レッドソックスの先発投手陣はバウンスバックするのか?現在の低迷は不運が原因の可能性も

Boston Redsox Top Catch

レッドソックスのチーム防御率5.04が両リーグ最低で、先発投手陣に至っては5.75と壊滅的な数字で、クオリティスタートは22試合消化した時点で9試合にとどまっています。

元々、打線に比較してやり玉にあがることが多かったシーズンオフの先発投手陣の補強でしたが、この開幕から1ヶ月足らずのパフォーマンスの悪さに、補強の必要性を訴える声は少なくありません。

しかし、クレイ・バックホルツ、リック・ポーセロ、ウェイド・マイリー、ジャスティン・マスターソン、ジョー・ケリーという5人で、もうしばらくは回していくようだとボストン・グローブのアレックス・スピアー記者が伝えています。

スピアー記者によるとジョン・ファレル監督が先発投手を見極める上で6回から8回の登板と40イニング程度は見ないとわからないと話しているとのことです。

スポンサーリンク

2015年の22試合を消化した段階でのレッドソックス先発投手陣の現状

22試合終了時点のレッドソックス先発投手陣の投手別成績です。

  1. リック・ポーセロ
    5試合32.0回/防御率5.34/2勝2敗/WHIP1.25
  2. クレイ・バックホルツ
    5試合25.0回/防御率5.76/1勝3敗/WHIP1.56
  3. ジョー・ケリー
    4試合23.2回/防御率4.94/1勝0敗/WHIP1.10
  4. ジャスティン・マスターソン
    4試合22.2回/防御率5.16/2勝0敗/WHIP1.32
  5. ウェイド・マイリー
    4試合15.2回/防御率8.62/1勝2敗/WHIP1.79

現時点では、4-5試合しか投げていない段階のため、ジョン・ファレル監督が述べている8試合40イニングには到達していません。そのため少なくともこの5人が3-4試合を投げる期間、すなわち数週間はこの編成で行くことが予想されます。

そしてこの5人ではシーズンを戦えないと判断した場合でも、すぐにトレード市場に足を踏み込むのではなく3Aの投手を試す考えがあることをベン・チェリントンGMは話しています。

その3Aにいる投手として候補となりそうなのが、ヘンリー・オーウェンズ(21.0回・防御率4.29)、ブライアン・ジョンソン(21.0回・防御率0.86)、エドゥアルド・ロドリゲス(18.2回・防御率1.93)、マット・バーンズ(8回・防御率5.63 )などです。

現在の先発ローテ5人が機能しないとなれば、そのうちの何名かを3Aの投手に入れ替えて試してみることになるようで、それでもダメな場合に、名前が上がり続けているコール・ハメルズのトレードでの獲得が浮上することになりそうです。

そのようなプロセスを踏むとすれば6月中旬くらいまではチーム内部のオプションをいろいろと試すことになるのではないかと予想されます。

ベン・チェリントンGM-ジョン・ファレル監督の体制は忍耐強く先発投手を起用し続ける

ボストン・グローブのアレックス・スピアーは、ベン・チェリントンGMは先発投手を起用する場合に非常に忍耐強い人物だとして、チェリントンがゼネラルマネジャーを務めるようになってから、苦しんだ先発投手をどれだけ我慢して起用したかを検証しています。

その要約は以下のとおりとなっています。

  • クレイ・バックホルツ:2011年に腰の故障でシーズン後半を棒に降り、2012年に復帰も最初の6回の先発では防御率9.09とひどい数字に。それでも先発として起用し続けて、5月後半からの18試合では防御率2.79とバウンスバック。
  • ダニエル・バード:2012年に最初の9試合で最低でも5回は投げて防御率4.56だったところに、10回目の先発で1回2/3で6四球で5失点をした結果、防御率5.40・4勝6敗で先発から外される。
  • フェリックス・ドゥブロン:2013年の5試合の先発で3回2/3で6失点を喫し、防御率5.67に。12日間のブルペンへの移行を経て、そこから先発に復帰した後は19試合で防御率2.99。2014年にも9試合に先発し防御率5.14と苦しむ最中、車に肩をぶつけてDL。復帰後1試合はチャンスが与えられたものの4回2/3で3失点を期待に応えられず、ローテから外されることに。
  • ジェイク・ピービ:2014年前半に20試合に登板して防御率4.72・1勝9敗と苦しむ。ただ、最初の7試合では6試合がクオリティスタートで、防御率は2.87だった。

このような過去の事実から見て、ファレル監督が示唆した6-8試合にとどまらず、9-10試合程度は忍耐するのではないだろうかとアレックス・スピアー記者は予想しています。

補強が不要になる可能性もある?

