MLB30球団分析:フィラデルフィア・フィリーズの2015シーズン戦力分析

Philadelphia Phillies Top Catch

2007年から2011年にかけて地区5連覇、2008年にはワールドシリーズ制覇を果たしたフィラデルフィア・フィリーズですが、2012年には勝率5割に落ち込み、その後の2年間はいずれも73勝89敗と低迷し、2014年はついに地区最下位に転落する事態となりました。

そのフィリーズは多くのベテラン選手のパフォーマンスが低下しはじめ、それらの選手と高額年俸の大型契約を結んでいることが足かせとなっていました。

さらにはマイナーにもプロスペクトが乏しく、それらの選手に代わるような人材が育っていないこともあり、チームは出口の見えない状態になりつつありました。

そのチームの現状を立て直すためにフィリーズはついに「再建モード」のスイッチをおし、数年先を見据えたチーム編成を始めることになりました。

その2015年シーズンのフィラデルフィア・フィリーズの2015年シーズン戦力分析です。

スポンサーリンク

フィリーズの2014年のチーム成績とオフの主な戦力の加入・流出の一覧

2014年シーズンのフィリーズのチーム全体の打撃陣と投手陣の成績は以下のとおりとなっています。

*SP:先発投手 QS:クオリティスタート RP:リリーフ投手 SV率:セーブ成功率

2014年打撃陣成績 得点 619(MLB:23位/NL:9位)
打率 .242(MLB:24位/NL:10位)
出塁率 .302(MLB:25位/NL:11位)
長打率 .363(MLB:28位/NL:13位)
盗塁 109(MLB:6位/NL:3位)
2014年投手陣成績 防御率 3.79(MLB:20位/NL:12位)
SP防御率 3.88(MLB:20位/NL:11位)
QS 85(MLB:19位/NL:12位)
RP防御率 3.64(MLB:18位/NL:11位)
SV率 71.43%(MLB:13位/NL:7位)
2014年守備成績 守備防御点(DRS) -39(MLB:25位/NL:15位)
UZR -21.6(MLB:24位/NL:14位)

2014年の得点は619点と打者有利なシチズンズ・バンク・パークを本拠地としながら、十分に活かしきれずナ・リーグ9位の得点しか奪うことができませんでした。

この619点は162試合制のシーズンではフィリーズのチーム史上で6番目に低い得点で、2013年は610点で4番目に低い得点となっています。

投手陣もナ・リーグで下から数えたほうが早い順位の数字しか残せず、得点力不足の打線と相まって、低迷する原因となってしまいました。

そのシーズンオフのフィリーズの主な戦力の加入・流出の一覧は以下のとおりとなっています。

*TR:トレード FA:フリーエージェン

主な戦力加入 FA:アーロン・ハラング(SP)
FA:チャド・ビリングスリー(SP)
主な戦力流出 TR:ジミー・ロリンズ(SS)
TR:マーロン・バード(OF)
FA:カイル・ケンドリック(SP)
FA:A.J.バーネット(SP)
FA:ウィル・ニエベス(C)

チームが再建モードに入ったこともあり、トレードの見返りとして獲得する選手はマイナーのプロスペクトが中心となりました。そのためジミー・ロリンズとマーロン・バードというOPSがチーム内のNo.1とNo.3だった選手を放出しながら、メジャーレベルの打線では主だった補強は行われていません。

2014年にローテを守り規定投球回数に到達したA.J.バーネットとカイル・ケンドリックがFAでチームを去りました。そのため先発ローテが組めない状態となりましたので、ベテランのアーロン・ハラングとトミー・ジョン手術からの復帰途上にあるチャド・ビリングスリーを獲得しています。

