFIPが平均よりも30%前後(FIP+ 130)のシーズンが複数回ありますので、その観点からも、実力面でエースと呼ぶには物足りないものがあります

中日は守備力を重視した選手起用をしているため、2014年同様に守備に助けてもらえる可能性はあるものの、リーグを代表するようなエースとなっていくには、慢心したり満足したりすることなく、実力を磨いていくことが重要になりそうです。

先発ローテーション候補3:雄太

川井雄太の年度別成績は以下の表のとおりとなっています。

Yuta Kawai Stats 2014

目立たないもの安定した投球ができるのが雄太です。通算の防御率3.43もそうですが、FIPもキャリア通算で3.69を記録しています。

FIPはNPB平均を上まったことはないものの、平均をやや下回る程度(FIP+ 92~97)で推移しています。

奪三振率は低いものの、与四球が少なく、被本塁打も多くはなく、投手としてのバランスも良い雄太です。

懸念されるのは35歳となる年齢による衰えですが、投球スタイルが衰えの影響を受けにくいタイプのため、落ちたとしても小幅になるのではないかと予想されます。

先発ローテの前半を任せるのは、やや荷が重いのですが、4番手から6番手を任せるのであれば、十分に期待できそうです。

先発ローテーション候補4:朝倉健太

朝倉健太の年度別成績は以下の表のとおりとなっています。

Kenta Asakura Stats 2014

朝倉健太は2006年に防御率2.79で13勝6敗、2007年に防御率3.36と12勝7敗という成績を残していますが、その2年間はFIPが3.24、3.31と上位クラスの数字を残し、NPB平均を10%以上上回る(FIP+ 114、111)など、実力もともなっていました。

しかし、その後はFIPは4点台以上でNPBの平均を大きく下回る年が続いています。

またLOB%(残塁率)は、多くの投手が平均値(73-75%)に近づくのですが、例外として実力が足りない投手は極端に低い数字が出ます。

朝倉健太は近年4年間は53.6%、52.1%、53.8%、64.5%と推移するなど、低い数字が続いていますので、実力的に厳しいものがあったと考えられます。

故障の多さや2015年で34歳になる年齢を考えても、上積みを期待するのは厳しいため、朝倉健太をロングリリーフやスポット先発要員に回せるようにしないと、先発ローテは不安定なものとなりそうです。

先発ローテーション候補4:吉見一起

吉見一起の年度別成績は以下の表のとおりとなっています。

Kazuki Yoshimi Stats 2014

常勝時代の柱となってきた吉見一起ですが、ここ数年は故障が続き思うように投げれていません。

ただ、2015年に30歳となることを考えると老けこむような年齢でもないため、復活が期待されます。

故障の影響が気になるところですが、2008年から2013年の6年間にわたってFIPが平均以上を記録するなど、元々の実力には疑いの余地がありません。

キャリア全体では、奪三振率こそ高くないものの、被本塁打率と与四球率ともに低く、投手としてのバランスが良い吉見一起です。

巨人、阪神、広島と比較すると戦力的に見劣りする上に、ヤクルト、DeNAが戦力補強を行っていますので、最下位の可能性もちらつく中日ですが、そこからの立て直しには、この吉見一起の復活が欠かせないものとなりそうです。

先発ローテーション候補5:浜田達郎

浜田達郎の年度別成績は以下の表のとおりとなっています。

Tatsuro Hamada Stats 2014

大野雄大と並んで中日のエースとなることが期待されるのが浜田達郎です。

フルシーズンを投げ切っていないので、参考程度となってはしまうのですが、防御率は4.07でしたが、FIPでは3.91で、NPB平均をやや下回る程度と、と先発ローテ投手として及第点の数字となっています。

与四球の多さがやや目立つものの、奪三振率は高く、被本塁打率も及第点の水準のため、今後の飛躍が期待されます。

先発ローテーション候補6:伊藤準規

伊藤準規の年度別成績は以下の表のとおりとなっています。

Junki Ito Stats 2014

将来の右のエース候補の伊藤準規ですが、早くも高卒6年目で、そろそろ結果を残したいところです。

2014年に7試合に先発するなどチャンスをもらい、防御率3.96/0勝2敗/WHIP1.84という成績でした。

防御率3.96だけを切り取ると及第点とも言えるのですが、中身を見ると厳しいものがあります。

WHIP((9イニングあたりの与四球数+被安打数)が1.84ということは、ほとんどのイニングでランナーを2人だしたことになるのですが、与四球率(9イニングあたりの与四球数)は5.35と悪い上に、被安打も多かったため、当然の数字となっています。

奪三振率(9イニングあたりの奪三振数)も5.59と低く、FIPは4.80とリーグ平均を22%も下回り、防御率よりも0.84も悪いなど、味方の守備にかなり助けられた上での防御率3.96だっため、実力としてはまだまだ足りないものが多いと考えられます。

飛躍的な成長がないと、先発ローテを任せるには不安があると言わざるを得ない伊藤準規です。

総括・まとめ

キャンプ、オープン戦でエースの吉見一起の復活のメドが立つ、新外国人投手が計算できるクオリティを持っていることが確認できるかが大きな課題となりそうです。

吉見一起が復活し、新外国人が2番手もしくは3番手を務めることができれば、山井大介、雄太、浜田達郎あたりを4番手、5番手におくことができ、全体的な厚みが増しそうです。

2014年はさらに低迷していてもおかしくはありませんでしたが、大物として名前があがることはなかったものの、又吉克樹、祖父江大輔らの即戦力として起用できるドラフト指名して、すぐに活躍させることができたこともあり、4位にとどまることができました。

2014年のドラフトでも「即戦力」を重視したと考えられる指名をしていますので、そこからローテに1人が入ってくるようなことがあれば、さらに厚みが増します。

数年先までを考えると、若い投手の台頭が必要で、次世代のエース育成は大きな課題です。そのため、大野雄大、浜田達郎、伊藤準規らと、新人の即戦力候補投手の育成は重要です。

中日はキャンプで選手を鍛えることでチームを強くしてきました。フロントや首脳陣の主要な顔ぶれを見れば、その頃のノウハウが活かされると考えられますので、選手が著しく成長することで戦力が充実する可能性があります。

様々な不確定要素があるため不安は消せません。そのため前評判は低くならざるを得ないのですが、うまくピースがハマれば巨人、阪神、広島と遜色のないローテを組めるため、前評判を覆す可能性はありそうです。