広島カープの2015年の先発ローテーションをFIPとLOB%を使って分析

初回投稿日時:2015/02/11 22:15
最終更新日時:2015/02/11 22:15

このページでは日本プロ野球の広島カープの投手陣の分析をしています。

先発ローテーションでの起用が予想される選手を、2014年までの年度別成績などを元に分析しています。あくまでも前年までのデータに基づくもので、キャンプ、オープン戦での成績はあえて考慮していません。

また新人と新外国人は日本プロ野球での過去データがありませんので、対象から外しています。

なお、セ・リーグ6球団の先発ローテーションの分析は以下のページにそれぞれまとめています。

巨人 阪神 広島
中日 DeNA ヤクルト

続いて、広島東洋カープの主要な先発ローテ候補投手の分析です。

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カープの先発ローテーションの主力候補を分析・予想

まずこの分析をしていく前に、FIPとLOB%の簡単な説明を記載しておきます。

【用語】

  • LOB%(残塁率):LOB%が高いと残塁が多くなるため失点が少なくなり、逆に低いと残塁が少なくなり失点が多くなる。投手のがコントロールすることが難しい指標で、運の影響を受けやすい。投手のタイプに関わらず、多くの投手がリーグ平均前後に落ち着くとされていて、そこから大きく外れた場合は、翌年以降にその平均値に戻る傾向がある。MLBでは70%から72%、近年のNPBでは72%-75%程度。
  • FIP(Field independence Pitching):味方チームの守備力の影響を除外して、投手の実力を測るための指標で、与四死球、本塁打、奪三振、投球イニングを元に算出する擬似防御率。防御率よりもFIPが低ければ味方の守備によって自責点が増えていると考えられ、FIPよりも防御率が低ければ、味方の守備によって自責点が減っていると、一般的に考えられている。
  • FIP+:日本プロ野球全体の平均FIPよりもどれだけ傑出しているかを示す。平均を100で、100以上が平均以上となり、100より小さくなると平均以下となる。FIP+が120であれば平均よりも20%傑出していることになる。本来は球場ごとの特性に拠る補正をかけますが、ここでは除外しています。
  • ERA+:リーグ平均の防御率よりもどれだけ傑出しているかを示す。平均を100で、100以上が平均以上となり、100より小さくなると平均以下となる。ERA+が120であれば防御率がリーグ平均よりも20%傑出していることになる。本来は球場ごとの特性に拠る補正をかけますが、ここでは除外しています。

先発ローテ候補としては黒田博樹、クリス・ジョンソンがいますがここでは対象外として、前田健太、大瀬良大地、野村祐輔、福井優也、九里亜蓮、戸田隆矢、篠田純平の6人を分析しています。

先発ローテーション1:前田健太

前田健太の年度別成績は以下の表のとおりとなっています。

Kenta Maeda Stats 2014

前田健太は2012年に防御率1.53を記録していますが、飛ばない統一球の恩恵を受けていますので、割り引く必要があります。

それでも2012年のFIP2.09は良い数字で、NPB平均を41%を上回っていますので、実力そのものは大きく傑出していました。

そのあと2013年は防御率2.10/15勝7敗/WHIP0.96、2014年は防御率2.60/11勝9敗/WHIP1.10と推移していて、勝敗と防御率ともに落ちてしまいました。

しかし、この2年間のFIPは2.74から2.80と横ばいになっているため、前田健太の力が落ちたり、極端に調子が悪かったというよりも、打線とのめぐり合わせ、守備との兼ね合いが良くかったため、数字が落ちたと考えられます。

調子そのものはあまり良くなかった印象の2014年でしたが、それでもNPB平均を34%も上回るFIP(FIP+ 134)を残すなど、実力ではセ・リーグでは頭1つ抜けていて、リーグNO.1と言って差支えのない内容のある数字を残しています。

このように実力的には抜けている存在のため、故障さえなければ例年に近い成績を残してくれそうです。

先発ローテーション2:野村祐輔

野村祐輔の年度別成績は以下の表のとおりとなっています。

Yusuke Nomura Stats 2014

広島が優勝するために重要なカギを握っているのが、野村祐輔ではないかと予想しています。

2012年から2014年にかけて、防御率は1.98、3.74、4.39、FIPは2.81、3.49、3.97と推移しています。

1年目の防御率は飛ばない統一球の恩恵がありました。それに加えて、防御率よりもFIPが0.83も悪いことからもわかるように「味方守備に助けられた」こと、率が高いと失点が少なくなるLOB%(残塁率)は80.1%と平均よりも高くなっていて、「運にも恵まれた」ことなどが重なったため、防御率1.98という数字が生じました。

