MLB30球団分析:タンパベイ・レイズの2015シーズン開幕前戦力分析

Tampa Bay Rays Top Catch

2008年から2013年の6年間のうち5年間で90勝以上をあげるなど選手個々人、チームともに成熟していたため、2014年シーズン開幕前はワールドシリーズ制覇の有力候補のチームとして名前が上がり続けたタンパベイ・レイズでした。

しかし、故障者が続出した上に、主力選手のアンダーパフォーマンスが続き、77勝85敗と2007年以来の負け越しとなってしまいました。

そこからの立て直しが注目されたタンパベイ・レイズでしたが、アンドリュー・フリードマンGMとジョー・マドン監督というフロントと現場の指揮官を失ってしまいました。

その後を受け継いだマット・シルバーマンGMとケビン・キャッシュ監督の元で、巻き返しをはかることになったレイズの2015年シーズン開幕前の戦力分析です。

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レイズの2014年のチーム成績とオフの主な戦力の加入・流出の一覧

2014年シーズンのレイズのチーム全体の打撃陣と投手陣の成績は以下のとおりとなっています。

*SP:先発投手 QS:クオリティスタート RP:リリーフ投手 SV率:セーブ成功率

2014年打撃陣成績 得点 612(MLB:27位/AL:15位)
打率 .247(MLB:19位/AL:10位)
出塁率 .317(MLB:12位/AL:7位)
長打率 .367(MLB:25位/AL:15位)
盗塁 63(MLB:26位/AL:15位)
2014年投手陣成績 防御率 3.56(MLB:13位/AL:5位)
SP防御率 3.48(MLB:7位/AL:2位)
QS 84(MLB:20位/AL:8位)
RP防御率 3.71(MLB:20位/AL:9位)
SV率 66.07%(MLB:13位/AL:10位)
2014年投手陣成績 守備防御点(DRS):-34(MLB:24位/AL:10位)
UZR:+6.5(MLB:12位/AL:7位)

先発投手陣の防御率3.48がア・リーグ2位となるなど先発ローテは安定しています。シーズン中にデビッド・プライスをトレードで放出したものの、それ以外の投手の成績は安定していて、そのメンバーが残っていますので、2015年シーズンも引き続きレイズのストロングポイントとなりそうです。

リリーフ陣は先発ローテより不安定だった数字が残っているのですが、シーズン前半にクローザーとして期待されていたグランド・バルフォアが不調に陥るなど誤算が多くありました。が、クローザーをジェイク・マギーが、セットアップをボックスバーガーが務め始めてからは比較的安定していき、その両名ともに2015年もチームに残っています。

課題は得点力で得点と長打率でア・リーグ最下位になるなど足を引っ張りました。また本来は投手を中心として守り勝ちたい編成であったのですが、故障者が多かったこともあり、そこも十分には機能しませんでした。

続いて、シーズンオフのレイズの主な戦力の加入・流出の一覧は以下のとおりとなっています。

*TR:トレード FA:フリーエージェン

主な戦力加入 FA:アズドルバル・カブレラ(SS/2B)
FA:アレクシー・カシーヤー(IF)
FA:アルネスト・フリエリ(RP)
トレード:ジョン・ジェイソ(C)
トレード:スティーブン・ソウザ(OF)
トレード:ケビン・ジェプセン(RP)
トレード:バーチ・スミス(SP)
トレード:レネ・リベラ(C)
トレード:ホセ・ドミンゲス(RP)
主な戦力流出 トレード:ベン・ゾブリスト(UT)
トレード:マット・ジョイス(OF)
トレード:ジェレミー・ヘリクソン(SP)
トレード:ライアン・ハニガン(C)
トレード:ウィル・マイヤーズ(OF)
トレード:ジョエル・ペラルタ(RP)
トレード:ユネル・エスコバー(SS)
リリース:ホセ・モリーナ(C)
トレード:シーザー・ラモス(RP)
トレード:ショーン・ロドリゲス(UT)

チームの顔とも言えるプレーヤーの1人であるスーパーユーティリティプレーヤーのベン・ゾブリスト、ア・リーグ新人王を獲得したジェレミー・ヘリクソンとウィル・マイヤーズ、ゾブリストと二遊間を形成したエスコバー、モリーナとハニガンの捕手2人など、チームの主力選手を次々と放出しました。

年俸が高騰してきたり、FAが近づく選手をトレードに出して若い選手を獲得するということは、予算に制約の多いチーム事情からやむ得ない面があるレイズです。

しかし、完全な再建モードに移行するということではなく、FAでアズドルバル・カブレラ、アルネスト・フリエリ、ジョン・ジェイソ、スティーブン・ソウザ、ケビン・ジェプセンというすぐにチームの主力になる選手を獲得し、再度2015年も勝負をするスタンスであることをマット・シルバーマンGMは明言しています。

