日本プロ野球で2015年に活躍が期待できる投手は誰?FIPとLOB%を使って予想

投手の能力を測る指標として使われるものとして日本で一般的なものは防御率、奪三振、勝利数、勝率などが挙げられます。

しかし、これらの指標は運などに左右されやすいもので、投手の能力を正確に把握できない面があります。

防御率が良くても、ランナーを出すことが多いため全体的なリズムが悪かったり、勝利数は打線の援護との兼ね合いで好投していても、勝ち星を消されリ、負け投手になってしまうことも少なくありません。

そのためトレードやFAなどでの選手移動が盛んなアメリカでは、選手の能力をより正確に把握するために、様々なスタッツが使われています。

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防御率や勝敗だけでは投手の実力と能力は測れない

その代表的なものの1つがFIP(Field Independence Pitching)というものです。

FIPでは、ファアグラウンドに飛んだ打球が、安打になるかどうかは、味方の守備や運にも左右されるため、それを排除します。

投手がよりコントロールできる奪三振、敬遠を除く与四死球、被本塁打、投球イニングを元に擬似的な防御率を算出し、その投手の持っている実力を測るための指標がFIPです。

一般的にFIPが防御率よりも低い投手は、味方の守備や不運に足を引っ張られただけで防御率以上の能力があると考えられ、逆にFIPが防御率よりも高い投手は、味方の守備や幸運に助けられたため能力以上の防御率になっていると考えられます。

メジャーでは、多くの球団が興味を示さないようなベテラン投手などを格安で獲得し、その投手を再生させることで好成績に結びつけるチームがあります。それらのチームは、このFIPという指標を、選手獲得の際に重視されていると報じられていて、アメリカの専門家もFIPを用いて選手を分析することが多くあります。

そこで2014年の日本プロ野球でのFIPの上位20名をリストアップして、その中でも2015年にさらなる活躍が期待できる投手について、FIPとLOB%(残塁率)などの指標を交えながら、予想していきたいと思います。

2014年の日本プロ野球でのFIPの上位20名は?

2014年シーズンのセパ両リーグでFIPのトップ20に入っている投手は以下の表のとおりとなっています。なお、ここでは規定投球回数ではなく、90イニング以上を基準にして抽出しています。

npb2015_Pitchers_Prediction

FIPのトップは、防御率でも両リーグトップの金子千尋で、防御率1.98/FIP2.12となっています。

防御率はパ・リーグの平均な投手よりも83%(ERA+:183)、FIPは両リーグ平均よりも77%(FIP+:177)も傑出しています。(注:ここで球場ごとの特性を考慮したパークファクターは含めていません。)

奪三振率も9.38で両リーグ5位、与四球率(9イニングあたりの与四球)は1.98で両リーグ4位と、三振を奪う能力が高い上に、与四球が少ないためK/BB(奪三振÷与四球)は4.74と非常に高い数字になっています。

2014年の金子千尋は、”スーパーエース”と呼べる存在で、今の日本球界では別格と言える数字を残しています。

肘の状態が懸念されますが、実力が大きく衰える年齢でもないため、肘が問題なければ、2015年も同様の活躍が期待できそうです。

活躍が期待される投手1:藤浪晋太郎(阪神)

則本昂大と大谷翔平が能力的に高いことは防御率などにも現れているのですが、FIPで見た時には藤浪晋太郎(防御率3.53/FIP2.77)が、前田健太、メッセンジャー、菅野智之らを上回って4番手となっています。

藤浪晋太郎は大谷翔平などの陰に隠れがちでしたが、奪三振率9.50は、セ・リーグではメッセンジャーに続く高い数字で、1年目の8.24から上昇していますし、被本塁打率も0.65から0.33に向上するなど、2年目のジンクスをものともしない進化を遂げていたことが伺えます。

LOB%(残塁率)は投手のタイプに関わらず、長いスパンで見れば一定の範囲内になるとされていて、それを大きく外れた場合には翌年以降にその範囲内に戻る傾向があります。

日本プロ野球ではLOB%(残塁率)は「規格外の飛ばない統一球」が使われていた2011年と2012年を除くとだいたい73%から74%を推移しています。

2014年の藤浪晋太郎のLOB%(残塁率)は67.4%と低く、ツキがなかったと考えられる上に、FIPが防御率よりも0.76も優れているため、投手としての能力・実力そのものは防御率3.53以上だったと考えられます。

