なぜチャップマンの大型トレードが成立したのか?その舞台裏をニューヨーク・ポスト記者が明かす

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シカゴ・カブスとニューヨーク・ヤンキースがアロルディス・チャップマンとトッププロスペクトであるグレイバー・トーレスを筆頭とする4人の大型トレードを成立させました。

この時点では2016年のトレード期限前の動きとしては、最大の大型トレードとなっています。

カブスは半年足らずのレンタル選手にあまりにも多くの代償を支払っているとの声があるのですが、その舞台裏をニューヨーク・ポストのジョエル・シャーマン記者が明かしています。

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大型トレード成立の裏側にあったものとは?

ジョエル・シャーマン記者は7月26日付けの”The deals that failed before Cubs-Yankees trade reality”というタイトルの記事の冒頭で以下のように書いています。

引用元:http://nypost.com/2016/07/26/the-deals-that-failed-before-cubs-yankees-trade-reality/

The Cubs not only looked at their roster and saw late-inning vulnerability, but also at the rosters of who they perceived could be their main challengers for the NL title — the Giants and Nationals – and saw the same shortcoming.
So, in a year in which they thought they could win for the first time since 1908, the Cubs decided not to mess around. They shopped in the elite bullpen market and – recognizing it would cost big prospects – initially prioritized a reliever whom they would control beyond this season.

カブスは自チームのロースターを見た時に勝ちゲームのリリーバーに脆さを見つけただけでなく、ナショナルリーグのタイトルを争うであろうライバルのジャイアンツとナショナルズのロースターも精査し、同様の弱点を抱えていることを認識したようです。

そのためカブスは周辺をかぎまわるのではなく、トッププロスペクトの放出が必要になるであろうエリートリリーフ投手、しかも翌年以降もチームに残る選手を獲得すると決断した、とのことです。

そしてそのトップターゲットとなったのがニューヨーク・ヤンキースのアンドリュー・ミラーです。

That is why they focused their initial energies on Andrew Miller, who is signed through 2018. But when they recognized the Yankees were not going to get off their request for Kyle Schwarber, they asked the Royals about Wade Davis, who has a $10 million option for 2017, and heard the price was even higher than that.

2018年まで契約が残るアンドリュー・ミラーを獲得することにエネルギーを集中したようですが、ヤンキースはカイル・シュワーバーを交換要員とする要求を譲らなかったため、方向転換しロイヤルズにウェイド・デービスのトレードを打診したようです。ところが、ミラー以上の交換要員を要求をされたとのことです。

参考記事:ヤンキースが欲しいのはカブスのカイル・シュワーバー?!キャッシュマンGMの意中の選手か

そのため当然、カブスはウェイド・デービスからも手を引くことになります。

それでもカブスがシュワーバーを含めた選手を放出すれば、アンドリュー・ミラーを獲得できたわけですが、そうしなかったのは今年のトレード期限前の補強に動く際に決めた方針が影響を与えたようです。

Cubs officials had made a decision entering the process that they would not trade a significant piece off of their 2016 major league roster – to rob from one spot to try to fix another – or surrender Schwarber, whom they envision coming back from his knee injury in 2017 to be their regular fifth-place hitter. As one executive who spoke with the Cubs said, “You are not getting Schwarber. I don’t know if there has ever been a player that Theo [Epstein, president of baseball operations] has liked more.”

カブスのフロントは交渉を始めるにあたり、(1)2016年のメジャーリーグロースターの選手を交換要員としないこと、そして(2)2017年には故障から復帰し5番打者を務めるであろうカイル・シュワーバーを放出しないこと、を決めたようです。カブスと話をしたある球団幹部は「シュワーバーを獲得することはできない。セオ・エプスタインがこれ以上気に入っているプレイヤーを私は知らない。」と話すほど、気に入っていたようです。

その結果、残るリリーフ投手の中でベストとなるアロルディス・チャップマンに方向転換し、記事の冒頭で書かれた内容が、カブスがグレイバー・トーレスを始めとする大きな代償を支払う決断に至る決定的な要素の一つとなります。

The Cubs also were willing to blink on surrendering Torres because they did not want Chapman at this level of cost floating out there for anyone else, especially the Giants and Nationals.

