ヤンキー・スタジアムがヤンキース打線を苦しめている?MLBの守備シフト全盛がもたらした影響

New York Yankees Top Catch

ヤンキースタジアムと言えば、外野の両翼がメジャーリーグの平均よりも狭く打者有利の球場というイメージが定着しています。

さらに左翼が318ft(96.9m)と狭いのですが、右翼はさらに314ft(約95.7m)狭く、引っ張る打球の多い左打者が有利な球場ともされています。

そのためヤンキースは左打者を重視したロースター編成になる傾向があり、現在の打線もその名残があります。

ですが、そのヤンキースタジアムの特性が現在の守備シフト全盛のMLBにおいてはヤンキース打線を苦しめているということを、ニューヨーク・ポストのジョエル・シャーマン記者が伝えています。

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狭い外野がヤンキース打線を苦しめることに

ジョエル・シャーマン記者は”Exploring how MLB has turned Yankee Stadium against Yankees”というタイトルの記事冒頭で以下のように述べます。

What has given the Yankees such a home advantage for nine decades — the short right-field porch — is now a detriment.
In the age of ever-expanding shifts, the Yankees’ lack of offensive diversification has made them arguably the most easily defended team in the majors.

「90年にわたりヤンキースにホームアドバンテージをもたらしていた距離が短い左翼スタンドが損害をもたらしている。極端な守備シフトの時代において、攻撃面での柔軟性を欠くヤンキースは、おそらく最も守りやすいチームになっている。」

ヤンキースはヤンキースタジアムの特性に合わせてロースター編成を行い、優位に立つことができていました。

その方針を長らく継続してきたわけですが、守備シフト全盛時代となり、それが仇になり始めているということです。

その事実についてブライアン・キャッシュマンGMも認めているとジョエル・シャーマン記者は伝えています。

“It definitely hurts us,” general manager Brian Cashman admitted.

守備シフトは今やスタンダートとなっているのですが、ではなぜヤンキースタジアムを本拠地とする現在のヤンキースにとって不利な材料となっているのか?というところが気になります。

極端な守備シフトがしかれる前には、ヤンキースは左打ちのプルヒッターを並べることで、本塁打が出やすくなるホームアドバンテージを得ることができ、またしっかりとコンタクトすればヒットや二塁打なども出ていました。

ところが極端な守備シフトをしかれた場合には、二塁から右サイドに内野手が3人、外野手2人並ぶことになり、ただでさえ狭い右翼のゾーンに穴が少なくなり、打球がフェンスを越えない場合には、野手が捕球する確率が非常に高くなります。

もちろん外野が広いカウフマン・スタジアム(ロイヤルズ)、ターナー・フィールドでも極端な守備シフトが効果的ではあるため、採用されているのですが、狭いヤンキースタジアムほどの効果はありません。

つまり、極端は守備シフトがしかれた外野が狭いヤンキースタジアムでは、ヒットゾーンが少なくなり野手の間を抜く打球を打つのが難しくなっているということです。

アジャストできないプルヒッターが中軸に座る打線

さらにヤンキースの打線が左打者が中軸である上に、守備シフトをしかれやすいプルヒッターが揃っていることも問題を悪化させていると、ジョエル・シャーマンは指摘しています。

Carlos Beltran, Chase Headley, Brian McCann and Mark Teixeira are among the 30 lefty hitters shifted against most often (all shift stats provided by Baseball Info Solutions). No other team had four, and only the Mariners (Adam Lind, Kyle Seager and Seth Smith) had three — and that did not include Robinson Cano, whose ability to hit line-to-line would have kept him effective at Yankee Stadium even in the shift environment.

『カルロス・ベルトラン、チェイス・ヘッドリー、ブライアン・マッキャン、マーク・テシェイラは左打者で守備シフトをしかれる回数の多さにおいて、MLBのトップ30に入っていて、1チームの4人がトップ30に入っているのはヤンキースだけて、他にはマリナーズが3人(アダム・リンド、カイル・シーガー、セス・スミス)いるだけだ。シフトがしかれたヤンキースタジアムでも効果的であることができる広角に打つ能力があるロビンソン・カノはトップ30に入っていない。』

ブライアン・マッキャンとマーク・テシェイラは左打者でプルヒッタータイプというかわかりやすい選手ですが、カルロス・ベルトランとチェイス・ヘッドリーはスイッチヒッターです。

ですが、左打席での打球は引っ張りの傾向が強いため、極端な守備シフトが採用されることが多くなっているようです。

また右打ちのアレックス・ロドリゲスと、右打席のマーク・テシェイラはメジャーの右打者の中で極端なシフトをしかれる回数が多いプレイヤーであるため、2010年以降にヤンキース打線が守備シフトを敷かれた回数は3677回でメジャーで一番多い数字となっているとのことです。

そしてヤンキース打線が守備シフトを敷かれた際のゴロと短いラインドライブによる打率は.193とフィリーズに次ぐ2番目の低い数字となっているとジョエル・シャーマン氏は指摘しています。

このような事実はキャッシュマンGMも把握し、ヤンキース分析部門でもすでに研究されていて、選手たちに極端な守備シフトをしかれた際にバントをしたり、逆方向に打つようなアドバイスもされているようです。

ですが、それに応じてアジャストする選手もいる一方で、そうできない選手もいて、それらのアドバイスが完全には活かされないてないことをキャッシュマンGMは認めていて、「打率が.265から.235になっているが、それが.100になるのは見たくない」と話すなど頭を痛めているようです。

そしてジョエル・シャーマン氏は、もはや中軸の左打者たちが打てないのはツキがない(tough luck)のではなくて、そのアプローチを変えることができずに、守備シフトが敷かれたところに打っているからにすぎないと、痛烈に批判します。

チェイス・ヘッドリーがそのやり玉にあがり、「65打席でチェイス・ヘッドリーは長打が一度もないが、それは野手が守っているところに打ち続けているからだ」と批判しています。

そして記事の最後は、「ルースの建てた家」は長らくヤンキースのアドバンテージだったが、もうそうではないと結んでいます。(The house built for Ruth — for so long a Yankees advantage — isn’t any longer.)

このような守備シフトによる影響もあるためか、新しいヤンキースタジアムが開場した2009年にはチーム打率が.283を記録したヤンキースですが、今年は.237となっています。

このような問題を、シーズンオフの時点で把握していたヤンキースは問題を軽減するために、スイッチヒッターのアーロン・ヒックス、右打ちのスターリン・カストロを獲得したようで、この問題はフロント陣がロースター編成をする上でのファクターになっていることをブライアン・キャッシュマンGMは認めています。

それでもジャコビー・エルズベリー、ブレット・ガードナー、ディディ・グレゴリウスも左打ちのため、やはり左打者に偏っているヤンキース打線です。

本塁打に関しては守備シフトの影響を受けませんが、年間に出る本塁打の数を考えれば、安打、そして二塁打、三塁打といった長打が消えることのほうが影響が大きいと考えられます。

本拠地というアドバンテージをもたらすべき場所がヤンキース打線が得点力不足に陥る原因となるという意外な問題となり、ロースターを編成する上での悩みとなっているようです。

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