多くのメディアからも酷評されているレッドソックス先発投手陣なのですが、シーズン後半にかけて成績を向上させる可能性が高いと予想する記事もあります。

Fan Graphsのクレイグ・エドワーズはFIPという投手の実力を示す指標は悪くないし、失点に大きな影響があるものの運に左右されやすいLOB%(残塁率)が低すぎるため悪くなっているので、シーズンが進むに連れて数字が向上する可能性が高いと予想しています。


  • LOB%(残塁率):LOB%が高いと残塁が多くなるため失点が少なくなり、逆に低いと残塁が少なくなり失点が多くなる。投手のがコントロールすることが難しい指標で、運の影響を受けやすい。投手のタイプに関わらず、多くの投手がリーグ平均前後に落ち着くとされていて、そこから大きく外れた場合は、翌年以降にその平均値に戻る傾向がある。MLBでは70%から72%、近年のNPBでは72%-75%程度。
  • FIP(Field independence Pitching):味方チームの守備力の影響を除外して、投手の実力を測るための指標で、与四死球、本塁打、奪三振、投球イニングを元に算出する擬似防御率。防御率よりもFIPが低ければ味方の守備によって自責点が増えていると考えられ、FIPよりも防御率が低ければ、味方の守備によって自責点が減っていると、一般的に考えられている。

その先発投手陣のFIPやLOB%を含めた2015年のシーズン成績は以下の表のとおりとなっています。

Redsox Starters Stats 20150430

投手の実力を示すとされるFIPは5人ともに防御率よりも優れていて、クレイ・バックホルツに至ってはFIPが防御率よりも2.97も良く、この差3.11はジョン・レスターに次ぐ2番目に大きいものだとクレイグ・エドワーズは指摘しています。

つまりバックホルツは見た目の防御率よりも遥かに良い投球をしていることになります。

それは他の投手も同様でジョー・ケリーはFIPが3.60と防御率よりも1.34も良く、ジャスティン・マスターソンのFIP3.88は防御率よりも1.59も良くなるなど、先発投手陣全体として表面上の防御率よりも良い投球をしていると考えることができる数字が残っています。

いずれの投手もLOB%が4月の時点では非常に低く運に恵まれていない状態で、それぞれのキャリア平均よりも低いため、今後LOB%が高くなっていき、失点が少なると予想されます。

またレッドソックスの先発投手陣の4月のLOB%が59.3%を極めて低く両リーグ最低なのですが、クレイグ・エドワーズはだいたいがリーグ平均に近づいてくLOB%の性質上、レッドソックス先発投手陣のLOB%が今後向上する可能性が高く、失点が減るだろうと予想しています。

過去5年間の先発投手の4月LOB%が両リーグ最低だったチームの、シーズン終了時点のLOB%との比較をまとめた表は以下のとおりとなっています。

2010-14MLB Team Worst LOB

いずれのチームの、シーズン終了時点ではLOB%が4.8から最大で8.2%上昇しています。過去5年間のデータと比較してもレッドソックスの59.3は極めて低い数字のため、揺り戻しが起こって数字が高くなると予想されます。

2010年以降で一番悪いLOB%が2012年のインディアンスの65.3%のため、仮にレッドソックス先発投手陣のLOB%が、それと同じ数字に落ち着いても、6%は向上することになります。

残塁率(LOB%)が高くなるということは多くの塁に多く走者が残っていることになりますので、失点も少なくなります。

つまり、今は運が悪い状態が続いて防御率が悪くなっているものの、65%以上の数字に戻っていこうとする揺り戻しが起こるので、今後は逆に高いLOB%になり、失点が少なくなる可能性が高い状況だということです。

勝負の世界においては実力と同時に、運や流れというものも勝敗を決する大きな要素です。上記のようなLOB%を見る限り、レッドソックスの先発投手陣が本当に酷い投球をしているというよりも、不運に見舞われている4月だったと考えることができます。

ただ、今の先発ローテが同様の防御率が続くようでは、チームが勝つことができませんので、何かしらのテコ入れが必要にならざるをえません。

レッドソックスは、仮に現在の”Wait and See(成り行きを見守る)”というアプローチがうまくいかない場合には、必要であれば大物投手を獲得できる資金力とプロスペクトの層を持つ数少ないチームの1つですし、現時点のような先発投手の防御率でも勝てるだけの打線の得点力があります。

記者によっては、先発投手陣からエースが出てくるのどうかを判断するのを待てるだけの時間をつくるために、打線の強化に力を注いだという見方もあります。

レッドソックスのファンは、先発投手陣を忍耐強く見守る必要があるものの、シーズン全体の見通しは悪く無いと言えるのではないでしょうか。