2015年シーズンのMLBは多くのチームがポストシーズンの可能性を残す状態となっているため、売り手チームが少なくなり、売り手有利の市場になっているとされています。
多くのチームがトレード期限前に補強に動くことで、突破口としていきたいわけですが、市場に多くの選手が出ているわけではありません。
そのような状況下で、アメリカ大手メディアのCBSスポーツの名物記者であるジョン・ヘイマン記者が”Inside Baseball: Wish lists for 23 would-be buyers; more MLB notesという記事のタイトルで、”買い手”になるであろう23のチームをピックアップし、その補強ポイントと、ターゲットになり得るであろう選手についてまとめています。
今回はその記事のに内容について紹介したいと思います。
2015年に買い手になりそうな23チームの現状分析
ジョン・ヘイマンがあげる買い手になる可能性がある23のチームと、その補強ポイントと獲得候補は以下のとおりとなっています。
- ヒューストン・アストロズ
打線にはパワーがあり、ブルペンは補強で充実し、チームの雰囲気も良くなっているが、先発投手を必要としていてる。チームが若いためベテラン投手を必要としていて、コール・ハメルズが良いが、拒否権を行使されることが濃厚でトレード成立は難しい。獲得の候補となりそうな投手は以下の選手に。→ 先発投手:ジョニー・クエト(CIN)、ジェフ・サマージャ(CHW)、スコット・カズミアー(OAK)、カイル・ローシュ(MIL)、アーロン・ハラング(PHI)
- ロサンゼルス・ドジャース
戦力は質と量共に充実し、先発ローテは、カーショー、グリンキーのNO.1-2は素晴らしいが柳賢振とブランドン・マッカーシーが今季絶望となり層が薄い。ただ、トレードでジョク・ペダーソンの時と同様にトッププロスペクトのフリオ・ウリアスとコーリー・シーガーを出すつもりはない。補強ポイントは先発ローテとブルペン。→ 先発投手:コール・ハメルズ(PHI)、ジョニー・クエト(CIN)、ジェフ・サマージャ(CHW)、スコット・カズミアー(OAK)、カイル・ローシュ(MIL)、アーロン・ハラング(PHI)、ダン・ハレン(MIA)
→ リリーフ投手:ジェイソン・グリーリ(ATL)、ジョナサン・パペルボン(PHI)、タイラー・クリッパード(OAK)、ブラッド・ジーグラー(ARI)、ジョン・アックスフォード(COL)、ホアキン・ベノワ(SD) - カンザスシティ・ロイヤルズ
素晴らしいブルペンと守備陣がいるが、ジェームズ・シールズをFAで失い、故障でジェイソン・バルガスを失っている先発投手が補強ポイント。アレックス・ゴードンが8週間離脱するので、外野が補強ポイントとなるが、ジャロッド・ダイソンも悪くない選択肢。→ 先発投手:ジョニー・クエト(CIN)、ジェフ・サマージャ(CHW)、マイク・リーク(CIN)、スコット・カズミアー(OAK)、アーロン・ハラング(PHI)
→ 外野手:ジェラルド・パーラ(MIL)、ベン・リビア(PHI) - シカゴ・カブス
先発ローテは多くの人が考えるよりも良く、ラファエル・ソリアーノが加わるであろうブルペンも改善の兆しを見せている。ハビアー・バエズとトミー・ラ・ステラの故障で内野に空きがある。トレードの交換要員となるプロスペクトは豊富。補強ポイントは先発投手と内野の控え。→ 先発投手:コール・ハメルズ(PHI)、ジョニー・クエト(CIN)、ジェフ・サマージャ(CHW)、マイク・リーク(CIN)、スコット・カズミアー(OAK)、アーロン・ハラング(PHI)、ダン・ハレン(MIA)
