2014年シーズンオフのFA先発投手の大型契約は難しい?ジャスティン・バーランダーの不調が与える影響

MLBでもトップ5の投手と数えられることの多い、2011年ア・リーグのサイ・ヤング賞投手であるデトロイト・タイガースのジャスティン・バーランダーが、キャリアの中でも一番といって良いほど苦しんでいます。

バーランダーの2014年は9月10日時点で、29試合185.0回を投げて、防御率4.82/13勝12敗/奪三振143/WHIP1.43とらしからぬ数字となっています。

それに加えて、タフなことでも知られるバーランダーですが、8月には肩の不調を訴えるなど、31歳の年齢による影響を感じさせる現象も見え始めています。そのためアメリカメディアはCCサバシアと同様に年齢による衰えがきているのではないかとの指摘がちらほらと見られます。

そしてこのバーランダーの不振によって「年齢を重ねた投手と長期契約を結ぶできではない」との考えを、多くのチーム経営陣が強めていることだろうとボストングローブのNick Cafardoは指摘しています。

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ジャスティン・バーランダーの残る契約は?

ジャスティン・バーランダーは2010年から19年までの10年2億1950万ドルの契約を結んでいて、その最終年では36歳となります。そのバーランダーの残る契約は以下のようなものとなっています。

  1. 2015年(32歳):2800万ドル
  2. 2016年(33歳):2800万ドル
  3. 2017年(34歳):2800万ドル
  4. 2018年(35歳):2800万ドル
  5. 2019年(36歳):2800万ドル
  6. 合計5年1億4000万ドル

これに加えて37歳となる2020年に、条件を満たせば2200万ドルで自動更新されるオプションもついています。

これまでのパフォーマンスがある程度継続されることが予定されての契約となっているわけですが、今シーズンはなかなか不調から立ち直ることできず、この契約が機能するか疑問符がつく状態となっています。

2014年ジャスティン・バーランダーは防御率4点台とキャリアでワーストのペースに

バーランダーの年度毎の年齢、年俸、成績の一覧は以下の表のとおりとなっています。

ジャスティン・バーランダーの年度別成績_140910

サイ・ヤング賞を獲得した2011年には251.0回投げて、防御率2.40/24勝5敗/奪三振250/WHIP0.92と圧倒的な成績をおさめました。また250イニング以上を投げるタフさもあり、そのイニング数とほぼ同じ数の三振を奪いっています。

その上Fan Graphsによるとこの時にはファーストボールは先発投手でありながら最速101.5マイル(163キロ)、平均で94.7マイル(152キロ)を記録するなど、まさに圧倒的と形容するにふさわしい1年で、大型契約に見合った数字を残したと評価できるバーランダーでした。

ところが2014年は数字が軒並み悪くなっています。防御率4.82はフルシーズンを投げた成績の中では、ワーストに近い数字で、近年になく失点が多くなっています。そしてその中身も、被打率が.277、OPS(出塁率+長打率).775と、キャリアで一番悪い数字で、打ち込まれての失点が増えています。

ジャスティン・バーランダーの不調の要因は?

不調の原因としてしきりに、指摘されていたことの1つが球速の下落です。2014年のバーランダーのファーストボールは最速が98.0マイル(158キロ)、平均で93.2マイル(150キロ)と好調だった時期と比較すれば、2マイルから3マイルほどスピード落ちています。

それでも先発投手としては十分なスピードといえるのですが、キレや制球の問題もあるためか、ファーストボールの被打率、被OPSなども悪化しています。

また、スタッツを見ていると、それよりも深刻な悪化が見られる球種はカーブで、以前のような威力を発揮していません。

バーランダーのカーブは三振を奪える球種で、毎年、40%-49%の空振り率を誇っていました。そして通算のキャリアの中でも一番高い空振りを奪える球種なのですが、今シーズンは29.1 %に低下しています。そしてカーブの被打率も高くなり.257となっています。

【バーランダーのカーブの空振り率・被打率・被OPSの年度別一覧】

2007:空振り率44.9%/被打率.184/被OPS.432
2008:空振り率40.9%/被打率.155/被OPS.364
2009:空振り率39.9%/被打率.199/被OPS.523
2010:空振り率44.2%/被打率.147/被OPS.370
2011:空振り率49.5%/被打率.131/被OPS.334
2012:空振り率41.7%/被打率.129/被OPS.294
2013:空振り率42.3%/被打率.192/被OPS.498
2014:三振率29.1%/被打率.257/被OPS.673

他にもスライダーも三振率、被打率、被OPSが悪化していて、ブレーキングボールの効果も以前のようにはない状態とです。そのような調子のため、バーランダーの2014年の奪三振率は近年8年間では最低となる6.96となっています。

肩の不調の影響の可能性が高いのですが、今シーズンのバーランダーは明らかにボールの質が低下していると考えられるものがあります。

バーランダーとサバシアの低迷がオフの補強動向に影響を与える要因の1つに

このバーランダーの不調が、今シーズンだけの不調なのか、それとも年齢による衰えなのかを判断するには、来年以降のパフォーマンスを見ないと判断できません。ですが、サバシアが通過しているような、さらなる球速の低下の懸念もある状態のバーランダーです。

もしこの不調が年齢による衰えである場合には、タイガースが結んだ大型契約はうまく機能しなかったと判断されざるを得なくなります。

そしてこのバーランダーの不調と、大型契約の後半にさしかかって故障がちになり、衰えを隠せないサバシアの大型契約とが相まって、各チームが30歳以上の投手と長期の大型契約に踏みきりにくくなることが予想されます。

バーランダーは、今シーズンは肩の不調がしばらく続いていたことを本人が述べるなど、年間250イニングを投げ続けてきたことによる勤続疲労の影響は否定できません。

タフで知られるバーランダーであってもこのような問題に直面していることを考えると、多くのチームが30歳以上の投手に大型契約を提示することをためらわせる可能性は高くなっていくことは間違いありません。

また2013年シーズンオフのFA市場ではアービン・サンタナが思うような評価を受けずに1年契約になり、他のFAで上位評価されていた投手も3年契約程度に終わるなど、30歳を越える選手と長期の契約を結びたくないというトレンドは全体的に強くなりつつあります。

それでもボストン・グローブのNick Cafardoが指摘するように、大きなリスクがあることがわかっていても、「今シーズン勝つために」という誘惑に勝てずに、FAとなる先発投手に大型契約をオファーする球団がいる可能性は十分です。

このバーランダーやサバシアの不調や故障が、このオフにFAとなるジョン・レスター(30歳)、マックス・シャーザー(30歳)、ジェームズ・シールズ(32歳)らの契約に、どのような影響をあたえるのか、そしてリスクを承知で大きく動く球団が現れるのか、今後のトレンドを読む上でも、その動向が注目されます。

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