MLB30球団分析:ニューヨーク・ヤンキースの2015シーズン開幕前戦力分析

New York Yankees Top Catch

1995年から2012年の23年間では2008年以外はプレーオフ進出を逃したことのなかったヤンキースでしたが、2013年は85勝77敗で首位と12ゲーム差、その結果を受けて大型補強を行った2014年は順位こそ1つ上がったものの、勝ち星をひとつ減らして84勝78敗で、またもや首位とは12ゲーム差でプレーオフを逃しました。

2年連続での屈辱を味わうことになったヤンキースですが、そこから黒田博樹、デビッド・ロバートソン、ブランドン・マッカーシーらをFAで失いました。しかし、シャーザー、レスター、シールズのような大物FA投手の獲得に動くような大型補強はなく、トレードによってロースターを入れ替えてきました。

そのニューヨーク・ヤンキースの2015年シーズン開幕前の戦力分析です。

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ヤンキースの2014年のチーム成績とオフの主な戦力の加入・流出の一覧

2014年シーズンのヤンキースのチーム全体の打撃陣と投手陣の成績は以下のとおりとなっています。

*SP:先発投手 QS:クオリティスタート RP:リリーフ投手 SV率:セーブ成功率

2014年打撃陣成績 得点 633(MLB:20位/AL:13位)
打率 .245(MLB:20/AL:11位)
出塁率 .307(MLB:23/AL:14位)
長打率 .380(MLB:17/AL:10位)
盗塁 112(MLB:5/AL:3位)
2014年投手陣成績 防御率 3.75(MLB:18位/AL:8位)
SP防御率 3.77(MLB:17位/AL:7位)
QS 83(MLB:21位/AL:9位)
RP防御率 3.70(MLB:19位/AL:8位)
SV率 69.57%(MLB:16位/AL:8位)
2014年守備成績 守備防御点(DRS):-3(MLB:15位/AL:5位)
UZR:+3.7(MLB:13位/AL:8位)

打線の補強では、ジャコビー・エルズベリーに7年1億5300万ドル、ブライアン・マッキャンに5年8500万ドル、カルロス・ベルトランに3年4500万ドル、投手陣では田中将大に7年1億5500万ドルという投資を行ったヤンキースでしたが、主力の故障者が多く、期待したような成果を得ることができませんでした。

特に力をいれたはずの打線の補強は機能せず、チーム総得点がア・リーグ13位と沈み、リーグで中位にとどまっていた投手陣を援護することができませんでした。

さらに投手陣も田中将大、CC.サバシア、マイケル・ピネダ、イバン・ノバという先発ローテのうち4人を失う事態となりましたが、リリーフ陣の奮闘とシーズン中の補強やファームからの昇格でなんとか凌ぎ、ある程度のかたちにはしたヤンキースでした。

しかし、先述のように故障者続出の中で奮闘していた選手をFAで流出させるこになってしまいました。そのヤンキースのシーズンオフにおける主な戦力の加入・流出の一覧は以下のとおりとなっています。

*TR:トレード FA:フリーエージェン

主な戦力加入 トレード:ネイサン・イオバルディ(SP)
トレード:ギャッレット・ジョーンズ(RF/1B)
FA再契約:クリス・カプアーノ(SP)
FA再契約:スティーブン・ドリュー(2B)
FA再契約:チェイス・ヘッドリー(3B)
FA再契約:クリス・ヤング(OF)
FA:アンドリュー・ミラー(RP)
FA:スコット・ベイカー(SP)
トレード:ジャスティン・ウィルソン(RP)
トレード:ディディ・グリゴリウス(SS)
トレード:デビッド・カーペンター(RP)
主な戦力流出 引退:ジーター(SS)
FA:デビッド・ロバートソン(RP)
FA:黒田博樹(SP)
FA:イチロー(OF)
トレード:フランシスコ・セルベーリ(C)
トレード:ショーン・ケリー(RP)
トレード:シェーン・グリーン(RP)
トレード:マーティン・プラド(UT)
トレード:デビッド・フェルプス(RP)
FA:デビッド・ハフ(RP)
FA:ブランドン・マッカーシー(SP)

