2015年のヤンキースのポストシーズン進出を支えたのがアンドリュー・ミラー、デリン・ベタンセス、ジャスティン・ウィルソンのリリーフトリオでした。
しかし、そのうちジャスティン・ウィルソンをトレードに出したことで、不安を抱える状態となっていたヤンキースが思い切った動きに出ましあ。
DV問題でドジャースとのトレード交渉が暗礁に乗り上げていたアロルディス・チャップマンを、ヤンキースが4人のマイナーリーガーを交換要員として獲得しました。
DV問題の処分は未決定もヤンキースが勝負に
ヤンキースはMLB.comのプロスペクトランキングでチーム内のNO.6であるエリック・ジャジーロー(3B)、NO.10であるルーキー・デービス(P)、
ランク外のトニー・レンダ(2B)とカレブ・コサムの4人をトレードで放出しています。
そのためチーム内の有望株であるアーロン・ジャッジ、ゲリー・サンチェス、ホルヘ・マテオ、グレッグ・バード、ロブ・レフスナイダーに手をつけることなく、チャップマンを獲得できたことになります。
2015年の年俸がすでに805万ドルだったのですが、65試合66.1回で防御率1.63/33SV/奪三振116/WHIP1.15という素晴らしい成績を残したため、年俸調停3年目となる2016年は高騰が確実で1300万ドル前後に到達すると予想されています。
順調にいけばアロルディス・チャップマンはで、シーズン終了後にFAとなるのですが、DV問題により出場停止処分を課された場合には、2017年シーズン終了後にずれこむ可能性があります。
もし45日より多い出場停止処分となった場合には、FAとなるためメジャーでのサービスタイム(Service Time)を満たすことができないとされています。
MLBは新しくDV問題に対する制裁のルールを制定していて、コミッショナーであるロブ・マンフレッドによって出場停止処分が下されるのは確実で、それが50試合に及ぶのではないかと考えられています。
そのため50試合の出場停止となった場合には、ヤンキースは2017年もアロルディス・チャップマンをコントロールできることになります。
このアロルディス・チャップマンの獲得により、アンドリュー・ミラーとデリン・ベタンセスという圧倒的なリリーフ投手3人を揃えることになったヤンキースです。
ロイヤルズが強力なリリーフ陣で中位クラスの先発ローテを支えてワールドシリーズ制覇をしたそのスタイルを強く意識した補強であることが伺えます。
メジャー屈指のクローザー・セットアップマンのトリオに
アロルディス・チャップマン、アンドリュー・ミラー、デリン・ベタンセスの3人の2015年の成績は以下の表のとおりとなっています。
アロルディス・チャップマンがクローザーとなり、右のセットアップマンがデリン・ベタンセス、左のセットアップマンがアンドリュー・ミラーという、とんでもないブルペンのトリオが形成されることになります。
2015年の成績はアロルディス・チャップマンが66.1回で防御率1.63/33SV/奪三振116/WHIP1.15、アンドリュー・ミラーが61.2回で防御率2.04/36SV/奪三振100/WHIP0.86、デリン・ベタンセスが84.0回で防御率1.50/9SV/奪三振131/WHIP1.01となっています。
この3人が7-8-9回を担うことになるわけですが、その3人の成績を合計すると212.0回で防御率1.70/奪三振347/WHIP1.01となり、相手打線が点を奪うことがかなり難しくなることが予想される数字となっています。
特に奪三振率(9イニングあたりの奪三振数)はかなり高く、チャップマンが15.74、ミラーが14.59、一番低いベタンセスで14.04となりますので、この3人の合計した奪三振率は14.73と驚異的な数字となります。
ちなみに2015年のMLBで40イニング以上を投げた投手の中で奪三振率のNO.1がチャップマン、NO.2がミラー、NO.3がベタンセスとなっていますので、名実ともにMLB最強のブルペントリオとなりそうです。
与四球率(9イニングあたりの与四球数)は3.9とやや高めになるのはネックではありますが、被安打率は5.1とかなり低く連打されることが少ない上に、先に挙げたように奪三振率が高いため、大きなキズにはならないと予想されます。
この3人が健康で揃っている状態でヤンキースがリードして6回を終えることさえできれば、相手チームはお手上げとならざるを得ません。
ヤンキースは先発ローテには健康面やパフォーマンスに不安が残りますが、ブルペンは盤石といえる態勢となりました。
ただ、問題はチャプマンへの処分の期間や内容です。
出場停止が長くなればヤンキースは2017年もチャップマンをコントロールできるメリットがありますが、その分2016年の戦いに響くことにはなりますので、処分の内容が注目されます。