シーズン中にはジョン・レスター、ジョン・ラッキー、ジェイク・ピービ、アンドリュー・ミラーらを放出して戦力補強し、シーズンオフに大型契約でハンリー・ラミレスとパブロ・サンドバルの2人を獲得するなどして、2015年の巻き返しにかけたレッドソックスでした。
しかし、結果は惨憺たるもので昨年と同様に地区最下位に沈んでいます。
しかも解決する見通しが立たない状況で、シーズンオフでのテコ入れが必要な状況となっているのですが、そのレッドソックスのシーズンオフの再建策についてボストン・グローブのニック・カファード記者が提案しています。
ボストン・グローブのニック・カファードによるシーズンオフの再建策とは?
ボストン・グローブのニック・カファードは”Here are some suggestions on how to fix the Red Sox – We examine what offseason moves Boston should consider”と題した記事で、レッドソックス関係者ではない他球団幹部、スカウトからの意見や提案をまとめた上で再建策を提示しています。
その内容は以下のとおりとなっています。
- イグザンダー・ボガーツを交換要員としてトレードでマット・ハービーを獲得する
メッツは攻撃力が課題で、特にショートでのタレントを必要としている。ボガーツは本塁打3本しか打っていないが、さらに長打力が期待できる。ボガーツがいなくてもデベン・マレロやブロック・ホルトで穴埋めが期待ができる。 - パブロ・サンドバルとジェームズ・シールズをトレードで交換する
サンドバルとシールズの契約は両チームにとって重荷になっている。パドレスはオフシーズンにサンドバルを欲しがりレッドソックスやジャイアンツ以上のオファーを出していた。シールズはア・リーグ東地区での実績もあるベテランの投手だ。フェンウェイ・パークでは防御率5.42と良くないが、最近の3試合の防御率は1.80と良い。サンドバルがいなくなってもトラビス・ショーかブロック・ホルトで埋めることができるかもしれない。 - デビッド・プライスと契約する
シーズンオフのFA投手では最大の目玉で唯一チームを変えることできる投手だ。マイク・ナポリとシェーン・ビクトリーノの2人に使っていた2900万ドル、そしてバックホルツの来季1300万ドルのオプションを行使しないことで資金繰りをして「真のエース」を獲得するべき。プライスと契約することは2016年シーズンに本気になっていることをファンへ示すことにもなる。 - ルスネイ・カスティーヨ以外の右翼手を探したほうが良いのではないか
来季以降に6250万ドルが残っているルスネイ・カスティーヨは本当にレッドソックスの右翼手として使えるのか?レッズのジェイ・ブルース、アスレチックスのジョシュ・レディックとの交換要員にするか、ジャスティン・アップトンと契約した方が良いのではないか。 - クリス・デービスの獲得
デビッド・オルティーズはプレーオフが難しくなってから調子を上げたがオプションが有効となり、来季もチームに戻ってくる。そうなるとハンリー・ラミレスをDHにすることができないし、一塁は守備面で不安が大きすぎるので難しい。そのためナポリが去った一塁にオリオールズからFAとなるクリス・デービスを獲得したら良いのではないか。 - ブルペンの再建のため少なくともミドルリリーバーの補強が必要
レッドソックスはレッズのアロルディス・チャップマンを獲得できるプロスペクトを持っているとかんがえられるが、トレード期限前の要求は応じれないものだった。もっと現実的な選択肢としてルーク・ホッチェンバー、ジム・ジョンソン、そして左の良いリリーバーを獲得する必要がある。
- 何もしない
これがもっとも現実的な選択肢かもしれないとのこと。ファンにファームからの若い選手に期待を持つように売り込んでいく。ヘンリー・オーウェンズ、ブライアン・ジョンソンに期待し、リック・ポーセロのバウンスバック、バックホルツが7年連続でDL入りしないことを信じる。現在は移行期間だとしてファンを納得させる。同様にビッグマーケットを持つフィリーズもこのようなことをやっている。 - ダスティン・ペドロイアをトレードしエンゼルスのアンドリュー・ヒーニーか、ヘクター・サンディアゴを獲得