199イニングを投げて防御率3.71/11勝9敗の成績を残した黒田博樹、ヤンキース移籍後の90.1イニングで防御率2.89/7勝5敗のブランドン・マッカーシーの2人をFAで、ファームから昇格し78.2回で防御率3.78/5勝4敗のシェーン・グリーン、17試合に先発し防御率4.28/5勝5敗のデビッド・フェルプスをトレードで放出しました。

その穴埋めとしてマーティン・プラドを交換要員としてネイサン・イオバルディ、クリス・カプアーノと1年500万ドルで再契約をしたヤンキースでした。

野手ではFAとなったチェイス・ヘッドリー、スティーブン・ドリューと再契約することを選択し、ジーターの抜けたショートを埋めるためにシェーン・グリーンを交換要員としてディディ・グリゴリウスを3球団トレードで獲得しました。

ヤンキースの打撃陣の予想スターティングメンバーと分析

2015年シーズン開幕前のニューヨーク・ヤンキースの予想されるスターティングメンバーと打順、ベンチメンバーはは以下のとおりとなっています。

【予想スターティングラインナップ】

  1. (CF)ジャコビー・エルズベリー
    打率.271/本塁打16/打点70/出塁率.328/長打率.419
  2. (LF)ブレット・ガードナー
    打率.256/本塁打17/打点58/出塁率.327/長打率.422
  3. (1B)マーク・テシェイラ
    打率.216/本塁打22/打点62/出塁率.313/長打率.398
  4. (RF)カルロス・ベルトラン
    打率.233/本塁打15/打点49/出塁率.301/長打率.402
  5. (C)ブライアン・マッキャン
    打率.232/本塁打23/打点75/出塁率.286/長打率.406
  6. (3B)チェイス・ヘッドリー
    打率.243/本塁打13/打点49/出塁率.328/長打率.372
  7. (DH)アレックス・ロドリゲス
    打率–/本塁打–/打点–/出塁率–/長打率–
  8. (2B)スティーブン・ドリュー
    打率.150/本塁打3/打点15/出塁率.219/長打率.271
  9. (SS)ディディ・グレゴリウス
    打率.226/本塁打6/打点27/出塁率.290/長打率.363

【予想ベンチメンバー】

  • R(C)JR.マーフィー
    打率.284/本塁打1/打点9/出塁率.318/長打率.370
  • R(IF)ブレンダン・ライアン
    打率.167/本塁打0/打点8/出塁率.211/長打率.202
  • R(OF)クリス・ヤング
    打率.282/本塁打3/打点10/出塁率.354/長打率.521
  • R(1B/OF)ギャレット・ジョーンズ
    打率.246/本塁打15/打点53/出塁率.309/長打率.411
  • R(C)オースティン・ロマイン
    打率.231/本塁打0/打点1/出塁率.231/長打率.308

1番と2番には盗塁を奪えるため塁に出れば投手を揺さぶることのできるジャコビー・エルズベリーとブレット・ガードナーがコンビを組むことが有力視されています。

両者ともに盗塁成功率が高く、2014年シーズンはジャコビー・エルズベリーが44回試みて39回成功(88.6%)、ブレット・ガードナーが26回試みて21回成功(80.8%)しています。

ベルトランとティシェイラが故障離脱する期間があったためエルズベリーは3番で起用されることが多くなってしまいました(1番49試合/3番93試合)。今シーズンは中軸に故障がなければエルズベリーを1番に固定できるため、より盗塁を試みる機会が増えると予想されます。

また昨シーズンは基本的にはジーターが2番に座ることが大半でしたが、盗塁を決めることのできるガードナーとコンビを組むことで、相手投手と守備に多くのプレッシャーをかけることが期待できます。

ただ、この並びにも問題はあり、8番にドリュー、9番にグレゴリウスとなると左打者が4人並ぶことになるため、試合の終盤に左のリリーバーをぶつけられやすくなってしまうという可能性はあります。それでも現状ではこの2人が1-2番を打つ可能性が高いと見られています。

カルロス・ベルトランは基本的にはライトで出場することが予定されていますが、体調次第では指名打者にまわることになり、かわってクリス・ヤングが起用されることになりそうです。

