ブライス・ハーパーがFAとなるまでには、まだ2シーズンも残っているのですが、その時にどのチームが契約するのか、そして規模がどの程度になるのかという憶測はメディアで飛び交い続けています。
その若きスーパースターの争奪戦に勝利することが有力視されているのがニューヨーク・ヤンキースです。
なぜヤンキースはブライス・ハーパー獲得の準備をすべきなのか?
ブライス・ハーパーが小さい頃にヤンキースファンであったこと、4億ドルを越えるかもしれない金額を用意できる資金力があること、など様々な要素が揃っているため、多くのメディアやオッズメーカーでヤンキースが有力視されているハーパー争奪戦です。
ただ、これらはあくまでも噂レベルに過ぎないのですが、現時点で獲得の意思を示すことはタンパリングとなりますので、それは当然のことと言えます。
そのため実際にヤンキースがどれほど本腰を入れて獲得に動くのかは不透明なのですが、地元メディアのひとつであるニュージャージー・ドット・コムのJoe Giglioは“Why Yankees should be ready to open vault for Bryce Harper”(なぜヤンキースはブライス・ハーパーのために金庫を開けるべきなのか)という記事で獲得を強くプッシュしています。
その記事の冒頭部分では以下のようにJoe Giglio氏は書いています。
Here’s why—despite a sticker price that’s likely to top $400M—the Yankees should be ready (and willing) to battle the Nationals, Phillies, Cubs and Dodgers for Harper when the time comes.
「獲得の費用は4億ドルを越えるかもしれいないが、ヤンキースはその時が来た時にドジャース、カブス、フィリーズ、ナショナルズとブライス・ハーパー争奪戦をする準備をしておくべきなのか」と述べて、その理由を列挙しています。
Joe Giglio氏が主張するその根拠とは以下のとおりとなっています。
- 観客動員数の増加のため
- 右翼が狭いヤンキースタジアムにフィットする左打ちの打者だから
- フランチャイズの顔となる
- ヤンキースが欲しているスーパースターだから
- チームに必要なパーソナリティだから
- 関連グッズの売上が伸びるから
- 若いヤンキースの選手たちのメンター役が期待できる
- メディアから攻撃を受けることに慣れている
- パベルボンを嫌うという点で絆を結べるから
- ボストンに行かせないようにする必要があるから
- ニューヨークをメッツから取り戻すため
- すでに歴史に残る偉大な実績を残しているから
ヤンキースのニーズにマッチするスーパースター
ヤンキースの観客動員は2005年から2008年にかけて400万人を越えていましたが、2016年には両リーグ6位、ア・リーグ2位に転落しています。
その原因ともなっているのがデレク・ジーターが引退した後は、フランチャイズの顔と言えるような選手、スーパースターが不在となっていることです。
ゲーリー・サンチェスにもそのような役割が期待できそうなのですが、そういうタイプのプレイヤーではないとも考えられているようです。サンチェスの他にも、能力、実力を高く評価されている若い選手を多くヤンキースは抱えているのですが、それらの選手はどちらかと言えば静かで謙虚な性格のため、ファンを湧き立たせるようなパーソナリティを持っているとは言い難いようです。
ハーパーは現時点でもスター性にあふれてるプレイヤーで、メディアに向けてもハッキリと自分の考えなどを伝えることができるなど、現在のヤンキースの若い選手に欠けているパーソナリティを持ち合わせています。
さらにハーパーはヤンキースに移籍すれば、左翼が狭いヤンキースタジアムを本拠地とするためシーズン50本塁打を打つ期待もできる、ヤンキースの歴史の1ページを飾る選手になる可能性があります。
しかし、ヤンキースで活躍するには、実力に加えて、辛辣なニューヨークのメディアとファンからのプレッシャーに耐えることのできるメンタルの強さが必要となります。
それらに対する準備と経験も十分にあると言えるのがブライス・ハーパーです。
ハーパーは16歳からすでにスター候補として注目を浴び、プロ入り後は早々にメジャーデビューを果たし、2016年を終えた時点でWAR(Win Above Replacement:同じポジションの代替可能(控え)選手と比較してどれだけ勝利数を上積みしたかを示す)が21.5、通算本塁打数が121本という歴史に残る数字を残すなど、押しつぶされることなく結果を残しています。
23歳のシーズンを終えた時点でWARが+20を越え、120本塁打以上を記録した選手はMLB史上で9人しかいないのですが、その一人がブライス・ハーパーです。
その他の8人はメル・オット、エディ・マシューズ、アレックス・ロドリゲス、マイク・トラウト、フランク・ロビンソン、ケン・グリフィー・ジュニア、テッド・ウィリアムズ、ミッキー・マントルという顔ぶれで、それらの選手と並ぶ実績をすでに残していることになります。
現在24歳で、FAとなる時には26歳と年齢が若いのですが、メジャーでの経験はベテランと言える域に入りますので、現在の若いヤンキース選手たちのリーダー、メンターとなることにも適している立場であると言えます。
またヤンキースの期待されているプロスペクトは、グレッグ・バードを除いて右打ちの選手ばかりのため、より一層、左打ちのブライス・ハーパーの価値は高まります。
このように様々な面でヤンキースに欠けているもの、ヤンキースが必要としているものを満たすことを期待できるのがブライス・ハーパーです。
プレーオフを逃し続けていて同じニューヨークを本拠地とするメッツに押されがちな現状をひっくり返すためにも、2018-19シーズンオフには年俸総額に余裕ができるレッドソックスに奪われないためにも、ヤンキースはブライス・ハーパーに大金を投入すべきだとJoe Giglio氏は主張しています。
2年後の今の時期にはヤンキースのピンストライプに袖を通すことになるのか、それとも他の球団が獲得にこぎつけるのか、今から楽しみなブライス・ハーパーの争奪戦です。