トッププロスペクトをシーズン開幕からメジャーデビューさせない理由は?

2015年も期待される多くのプロスペクトがメジャーデビューすることが予想されています。

ファンが気になるのは、いつそれらのプロスペクトがデビューするのか?ということになります。日本であれば新人王が期待されるような有望選手はシーズン開幕からベンチ入りすることになりますが、メジャーではそうではありません。

トッププロスペクトとして将来的にチームのコアとなることが期待されている選手であればあるほど、多くのチームがシーズン開幕からアクティブロースターに入れるのではなく、マイナーでスタートさせることを選択します。

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トッププロスペクトをシーズン途中でメジャーデビューさせることのメリット

プロスペクトをマイナーからスタートさせて、シーズン中に昇格させる理由には、主なものとして3つが挙げられます。

  1. 3Aなどで経験をまだ積む必要があり、昇格のタイミングがシーズン中がふさわしくなる
  2. スーパー2に該当することにより年俸調停が早く始まるのを避けるため
  3. FAまで6年ではなく実質的に7年間チームがコントロールできるため

1. 3Aなどで経験をまだ積む必要があり、昇格のタイミングがシーズン中がふさわしくなる

シーズン開幕時は2A、もしくは3Aで経験を積んだり、技術を磨く必要がある場合は、それらの課題を克服した後に昇格させるのが妥当なステップとなります。

その場合には7月トレード期限前後であったり、9月にアクティブロースターが25人から40人に広がる”セプテンバーコールアップ”の時などが主なタイミングとなります。

2. スーパー2に該当することにより年俸調停が早く始まるのを避けるため

メジャーリーグの在籍期間が3年に達すると、年俸調停権を手にすることができるのですが、スーパー2に該当すると、在籍2年で調停権を手にすることができます。

そのスーパー2の条件とは以下のようなものになります。


  1. 2年以上3年未満のサービスタイム(MLB在籍期間)で前年にアクティブロースターに86日以上登録
  2. MLB在籍期間2年の選手の中で、その在籍期間が上位22%(新労使協定で17%から改訂)

参照:Fan GraphsFOX SPORTS


新人がシーズン開幕からアクティブロースターに入った場合には、最短では2年間で年俸調停権を手にすることが、ほぼ確実になります。

年俸調停が早く始まれば、年俸の上昇も早くなるため、チームの年俸総額に影響を与えることになります。予算規模が小さいチームにとって死活問題で、戦力的にプロスペクトの昇格が必要であっても、スーパー2にひっかららないようにシーズン中盤に昇格させるように調整します。

2014年のパイレーツは、ベースボールアメリカによるランキングでMLB全体で10位になっていたグレゴリー・ポランコを戦力的に必要とされる時期があり、地元メディアやファンも早期昇格を期待しました。

しかし、早く昇格させるとスーパー2に該当してしまい、年俸上昇が早くなってしまうことを避けたいパイレーツのGMは慎重な姿勢を崩さず、6月10日にようやくデビューさせました。

トッププロスペクトと評価されてきた選手は、マイク・トラウトにように素晴らしい成績を残すことがありますので、年俸調停により急激に年俸が上昇します。その年俸調停が早く始まってしまうスーパー2を避ける目的で、開幕からではなく、シーズン中の昇格を選択するチームが多くあります。

3. FAまで6年ではなく実質的に7年間チームがコントロールできるため

メジャーに6年間在籍することにより選手はFAとなることができ、チームは選手をコントロールすることができなくなります。

開幕からアクティブロースターに入れた場合には、6シーズンで選手がFAとなってしまうのですが、2週間から20日程度待つことで、実質7シーズンとすることができます。

具体例を上げてみたいと思います。

ナショナルズのブライス・ハーパーは2018年シーズン終了後にFAとなるのですが、メジャーデビューは2012年4月28日でした。そして139試合に出場し打率.270/本塁打22/打点59/出塁率.340/長打率.477という成績を残して新人王に輝きました。

しかし、この2012年は159日のMLB在籍とカウントされるため、1年(172日)在籍したことになりません。そのためブライス・ハーパーは2012年に139試合に出場しているにもかかわらず、FAの条件となる6年を満たすためには、最短でも2013-2018年の6シーズンをメジャーで過ごすことが必要となります。つまり実質的にナショナルズはハーパーを7年間コントロールできるということです。

これとは逆のケースですが、マイアミ・マーリンズのホセ・フェルナンデスは2012年の4月7日にメジャーデビューしているのですが、2012年にMLB在籍期間が1年(172日)に到達しているため、FAの基準を満たすためには、最短で2012年-2017年の6年で良いことになります。

このようにチームのコアになりうるトッププロスペクトをマイナーで開幕させることにより、1シーズン長くチームにとどめることができるため、多くのチームは開幕からではなく、一定期間が過ぎた時期にメジャーデビューさせることを選択しています。

トッププロスペクトのメジャーデビューは4月下旬以降のシーズン中に

2015年もメジャー昇格が期待されるトッププロスペクトがいて、シカゴ・カブスのクリス・ブライアント、アディソン・ラッセル、ツインズのバイロン・バクストンなど、多くの注目を集めています。

参考:2015年シーズンMLBトッププロスペクトの一覧-米メディアによるランキングを元に100名をピックアップ

開幕のラインナップに、そのような若い有望株の選手が顔を並べることを期待するし、1日でも早くメジャーでその姿を見たいのが、ファンの心理です。

しかし、1ヶ月程度忍耐することで、1年多くチームにとどめることができますし、3ヶ月待てば予算の厳しいチームにとっては年俸総額の抑制にもつながりますので、中長期的な視野に立った時には、トッププロスペクトをマイナーで開幕を迎えさせることのほうが、メリットが大きいと言えるのではないでしょうか。

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