5番目の外野手として起用される可能性があるのが、一塁と指名打者のバックアップでもあるギャレット・リチャーズです。打撃の安定性にはやや課題があるものの長打力があり、左翼の狭いヤンキースタジアムでは本塁打を増やす期待ができます。

出場停止処分を受けたアレックス・ロドリゲスは三塁や一塁での出場に意欲を見せていますが、ジラルディ監督はその可能性を否定はしないものの、基本的には指名打者で起用する意向であると報じられています。

捕手に関してはJR.マーフィーが開幕ロースターに入ることが有力視されますが、オースティン・ロメインのパフォーマンスのほうがはスプリングトレーニングではマーフィーを上回っているとの評価もあります。

ロメインは”アウト・オブ・オプション”の選手の1人で、ウェーバーにかけずにマイナー降格できない状態になっていますので、開幕ロースターを外れることが決まれば、トレードを模索する可能性がありそうです。

ショートを守ることにあるディディ・グレゴリウスは、守備防御点(DRS)やアルティメット・ゾーン・レイティング(UZR)などのスタッツではジーターを上まわる数字を残しているため、守備面ではアップグレードされる可能性が高いものの、打撃面では大きな期待をかけないほうが無難です。

ジーターとイチローがチームを去ったこともあり、昨シーズンよりは平均年齢が下がるものの23歳のJR.マーフィー、24歳のグレゴリウスがロースター入りした場合でも野手の平均年齢は33.6歳と依然として高い状態です。

主力選手の年齢を考えれば、故障がないままシーズンを終えることが難しいと考えるほうが無難で、故障による戦力ダウンを最小限に食い留めることができるかどうかがヤンキースの2015年シーズンの行方を握っていると言えそうです。

ヤンキース投手陣の予想先発ローテーションとリリーフ陣の分析

ヤンキースの予想される先発ローテーションとブルペン陣の編成は以下のとおりとなっています。

【予想される先発投手陣】

  1. (SP)田中将大
    136.1回/防御率2.77/13勝5敗/WHIP1.06
  2. (SP)M.ピネダ
    76.1回/防御率1.89/5勝5敗/WHIP0.83
  3. (SP)CC.サバシア
    46.0回/防御率5.28/3勝4敗/WHIP1.48
  4. (SP)N.イオバルディ
    199.2回/防御率4.37/6勝14敗/WHIP1.33
  5. (SP)A.ウォーレン
    78.2回/防御率2.97/3勝6敗/WHIP1.11

【予想されるリリーフ陣】

  • (CLO/SET)D.ベタンセス
    90.0回/防御率1.40/5勝0敗1SV/WHIP0.78
  • (CLO/SET)A.ミラー
    62.1回/防御率2.02/5勝5敗1SV/WHIP0.80
  • (RP)J.ウィルソン
    60.0回/防御率4.20/3勝4敗0SV/WHIP1.32
  • (RP)D.カーペンター
    61.0回/防御率3.54/6勝4敗3SV/WHIP1.26
  • (SP/RP)C.ホイットリー
    75.2回/防御率5.23/4勝3敗0SV/WHIP1.48
  • (SP/RP)E.ロジャース
    25.0回/防御率4.68/2勝0敗0SV/WHIP1.28
  • (SP/RP)B.ミッチェル
    11.0回/防御率2.45/0勝1敗0SV/WHIP1.18
  • (SP/RP)

  • C.カプアーノ
    97.1回/防御率4.35/3勝4敗0SV/WHIP1.39

田中将大、ピネダ、サバシアの故障離脱が懸念されてきたヤンキースでしたが、5番手となることが有力視されていたクリス・カプアーノが右足太ももを痛めてしまい、復帰が5月になる見込みとなってしまいました。

そのため一旦はブルペンでロースター入りが確実視されていたアダム・ウォーレンが5番手の有力候補となり、さらにエスミル・ロジャース、チェイス・ホイットリー、ブライアン・ミッチェルらが争っている状況で、先発5番手枠の争いに敗れた投手は基本的にはブルペンに回ると見られています。

田中将大とマイケル・ピネダは実戦登板でも素晴らしい投球を続けていて、故障さえなければ先発ローテの軸として期待できる状況となっている一方で、サバシアに関してはもう少し様子を見る必要がある状態です。