→ リリーフ投手:ジェイソン・グリーリ(ATL)、ジョナサン・パペルボン(PHI)、タイラー・クリッパード(OAK)、ブラッド・ジーグラー(ARI)、ジョン・アックスフォード(COL)、ホアキン・ベノワ(SD) - トロント・ブルージェイズ
メジャーでベストの打線を持つ一方で、投手陣は先発とリリーフ両方で補強が必要に。コール・ハメルズはトロントには行きたくないというサインを出している。補強ポイントは投手陣全体。→ 先発投手:ジョニー・クエト(CIN)、ジェフ・サマージャ(CHW)、マイク・リーク(CIN)、スコット・カズミアー(OAK)、アーロン・ハラング(PHI)
→ リリーフ投手:ジェイソン・グリーリ(ATL)、ジョナサン・パペルボン(PHI)、タイラー・クリッパード(OAK)、ブラッド・ジーグラー(ARI)、ジョン・アックスフォード(COL)、ホアキン・ベノワ(SD) - ロサンゼルス・エンゼルス
能力のある選手が揃っているが攻撃面でトラウトとプホルズに大きく依存している。ハミルトンを放出した以降外野手、左打ちの打者の補強を模索し続けている。→ 外野手:ジェラルド・パーラ(MIL)、ベン・リビア(PHI)、アダム・リンド(MIL)、カルロス・ゴンザレス(COL)
- ニューヨーク・メッツ
先発投手は若く才能にあふれた選手が揃い、リリーフもジェウリス・ファミリアに加えて、ヘンリー・メヒア、ジェリー・ブレンビスらが復帰してくる。打線の得点力アップが必要に。インパクトのある強打者の補強が必要に。→ 強打者:ベン・ゾブリスト(OAK)、ジャスティン・アップトン(SD)、マーティン・プラド(MIA)、マーロン・バード(MIL)、フアン・ウリーベ(ATL)、ジーン・セグラ(MIL)、アラミス・ラミレス(MIL)
- サンフランシスコ・ジャイアンツ
年齢高いベテランが多い先発投手陣とパワー不足の打線の補強がポイントになるが、先発ローテはオプションが増えつつあるので、攻撃面が最重要課題に。→ 外野手:ジャスティン・アップトン(SD)、ジェラルド・パーラ(MIL)、ベン・リビア(PHI)、マーロン・バード(MIL)、ベン・ゾブリスト(OAK)
- ボルティモア・オリオールズ
タフなア・リーグ西地区で最もバランスがとれたチームで、出遅れれていた選手が復帰し揃ったものの、完全には機能していない。エースとして期待されたクリス・ティルマンが苦しみ、バド・ノリスも素晴らしいとは言えない。しかし、予算が大きいチームではないので、ダン・デュケットGMとバック・ショーウォルター監督の名コンビは何かしらの方法を見つけ出す必要がある。補強ポイントは先発投手。
→ 先発投手:ジェフ・サマージャ(CHW)、ジョニー・クエト(CIN)、マイク・リーク(CIN)、スコット・カズミアー(OAK)
- ニューヨーク・ヤンキース
A・ロッドとティシェイラが今の状態をキープできるならア・リーグ東地区の最有力チームだ。それでも彼らは勝つために補強を模索している。ただ、ルイス・セベリーノとアーロン・ジャッジのプロスペクト2人は出すつもりがないので、ハメルズ獲得の可能性はないかもしれない。補強ポイントは先発投手と二塁手。→ 先発投手:ジョニー・クエト(CIN)、ジェフ・サマージャ(CHW)、スコット・カズミアー(OAK)、マイク・リーク(CIN)
→ 内野手:ベン・ゾブリスト(OAK)、マーティン・プラド(MIA)、アーロン・ヒル(ARI) - カージナルス
多くの故障者を出しながらも、3Aから13名を昇格させてやりくりしてきたが、それがうまく機能している。故障者のリハビリなどの状態を見ながらの補強になるのではないか。補強ポイントは左打者、一塁手、先発ローテのバックエンド。→ 打者:アダム・リンド(MIL)、アイク・デービス(OAK)、アダム・ラローシュ(CHW)、ジェフ・ベイカー(MIA)
