故障離脱した田中将大への深刻な依存から脱せるか?ヤンキースの次なる動きは

肘の問題が明らかになった時に、ヤンキースのライバルチームの幹部の言葉として「田中将大に負荷をかけすぎているから調子を落とすのは当然だ。もし彼に何かあったらヤンキースはどうするのか?」と語ったとニューヨーク・ポストが伝えていました。

しかし、今回、田中将大は調子を落とすだけにとどまらず、後者の「何かあったらどうするのか」が起きてしまいました。

ライバルチームは自軍のロースターだけでなく、同地区のライバルのスタッツやロースターの構成なども当然のことながら分析するわけですが、先ほどのコメントからわかるのは、ライバルチームから見てもヤンキースは田中将大に過度に依存していると考えていたということです。

そして、そのライバルチームの幹部は「ヤンキースは田中将大が先発していない時は良いチームではない」とも述べていたとのことです。

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田中将大がいないヤンキースの先発投手陣は?

以下が現地の7月10日の試合終了時点のヤンキースの先発投手陣のスタッツは以下の表のとおりとなります。

7月10日の試合終了時点のヤンキースの先発投手陣のスタッツ

14試合に先発して3試合しかクオリティースタートできなかったヌーニョをマッカーシーにかえたのは賢明な策と言えそうです。

チーム全体が91試合中45回しかクオリティースタートがなく、両リーグ23位で、なおかつクオリティースタート率が5割を割っています。これではリリーフ陣の負担が大きくなってしまいます。

しかもこの45回のうち田中将大が16回で、それ以外の先発投手9人で29回しかクオリティースタートできていません。さらに言えば、その29回のうち10回は黒田博樹となっていて、3番手以下は非常に厳しいものがあるヤンキース先発投手陣です。

そのため田中将大が素晴らしい投球を続けながらも、チーム防御率3.99と先発防御率4.05はともに両リーグ22位、ア・リーグ9位と低迷しています。

さらに細かく田中将大とそれ以外の先発投手の成績を分けてみると以下のようになります。

7月10日時点の田中将大とそれ以外の先発投手の成績

田中将大以外の先発投手の防御率4.54となっていて、田中将大が先発するとき以外は、打線が5点以上をとらないと勝てない計算となり、プレーオフに進出する先発ローテとは思えない数字になってしまいます。

そしてクオリティースタート率は田中将大が88.89%と高いものの、それ以外の投手では39.7%と低い数字になっていて、田中将大が先発しない時はリリーフが早い回から準備をする状態でした。

また田中将大が先発した試合のヤンキースは13勝5敗ですが、それ以外では33勝40敗で、田中将大の作る貯金に依存するチーム状況で、明らかに先発ローテーションに問題がありました。

その状況下でヤンキースは田中将大を少なくとも8月下旬、そして最悪の場合には来年までも失うという事態に直面しています。

では、ヤンキースは今後どうしていくのでしょうか?

ヤンキースは売り手になるのか?それとも買い手になるのか?

ヤンキースが売り手になる場合には、という仮定の話は地元紙から出ているものの、ブライアン・キャッシュマンGMは、現時点ではその意向ではないようです。

プレーオフや優勝をあきらめるという文化はヤンキースにはないとして、田中将大の離脱にかかわらず、ウェイバー公示なしのトレード期限となる7月31日までアグレッシブに補強に動く方針は変わらないと述べていますので、黒田博樹、ロバートソン、デリンセス、ウォーレンなどを売りに出す可能性は低そうです。

ヤンキースが今後上昇していくためには、それらの投手を放出することなく、トレードで田中将大の穴を埋めるような投手を獲得するだけでなく、投手陣を全体的にグレードアップさせるトレードを成立させることが必要となります。

しかし、問題なのがヤンキースにはプロスペクトが乏しいため、大物選手を獲得するために複数のプロスペクトを交換要員とすることもできないのが現実です。

そのヤンキースに残された道として、豊富な「資金力」「経済力」を活かすしかないのではと、FOXスポーツのJon Morosiは述べています。

Jon Morosiは田中将大が今シーズンと来シーズン復帰できない可能性があるとして、その穴を埋めれるような投手として、トレードに出すかはわからないが、フィラデルフィア・フィリーズのコール・ハメルズが良いのではないかと提案しています。

しかし、問題なのはコール・ハメルズがトレードとなると他球団もオファーをすることは確実で、そうなると交換要員のプロスペクトの質の争いとなるため、ヤンキースは厳しいだろうとも分析しています。

そしてJon Morosiは、魅力的なプロスペクトの少ないヤンキースがトレードで大物を獲得するには、2012年にドジャースがやったように、複数の大型契約の選手を合わせて引き取るという方法をとるのが良いのではとしています。

具体的には、コール・ハメルズをトレードで獲得する際に、年俸の高いベテランであるジミー・ロリンズやジョナサン・パペルボンなどを合わせて引き取ることで、トレードを成立させることができるのではないか?ということです。

2012年のドジャースのような補強とは?

