横浜DeNAベイスターズの2015年の先発ローテーションをFIPとLOB%を使って分析

初回投稿日時:2015/02/13
最終更新日時:2015/02/13

このページでは日本プロ野球の横浜DeNAベイスターズの投手陣の分析をしています。

先発ローテーションでの起用が予想される選手を、2014年までの年度別成績などを元に分析しています。あくまでも前年までのデータに基づくもので、キャンプ、オープン戦での状態や成績はあえて考慮していません。

また新人は日本プロ野球での過去データがありませんので、対象から外しています。

なお、セ・リーグ6球団の先発ローテーションの分析は以下のページにそれぞれまとめています。

巨人 阪神 広島
中日 DeNA ヤクルト

続いて、横浜DeNAベイスターズの主要な先発ローテ候補投手の分析です。

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ベイスターズの先発ローテーションの主力候補を分析・予想

まずこの分析をしていく前に、FIPとLOB%の簡単な説明を記載しておきます。

【用語】

  • LOB%(残塁率):LOB%が高いと残塁が多くなるため失点が少なくなり、逆に低いと残塁が少なくなり失点が多くなる。投手のがコントロールすることが難しい指標で、運の影響を受けやすい。投手のタイプに関わらず、多くの投手がリーグ平均前後に落ち着くとされていて、そこから大きく外れた場合は、翌年以降にその平均値に戻る傾向がある。MLBでは70%から72%、近年のNPBでは72%-75%程度。
  • FIP(Field independence Pitching):味方チームの守備力の影響を除外して、投手の実力を測るための指標で、与四死球、本塁打、奪三振、投球イニングを元に算出する擬似防御率。防御率よりもFIPが低ければ味方の守備によって自責点が増えていると考えられ、FIPよりも防御率が低ければ、味方の守備によって自責点が減っていると、一般的に考えられている。
  • FIP+:日本プロ野球全体の平均FIPよりもどれだけ傑出しているかを示す。平均を100で、100以上が平均以上となり、100より小さくなると平均以下となる。FIP+が120であれば平均よりも20%傑出していることになる。本来は球場ごとの特性に拠る補正をかけますが、ここでは除外しています。
  • ERA+:リーグ平均の防御率よりもどれだけ傑出しているかを示す。平均を100で、100以上が平均以上となり、100より小さくなると平均以下となる。ERA+が120であれば防御率がリーグ平均よりも20%傑出していることになる。本来は球場ごとの特性に拠る補正をかけますが、ここでは除外しています。

先発ローテ候補としては2014年のドラフト1位・2位指名の山崎康晃、石田健太、2013年ドラフト1位の柿田裕太などがいますが、ここでは対象外として、久保康友、山口俊、井納翔一、モスコーソ、三浦大輔、三嶋一輝、高橋尚成、東野峻の8名を分析しています。

先発ローテーション候補1:久保康友

久保康友の年度別成績は以下の表のとおりとなっています。

Yasutomo Kubo Stats 2014

DeNA移籍後1年目に178.1回を投げて防御率3.33/12勝6敗/WHIIP1.32と、打者有利の横浜スタジアムを本拠地としながら安定した成績を残した久保康友です。

2009年以降は防御率は2.33-3.75の範囲で推移し、FIPも2.97-3.99の範囲で推移するなど、安定しています。

横浜スタジアムを本拠地となるにあたって、被本塁打率が悪化する可能性があったのですが、0.40とキャリアで一番良い数字を残しています。

奪三振率こそ低いものの、長打を浴びないための策を張り巡らせながら、巧みに投球を組み立てていたことがうかがえます。

年齢が34歳となることが懸念材料ではありますが、FIPは2年連続で平均を上回る(FIP+ 2013年:123/2014年:113)など内容のある投球を2年連続で続けていますし、投球スタイルも年齢による衰えの影響を受けにくい技巧派のため、2015年も期待できそうです。

先発ローテーション候補2:山口 俊

山口俊の年度別成績は以下の表のとおりとなっています。

Shun Yamaguchi Stats 2014

クローザーとして失敗をし続けた結果、その座を降りることになり、先発に転向しましたが、防御率2.90/8勝5敗/WHIP1.35と、良い結果に結びつけた山口俊です。