→ 先発投手:ジョニー・クエト(CIN)、マイク・リーク(CIN)、カイル・ローシュ(MIL) - ワシントン・ナショナルズ
MLBでベストのチームと考えられていたが、故障者が出たことで浮き沈みがあるシーズン前半に。先発ローテもベストと考えられていたが、ストラスバークが体調面で不安がある。ただ、故障したスタープレイヤーたちも復帰してくるため、補強の必要があるとすればリリーフ陣で、後はさらなる故障に備えての選手層を厚くする補強。→ リリーフ投手:タイラー・クリッパード(OAK)、ジェイソン・グリーリ(ATL)、ホアキン・ベノワ(SD)
→ 外野手:ベン・ゾブリスト(OAK) - デトロイト・タイガース
バーランダー、V.マルティネス、ミゲル・カブレラの故障などもあり、圧倒的な力を発揮することができていない。売り手にまわるのではとの憶測もあるが、そのような兆候は今のところない。先発投手が最優先の補強ポイントとなるが、カブレラが離脱し、カステラノスの不調が続くようであれば、コーナーインフィールダー(1B/3B)を探す可能性が。→ 先発投手:ジェフ・サマージャ(CHW)、ジョニー・クエト(CIN)、スコット・カズミアー(OAK)、マイク・リーク(CIN)、アーロン・ハラング(PHI)
→ 内野手:アラミス・ラミレス(MIL)、ベン・ゾブリスト(OAK) - ピッツバーグ・パイレーツ
パイレーツは補強があまり必要でない、バランスがとれているチームの1つだが、先発投手の補強に動いている。→ 先発投手:ジェフ・サマージャ(CHW)、ジョニー・クエト(CIN)、スコット・カズミアー(OAK)、マイク・リーク(CIN)、アーロン・ハラング(PHI)
- テキサス・レンジャーズ
最近になってやや失速気味も、先発ローテにはマット・ハリソン、マーティン・ペレス、デレク・ホランドがもう間もなく復帰してくる。攻撃力もあるため、まだ可能性は残っている。もし失速が続くようであれば売り手になり、ヨバニ・ガヤルドや左打ちの打者などを放出するかもしれない。補強に動くとするならブルペン、右打者、もしくは先発投手 - ミネソタ・ツインズ
ポール・モリターを新監督に迎え、驚くべきパフォーマンスを見せている。未だに優勝を争っていることが信じがたいが、ツインズの何人かの関係者も驚いている。クローザーのグレン・パーキンスの他にブルペン補強が必要。→ リリーフ投手:フランシスコ・ロドリゲス(MIL)、ジョン・アックスフォード(COL)、ジェイソン・グリーリ(ATL)、ブラッド・ジーグラー(ARI)
- タンパベイ・レイズ
不確かな打線により難しい状況になりつつあるため打線の補強が必要に。ただ、予算が大きいチームではないため、トレードでは相手チームに年俸負担をしてもらうことが必要になるかもしれない。補強ポイントは指名打者、打てる打者だが、なかなかフィットする選手がいないのがネック。→ 強打者:マーロン・バード(MIL)、ライアン・ハワード(PHI)、マイク・ナポリ(BOS)
- クリーブランド・インディアンス
スポーツ・イラストレイテッドが2015年のベストチームに選んだが、前半はベストではなかった。打てるコーナーインフィールダー(1B/3B)とブルペンの補強が必要。→ 内野手:アラミス・ラミレス(MIL)、アダム・ラローシュ(CHW)、ベン・ゾブリスト(OAK)、マーティン・プラド(MIA)、アダム・リンド(MIL)
- シカゴ・ホワイトソックス
投手陣に関しては期待通りに近いが、攻撃面と守備面では今のところそうではない。一番必要なのは今いる選手たちが実力を発揮することだが、それができていない。球団幹部のケニー・ウィリアムズは補強に動くとしていて、今のところその通りに動いているようだ。またチームも最近上昇し始めているので、そのスタンスが継続されるかもしれない。スケジュール的に厳しくなる今後の数週間を耐えることができなければ、売り手にまわることが必要になる。補強ポイントは二塁手と三塁手。→ 内野手:フアン・ウリーベ(ATL)、ベン・ゾブリスト(OAK)、アーロン・ヒル(ARI)
