現地の12月2日の午後9時が、各球団が年俸調停権を有する選手に契約を提示して交渉を継続するか、提示せずにFAとなることを認めるか決断をする期限となっていました。
年俸調停権を有する選手は一般的に年俸が上昇することになるのですが、球団側がその年俸上昇とパフォーマンスのバランスが悪く、なおかつトレードなども成立できない場合に契約を提示しない(Non-tender:ノンテンダー)することになります。
今年も争奪戦になることが予想される選手がノンテンダーによりFAとなっていますので、それらの選手をまとめておきたいと思います。
ノンテンダーFAとなった選手の一覧
契約を提示されずFAとなった主な選手は以下のとおりとなっています。
グレッグ・ホランド(CL) |
・前所属:ロイヤルズ ・年俸:825万ドル(年俸調停3年目) |
ペドロ・アルバレス(3B/1B) |
・前所属:パイレーツ ・年俸:575万ドル(年俸調停3年目) |
クリス・カーター(1B/LF) |
・前所属:アストロズ ・年俸:417万ドル(年俸調停1年目) |
ヘンダーソン・アルバレス(SP) |
・前所属:マーリンズ ・年俸:400万ドル(年俸調停2年目) |
スティーブ・シシェック(RP/CL) |
・前所属:カージナルス ・年俸:665万ドル(年俸調停2年目) |
マイク・マイナー(SP) |
・前所属:ブレーブス ・年俸:560万ドル(年俸調停2年目) |
ヤスメイロ・ペティット(SP/RP) |
・前所属:ジャイアンツ ・年俸:210万ドル(年俸調停3年目) |
ニック・テペッシュ(SP) |
・前所属:レンジャース ・年俸:54万ドル(年俸調停1年目) |
ジェイコブ・ターナー(SP) |
・前所属:ホワイトソックス ・年俸:100万ドル(年俸調停1年目) |
アル・アルバカーキ(RP) |
・前所属:タイガース ・年俸:172万ドル(年俸調停3年目) |
ライアン・クック(RP) |
・前所属:カブス ・年俸:140万ドル(年俸調停1年目) |
アイク・デービス(1B) |
・前所属:アスレチックス ・年俸:380万ドル(年俸調停3年目) |
ネフタリ・フェリス(RP/CL) |
・前所属:タイガース ・年俸:412万ドル(年俸調停3年目) |
ウィル・ミドルブルックス(3B) |
・前所属:パドレス ・年俸:54万ドル(年俸調停1年目) |
フアン・ニカシオ(RP) |
・前所属:ドジャース ・年俸:230万ドル(年俸調停2年目) |
ジョシュ・トーリー(C) |
・前所属:ブルージェイズ ・年俸:175万ドル(年俸調停2年目) |
デビッド・ロウ(OF) |
・前所属:オリオールズ ・年俸:53万ドル(年俸調停1年目) |
グレッグ・ホランド、ペドロ・アルバレス、クリス・カーターらは争奪戦に
ノンテンダーFAとなった選手の中で注目したいのはグレッグ・ホランド、ペドロ・アルバレス、クリス・カーターの3人です。
グレッグ・ホランドはMLB屈指のクローザーとして評価を得ていましたが、2015年シーズン中にトミー・ジョン手術を受け、2016年の復帰は絶望となっています。
2015年の年俸は825万ドルだったのですが、右肘の故障の影響があり防御率3.83/32SV/WHIP1.46と本来の調子ではなかったため、年俸は1000万ドル程度の上昇にとどまる見込みでした。
しかし、年俸総額に余裕のないロイヤルズにとってプレーできない選手に1000万ドルの枠を費やすことはできないためノンテンダーとしました。
ロイヤルズはFAとなったホランドに年俸を落とした2年契約を提示する見込みですが、代理人がスコット・ボラス氏となったことで、他球団との争奪戦になることが確実です。
ペドロ・アルバレスは2012年には30本塁打で打率.244/出塁率.317/長打率.467/OPS.784、2013年には36本塁打で打率.233/出塁率.296/長打率.473/OPS.769と打率こそ低いものの長打力が際立つ選手で、2015年に打率.243/本塁打27/打点77/出塁率.318/長打率.469という数字を残しています。
ただ、パイレーツも年俸総額の規模が小さいチームであること、1年後にFAとなること、左投手に極端に弱いこと、一塁守備に難(DRS:-14/UZR:-14.3)があることなどから、トレードでの放出を模索し続けていました。
しかし、トレードは成立せずノンテンダーとすることになったようです。
左投手には打率.203/出塁率.270/長打率.332を極端に弱い一方で、通算本塁打131本のうち右投手が114本を打つなど右投手には強いため、一塁のプラトーン要員としてニーズがありそうです。
クリス・カーターもペドロ・アルバレスと同様に打率は低いものの長打力が魅力で近年3年間は29、37、24と90本塁打を記録しています。
その一方でその3年間は打率.218/出塁率.312/長打率.459となり、さらに1617打席で545個の三振を喫しています。
また守備面でもペドロ・アルバレス程ではないものの良い方ではなく、守備防御点(DRS)は-6、UZR(アルティメット・ゾーン・レイティング)は-1.9と平均以下となっています。
2015年の年俸が417万ドルで、2016年は年俸調停のプロセスを経ると650万ドル程度に上昇する見込みだったのですが、そこまでの価値はないと判断されたことになるのですが、安い年俸であればバックアップとして魅力はありますので、複数チームから声がかかることになりそうです。
この3人の他には2015年は防御率6.45/WHIP1.57と苦しんだものの2014年には187回で防御率2.65/12勝7敗/WHIP1.24の成績を残したヘンダーソン・アルバレス。
先発とリリーフの両方をこなせるスイングマンのヤスメイロ・ペティット、2015年には投げることができなかったものの先発投手として期待できるマイク・マイナー、ニック・テペッシュ、クローザーとしてのキャリアがるスティーブ・シシェック、ネフタリ・フェリスあたりも関心を集めるのではないかと予想されます。