2019年クオリファイングオファーが与えるフリーエージェント市場への影響は?

クオリファイングオファー(QO)を提示し、拒否された球団が獲得できる補償、すなわちドラフト指名権は新しい労使協定で大きく変更されました。

2018-19シーズンオフのクオリファイングオファーも、当然のことながら新しい労使協定で定められたルールに従ったもののとなります。

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1. 新労使協定でのクオリファイングオファー

新しい労使協定では、クオリファイングオファーに関して様々な変更がなされました。

1. クオリファイング・オファーの概要 クオリファイング・オファー(Qualifying Offer)はFAとなる選手に、所属チー...

クオリファイングオファーを拒否した選手を獲得する球団が失うドラフト指名権が変更されたのですが、同時にクオリファイングオファーを提示し拒否された球団が獲得できるドラフト指名権(補償)も変更されています。


  • 拒否されたチームが「レベニュー・シェアリングの対象」で、「拒否した選手の新契約の総額5000万ドル以上」

    → 拒否されたチームは「1巡目と戦力均衡ラウンドAの間の指名権」を獲得できる。

  • 拒否されたチームが「レベニュー・シェアリングの対象」で、「拒否した選手の新契約の総額5000万ドルに満たない」

    → 拒否されたチームは「2巡目指名の後に行われる戦力均衡ラウンドBが終わった後の指名権」を獲得できる。

  • 拒否されたチームが「ぜいたく税の基準を超過」

    → 拒否されたチームは「4巡目の後の指名権」を獲得できる。

  • 拒否されたチームが「ぜいたく税の基準以下で、なおかつレベニュー・シェアリングの対象外」

    → 拒否されたチームは「2巡目指名の後に行われる戦力均衡ラウンドBが終わった後の指名権」を獲得できる。


これらのルールをそのまま適用した場合のドラフトの指名は以下のような流れとなります。

  • 1巡目指名
  • 補償指名(該当チームがある場合のみ)
  • 戦力均衡ラウンドA
  • 2巡目指名
  • 戦力均衡ラウンドB
  • 補償指名(該当チームがある場合のみ)
  • 3巡目指名
  • 4巡目指名
  • 補償指名(該当チームがある場合のみ)
  • 5巡目指名

2. クオリファイングオファー提示の5球団が手にできる補償は?

クオリファイングオファーを提示したのはレッドソックス、ドジャース、アストロズ、ナショナルズ、ダイヤモンドバックスの5球団となっています。

このうちレッドソックスとナショナルズがぜいたく税の基準額を超過、ダイヤモンドバックスはレベリューシェアリングの対象ですが、ドジャースとアストロズは対象外となっています。

これらの情報を前提に、選手がQOを拒否し他球団と契約した場合に、手にできる可能性があるドラフト指名権は以下のとおりとなっています。

  • レッドソックス – クレイグ・キンブレル「4巡目の後の指名権」
  • アストロズ – ダラス・カイケル「2巡目指名の後に行われる戦力均衡ラウンドBが終わった後の指名権」
  • ナショナルズ – ブライス・ハーパー「4巡目の後の指名権」
  • ドジャース – ヤスマニ・グランダルと柳賢振「2巡目指名の後に行われる戦力均衡ラウンドBが終わった後の指名権」
  • ダイヤモンドバックス – パトリック・コービンとA.J.ポロック
    • 選手が5000万ドル以上の契約を手にした → 「1巡目と戦力均衡ラウンドAの間の指名権」
    • 選手が5000万ドル未満の契約を手にした → 「2巡目指名の後に行われる戦力均衡ラウンドBが終わった後の指名権」

以前のルールであれば、いずれのチームも1巡目指名と戦力均衡ラウンドAの間の指名権を獲得できていましたので、クオリファイングオファーを提示することの価値は下がったと言えます。

3. クオリファイングオファーを提示した5球団の意図は?

ドジャースが2名の選手に提示しているのは「ドラフト指名権」を重視したというよりも、他球団に「ドラフト指名権を失わせる」という契約へのハードルを加えて、再契約しやすくするためではないかと考えられます。

柳賢振もしくはヤスマニ・グランダルが拒否してフリーエージェントを選択した場合には、獲得するチームは以下のような痛手を被ります。

  • 前シーズンにぜいたく税の基準を超過:「上位2番目と5番目の指名権」「インターナショナル・ボーナスプールの100万ドル」を失う。
  • 前シーズンにぜいたく税の基準内で、レベニュー・シェアリングの対象外:1巡目より後に保有する指名権の「上位2番目の指名権」と「インターナショナル・ボーナスプールの50万ドル」を失う。もう一人同様の選手と契約した場合には3番目の指名権を失う。
  • レベニュー・シェアリングの対象:「上位3番目の指名権」を失う。

ドジャースのベストのシナリオは「クオリファイングオファーを拒否してFAになってもらった後に、安い金額で再契約」ではないかと考えられます。

ダイヤモンドバックスは主力選手の放出も視野に入れているオフで、再建へ舵をきる可能性が高まっています。パトリック・コービン、A.J.ポロックともに他球団で契約してもらって、上位のドラフト指名権を獲得するというのが目論見かと思われます。

ナショナルズはブライス・ハーパーとの再契約を目指していますので、「ライバルを減らすこと、ライバルが契約をためらう要素を増やすこと」が目的で、レッドソックスとアストロズは基本的には流出を想定しつつ、市場が敬遠して価格が下がった場合に再契約をしやすくしているという面がありそうです。

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