LOB%(残塁率)は低いと残塁が少なくなりますので失点が多くなり、高いほど残塁が多くなるため失点が少なくなります。

藤浪晋太郎は2015年以降にLOB%がリーグ平均値に戻ることで、防御率などの表の成績も大幅に改善される可能性を秘めた投手と考えられます。

また、FIPという「打者を封じ込める投手としての能力」で見ると、藤浪晋太郎は2014年の日本プロ野球でトップ5クラスだったと考えられるため、2015年でさらなるブレイクが期待でき、メジャー行きが近い前田健太に代わってセ・リーグのエースと呼ばれる存在になる可能性がありそうです。

活躍が期待される投手2:松井裕樹(楽天)

与四球が9イニングあたり5.20個という制球力の課題があるものの、2015年に飛躍する可能性を秘めていると考えられるのが松井裕樹です。

116.0イニングと規定投球回数に到達していないものの、奪三振は126個とイニング数を上回り、奪三振率は9.78と高くなっています。

松井裕樹はリリーフとしても登板がありましたので多少割り引く必要はあるものの、奪三振率9.78は90イニング以上を投げた投手の中で2番目の高さです。

勝敗は4勝8敗、防御率は3.80と今一歩でしたが、FIPは3.01と低く、金子千尋、大谷翔平、則本昂大、藤浪晋太郎、前田健太、メッセンジャーに次ぐ両リーグ7番目の数字です。

被本塁打率は9イニングあたり0.16本と極めて低く、金子千尋と藤浪晋太郎の0.33本を上回る圧倒的な数字です。また被安打率も9イニングあたり7.06本と低く、岸孝之の7.03本に続く2番目の低さです。

これからのことから、制球力に課題があるものの、高卒1年目でありながら、三振を奪う能力、相手打者に安打・本塁打を打たせないという能力は非常に高く、相手を封じ込める投手としての能力・ポテンシャルは非常に高いものがあります。

プロ1年目にして日本プロ野球を代表する左碗エースとなるポテンシャルを持っていると考えられる数字を残しているため、制球力がもう少し落ち着けば、大きな活躍が期待できる松井裕樹です。

番外編:2015年に成績を落とす懸念を秘める投手は?

ここまで活躍が期待できる選手を上げてきましたが、逆に2015年に成績を落とす可能性があると考えられる投手をあげてみたいと思います。

あくまでも前年と比較して数字が落ちる可能性があるというだけで、活躍しないということではないことを念頭において読んでいだけると幸いです。

例を挙げると前年の防御率2.00の選手が2.80に落ちた場合には、成績は下がったことになりますが、投手としては素晴らしい数字で、活躍していると考えられるためです。

それを踏まえた上で、成績が2014年より落ちる可能性があると考えられる投手は以下のとおりとなっています。

  • 菅野智之:防御率 2.33/FIP 3.12/LOB 78.9%
  • 小山雄輝:防御率 2.41/FIP 3.40/LOB 83.8%
  • 岸孝之:防御率 2.51/FIP 3.45/LOB 81.9%
  • 岩田稔:防御率 2.54/FIP 3.48/LOB 78.8%

防御率のタイトルを獲得し、セ・リーグMVPとなった菅野智之ですが、防御率は2.33であるのに対してFIPは3.12と-0.79の差があり、残塁率は78.9%とリーグ平均よりやや高めになっています。

残塁率に関しては、粘り強い投球ができたとも考えられる上に、金子千尋のようにキャリア全体で残塁率が高い投手というのも存在するため、菅野智之もそれに該当する可能性はあります。

ただ中5日登板やシーズン終盤の故障が響いたのか、2013年と比較すると2014年は奪三振率は7.93から6.92に下がり、被本塁打率も0.51から0.68に増え、与四球率も1.89から2.04に増えているのが気になるところです。

