「本塁打だけの打者」は今年のオフも苦しむ?大型契約を手にするために必要なこと

2016-17シーズンオフは長距離打者はどちらかと言えば「冷遇」され大型契約を手にできませんでした。

ヨエニス・セスペデスは4年1億1100万ドルを手にしたものの、エドウィン・エンカーナシオンは3年6000万ドルと1億ドルの大台には大きく及ばず、キャリアハイの34本塁打を打ったマイク・ナポリは1年800万ドルにとどまりました。

そして最も冷遇されたとも言えるのは2016年のナ・リーグ本塁打王だったクリス・カーターで、年俸調停によって800万ドル程度になる年俸を嫌ったブルワーズが契約を提示せず、最終的にヤンキースと1年350万ドルの契約を結ぶにとどまりました。

パワーヒッターの評価が高まらない2016-17シーズンオフだったのですが、どうやら2017-18シーズンオフも同様の傾向となる気配です。

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シーズン中のトレードで目玉の一人となるはずだったJ.D.マルティネスですが、激しい争奪戦とは言い難い市場の動きで、デトロイト・タイガースが得た見返りは期待とはかけ離れたものでした。つまり、J.D.マルティネスであってもトレード市場での評価は抜群ではなかったということになります。

シーズンオフと同様の傾向がシーズン中にも見られたことになるのですが、本塁打が量産されている2017年シーズンの影響を受けて、さらにパワーヒッターがFA市場で苦しむ可能性が高まっています。

ESPNのバスター・オルニー氏は以下のように書いています。

As of Wednesday morning, exactly 110 hitters in the big leagues had 19 or more homers for the 2017 season. The single-season industry record for homers will be obliterated sometime in the middle of September, and by season’s end, there could be something in the range of 120 batters with 20 or more homers. About 40 hitters will finish with 30 or more homers. Only 150 hitters will have enough plate appearances to qualify for a batting title, meaning that the majority of regular players will have 20 or more homers.

今季はすでに110名の選手が19本塁打以上を記録していて、最終的には120名の選手が20本塁打以上を打つことになりそうだと、バスター・オルニー氏は述べます。その上で規定打席数に到達するであろう選手は150名程度であると指摘します。

つまり規定打席に到達する大半の選手が20本塁打以上を打つことになる状況だということです。そのため「本塁打を打てる選手」が多くいることになりますので、需要と供給の関係で、パワーヒッターの価値が下がることになります。

Free agents figure to be hurt the worst, as Carter, Napoli and others were last winter. Arbitration-eligible players could see salaries bumped upward by augmented home run numbers, because this system continues to be stacked on top of old-school statistics — wins for pitchers, for example, and RBIs and home runs. Almost all teams rely significantly on advanced metrics these days, but baseball’s antiquated arbitration process still values saves and homers more than WAR.
“But that’s why the Brewers cut [Carter],” one evaluator said. “They weren’t going to pay for the home runs, when they could find someone else for less money.”

FA選手たちはカーターやナポリのように苦しむことになるだろうとオルニー氏は述べています。その後、カーターがなぜブルワーズから契約を提示されなかったについて説明されています。

セイバーメトリクスを重視するチームが増えているのですが、年俸調停のプロセスではいまだに旧来からの勝利数、本塁打数、打点などのデータが重視されています。その結果、表面的な成績は素晴らしいにも関わらず、チームからの評価はさほど高くないという乖離が生じていしまいます。

ブルワーズはセイバーメトリクスなどのデータなどを総合的に判断した上で、42本塁打を打ったクリス・カーターに800万ドルを支払うのは妥当だとは考えず、他の安い選択肢を探すようになったと、ある選手評価担当者がカーターが切られた理由を説明しています。

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パワーだけの選手というのはセイバーメトリクスに加えて、スタットキャストなどの最新の技術が導入されたことにより、ただ本塁打を多く打てるということの価値は下がってきています。そのためパワーだけでなく、その他のスキルを併せ持たないと大型の契約は難しいと予想する選手評価担当者が少なくないとバスター・オルニー氏は述べています。

では、どのようなスキルが必要なのかということになるのですが、オルニー氏は以下の3つが重要になると予想しています。

  1. 守備力
  2. 複数のポジションを守れる
  3. 打球をフェアゾーンに飛ばせる(三振が少ない)

ある選手評価担当は「ジェイソン・ヘイワードが手にしている契約が物語っている。多くのチームが高い守備力を求めているので、8年1億8400万ドルに加えて2回オプトアウトができる権利が付帯している大型契約を手にできた」と話していることをオルニー氏は紹介します。

この選手評価担当者は「キャリア全体のOPSが.700を切っているジェイソン・カストロがツインズと3年2450万ドルという1年あたり800万ドルから900万ドルを手にできる契約を結べたのは捕球技術が優れているからだ」と述べて、守備へのニーズが高いをさらに強調しています。

オルニー氏はこれらの選手評価担当者の声に加えてカストロは6年間で62本塁打しが打っていないが、クリス・カーターの7倍もの金額を手にしていると付け加えています。

2番目のポイントの代表例がシカゴ・カブスのベン・ゾブリストです。34歳という年齢でありながら4年5600万ドルの契約をカブスと結んだのですが、争奪戦に参戦していたメッツも同様の金額を提示したとされています。セカンドだけでなく、外野、そして緊急時にはショートを守れるということが、そのような契約を手にできるファクターだったとオルニー氏は述べています。

その上で、ある球団幹部が「もし私が選手のエージェントだったら、複数のポジションを守れるように練習するようアドバイスする。市場で有利な立場に立つことができるからだ。」と話していることを紹介し、守備のポジション面での柔軟性が重要だとオルニー氏は述べています。

最後は「フェアゾーンに飛ばすという」ものです。

三振が多いパワーヒッターを探すのは簡単だが、三振が少ない打者は稀で、高額の契約を手にしているとオルニー氏は述べて、ジョーイ・ボット、マイク・トラウト、ジャスティン・ターナー、ダスティン・ペドロイア、バスター・ポージーらの名前を挙げています。

この5人は「最低でも300打席以上に立った上で、三振の数よりも四球を選んだ数のほうが多い」という条件を満たしている選手です。

MLB全体でも三振率が12%を下回るプレイヤーはわずかに14名だけで、三振が少ないことは打者として希少価値があるとオルニー氏は述べています。その例としてある選手評価担当者がインディアンスのホセ・ラミレスの名前を挙げています。

ホセ・ラミレスは本塁打が打てる選手ではあるのですが、「三振が少なく、本塁打が打てないときでもチームに貢献することができる」ため非常に高く評価されているとのことです。ホセ・ラミレスの今季は27本塁打という本塁打数も素晴らしいのですが、打率は.307、出塁率は.360と安定感もあります。さらに579打席で三振の数は64個と少なく、9打席に1回しか三振していません。

打球に角度をつけることが打撃成績を向上させるという「フライボールレボリューション」が広まることも影響して本塁打が量産され、パワーだけの打者は市場での価値が下がりつつあります。

注目されるのは打球に角度をつける技術をいち早く取り入れたJ.D.マルティネスがFAとなる、このオフにどの程度の規模の契約を手にするかです。

103試合の出場で37本塁打、打率.294/出塁率.371/長打率.666/OPS1.037と圧倒的な打撃成績ですが、足の故障の影響もあり守備面では不安を抱えています。30歳というFA選手としては比較的に若い年齢でFAとなるため、以前であればすんなりと大型契約となるところです。

J.D.マルティネスへの評価は、「パワーに偏った打者がFA市場でどのように評価されているか」を知ることできる試金石となりそうです。

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