MLBのロースターが26人になると試合が退屈に?スポーツイラストレイテッドが警鐘

現在、ロックアウトの可能性も高まっているため、より一層注目度が高まっているMLB機構と選手会が協議している新労使協定(New Collective Bargaining Agreement)です。

年俸総額が過剰なチームに課すぜいたく税、インターナショナルドラフトなど様々な内容が話し合われているのですが、その一つがアクティブロースターの拡大です。

現在のMLBではメジャーリーグの40人枠に登録されていて、さらに25人のアクティブロースターに入った選手が、メジャーの試合に出場ができます。

それが現在は25名となっていて、殆どのチームが先発投手5名、リリーフ投手7名の投手12名、野手13名という構成になっています。

そのアクティブロースターの枠を一つ増やして、26名とすることが検討されています。

日本メディアでは大谷が挑戦した際に二刀流に挑戦しやすくなる、田中将大が中5日で投げれることできるようになるなどが中心的に報道されています。

米メディアの観点は、もちろんそれらと異なるのですが、Sports IllustratedのTom Verducciの記事は興味深い問題を提起しています。

Tom Verducciは”Why expanding rosters to 26 players is a terrible idea for MLB”というタイトルの記事で、ロースターの拡大はMLBにとって良いことではないと警鐘を鳴らしています。

その理由は(1)投手優位がより強くなり点が入らなくなる(2)投手交代が増えることでプレーしていない時間が増えるし、試合時間も長くなる、というものです。

Tom Verducciは若い世代は多くのカメラを使って場面の切り替えが多くなっている映画や、同様に展開が早いゲームに慣れ親しんでいると述べます。

そのためロースター枠の拡大よってリリーフ投手が増えれば、より投手交代が多くなるため、プレーをしない退屈な時間が増える上に、試合時間そのものも長くなると、テンポの早い刺激に慣れ親しんでいる次世代には魅力的なスポーツではなくなってしまう可能性があると指摘します。

またブルペンに球速の速い投手がさらに加わることにより、打者が攻略することが難しくなり、点があまり入らない刺激の弱いゲームになってしまう可能性があることにも、Tom Verducciは危惧しています。

さらに、すでに投手が起用される回数が増えていること、試合時間が長くなっていることを指摘し、その傾向がさらに強まることに警鐘をならしています。

その証拠として、いくつかの事実を列挙しています。

Tom Verducciが列挙した試合時間と起用される投手の人数に関する情報は以下のとおりとなっています。

  • 9イニングで終了した試合で3時間30分を越えたものが186試合と、MLB史上2番めに多く、2007年と2008年の2つのシーズンを足した数よりも多い
  • 9イニングで終了した試合で6人以上の投手を起用して勝ったケースが228回あり、史上最多の数。1986年にはわずかに7回しかなかった。
  • 9イニングで終了した試合で5人以上投手を起用したチームは1428例あり、歴代最多というだけにととまらず、10年前から30%増、20年前から113%、30年前から510%と劇的に増えている。
  • 742名の投手が登板しているが、1977年(371)の2倍にあたる数字。2016年は1チームあたり24.8名を起用しているが、1986年は16.0名だった。

他にもTom Verducciは先発投手が投げた平均のイニング数についても言及しています。

  • 2016: 5.65
  • 2006: 5.82
  • 1996: 5.96
  • 1986: 6.19
  • 1976: 6.53

現在はデータ解析が発達したことにより、投手が相手打線の3巡目に失点することが多くなっていることがわかっているので、先発投手が3巡目の途中で降板する傾向が強まっていることもTom Verducciは指摘します。

ロースターが拡大して、投手が1人増えると、このような傾向はさらに強まることが確実で、プレーとプレーの間の時間が長くなり、試合時間も長くなります。

そして点が入りやすくなる前に次々と投手が交代し、しかも短いイニングを全力で投げてくるので、点も入りにくくなり、野球そのものが刺激の少ない、面白くないゲームになってしまうことにTom Verducciは警鐘を鳴らしています。

野球はスポーツの中でも「静」の時間が多く、そこに面白さがありはするのですが、テンポの早い展開になれた若い世代には退屈なスポーツになってしまう傾向があります。

それが投手交代による間延びがあれば、視聴者は他にチャンネルをかえる確率は高まりますし、退屈で新しいファンが球場に足を運ばなくなる可能性もあります。

Tom Verducciの指摘する内容は、日本プロ野球にも現れている傾向ではあります。

ロースター拡大による影響は、対岸の火事ではありますが、現在の野球の抱えている問題を指摘する興味深い記事なので、英語に抵抗がないかたは、読んでみると面白いと思います。

参照元記事名:Expanding rosters would mean more relievers—and that’s terrible for baseball
参照元URL:http://www.si.com/mlb/2016/11/22/roster-size-expansion-26

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