レイズの打撃陣の予想スターティングメンバーと分析

タンパベイ・レイズの予想される2015年シーズンのスターティングメンバーとその打順、ベンチメンバーの構成は以下のとおりとなっています。

【予想スターティングラインナップ】

  1. (LF) D.ジェニングス
    打率.244/本塁打10/打点36/出塁率.319/長打率.378
  2. (DH/C) J.ジェイソ
    打率.264/本塁打9/打点40/出塁率.337/長打率.430
  3. (1B) J.ローニー
    打率.290/本塁打9/打点69出塁率.336長打率.380
  4. (3B) E.ロンゴリア
    打率.253/本塁打22/打点91出塁率.320長打率.404
  5. (SS) A.カブレラ
    打率.241/本塁打14/打点61出塁率.307長打率.387
  6. (CF) K.キアマイアー
    打率.263/本塁打10/打点35出塁率.315長打率.450
  7. (RF) S.ソウザ
    打率.130/本塁打2/打点2出塁率.231長打率.391
  8. (2B) N.フランクリン
    打率.206/本塁打1/打点4/出塁率.263/長打率.353
  9. (C) R.リベラ
    打率.252/本塁打11/打点44/出塁率.319/長打率.432

【予想ベンチメンバー】

  • R(DH/OF) D.デヘスース
    打率.248/本塁打6/打点19/出塁率.344/長打率.403
  • R(UT) L.フォーサイス
    打率.223/本塁打6/打点26/出塁率.287/長打率.329
  • R(LF) B.ガイヤー
    打率.266/本塁打3/打点26/出塁率.334/長打率.367
  • R(C) C.カサリ
    打率.167/本塁打0/打点3/出塁率.268/長打率.208
  • R(3B) J.フランシスコ
    打率.220/本塁打16/打点43/出塁率.291/長打率.456

ベン・ゾブリストとユネル・エスコバーが抜けた二遊間は、アズドルバル・カブレラ、ニック・フランクリン、ローガン・フォーサイスの3人でカバーすることになるようです。

ニック・フランクリンがショートになった場合は、アズドルバル・カブレラがセカンドに回ってローガン・フォーサイスの出場機会はすくなりますが、逆にニック・フランクリンがセカンドになった場合にはフォーサイスとの併用に近いかたちとなると見られています。

モリーナとハニガンが抜けた捕手は、パドレスからトレードで獲得したレネ・リベラが務めることになります。投手有利で本塁打の出にくいペトコパークを本拠地としながら本塁打11本、長打率.432を記録するなど長打力がありますので、攻撃面ではモリーナとハニガンのコンビよりグレードアップすると見られています。

ウィル・マイヤーズ、マット・ジョイスらが抜けた外野には、ナショナルズから獲得したスティーブン・ソウザがライトを守り、センターからレフトにデスモンド・ジェニングスがまわり、空いたセンターをキアマイアーが守る見込みです。

スティーブン・ソウザはメジャー昇格後の成績はイマイチですが、3Aの96試合で打率.350/本塁打18/打点75/出塁率.432/長打率.590で、OPSは1.022という成績を残していて、ライトのレギュラーとして定着することが期待されています。

ただ、スプリングトレーニングの結果が芳しくない場合には、マイナーからスタートさせることも選択肢とはなっているようです。

外野に関してはソウザ、キアマイアー、ジェニングス、ガイヤー、デヘスースの5人ともに3つのポジションをカバーできますので、調子や対戦相手によってもスターティングメンバーは大きく変わることになりそうです。

ベン・ゾブリストらを放出したトレードで獲得したジョン・ジェイソは、基本的には捕手としては出場しない方針で、やむ得ない場面のみマスクをかぶることになりそうです。基本的には指名打者がメインとなり、スプリングトレーニングで練習に取り組んでいる外野での起用もあると見られています。

打線の得点力アップを成し遂げる上で欠かすことができないのはエバン・ロンゴリアのバウンスバックです。2014年の打率.253/本塁打22/打点91/出塁率.320/長打率.404は悪い数字ではないものの、過去3度の年間30本塁打を記録するなど、毎年長打率が.500前後を記録していたことを考えると物足りない数字です。

この主砲であるエバン・ロンゴリアの復調と、そのロンゴリアを守るためにも、前後を固めるであろうジェームズ・ローニー、アズドルバル・カブレラ、スティーブン・ソウザらのパフォーマンスは非常に重要になりそうです。