2年目でマークされていたことも影響があるとは考えられますが、同じく2年目の大谷翔平、藤浪晋太郎、則本昂大、小川泰弘などはこれらの数字で向上しています。

菅野智之は2014年のFIPは両リーグ10位と上位のため、持っている実力に疑いの余地はなく、プロ3年目は巨人のエースとしてシーズンを迎えることになります。

ですが、そこからさらに進んで、ダルビッシュ、田中将大、金子千尋、前田健太のようなクラスのエースになれるかどうかは、「打者を封じ込める能力」を示す数字がどれだけ向上するかにかかっているため、そのあたりでの成長が必要となりそうです。

小山雄輝は防御率が2.41であるのに対してFIPは3.40と、その差は-0.99となっている上に、LOB%(残塁率)が83.3%と高い数字になっているため、2015年に、よほど成長しない限り、成績が落ちる可能性が高そうです。

ただ、防御率2.41から落ちるというだけであって、先発ローテを守れるだけの成績を残すポテンシャルを持っていることはFIP3.40が両リーグ18番目になっていることからも、うかがえます。

FIPのランキングにおいて、巨人の先発投手では菅野が10位、内海が17位、小山が18位、杉内が23位、大竹が31位となっています。

全12球団で、各チームの先発投手6人でとなると先発する投手は、最低でも70名前後になるわけですが、巨人は平均以上の5人でローテを編成できるため、圧倒的とまでは言えないまでも、安定感は随一と言えそうです。

岸孝之は防御率2.51の一方で、FIP3.45と防御率が0.94下回り、岩田稔も防御率2.54ですが、FIPは3.48と0.94下回っています。

岸孝之は2014年のLOB%(残塁率)が81.9%とNPB平均の73.0%より高く、さらにキャリア通算の76.5%よりも高いため、2014年よりは成績がやや低下する可能性がありそうです。

岩田稔は防御率2.54でセ・リーグ2位となりましたが、FIPは3.48で両リーグ20位で、LOB%の78.8%もリーグ平均と自身のキャリア平均を上回るため、2014年同様の成績を残せるかは疑問です。

ただ、岩田稔は健康であるシーズンは平均以上のFIPを残していることが多く、投手としての能力そのものは高いと考えられるため、2015年もある程度の数字は残せるのではないかと予想されます。

特に阪神では能見、メッセンジャー、藤浪の後の4番手となりますので、その役割には十二分な能力を持っていると言えます。

FIPとLOB%は成績が「偶然の産物」か「実力」か評価する上で役立つ指標

LOB%(残塁率)は投手がコントロールするのが非常に難しい数字で、年ごとに変動があるものの、長期間の平均をとると多くの投手が一定の範囲におさまる性質があります。

つまりどの投手であっても、幸運な年があれば、不運な年もあるようになっているし、不運な年があれば、幸運な年もあり、おおよそ同じ割合に近づくということです。

1年だけ、2年だけ防御率、勝利数、勝率などの成績が良く、注目を浴びるものの、その後鳴かず飛ばずになるケースがあります。

その場合に多いのが、FIPが防御率より著しく悪く、LOB%(残塁率)が平均よりも著しく高い状態での好成績です。つまり実力というよりも、打線の援護や味方守備による助けなどのめぐり合わせ、運の良さによって、良い結果が出たに過ぎないからです。

逆に、防御率、勝敗、勝率などの好成績がFIPで裏付けされ、LOB%が平均値に近ければ、投手の能力で好成績を出せたと考えられるため、故障や年齢による衰えがなければ、翌年以降も安定した成績を期待できます。

若い投手が好成績を残しても、そこに「打者を封じ込める能力の向上」という中身が伴っていなければ、まぐれあたりだったと考えられ、数年するうちに、平均以下の投手の成績に落ち着いていきます。

このFIPやLOB%を使う予想では、急激に成長する選手、年齢による衰え、故障による能力低下などの予測まではできません。

ただ、前年の成績が「偶然の産物なのか?」それとも「実力によるものなのか?」を判断・評価する上では、役に立つものではあります。

上の表でリストアップした選手はNPBで90イニング以上を投げた投手の中で、FIPがトップ20に入っている「打者を封じ込める能力が高い」投手ばかりのため、基本的には2015年も活躍が期待できます。

その中でも、特に藤浪晋太郎と松井裕樹を2015年に期待できる投手としてピックアップしてみました。

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