FAの時代から育成の時代へ!?米メディアが指摘するヤンキースの深刻な問題

レッドソックスが本拠地するボストンの隣にあるプロビデンスという都市があります。その都市の地元紙であるプロビデンス・ジャーナルがヤンキースの問題点を指摘する記事を掲載しています。

ヤンキースに生え抜きの選手が少なく、高齢の選手ばかりであることに加えて、MLB全体の傾向として若いFA選手が減少していることなどを理由として、ヤンキースが追い込まれつつあることを指摘しています。

現在のMLBのトレンドとともにヤンキースの抱える問題を知る上で、とても整理された記事でしたので、紹介したいと思います。

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ヤンキースは崖を飛び降りる時が近づいている?

プロビデンス・ジャーナルは、このオフにヤンキースが行った大型補強はチームの根本的な問題を解決するには至らず、表面的に繕ったにすぎないと厳しく指摘しています。

そして、以下のようなヤンキースの問題点を指摘しています。

  1. 生え抜きの選手が少ない

    ロビンソン・カノを失い、中心となるべき生え抜きのスターをヤンキースは失ってしまい、残る主な選手は以下のとおりです。

    • ブレッド・ガードナー(30)
    • イバン・ノバ(27)
    • デビッド・ロバートソン(29)
    • ヤンガービス・ソラーテ
  2. 主力が高齢の選手ばかり

    規定投球回数と規定打席に到達している主力が高齢の選手ばかりになっている。

    • デレク・ジーター(40)
    • 黒田博樹(39)
    • アルフォンソ・ソリアーノ(38)
    • カルロス・ベルトラン(37)
    • ブライアン・ロバーツ(36)
    • マーク・テシェイラ(34)
    • C.C.サバシア(33)
    • ケリー・ジョンソン(32)

    そしてステロイドとアンフェタミンの使用の取り締まり強化の結果、32歳の以上の選手が成績を残せなくなっていること。

    10年前は32歳以上の400打数以上の選手で長打率が.400を超えていた選手が49名いたが、近年3年間で1度も30名を超えてはないと指摘しています。つまり32歳を超えると多くの選手が成績を落としているということです。

  3. ドラフトと育成の戦略がうまくいっていない

    2005年の豊作と言われるドラフトで、レッドソックスはバックホルツ、エルズベリー、ローリーを指名。

    しかし、ヤンキースはその年にガードナーを獲得しているが、ダグ・フィスターは指名するもサインできず、その年に指名して獲得したオースティン・ジャクソンとイアン・ケネディをトレードで放出している。

    2011年にレッドソックスはプロスペクトのジャッキー・ブラッドリーJr.を36番目、ケン・オーウェンズを40番目で指名しているが、ヤンキースはラファエル・ソリアーノの獲得によって31番目の指名権を失い、51番目にしか指名できず。

  4. MLB全体が若い選手との30前半までの契約延長が増えている
    どのチームも早い段階で若い選手と30歳から32歳までの契約延長をしている。そのためFA市場に出るのは高齢の選手が多くなっている。

というような問題点を記事では指摘し、ヤンキースの今後の見通しが明るくないとしています。

ヤンキースの戦略は時代遅れに?

さらに簡単にまとめると、ヤンキースはFAで大物選手を獲得する結果、クオリファイングオファーの制度があるため上位のドラフト指名を失い、有望な選手をドラフトで指名できなくなっている。

またトレードで大物を獲得するために、有望な選手をカードとして使ってきたので、生え抜きの若い有望な選手がいない。そのため、戦力を強化するにはヤンキースは大金を払ってFAで獲得するしかない状況になっている。

しかし、MLB全体が若い選手との契約延長が増え、実績のある選手は32歳を超えてからしかFAにならず、仮に獲得できても、パフォーマンスは落ちる可能性が高く、しかも故障のリスクが高くなるなど、ヤンキースの戦略が通用しにくい状況になっているということです。

ヤンキースは資金的には大金を支払うことが可能ですが、それに見合うような若い有望な選手がFA市場に出ることが少なくなってきています。

この記事の中でも指摘がありましたが、ドジャースのクレイトン・カーショウ、エンゼルスのマイク・トラウト、パイレーツのスターリング・マルテ、カージナルスのマット・カーペンターなど若い有望な選手は早々に30歳から32歳までの一番良い年齢までの契約延長をしています。

ヤンキースが獲得できるのは、どんなに大金を用意しても、どうしてもその年齢を超えた選手となってしまう上に、それらの選手は実績もあるため、FAとなって要求してくる契約年数は長く、金額も大きいものとなってしまいます。

それを避けるために、大物選手をFAとなる前にトレードで獲得しようとしても、ヤンキースはドラフト指名と育成がうまくいっていませんのでプロスペクトが少な過ぎて交換要員がいません。

以前に当ブログで、アルバート・プホルスの成績の急落について記事にしました。

参考記事:アルバート・プホルスの不調が続く・・・残る大型契約は不良債権化?

その際に高齢のプレーヤーが活躍できなくなっている原因として禁止薬物の取り締まりが強化されたことと、MLB全体のトレンドとして若い選手との30歳くらいまでの契約延長が増えていて、FAに頼る戦略を多くのチームがとらなくなりつつあることを紹介しました。

このような現在のトレンドを見ていると、FA補強に比重を置いているチームが徐々に厳しい状況に追い込まれることが予想されます。

このヤンキースが直面しつつある問題は、デトロイト・タイガースにもその時が近づきつつあり、タイガースは崖が近づいていると、少なくないアメリカの専門家が指摘しています。

また似たような問題を抱えているチームとして名前があげられるのはフィリーズとドジャースですが、フィリーズはゆるやかに再建モードに向かいつつあり、ドジャースは海外からの選手獲得や育成も強化していていて、プロスペクトが育ってきています。そのためチームが生え抜きで機能するための準備も怠っていません。

しかし、ヤンキースがチームを立て直そうとしても、問題になるのは、負けることが許されないという宿命めいたものを抱えていることです。

ヤンキースは完全に後手後手に回っていて、ぜいたく税、クオリファイングオファーなどのMLBの制度、そして若い選手との契約延長などの全体的なトレンドに乗り遅れてしまい、悪いサイクルにいることは否めない状況です。

かつてのジーター、リベラ、ポサダ、ペティットのようなスターとなるような選手を育てながら、勝ち続けるという難題に取り組まないといけないヤンキースが、どのようにチームを作っていくのか今後も注目されます。