2012年にドジャースはプロスペクトとジェームズ・ローニーをレッドソックスに放出する一方で、高額年俸のカール・クロフォード、エイドリアン・ゴンザレス、ジョシュ・ベケット、そしてニック・プントらをまとめて獲得しました。

その際に残り契約のうち1200万ドル程度はレッドソックスが負担したものの、残りの大型契約をドジャースが引き継ぐ形ともなりました。このトレードは2012年の8月25日に行われたのですが、2013年以降に残っていたこれらの選手の契約は以下のような内容となっていました。

  • エイドリアン・ゴンザレス 6年1億2700万ドル
  • ジョシュ・ベケット 2年3150万ドル
  • カール・クロフォード 5年1億250万ドル
  • ニック・プント 1年150万ドル

ドジャースはチームを急激に勝てるチームに変えるために必要な措置と考えてお金を出す道を選びました。そして、その当時、大型契約の選手の年俸と成績が見合っていない状態だったレッドソックスは経済的に余裕ができることになり助かりました。

Jon Morosiが提案しているのは、この時のドジャースのようにコール・ハメルズの獲得と他のベテラン選手の抱き合わせであれば、フィリーズも経済的なメリットがあるので応じるのではないかということです。

フィリーズの3人の今後残っている契約は以下のとおりとなっています。ジミー・ロリンズは来年の契約は自動オプションですが、今シーズン後60打席ほど立てば、自動更新されるため、来年も更新されることがほぼ確実な状況です。

  • コール・ハメルズ:2015-18の4年9000万ドル
  • ジミー・ロリンズ:2015年1100万ドル 60打席ほどたてば2015年も
  • ジョナサン・パペルボン:2015年1300万ドル+オプション

フィリーズもヤンキース同様に主力が高齢化し、長期契約が多い上に年俸総額がすでに大きく、あまり身動きがとれません。しかも、ファームシステムでのプロスペクトも乏しいため、再建モードに入る手前の状態になりつつあります。

そのためフィリーズも年俸総額を落とせるのならば、喜んでヤンキースとのトレードに応じる可能性は十分にありそうです。

またさらに付け加えればフィリーズはクリフ・リーも2015年に2500万ドルの契約を残していて、ヤンキースが本気を出せば資金は十分に出せますので、リーも含めて動く可能性も否定できません。

オフまで我慢するのか?それとも

Jon Morosiはシーズンオフになって年俸が高騰することが確実なマックス・シャーザーやジョン・レスターを待つよりも、今シーズン中に動いたほうが良いのではないかとも述べています。

マックス・シャーザーは代理人はスコット・ボラス氏が務め、シーズン前に6年1億4400万ドル(年平均2400万ドル)を、すでに拒否しているため、それよりも大きい金額を要求することが予想されます。

そのためシーズン中に早々に動いたほうがということになるわけですが、ただこの方法にもリスクはあります。

来年の契約が残っている選手をシーズン中に獲得すると、2015年の年俸総額がさらに膨れ上がりますし、来シーズンはソリアーノとジーターの年俸は減るものの、アレックス・ロドリゲスが戻ってきますので、シーズンオフの身動きがとりにくくなるリスクはあります。

ヤンキースの2014年から2018年までの高額年俸選手の一覧(S)

本来なら売り手にまわりベテランを放出し、プロスペクトを獲得して、シーズンオフに新たにFAとなる先発投手などを獲得するほうが合理的と考えられるのですが、ヤンキースのチームの性質上、勝つためにさらにお金を注ぐという方向を選ぶ可能性のほうが高いと考えられます。

ヤンキースがどのような手を打っていくのか、とくにこの3週間はその動向が注目されます。また田中将大の離脱がどのくらいの期間になるにしても、過度に依存することはヤンキースにとっても、田中将大にとっても好ましいとは言えませんので、効果的な補強を期待したいところです。

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