防御率1.98は実力以上のものだったと考えられるのですが、野村祐輔自身は実力のある投手で、FIP+は105、104、95と推移するなど、投手の能力・実力を示すFIPではNPBの平均前後をキープしています。

図抜けた力はあるとは言えないものの、先発ローテの3番手から4番手を担えるだけの能力は、十分にあると考えられる野村祐輔です。

LOB%(残塁率)という指標は投手がコントロールすることが難しく、平均から大きく外れた年があると、翌年以降に揺り戻しが起こって、平均値に近づく傾向があります。

野村祐輔のLOB%は、2012年に80.1%と非常に高い数字になったのですが、逆に2013年は69.1%、2014年は64.3%とリーグ平均の73%-75%を下回る揺り戻しが起こっています。

LOB%が低くなると、残塁が少なくなり失点が多くなりますので、防御率は低下してしまう傾向があります。

2014年は与四球率や被本塁打率が悪化するなど、調子自体が良くありませんでしたが、奪三振率は向上していますので、実力が著しく低下して成績が落ちたというよりも、LOB%の数字の低さ、すなわち「運があまり良くなかった」ことも、成績を悪化させる要因となっていたと考えられます。

逆に2015年以降はLOB%が平均値に揺り戻す動きが出ると予想されるため、成績も向上する可能性が高いと予想されます。

巨人、阪神の先発ローテを比較した場合に、3番手と4番手に明らかに差があるのですが、実力的には3番手を担えるくらいの力量はありますので、新外国人のジョンソンとともに、その働きが重要になりそうです。

先発ローテーション3:大瀬良大地

大瀬良大地の年度別成績は以下の表のとおりとなっています。

Daichi Osera Stats 2014

大瀬良大地は、151.0回/防御率4.05/10勝8敗/WHIP1.36という成績で新人王を獲得しました。

大卒1年目で二桁勝利をあげたことは評価されるものの、前評判やシーズン前半のパフォーマンスからすると、やや物足りないシーズン後半でもありました。

FIPは4.06と防御率とほぼ同じで、LOB%もリーグ平均に近いため、2014年時点での実力通りの成績になっていたと考えられます。

勝ち星こそ二桁に乗ったものの、FIP4.06はリーグ平均を7%(FIP+ 93)下回るなど、先発ローテに長く定着するためには、一歩も二歩も成長が必要になりそうです。

被本塁打率(9イニングあたりの被本塁打数)は1.19と高く、90イニング以上を投げた投手の中では、三浦大輔(1.33)、藤岡貴裕(1.29)、石山泰稚(1.24)に続く4番目に高い数字です。

三浦大輔が横浜スタジアム、石山泰稚が神宮球場と狭い球場を本拠としているのに対して、大瀬良がマツダスタジアムであることを考えると、かなり高い割合と言わざるを得ません。

そして奪三振率(9イニングあたりの奪三振数)も6.91とあまり高くはなく、打者を完全に封じ込めるという力量まではなかったと考えられる数字が残っています。

このように2014年の大瀬良の成績は二桁は勝ったものの、菅野智之、小川泰弘、則本昂大らが新人1年目で残した内容とは見劣りすることは否めません。

ただ、年齢的にもこれから成長していく時期ですし、2014年シーズン開幕前の期待通りとはいかなかったものの、FIPは平均をやや下回る程度で、長期間にわたって先発ローテの1-3番手までを務めるだけのポテンシャルを秘めていることは垣間見せてはいますので、さらなる成長が期待されます。

先発ローテーション4:福井優也

福井優也の年度別成績は以下の表のとおりとなっています。

Yuya Fukui Stats 2014

福井優也は防御率が4.12、4.30、8.69、4.35、FIPは3.94、4.08、3.94、4.15と4点前後を推移していて、防御率とFIPともにリーグ平均を上回ったことがありません。

大卒新人で、4年間にわたってリーグ平均を下回る4点前後のFIPが続き、2014年は奪三振率(9イニングあたりの奪三振数)は5.40まで落ち、与四球率(9イニングあたりの与四球数)は4.35とあまり改善されていません。