この提案はボストン・グローブ内の専門家のもので、カファード記者は賛成ではないようです。というのも彼がチームのリーダーであり、チームを誰よりも愛しているからとのこと。ハウィー・ケンドリックの後、二塁手に困っているエンゼルスなら若い投手とのトレードに応じるのではないかということです。
というような内容を再建策として提案しています。
マット・ハービーはジェイコブ・デグロム、ノア・シンダーガードの2人とともに、チームの柱としてメッツのフロント陣は構想しているはずなので、このトレードは非現実的だと言えます。
またサンドバルとシールズに関しては、今季のサンドバルを見た後に、パドレスがシーズンオフに欲しがるとは思えません。シールズのほうがやはり価値が高いので、釣り合いがとれているかは微妙です。
デビッド・プライスとの契約は一番インパクトがあり必要なことですが、マックス・シャーザー並みの契約になる可能性があります。
30歳以上の投手に大型契約を好まないレッドソックスの方針から考えると、シャーザーの7年2億1000万ドル並みの契約を用意するかは微妙と言えます。
ペドロイアのトレードも非現実的ですし、残っている契約を考えるとルスネイ・カスティーヨが残りのシーズンでよほど悪くない限りは、可能性を試すために来季も残すのではないかと考えられます。
残りのシーズンでの選手のパフォーマンスに左右されますが、上記の再建策の中で現実的なものは、(1)それなり質のリリーバーの補強、(3)クリス・デービスの獲得、(2)何もしないというような動きになるのではないかと、現時点では予想されます。
大幅なロースターに組み換えに動くのか、それとも小規模な整備にとどめるのか
2015年シーズンに向けて4年8800万ドルで契約を結んで獲得したハンリー・ラミレスは打率.262/本塁打19/打点53/出塁率.302/OPS.748と期待はずれの成績である上に、レフトの守備に大きな不安を抱えています。
そして5年9500万ドルの契約を結んだパブロ・サンドバルは打率.253/本塁打9/打点35/出塁率.304/OPS.680とハンリー・ラミレス以上に期待はずれとなっています。
また先発ローテ候補として1年950万ドルで契約したジャスティン・マスターソンは防御率5.61/4勝2敗/WHIP1.60と不振を極め、先日DFAされました。
ヨエニス・セスペデスを交換要員として獲得し、シーズン開幕前に4年8250万ドルで契約延長したリック・ポーセロは防御率5.81/5勝11敗/WHIP1.44とエース価格の契約に見合わない成績の状態で故障者リスト入りをしています。
複数のプロスペクトをパッケージにして獲得し、リック・ポーセロと同様にシーズン開幕前に3年1925万ドルで更新したウェイド・マイリーは防御率4.68/8勝9敗/WHIP1.40と、こちらも期待はずれとなっています。
そして昨シーズン中にジョン・ラッキーのトレードで獲得したアレン・クレイグは3Aに降格したままです。
その時にクレイグとともに移籍してきたジョー・ケリーは不振でマイナー降格した後、再昇格しましたが、7月以降も19.0回で防御率7.10という惨状で、防御率5.96/4勝6敗/WHIP1.55とさらに成績を落としています。
一連の補強がことごとく外れてしまっている現状では、容易に大きな動きをしにくい状況とはなっています。
2014年のレッドソックスの開幕時の年俸総額は1億8434万5996ドルでしたが、来季はデビッド・オルティーズの契約を含めても1億2298万ドルしか固まっていないため、予算には余裕がある状態とはなっています。
ただ、トレードで多くのプロスペクトを出した現在でも多くのプロスペクトを抱えてもいるレッドソックスです。
リスクを覚悟で大幅なロースターに組み換えに動くのか、それとも小規模な整備にとどめてプロスペクトの躍進に期待するのか、その方針と動向が気になる2015年シーズン終了後のレッドソックスです。