なぜクレイトン・カーショーのカーブはMLB屈指の打てない球種なのか?

現在のMLBで最高の投手を3人選べと言われた場合に、大半の人が名前を挙げると考えられるのがロサンゼルス・ドジャースのクレイトン・カーショーです。

サイヤング賞を3回、サイヤング賞投票で2位、3位、5位とトップ5に6年連続で選ばれています。しかも、その5位となった2016年は故障による離脱が影響したためで、成績は149.0イニングで防御率1.69、奪三振172、WHIP0.73と圧倒的な数字を残しています。

そのクレイトン・カーショーの代名詞と言える球種が「カーブ」です。

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クレイトン・カーショーのキャリア全体で、カーブが投球に占める割合は13.14%なのですが、その被打率は.126と驚異的な数字です。

打者がスイングしても37.18%が空振り、28.32%がファウルになるなど、フェアゾーンになかなか飛びません。フェアゾーンに飛んでも54.96%はゴロになるなど、長打にもなりにくい球種です。

これまでの10年のメジャーのキャリアで3879回カーブを投げているのですが、本塁打にされたのは僅かに9回しかなく、被長打率は.173と、こちらも驚異的な数字となっています。

このように強力なクレイトン・カーショーのカーブなのですが、ミサイルなど追尾する軍事技術を転用したスタットキャストやPITCH FXで集計されたデータによると、さほど際立った数字はないようです。

スポーツイラストレイテッド誌の電子版が以下のように伝えています。

Oddly, there is almost nothing spectacular about the metrics of Kershaw’s curve. It spins (2,373 rpm) more slowly than the average curve (2,500), and also travels (73.3 mph) more slowly than average (77.8).

『奇妙なことに、クレイトン・カーショーのカーブには目を見張るような数字はない。平均的なカーブ(2,500回転/毎分)より回転数は少なく(2,373回転/毎分)、球速は平均(77.8マイル毎時)よりも遅い(73.3マイル毎時)』

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では、『なぜ際立ったデータのないカーショーのカーブが強力なのか』というところが疑問となりますが、以下のように記事を書いたTom Verducci氏は、カーショーのカーブが強力な理由を分析、説明しています。

The wizardry of Kershaw’s curve is in how much it resembles a fastball out of his hand. Kershaw throws each pitch from an identical release point, depriving hitters of an early “tell.”

「カーショーのカーブはファーストボールとリリースポイントが同じで、手から離れる時点で区別するのは難しく、打者が早い段階で球種を知ることができない」というのが1つ目の理由です。

Kershaw also disables hitters’ second level of decoding: the reading of spin. Four-seam fastballs have true backspin; they rotate so fast over the poles of the baseball that no spin is discernible. The ball appears as a gray circle. Curveballs rotate in the opposite direction —they have topspin—but slow spin or a tilted-spin axis can reveal to the hitter streaks of red across the gray circle, a tip-off from the spinning seams that the pitch is a breaking ball.

2つめの理由は「ボールの回転数とスピンの軸による球種の判別を奪う」というものです。

基本的にフォーシームはボールにバックスピン(逆回転)を加えますが、カーブはその逆回転となるトップスピン(順回転)を加えています。

ファーストボールは回転数が上がるためボールの縫い目が消え、グレーの円のように見えてくるのですが、カーブはやや回転の軸が傾き、さらに回転数が落ちるため、ボールの縫い目が浮き上がります。

この違いによってフォーシームか、ブレイキングボールであるかを打者は見分けることができるのですが、カーショーのカーブはそれができないのだとTom Verducci氏は説明します。

Kershaw spins his curveball at a similar rate to his fastball (2,326 rpm). Though they spin in opposite directions, because he throws both with a true overhand delivery, creating pole-to-pole rotation, the pitches first look exactly alike to a hitter: a gray circle. The fourseamer holds its plane while the Kershaw curve can drop nine inches.

カーショーのカーブは「ファーストボールの回転数とほぼ同じ」で、回転する方向が順方向と逆方向という違いはあるものの、同じように上から投げ下ろしているため、「回転軸がファーストボールの回転軸と同じように傾かない」という性質を持っているとのことです。

その結果、他の投手のカーブとは異なり、カーショーのカーブはファーストボールと同様にグレーの円に見えてしまい、打者は球種を判別できなくなっているということです。

にも関わらず、ボールの軌道はファーストボールに比較して、カーブは9インチ(22.9センチ)も落ちるため、打者はバランスを崩して空振り、もしくはバットに当たってもハードな打球は打てなくなっています。

まとめると以下のような理由でカーショーのカーブは際立って強力になっていると考えられます。

  1. ファーストボールとリリースポイントが同じ
  2. ファーストボールと回転数がほぼ同じ
  3. ファーストボールと同じ回転軸

カーショーのカーブは、ファーストボールのように見えるにも関わらず、その軌道よりも20センチ以上の落差があるため、打つことができないということです。

カーショーのフォーシームの平均球速は93.89マイルと特別に速いほうではなく、メジャー平均をやや上回る程度です。しかし、その被打率は.242、被長打率は.357と簡単に打つことはできるものではありません。

対戦する打者が、カーショーのフォーシームを上手くとらえることができないのは、ボールにキレがあることに加えて、強力なカーブと見分けがつきにくいのも理由だと考えられます。

投球の61.75%を占めるフォーシームの被打率が.242 22.57%を占めるスライダーが同.162 13.14%を占めるカーブが同.126となっています。つまり投球の97.46%が攻略困難な球種で構成されていることになります。

カーショーは10シーズン目ですが、1830イニング以上を投げての通算防御率は2.35で、ルーキーイヤー以外は防御率3点台を越えたことがないのですが、それは必然の結果と言えるのかもしれません。

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