イオバルディは2014年に199.2イニングを投げて、規定投球回数に到達した投手の中で4番目に速い球速を記録したのですが、奪三振率(9イニングあたりの奪三振数)は6.4と低く、被安打率が高くナ・リーグで一番多く安打を打たれています。

そのイオバルディにヤンキースのコーチがスプリットを教えていて、その成果が出ているのかスプリングトレーニングの9イニングで防御率1.00もさることながら、9個の三振を奪うなど、その可能性を垣間見せています。

ブルペンに関してはクローザーをベタンセスとミラーのどちらにするかは決定せずに、状況に応じて使い分けることが有力視されています。この2人が2014年のパフォーマンスをキープできれば、8-9回でヤンキースから点をとることは至難の業となりそうです。

トレードで獲得したジャスティン・ウィルソンとデビッド・カーペンターは2014年はやや成績を落としたものの、ウィルソンは2013年に73.2イニングで防御率2.08、カーペンターは同じく2013年に65.2回で防御率1.78を記録するなど、リリーフとしての実績もあるため、ミラーとベタンセスを含めた4人はロースター入りが確定しています。

残りの3枠に関しては先発ローテ5番手の行方によって左右される見込みです。

総括・まとめ

2014年シーズンは派手な補強を行ったものの、投手陣のコマが足りない状況でシーズンを迎えたうえに、故障者が続出したことで苦しくなりました。しかし、リリーフ投手陣の活躍もあり、ワイルドカード争いには絡むことができました。

そのリリーフ投手陣は、ミラー、カーペンター、ウィルソンという選手を加えたことで、ア・リーグ東地区ではNo.1ではないかと考えれる布陣になっています。

問題は『故障の不安がつきまとう先発投手陣』と『故障がちなベテラン選手のバウンスバックに期待することになる打線』です。

田中将大、ピネダ、サバシアが健康で30試合以上を投げれるようであれば、ポストシーズンの争いに残り続けることができると予想されますが、仮に田中将大か、ピネダのどちらかが故障で長期離脱することがあれば、難しい状況に追い込まれることになりそうです。

打線は高齢であるだけでなく、故障での長期離脱が少なくない選手が多くいる上に、年齢的に衰えによる不振があってもおかしくないことが大きな懸念材料となっています。

また、守備のシフトが隆盛を迎えている中で、引っ張る打球が多いブライアン・マッキャンとマーク・テシェイラが餌食になっています。この両者は2015年も逆方向に打つというようなことはせず、外野の間を抜ける、頭を越すような強い打球を打つことでシフトを克服するアプローチをとるようで、それがうまくいくかも注目されます。

アレックス・ロドリゲスに関してはスプリングトレーニングでの早い段階では、98マイルを逆方向にホームランにするなど、期待できるような打撃を見せていますが、シーズンを迎えてみないとわからないというのが実情です。

『蓋をあけてみないとわからない』という要素は、どのチームも大なり小なり抱えているのですが、ヤンキースはその要素が多いチーム状態です。

シーズン開幕前の時点では、昨シーズン開幕時よりもロースターのバランスは良くなったように見受けられるのですが、レッドソックスとブルージェイズが戦力アップしていて、オリオールズも2014年と変わりない戦力状態にあると考えられるため、アドバンテージがあるわけではありません。

さらには『投打の主力の大半が健康でフルシーズンを過ごす』、『大半のベテラン主力野手の成績がバウンスバックする』、『ブルペン陣が昨年同等かそれ以上のパフォーマンスを発揮する』など、様々なピースが全てうまくハマった時に、はじめて優勝争い、ワイルドカード争いに絡めるという印象で、苦しいチーム状態であることは否定できません。

またキャプテンのジーターが抜けたことによるクラブハウスでの一体感も気になるところで、ブレーブスでリーダーシップをとっていたマッキャンがその役割を担うと見られていますが、若い選手が多かったブレーブスと比較すると、ヤンキースはスター選手揃いで、どうしてもエゴが強くなりますので、十分にまとめあげられるかは疑問が残ります。

工夫の見られる補強を行ってバランスが良くはなったものの、ア・リーグ東地区では3-4番手という印象で、相当にうまくチームが噛み合えば可能性はあるものの、それがなければ、3年連続でプレーオフ進出を逃してしまうことになりそうです。