シェーン・グリーンが活躍の一方で、ディディ・グレゴリウスはヤンキースで苦戦中

デレク・ジーターが引退した後のショートを任せることができる若い選手がチーム内にいない状態で、シーズンオフを迎えたヤンキースでした。

ジーターが引退することは2014年シーズン前にわかっていたことなのですが、実際に引退するまで有効な手を打つことができないまま、シーズンオフを迎え、その問題を解決するためにFA野手ではなく、トレードで選手を獲得することを選択したヤンキースでした。

そのトレードはタイガース、ダイヤモンドバックスの3球団が絡むトレードとなり、ヤンキースはタイガースにシェーン・グリーンを放出し、ダイヤモンドバックスからディディ・グレゴリウスを獲得しました。

先発投手陣に不安がある状態だったヤンキースが、2014年シーズンに、その先発ローテの一角を担える可能性を見せたシェーン・グリーンを出したことには驚きの声があった一方で、グレゴリウスのポテンシャルを評価し、悪くないトレードだとの声があったのも事実でした。

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ファームでの評価が図抜けて良かったわけではなりシェーン・グリーン

シェーン・グリーンは2009年ドラフトで15巡目全体465番目にヤンキースに指名されました。このドラフトの順位から想像できるように、マイナーでも注目されるほど高い評価を受けていたわけではありませんでした。

MLB.comのプロスペクトランキングではチーム内のトップ20にも選出されず、ベースボールアメリカが2013年シーズン終了後にヤンキース内のNO.16にランクしたのが目立つ程度でした。

2014年にメジャー昇格を果たしたものの、3Aでは15試合66.0回で防御率4.64/WHIP1.59という決して良くない数字にとどまっていて、メジャーでの先発投手の頭数が足りない穴埋めのためのものでした。

ところがメジャー昇格後は、15試合(先発14)で78.2イニングを投げて、防御率3.70/5勝4敗/WHIP1.40と新人投手としては合格点と言える成績を残していました。

ヤンキースの先発投手陣は黒田博樹とブランドン・マッカーシーがチームを去ったため、当初は2015年の重要なピースになると予想されていたのですが、ディディ・グレゴリウスの獲得のために放出されました。

ブライアン・キャッシュマンGMもグリーンの放出を”painful(痛みを伴う)”と表現するなど、ヤンキース側にとっても損失であることは認識されていました。

しかし、FA市場で良い遊撃手がいないこと、チーム内にこれから数年を任せられるような選手が育っていないこと、などの事情があったため、ダイヤモンドバックスからグレゴリウスを獲得するに至りました。

チェンジアップの割合を増やすことで躍進の要因の1つに

シェーン・グリーンは、そのトレード成立当初は本音のすべてを語っていなかったものの、最近になってウォールストリート・ジャーナルによるインタビューで、その時の気持をあからさまに吐露しました。

“I felt like I got dumped,” (中略) “I proved to myself that I was good enough,” Greene said. “I guess
I didn’t prove it to everybody else.”

管理人訳:『捨てられたという気分になった。(中略) 「自分は十分にいける」ということを自分自身に対しては証明した。』とグリーンは述べ、『だが、他の人には自分の価値を証明できなかったのかもしれない。』

と、シェーン・グリーンはトレードされたことがショックだったことを率直に明かしています。しかし、この出来事が彼の心に火をつけたようで、デトロイト・タイガースでブレイクの兆しを見せています。

まだ、わずかに3試合の登板ではあるものの3試合の先発はいずれもクオリティスタート。23.0イニングを投げて、失点はわずかに2点で、しかも自責点は1という圧巻の内容で、防御率0.39/3勝0敗/奪三振11/WHIP0.74と、タイガースの首位快走を支えています。

このような数字をシーズンを通じて継続できるはずはないのですが、それでもグリーンの良い成績が偶然ではなく、シーズンを通して活躍するだろうと、元ヤンキースでタイガースでともにプレーする、ジョバ・チェンバレンが話しています。

チェンバレンはグリーンのシンカーがとても素晴らしく、チェンジアップをより多く投げていることが好成績につながっていると分析し、投手としてさらに成熟しつつあると高くグリーンを評価しています。

