■ ピッツバーグ・パイレーツの2017年シーズン戦力分析の目次
1. 2016年シーズンの主要な成績の一覧
ピッツバーグ・パイレーツの2016年シーズンの、打撃、守備、投手の主要な成績の一覧です。
攻撃 | スタッツ(リーグ順位) |
---|---|
得点 | 729(6位) |
打率 | .257(5位) |
出塁率 | .332(3位) |
長打率 | .402(10位) |
OPS | .734(6位) |
本塁打 | 153(12位) |
盗塁 | 110(6位) |
盗塁成功率 | 71%%(7位) |
守備 | スタッツ(リーグ順位) |
---|---|
UZR | -33.0(13位) |
DRS | -17(10位) |
投手 | スタッツ(リーグ順位) |
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防御率 | 4.21(9位) |
先発防御率 | 4.67(11位) |
ブルペン防御率 | 3.57(5位) |
セーブ数 | 51(3位) |
セーブ成功率 | 71.83%(3位) |
攻撃力、投手力、守備力ともに酷くはないものの、良くはないという数字が並び、2015年の98勝から78勝83敗と負け越しに転じてしまうのもやむをえない状態でした。
2. 2016-17シーズンオフの戦力補強動向
2016-17シーズンオフの戦力補強動向の一覧は以下のとおりとなっています。
獲得/流出 | 選手名(ポジション) |
---|---|
流出 | ショーン・ロドリゲス(2B) |
流出 | マット・ジョイス(RF) |
流出 | ネフタリ・フェリス(RP) |
流出 | ジェフ・ロック(RP) |
流出 | ライアン・ボーグルソン(SP) |
再契約 | イバン・ノバ(SP) |
再契約 | ダニエル・ハドソン(RP) |
トレード獲得 | フィル・ゴセリン(UT) |
年俸総額の制約が大きいチーム事情もあり、主な戦力補強というよりは戦力の流出を最小限に食い止める動きで、イバン・ノバと3年2600万ドル、ダニエル・ハドソンと2年1100万ドルと契約を結んでいます。
3. 2017シーズン開幕時のロースター編成の予想
ピッツバーグ・パイレーツの2017年シーズン開幕時に予想される先発スターティングメンバー、ベンチ要員、先発ローテーション、ブルペンの編成などは以下のとおりとなっています。
【先発スターティングメンバー】
- ジョシュ・ハリソン(2B)
- ジョシュ・ベル(1B)
- アンドリュー・マカッチェン(RF)
- スターリング・マルテ(CF)
- グレゴリー・ポランコ(LF)
- デビッド・フリース(3B)
- フランシスコ・セルベリ(C)
- ジョーディー・マーサー(SS)
【ベンチ要員】
- クリス・スチュワート(C)
- ジョン・ジェイソ(1B/OF)
- アレン・ハンソン(UT)
- アダム・フレイジャー(UT)
- フィル・ゴセリン(UT)
2016年に守備力の低下が目立ったアンドリュー・マカッチェンがライトに移動し、センターにスターリング・マルテがまわり、本拠地のレフトが広いこともあり、グレゴリー・ポランコが守ることに。
昨年、打率.255/出塁率.354/長打率.513/OPS.867、21本塁打、62打点とメジャーでも通用するパワーがあることを証明した姜正浩が今季はアメリカでプレーできない可能性があります。
母国で飲酒運転で3度目の逮捕を受けて執行猶予つきの有罪判決を受けたのですが、そのことにより米国大使館がビザの発行をしない方針であることを複数の米メディアが伝えていて、今季のプレーは難しい状況です。
そのためサードはデビッド・フリースが守ることになる見込みです。
【先発ローテーション】
- ゲリット・コール(右)
- ジェイムソン・タイヨン(右)
- チャド・クール(右)
- イバン・ノバ(右)
- トレバー・ウィリアムズ(右)
【ブルペン】
- CLO:トニー・ワトソン(左)
- SET:ダニエル・ハドソン(右)
- SET:フェリペ・リベロ(左)
- RP1:フアン・ニカシオ(右)
- RP2:タイラー・ウェッブ(左)
- RP3:アントニオ・バスタルド(左)
- RP4:ウェイド・ル・ブラン(左)
クローザーはマーク・メランソンがトレード放出された後を任されたトニー・ワトソンが務めることに。ロングリリーフは西武でもプレーしたウェイド・ルブランの責任分担に。
課題はエースのゲリット・コールの後にNO.2を務めることができる投手が見当たらないことで、ホセ・キンタナのトレード獲得を模索も、条件面で折り合えず。プロスペクトとして期待されてきたジェイムソン・タイヨンのステップアップが期待されることに。
4. 寸評・評価
打線に関しては姜正浩がプレーできない可能性が高いこともあり、より重要になるのがアンドリュー・マカッチェンの復活となります。
2012年から2015年にかけて打率.313/出塁率.404/長打率.523/OPS.926、100本塁打、76盗塁と活躍し、4年連続でMVP投票でトップ5になったマカッチェンでしたが、2016年は苦しみました。
2016年は打高投低のシーズンだったのですが、打率.256/出塁率.336/長打率.430/OPS.766、24本塁打、79打点と数字を大きく落としています。
好材料なのはシーズン終盤には成績を向上させていることで、復活が期待されます。
ただ、マカッチェンは今季の年俸が1400万ドル、来季のチームオプションも1475万ドルとパイレーツにとっては大きな負担で、MLB全体でNO.8の評価を得ているオースティン・メドウズ(Austin Meadows)外野手が3Aまで来ているため、いつトレードに出されても不思議ではない立場となっています。
先発ローテに関してはジェイムソン・タイヨンがステップアップすること、3Aで開幕を迎えることになるもののプロスペクトのタイラー・グラスノーらがフロントスタータークラスの戦力になれば、安定感と厚みは増すことになりそうです。
低予算でありながらも直近の4年間で358勝と、カージナルスの373勝、ドジャースの369勝、ナショナルズの360勝に次ぐで4番目の成績を残しているパイレーツです。
その原動力は「選手育成力」、クリント・ハードル監督、レイ・シーレージ投手コーチらの手腕によるところが大きいものがあります。
ニール・ハンティントンGMもチームの中長期的な編成を考えると、ホセ・キンタナにプロスペクトのパッケージを出すことはできなかったと話し、チームの財政事情もあり、引き続き育成に力を入れていく方針です。
戦力的にはカブス、カージナルスからは見劣りするものであることは否定できず、タイラー・グラスノー、オースティン・メドウズの他にもメジャー昇格を控えるプロスペクトがハイレベルにいますので、それらの選手による内部からのインパクトがポストシーズン進出には欠かせないものとなりそうです。
それでも地区3位でワイルドカード争いに絡んでいくことができるかどうかというラインになりそうなパイレーツです。