クローザーを務めていた時よりは、奪三振率は落ちたのはやむをえないですが、被本塁打率(9イニングあたりの被本塁打数)は0.36と良い数字になっています。

またFIPは3.52で、本塁打の出やすい横浜スタジアムでリーグ平均を7%(FIP+ 107)上回るなど、実力と中身も伴っていました。

ただ、与四球率(9イニングあたりの与四球数)が悪く、防御率は2.90に対してFIPが0.62も悪いなど、守備に助けられた面があったことも否定できません。

そのため同様の防御率を残せるかは微妙ですが、FIPはリリーフとしてリーグ平均をコンスタントに上回るなど、力量的には二桁を勝てるだけのものを持っていると考えられます。

後は、先発としては初のフルシーズンとなりますので、その面でのアジャストさえクリアできれば、期待できそうです。

先発ローテーション候補3:井納翔一

井納翔一の年度別成績は以下の表のとおりとなっています。

Shoichi Ino Stats 2014

2014年に先発ローテの一角として25試合159.1イニングを投げて防御率4.01/11勝9敗/WHIP1.33の成績を残しました。

当然、2015年も活躍が期待されるのですが、2014年に投手の実力を示すFIPが4.22と、リーグ平均を11%下回る(FIP+ 89)結果だったことが不安視されます。

2013年シーズンより向上しているのは与四球率(9イニングあたりの与四球数)が3.53から2.77くらいで、奪三振率(9イニングあたりの奪三振数)は6.65から5.87、被本塁打率(9イニングあたりの被本塁打数)も0.71から1.02に悪化するなど、多くの数字が落ちています。

二桁勝利をあげたものの、FIPと防御率は4点台で、味方の援護に助けられた面は否めず、先発ローテ3番手として計算するには不安が残ります。

プロ3年目ではあるものの29歳という年齢もあり、どれだけ伸びしろがあるのかが気にかかるところで、できれば先発ローテの3番手というよりも、4番手もしくは5番手くらいで計算するほうがリスクは低いのではないかと考えられます。

先発ローテーション候補4:モスコーソ

モスコーソの年度別成績は以下の表のとおりとなっています。

Moscoso Stats 2014

日本プロ野球1年目のシーズンで24試合146.0回を投げて防御率3.39/9勝9敗/WHIP1.22という成績を残し、先発ローテの一角として、一定の責任を果たしたモスコーソです。

セ・リーグでは規定投球回数に15人しか到達していないのですが、そのうちの1人で、防御率は3.39でセ・リーグ10位にランクされましたので、2015年も期待したいところです。

ただ、不安要素があるのは投手の能力を示す指標であるFIPは4.00で、リーグ平均を6%下回っていたことです。

2年目にさらにアジャストして成績が向上する可能性もあるものの、相手打線をねじ伏せるほどの力量まではないと考えられる数字が残った1年目だった上に、2015年は各チームも対策を講じてきますので、その点では不安が残ります。

ただ、先発4番手もしくは5番手に据えることができるのであれば、その役割には十分な力量があると考えられますので、他の投手との兼ね合いも重要になりそうです。

先発ローテーション候補5:三浦大輔

三浦大輔の年度別成績は以下の表のとおりとなっています。

Daisuke Miura Stats 2014

三浦大輔は1992年から一軍での成績がありますが、より参考になるなるのは近年の数字となりますので、2000年以降の成績でまとめています。

チームが強くない時代も多くあったにも関わらず、通算166勝という数字は、やはり素晴らしい成績と言わざるをえません。

特にラビットボールと言われれるほど、ボールが飛んでいた時代に、狭い横浜スタジアムを本拠地としながら、防御率3点台をコンスタントに記録し、通算防御率3.54というのは、もっと評価されて良いのではないかと思います。

その三浦大輔ですが、さすがに34歳となった2008年以降は、飛ばない統一球が使われていた2011年と2012年を除くと被本塁打率も高くなっていますし、FIPは4点台が続くなど、年齢による衰えを隠すことができていません。

2014年の防御率3.04は素晴らしい数字なのですが、FIPは4.57と1.53も悪い数字で、かなり味方の守備と運に助けられていると考えられます。また運が味方していたことは、LOB%(残塁率)が82.7%と非常に高いことからもうかがえます。

そのため防御率3.04とはなっているものの、投球の内容自体が向上したわけではありませんので、2015年で41歳となる年齢を考慮すれば、期待するとしても先発6番手としてが精一杯と考えられます。