3試合の登板におけるグリーンの投球の内訳を見ると、フォーシームは14.2%と2014年の13.8%と変わらないのですが、スライダーが16.3%から10.1%に減る一方で、シンカーが37.1%から42.2%に、チェンジアップが4.7%から10.4%にそれぞれ増えています。

このチェンジアップが非常に効果を発揮していて、チェンジアップの被打率はいまだ.000となっています。またこのチェンジアップがフォーシームと見分けいにくい動きをしているため、フォーシームも有効になり、被打率が.245から.200へと向上しています。

このような数字は、2015年のデータの母数が少ないので、参考程度にしかならないのですが、タイガースで投球の組み立てを変えたことが、功を奏しているというシェーン・グリーンです。

打撃だけでなく期待されていた守備面でも低迷中のディディ・グレゴリウス

一方のディディ・グレゴリウスは打撃面では課題が多いものの、守備面では優れていて、25歳という若い年齢でポテンシャルが高いと評価されての獲得だったのですが、グリーンとは対照的に攻守の両面で苦しんでいます。

12試合に出場した時点で、打率.200/本塁打0/打点2/出塁率.233/長打率.200と、いまだに長打が一本もなく、四球もわずかに1つ選んだだけと、攻撃面で足を引っ張っています。

さらに期待されていた守備はエラーこそ1つだけで、守備率.976はメジャーリーグの規定試合数に達している遊撃手30名の中で18番目の数字となっています。

しかし、レンジファクターの3.36は26番目、守備防御点(DRS)は-4で29番目となるなど、守備の中身でもチームの足を引っ張るかたちになっています。


【用語】

  • レンジファクター:アウト寄与率とも言われ1試合平均(9イニング換算)でいくつのアウトに関与したかを示す指標。一般的に守備範囲の広さを知れる指標で、メジャーリーグの公式記録となるスタッツ。
  • 守備防御点(DRS):同じポジションの平均的な野手と比較して、守備でどれだけ失点を防いだかを示す指標。
  • DRSの評価基準:ゴールドグラブ級(+15)、優秀(+10)、平均以上(+5)、平均(0)、平均以下(-5)、悪い(-10)、非常に悪い(-15)

ポテンシャルを買われての獲得だったため、多少攻撃面で苦しむことは織り込み済みの獲得だったはずですが、守備でも冴えないのは、今後の懸念材料となりそうです。

元々、ディディ・グレゴリウスをトレードに出すことにダイヤモンドバックスが応じたのは、クリス・オーウィングス、ニック・アハメドという選手がショートを守れる選手としてすでにいて、大きな痛手ではなく、どうしても必要な選手ではないためでした。

そしてデトロイト・タイガースのフロント陣は、3球団間トレードでヤンキースがグリーンを出すことに応じたのに、非常に驚いたようだ、とCBSスポーツのジョン・ヘイマンは伝えています。つまりタイガースの幹部はヤンキースが出すはずはないだろうと考えるほど、グリーンの才能と実力などを高く評価していたことになります。

ヤンキースの先発投手陣は、ここにきて田中将大、サバシアが安定した投球を見せ始めたため、落ち着きを取り戻しつつありますが、それでも先発ローテの防御率は4.48と良くはありません。

このような状況下で、グリーンとグレゴリウスのパフォーマンスを比較する時に、現時点ではヤンキースにとってプラスのトレードとはなっていないことは明白です。

もちろん若い選手が絡むトレードは、ある程度の期間を待ってからでないと、その成否は正確に判断することができないのですが、この早い段階ではロビー・レイとマイナーリーガーをダイヤモンドバックスに放出して、グリーンを獲得したタイガースが大きな得をしている状況です。

しかも、シェーン・グリーンは26歳と若く、2020年シーズンまでの6年間をタイガースがコントロールできます。

シェーン・グリーンは、今回のヤンキースとのデトロイトでの4連戦では、ローテーションのめぐり合わせで先発できませんが、6月のニューヨークのヤンキース戦では、先発できる可能性があります。

そのことに関してはグリーン自身が“I’ll get that chance. That time will come.”と意気込みを隠していません。6月のニューヨークでのヤンキースとタイガースの3連戦での1つの楽しみとなりそうなグリーンとヤンキースとの対戦となりそうです。