カブスがグレイバー・トーレスを放出する決断に踏み切ったのは、カブスがこのレベルの代償で他チーム、特にジャイアンツ、ナショナルズにチャップマンを渡したくなかったから、とのことです。

グレイバー・トーレスはカブスのNO.1プロスペクトを評価される遊撃手でしたが、カブスにはメジャーレベルにすでに22歳のアディソン・ラッセルがショート、23歳のハビアー・バエズがいてポジションがありませんでした。

そのため人材がだいぶついているということもあり、カブスにとって許容範囲内の代償となっています。

ある球団幹部がナショナルリーグの現状を分析して以下のように述べたそうです。

As one executive said in sizing up the NL: “The Nationals and Giants aren’t just playing to make the playoffs. They want to win a title. Do you think they think they can win titles with Jonathan Papelbon and Santiago Casilla closing?”

「ナショナルズとジャイアンツはプレーオフ進出するためだけのために戦ってはいない。彼らはワールドシリーズのタイトルを取りたがっている。だが、ジョナサン・パペルボンとサンティアゴ・カシーヤでそれができると思うか?」とジョエル・シャーマン氏に語ったとのことです。

まとめると、このトレードがシカゴ・カブスの弱点を補うだけであれば、今季終了後にFAとなる選手に、ここまでの代償を支払う決断はしなかったわけですが、最大のライバルであるジャイアンツとナショナルズの最大の弱点を補強する動きを阻止できることにもなるため、合意に踏みきったということになります。

この記事ではナ・リーグだけのことが書かれていますが、ア・リーグの状況も判断材料になった可能性はありそうです。

ナ・リーグの東地区首位を走るナショナルズのクローザーはジョナサン・パペルボンで32.1回で防御率3.62/奪三振30/WHIP1.30、セーブ成功率は86.36%(19/22)となっています。

そしてナ・リーグ西地区の首位のジャイアンツはサンディアゴ・カシーヤがクローザーで、37.2回で防御率3.35/奪三振46/WHIP1.33で、セーブ成功率は81.48%(22/27)です。

ともに3イニングに1回は点を失っていますので、ポストシーズンのタイトな状況下では完全に信頼をおけるクローザーではありません。

この2チームはともにアロルディス・チャップマンの争奪戦に最後の最後まで絡んでいました。

さらに視野を広めてア・リーグの地区首位であるオリオールズ、インディアンス、レンジャーズに目を向けてみます。

オリオールズはザック・ブリットンが42.2イニングで防御率0.63/奪三振50/WHIP0.77と現在のクローザーでも3本の指に入る成績で、セーブ成功率は100%(32/32)です。

オリオールズは先発投手陣が極端に弱いのですが、打線が強力であることと、勝ち試合の接戦を完全に勝ちきれるクローザーがいることで地区首位を守っています。

インディアンスはコディ・アレンがクローザーで42.1回で防御率2.55/奪三振53/WHIP1.09、セーブ成功率は90.48%(19/21)となっています。

レンジャーズは開幕時はショーン・トールソンが務め11セーブをあげたものの4回セーブに失敗し、防御率9.20でクローザーから外れました。

その後は、サム・ダイソンが務め防御率2.53/20セーブ/奪三振34/WHIP1.17でセーブ成功率は90.9%(20/22)です。

オリオールズはリリーフ陣が強く補強は必要が無いものの、先発投手陣が壊滅的な悪さで防御率4.94は両リーグ25位となっています。

インディアンスとレンジャーズはクローザーには大きな問題がないものの、信頼できるセットアップマンがいません。

そのためインディアンスとレンジャーズも現在のクローザーをセットアップに回せる存在の獲得を目指して、アロルディス・チャップマンの争奪戦に参加していました。

参考記事:チャップマンのトレードは合意間近か!インディアンス、ナショナルズ、カブス、レンジャーズ、ジャイアンツの争いに

このようにナ・リーグだけでなくア・リーグの地区首位を走る2チームも、8回と9回に問題を抱えてチャップマン争奪戦に参加していましたので、ワールドシリーズ制覇しか眼中にないカブスにとって、チャップマンを渡したくない相手であったことは間違いありません。

ポストシーズンの有力チームの大半が8回と9回に難を抱えている状況下で、強力なリリーバーのうちアンドリュー・ミラーとウェイド・デービスの獲得の代償は途方も無く、残るアロルディス・チャップマンが現実的な選択肢だったので、ワールドシリーズ制覇で優位に立つために高い代償を払うことをカブスが選んだと言えそうです。

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