リック・ポーセロに4年8250万ドルは過大評価?大型契約延長の是非について

Boston Redsox Top Catch

2014年シーズンのトレード期限前にエースのジョン・レスター、No.2スターターのジョン・ラッキー、ジェイク・ピービ、リリーフのアンドリュー・ミラーら放出して、プロスペクトとともにメジャーレベルで通用する選手を獲得したレッドソックスでした。

ジョン・レスターのトレードではオークランド・アスレチックスからヨエニス・セスペデスを獲得しました。

2015年の巻き返しの中核になることを期待してヨエニス・セスペデスを獲得したものの、フリースインガーのため、出塁率を重視するチーム方針と合わないことや、ライトへのポジションを変えることに前向きではない、そして2015年シーズン終了後にFAとなるなどの理由でトレード要員となりました。

そのセスペデスのトレードで、タイガースから獲得したのがリック・ポーセロでした。

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MLB史上で2000万ドル以上の年俸の契約を手にした投手はわずか

リック・ポーセロはスプリングトレーニングでは4試合14.0回で防御率2.57/WHIP1.29と安定した投球を見せた後、シーズンが開幕する4月6日に契約延長で合意したことが発表されました。

リック・ポーセロは2015年が年俸調停3年目で、シーズン終了後にFAとなる予定だったのですが、すでに2015年は1250万ドルで合意していたところに、追加するかたちでの4年8250万ドルの契約延長でした。

リック・ポーセロの契約延長は、レッドソックスの一員としては、レギュラーシーズンで1球も投げていない時点だったのですが、契約年数は4年(2016-19)と短めではあるのですが、8250万ドルと年平均では2000万ドルを越えるエース価格と言える金額となっています。

リック・ポーセロの契約の内訳は以下のとおりとなっています。

  • 2015(26歳) 1250万ドル(年俸調停最終年)
  • 2016(27歳) 2012万5000ドル
  • 2017(28歳) 2012万5000ドル
  • 2018(29歳) 2112万5000ドル
  • 2019(30歳) 2112万5000ドル

レッドソックスが30試合を終えた時点でのリック・ポーセロの成績は6試合39.0回で防御率4.38/WHIP1.23となっています。守備に依存しない投球の実力を示すとされるFIPが4.28と防御率よりも良いことは救いなのですが、エースと考えるには物足りないパフォーマンスであることは否定できません。


  • FIP(Field independence Pitching):味方チームの守備力の影響を除外して、投手の実力を測るための指標で、与四死球、本塁打、奪三振、投球イニングを元に算出する擬似防御率。防御率よりもFIPが低ければ味方の守備によって自責点が増えていると考えられ、FIPよりも防御率が低ければ、味方の守備によって自責点が減っていると、一般的に考えられている。

今シーズンの年俸であればまだ許容範囲ですが、現時点で2000万ドル以上の年俸の投手は、ポーセロ以外にMLB史上でも15名しかいないことを考えると払いすぎになるリスクは秘めています。

先発投手で平均2000万ドル以上の契約を手にしている選手は以下のとおりです。

1. クレイトン・カーショー(3071万4286ドル)
2. マックス・シャーザー(3000万ドル)
3. ジョン・レスター(2583万3333ドル)
4. ジャスティン・バーランダー(2571万4286ドル)
5. フェリックス・ヘルナンデス(2500万ドル)
6. ザック・グレインキー(2450万ドル)
7. C.C.サバシア(2440万ドル)
8. コール・ハメルズ(2400万ドル)
8. クリフ・リー(2400万ドル)
10. ヨハン・サンタナ(2291万6667ドル)
12. 田中将大(2214万2857ドル)
13. マット・ケイン(2125万ドル)
>14. リック・ポーセロ(2062万5000ドル)
15. ティム・リンスカム(2025万ドル)
16. ロイ・ハラデー(2000万ドル)

リック・ポーセロは「信頼できるNo.3投手」というのが一般的な評価なため、エース格の金額を支払う契約延長をレギュラーシーズン前に結ぶ必要があったのかは、やや疑問が残ります。

エース格の年俸を支払うには疑問が残るこれまでのリック・ポーセロ

リック・ポーセロの2015年5月9日終了時点の年度別成績は以下の表のとおりとなっています。

Rick Porcello Stats 20150510

ポーセロは2014年こそ防御率3.43と3点台だったものの基本的には4点台半ばの防御率のシーズンが多いため、通算成績では防御率4.30/79勝65敗/WHIP1.36となっています。

このような防御率の推移を見れば大型契約を提示するには物足りないという判断になるのですが、味方の守備力の影響を排除した投手の実力を示す指標とされるFIPは2012年から3年連続で3点台となっています。

2012年から2014年の3年間通算の先発投手としての防御率は4.11ですが、FIPは3.71と防御率よりも良いため、表面的な防御率よりは実力があるとは考えられる近年3年間のリック・ポーセロでした。

しかし、防御率よりもFIPが良いというだけであって、2009年から2014年までの通算FIPは4.03と4点台で、近年3年間のFIP3.71もエースとしては物足りないものです。

2009年から2014年までの通算FIP4.03は、この期間の先発投手の中で98番目となるもので、30球団あることを考えると、やはり3番手クラスの成績となります。

また2012年から2014年の3年間のFIP3.71は46番目という数字で、こちらも良くて先発2番手という位置づけになる程度の数字です。

さらに気になるのが2015年シーズンになってゴロアウト比率が減り、被本塁打が多くなっていることです。

レッドソックスがポーセロを気に入っていた理由はゴロアウト比率が高く、両翼が狭いフェンウェイ・パーク向きだと考えられていたことがあるのですが、今シーズンはキャリア平均(1.55)を下回るゴロ比率(1.22)になっています。

その結果、被本塁打率もキャリア通算平均の0.95を上回る1.38となっています。被本塁打が多いのは狭いフェンウェイ・パークが本拠地となったことも割り引く必要はあるものの、期待されたゴロを打たせる能力を発揮できていません。

ベン・チェリントンGMは「トレードを成立させる時には、すでに契約延長を視野に入れていた」と話していましたが、タイガース時代のポーセロの成績やレッドソックス移籍後の成績と、結んだ契約の規模を比較して見ると、やや過大評価の可能性がありそうです。

レッドソックスは26歳から30歳と投手として一番良いと考えられる時期のリック・ポーセロをロックできたと考えていたはずですが、いまのところは思い通りには行っていません。

リック・ポーセロの年齢が若いこともあり、これからエースに飛躍する可能性があると踏んで契約延長だったと考えられるのですが、レッドソックスの目論見どおりになるかどうかは、今後のチーム編成にも小さくない影響があります。

リック・ポーセロがレッドソックスが期待したようなエースになれるのか?それともタイガース時代と同様の3番手クラスの投手になるのか?それともそれ以下の投手になってしまうのか?その今後が注目されます。