27歳となる年齢を考えると、2015年に内容の伴った結果を残さないと、今後が厳しくなっていきそうで、1年を通じてローテを守るためには大きな変わり身が必要となりそうです。

先発ローテーション5:九里亜蓮

九里亜蓮の年度別成績は以下の表のとおりとなっています。

Aren Kuri Stats 2014

83.1回を投げて、防御率4.00/2勝5敗/WHIP1.49という成績で1年目を終えました。

FIPは4.61と防御率よりも0.61も悪いため、基本的には守備に助けられた面があったと考えられるのですが、奪三振率(9イニングあたりの奪三振数)は5.40と低く、与四球率(9イニングあたりの与四球数)も3.35とやや多めのため、苦労することになりました。

投手としての能力、実力だけで見ると、先発ローテを任せるには物足りない面があった2014年でしたが、年齢的に伸びしろがあると思われますので、そこに期待することになりそうです。

先発ローテーション6:戸田隆矢

戸田隆矢の年度別成績は以下の表のとおりとなっています。

Takay Toda Stats 2014

戸田隆矢は2014年に30試合に登板し、うち5試合が先発でした。防御率こそ3.32と悪くない者の、投手の能力を示すFIPでは4.61と悪く、守備に助けられた面がありました。

さらにLOB%(残塁率)は80.6%と高く、運も味方していたと考えられます。

奪三振率は5.68と低く、被本塁打率は1.11と平均より高く、与四球率も3.47と良くないため、投手としての能力や実力が向上したことによる成績向上というよりも、運と味方守備の巡り合わせの良さに恵まれた防御率3.32と言えそうです。

一軍で先発ローテを守るのであれば、2014年からの大幅な実力アップが必要となりそうです。

先発ローテーション7:篠田純平

篠田純平の年度別成績は以下の表のとおりとなっています。

Junpei Shinoda Stats 2014

篠田純平に関しては、来年で30歳となる上に、キャリア全体を通じてFIPが平均を超えたことがなく、1年を通じて先発ローテを任せるには、やや不安を感じさせるものがあります。

ロングリリーフや調子の良い時にスポットで先発させるなどの起用のほうがチームにとってリスクは少なそうです。

総括・まとめ

2014年の広島が優勝を逃すだけでなく、3位に甘んじてしまった原因として、シーズン終盤のリリーフの疲労蓄積、打線の得点力低下など、様々なものがあげられます。

その終盤の失速の原因となった1つと考えられるのが、バリントンがイマイチだっため、シーズン終盤は安定感がなかった大瀬良大地を実質的な2番手として起用せざるを得なかったことです。

その広島にとって黒田博樹が帰ってきたことは大きなプラスで、2014年のメジャーでの数字を見る限り、一定の成績をNPBでも残すと予想されます。(参考記事:真のプロフェッショナル『黒田博樹』の2014年シーズン成績・投球内容と過去のデータとの比較)

この黒田の復帰で、先発の前2枚が強力になりましたので、エースの前田健太をはじめ他の投手への負荷を軽減することができそうです。

3番手には新外国人のジョンソンが予想されますが、蓋を開けてみないとわからない怖さが新外国人にはあります。そのジョンソンがバリントンに代わって、1年間先発ローテを守れるようであれば、野村祐輔と大瀬良大地の2人を4番手と5番手に置けますので、そのパフォーマンスが気になるところです。

6番手には福井優也、九里亜蓮、篠田純平、戸田隆矢などが候補となり、不安定さは否めませんが、6人目まで計算できる投手を揃えることができるチームは、ほぼありませんので、大きな問題ではありません。

6番手は日程次第ではスキップすることができますし、調子の良い投手を優先して起用することで補うことも可能なため、首脳陣の手腕がより重要になります。

2015年は黒田博樹の復帰により、新人王2人を先発ローテの後半に据えれる布陣となりそうな広島で、否が応でも期待が高まります。が、前田健太のメジャー行き、黒田博樹の引退も考慮した2016年以降を考えると、2015年シーズンでの「次のエース育成」は重要な課題となりそうです。

2015年に優勝を手にするためにも、2016年以降のチーム編成を考えても、野村祐輔と大瀬良大地の成長と飛躍が重要なポイントになりそうです。

黒田博樹の2014年の成績の分析はこちらのページに、クリス・ジョンソンの分析はこちらのページです。