- ボストン・レッドソックス
最近になって地区の上位との差が詰まってきたので、売り手になることを拒むことが出来る状態に。現在、弱点がることに疑いはないが、先発ローテは実用的である一方で、ブルペンは補強を非常に必要としていると、あるレッドソックス関係者が認めている。→ リリーフ投手:ジェイソン・グリーリ(ATL)、ジョン・アックスフォード(COL)、フランシスコ・ロドリゲス(MIL)、ブラッド・ジーグラー(ARI)、ジョナサン・パペルボン(PHI)、ホアキン・ベノワ(SD)
- サンディエゴ・パドレス
チームは下位に沈んではいないものの、シーズンオフの大補強は現時点ではあまり実を結んでいない。彼らは売り手になるかもしれないし、買い手になる可能性もある。今季終了後にFAとなるジャスティン・アップトンとイアン・ケネディはトレード候補だ。補強するとするならば三塁、遊撃手、左打者。→ 内野手:ジーン・セグラ(MIL)
- シアトル・マリナーズ
ロビンソン・カノと若い選手たちのアンダーパフォーマンスで、優勝を争えるチームとなれていない。マーク・トランボの補強で万策尽きたとの考えもあるが、チームが上昇気流になれば、さらに資金が出てくるかもしれない。補強ポイントはブルペン。→ リリーフ投手:フランシスコ・ロドリゲス(MIL)、ホアキン・ベノワ(SD)、ブラッド・ジーグラー(ARI)
- アリゾナ・ダイヤモンドバックス
少ない年俸総額で予想を上回るパフォーマンスを見せているが、現在の順位を見れば大きな補強に動く可能性は低そうだ。完全に売り手になりそうだが、レンタル(今季終了後にFA)ではない先発投手をチェックはしている。→ 先発投手:タイソン・ロス(SD)、アンドリュー・キャッシュナー(SD)
→ 内野手:ベン・ゾブリスト(OAK)、マーティン・プラド(MIA)
→ リリーフ投手:ジョナサン・パペルボン(PHI)、フランシスコ・ロドリゲス(MIL)、ホアキン・ベノワ(SD)、ジョン・アックスフォード(COL)、ジェイソン・グリーリ(ATL)
→ 先発投手:コール・ハメルズ
比較的静かな展開が続くトレード市場
ジョン・ヘイマン記者が買い手になる可能性があると名前を上げた23チーム以外は、すでに売り手になることが濃厚だということでもあります。
その7チームはフィラデルフィア・フィリーズ、アトランタ・ブレーブス、ミルウォーキー・ブリュワーズ、シンシナティ・レッズ、コロラド・ロッキーズ、オークランド・アスレチックス、マイアミ・マーリンズとなります。
ただ、上述の23チームの中でも、今後の状況次第で、売り手にまわる可能性を秘めているのがマリナーズ、レッドソックス、ホワイトソックス、パドレス、インディアンス、レンジャーズの6球団あたりと考えられます。
現在は売り手が有利な状況なのですが、これらの6チームが売る方向に舵を切った場合には、一気に選手があふれることになり、動きが活発化することになりそうです。
昨年はオークランド・アスレチックスのビリー・ビーンGMが大きく動くことで、トレード市場が一気に活発化しましたが、今年はポストシーズンの可能性を残すチームが多いため、様子見が続いていることもあり、まだ静かな展開が続いています。
売り手になることが濃厚なシンシナティ・レッズは、本拠地でオールスターを開催するため、それまでは主力選手の放出はしないとされていますので、オールスター終了後に、トレードが活発化する可能性がありそうです。