レイズ投手陣の予想先発ローテーションとリリーフ陣の分析

レイズの予想される先発ローテーションとブルペン陣の編成は以下のとおりとなっています。

【予想される先発投手陣】

  1. A.カッブ
    166.1回/防御率2.87/10勝9敗/WHIP1.14
  2. C.アーチャー
    194.2回/防御率3.33/10勝9敗/WHIP1.28
  3. M.ムーア
    10.0回/防御率2.70/0勝2敗/WHIP1.50
  4. J.オドリッジ
    168.0回/防御率4.13/11勝13敗/WHIP1.28
  5. D.スマイリー
    153.0回/防御率3.24/9勝10敗/WHIP1.16

【予想されるリリーフ投手陣】

  • (CLO)J.マギー
    71.1回/防御率1.89/19SV/WHIP0.90
  • (SET)B.ボックスバーガー
    64.2回/防御率2.37/2SV/WHIP0.84
  • (SET)K.ジェプセン
    65.0回/防御率2.63/2SV/WHIP1.046
  • (RP)G.バルフォア
    62.1回/防御率4.91/12SV/WHIP1.44
  • (RP)E.フリエリ
    41.2回/防御率7.34/11SV/WHIP1.464
  • (RP)J.ベリボー
    24.0回/防御率2.63/1SV/WHIP1.08
  • (RP)K.イエーツ
    36.0回/防御率3.75/1SV/WHIP1.33

メンバーが揃っている状態であれば、ア・リーグ東地区でNO.1の先発ローテを編成でき、リリーフ陣もマギー、ボックスバーガー、ベリボーと安定していた3人、トレードで獲得したジェプセン、クローザー経験があるバルフォア、フリエリなどが並び、場合によっては投手陣全体でもNO.1となることが期待できる構成となっています。

リリーフ投手陣は現時点でも揃っているのですが、さらに先発ローテから漏れてくる投手もブルペンに回ってくると予想されるため、層も厚くなっています。

ただ、問題はスプリングトレーニングの段階で、開幕に間に合わない投手が続出していることです。

トミー・ジョン手術からの復帰を目指すマット・ムーアは5月中もしくは6月上旬頃になる予定で、一旦は開幕投手に決定したアレックス・カッブが右前腕の腱炎で、開幕から数週間は間に合わない状況です。

さらにドリュー・スマイリーが左肩の腱炎で最初の先発を飛ばす必要があり、バックアップとして期待されていたアレックス・コロメ(23.2回/防御率2.66)はビザの問題でキャンプインが遅れた上に、肺炎で入院するなど、こちらも開幕には間に合いません。

またブルペンではクローザーの有力候補だったジェイク・マギーは、昨年12月に肘のクリーニング手術を受けたため、メジャーのマウンドに戻るのは4月下旬から5月頭にかけて復帰予定となっています。

クローザーに関しては選択肢が多くあるため、完全には固定せず状況に応じて投手を使い分ける方針で、それなりにカバーできる見込みですが、問題は先発ローテで主力メンバーがそろうまでは、トレードで獲得したバーチ・スミス(36.1回/防6.44)、ネイト・カーンズ(12.1回/防4.50)らで凌ぐことになりそうです。

そのためレイズがポストシーズン進出するためには、最初の2週間ほどの先発ローテのやりくりと、そのパフォーマンスは非常に重要なものとなりそうです。

総括・まとめ

マット・シルバーマンGMは、優勝を狙えるチームになっているとは述べているものの、打線には不安があり、頼みの投手陣は故障者が続出しています。

このようなチーム状況でありながら、ジョー・マドンではなく、監督の経験のないケビン・キャッシュが指揮をとるという状況で、不安があることは隠せません。

昨シーズンの下馬評ではワールドシリーズ制覇の有力候補でありながら、大きく負け越してポストシーズンを逃し、地区4位に低迷しましたので、その逆の可能性もないわけではありません。特にア・リーグ東地区は以前のように激戦区とは言えず、同リーグの中地区や西地区のほうがレベルが高いように見受けられます。

そのためチャンスがないわけではないのですが、肝心の投手陣も見通しが不透明なため、シーズン開幕前では上位に予想するのが難しい状況です。

投手陣が揃えばア・リーグ東地区ではNO.1の強力な構成となるため、大崩れしないと考えられますが、さらに故障者が出たり、復帰までの時間が長引いた場合には、7月末のトレード期限前に「売り手チーム」にならざるを得なくなりそうです。

ただロースターが万全の状態であってもオリオールズやレッドソックスの2チームには総合的な戦力的に劣ることは隠せず、仮にワイルドカード争いに絡めても、中地区や西地区のライバルチームを上回ることは容易ではないと予想されます。

名将ジョー・マドンの後を引き継いだ新監督のケビン・キャシュの采配、投手陣の健康状態、打線の得点力など、克服すべき課題・懸念材料が山積した状態で開幕を迎えることになりそうな2015年のタンパベイ・レイズです。