また、チームがクライマックスシリーズに行くためには、三浦大輔の状態が良い時に、ローテの谷間にスポットで先発するような編成にしておきたいところです。

先発ローテーション候補6:三嶋一輝

三嶋一輝の年度別成績は以下の表のとおりとなっています。

Kazuki Mishima Stats 2014

2013年のシーズン1年目に防御率3.94/6勝9敗という成績で、奪三振率は8.92と高く、2014年のさらなる飛躍が期待されていた三嶋一輝でした。

ただ、2013年のFIPが4.29と高く、リーグ平均を15%も下回っていました(FIP+ 85)。

LOB%(残塁率)は率が高いと失点が少なくなるのですが、運に大きく左右されるため投手がコントロールすることが難しいのですが、この数字が79.4%とリーグ平均より高く、運にも助けられていた面がありました。

さらに与四球率(9イニングあたりの与四球数)は4.86、被本塁打率(9イニングあたりの被本塁打数)が1.23といずれも高かったため、2014年に向けて不安がないわけではありませんでした。

中畑監督が将来のエース候補として期待をかけての開幕投手としての起用だったわけですが、結果論とはなりますが、2013年の成績を見る限り、時期尚早だった感が否めません。

高い奪三振率を記録し、ファーストボールやスライダーのキレなどポテンシャルを感じさせるものがあったのは事実ですが、数字を見る限り、まだこれからの選手と言わざるを得ませんので、もうちょっと楽な立場で起用すれば、ここまで苦しまなかったのではないかという印象です。

先発5番手もしくは6番手の比較的負担の少ない位置づけでの起用であれば、2014年のような成績にはならないのではないかと予想されます。

先発ローテーション候補7:高橋尚成

高橋尚成の年度別成績は以下の表のとおりとなっています。

Hisanori Takahashi Stats 2014

2014年の成績は防御率5.29/FIP6.59と目もあてられない数字で、被本塁打率(9イニングあたりの被本塁打数)も2.50と非常に高く、巨人時代とはかけ離れた成績と内容でした。

多くの期待をかけるのは危険で、当たればラッキーくらいの感覚でいたほうが、無難と言わざるをえない高橋尚成です。

35歳から38歳の4年間にわたってリリーフとしてプレーしていましたので、先発というよりも左のリリーフとして試してみることも視野に入れた方が良いかもしれません。

先発ローテーション候補8:東野峻

東野峻の年度別成績は以下の表のとおりとなっています。

Shun Tono Stats 2014

2014年は二軍で防御率8.20と苦しみ、自由契約となった後に、DeNAに拾われた東野峻です。

巨人時代には2012年こそ悪かったものの、防御率3点台をコンスタントに記録し、FIPも2010年には3.46、2011年は2.97で、それぞれリーグ平均を16%と1%上回るなど、実力を持っている投手でした。

3年連続で成績が良くないため、大きな期待をかけるのは危険ではありますが、元々の実力は二桁を勝てるだけのものがあり、まだ28歳という年齢のため、復活の期待ができる1人です。

総括・まとめ

2014年開幕当初に比較すれば、先発投手陣の選択肢も増え、より計算できる状態とはなりました。

ただ、先発ローテの4番手から6番手を任せるには良いかなという投手の数が増えたのですが、その一方で、巨人、阪神、広島の上位3チームと比較した時には、1番手から3番手では差があります。

久保康友がエース格となりますが、本来は2番手もしくは3番手タイプで、絶対的な強さまではありませんし、山口俊はエースに成長していく可能性はあるものの、制球面で課題は抱えていますので、2番手としては弱いと言わざるを得ません。

そのため東野峻が復活するか、2014年ドラフト1位・2位指名の山崎康晃、石田健太、2013年ドラフト1位の柿田裕太らが新人王級の活躍をしない限り、先発ローテは上位チームより見劣りするという印象です。

本来は横浜スタジアムという本拠地の特性上、投手には試合を壊さない程度の投球をしてもらって、打線が点をとることで勝っていくことが重要になります。その観点からすると投手陣は一定の期待ができる状態という印象のため、打線が得点力を取り戻せば、現状の先発ローテでも十分にクライマックスシリーズ争いに絡む期待ができます。

しかし、それ以上を望むのであれば、先にあげた4人のうちの1人が先発3番手に入ってくるくらいの活躍が必要となりそうです。