フィリーズの打撃陣の予想スターティングメンバーと分析

予想されるスターティングメンバーと打順並びにベンチメンバーは以下のとおりとなっています。

【予想スターティングラインナップ】

  1. (CF)ベン・リビア
    打率.306/本塁打2/打点28/出塁率.325/長打率.361
  2. (C)カルロス・ルイーズ
    打率.252/本塁打6/打点31/出塁率.347/長打率.370
  3. (2B)チェイス・アトリー
    打率.270/本塁打11/打点78/出塁率.339/長打率.407
  4. (1B)ライアン・ハワード
    打率.223/本塁打23/打点95/出塁率.310/長打率.380
  5. (RF)ドモニク・ブラウン
    打率.235/本塁打10/打点63/出塁率.285/長打率.349
  6. (LF)ダリン・ラフ
    打率.235/本塁打3/打点8/出塁率.310/長打率.402
  7. (3B)コディ・アッシー
    打率.252/本塁打10/打点46/出塁率.309/長打率.390
  8. (SS)フレディ・ガルビス
    打率.176/本塁打4/打点12/出塁率.227/長打率.319

【予想ベンチメンバー】

  • (C)キャメロン・ラップ
    打率.183/本塁打0/打点6/出塁率.234/長打率.250
  • (IF)シーザー・ヘルナンデス
    打率.237/本塁打1/打点4/出塁率.290/長打率.281
  • (UT)オデュベル・ヘレーラ
    打率–/本塁打–/打点–/出塁率–/長打率–
  • (OF)グレイディ・サイズモア
    打率.233/本塁打5/打点27/出塁率.299/長打率.354
  • (IF)アンドレス・ブランコ
    打率.277/本塁打1/打点3/出塁率.306/長打率.447
  • (OF)ジェフ・フランコーア
    打率.083/本塁打0/打点1/出塁率.179/長打率.083

低迷した打線の中で、得点に貢献する度合いが高かったジミー・ロリンズとマーロン・バードを失ったにもかかわらず、補強を行っていませんので、さらに得点力が落ちる可能性が高いフィリーズ打線です。

長打力はライアン・ハワードとドモニク・ブラウンがバウンスバックするに期待するしかなく、不安があります。そのため監督とGMともにスモールベースボールで長打力不足を補う方針であると話していますが、それが機能するかどうかも定かではありません。

フィリーズ投手陣の予想先発ローテーションとリリーフ陣の分析

フィリーズの予想される先発ローテーションとブルペン陣の編成は以下のとおりとなっています。

【予想される先発投手陣】

  1. (SP)コール・ハメルズ
    204.2回/防御率2.46/9勝9敗/WHIP1.15
  2. (SP)アーロン・ハラング
    204.1回/防御率3.57/12勝12敗/WHIP1.40
  3. (SP)デビッド・ブキャナン
    117.2回/防御率3.75/6勝8敗/WHIP1.29
  4. (SP)ジェローム・ウィリアムズ
    115.0回/防御率4.77/6勝7敗/WHIP1.40

【予想されるリリーフ陣】

  • (CLO)ジョナサン・パペルボン
    66.1回/防御率2.04/39SV/WHIP0.90
  • (SET)ケン・ジャイルズ
    45.2回/防御率1.18/1SV/WHIP0.79
  • (SET)ジェイク・ディークマン
    71.0回/防御率3.80/0SV/WHIP1.42
  • (RP)ジャスティン・デフレイタス
    52.2回/防御率2.39/0SV/WHIP1.08
  • (RP)ルイス・ガルシア
    14.0回/防御率6.43/0SV/WHIP1.93
  • (RP)ジーンマー・ゴメス
    1.2回/防御率0.00/0SV/WHIP1.20
  • (RP)シーザー・ヒメネス
    16.0回/防御率1.69/0SV/WHIP1.31
  • (RP)ダスティン・マゴワン
    82.0回/防御率4.17/1SV/WHIP1.38

開幕当初は4人でまわし、4月中旬から末にかけてはマイナーから昇格させた投手に5番手を任せる予定です。そして5月までにチャド・ビリングスリーが戻ってくれば5番手におさまると報じられています。

そのビリングスリーがかつてのようなパフォーマンスを見せれば、大きく変わってきますが、そうでなければ大きな期待はしにくい先発ローテです。

クリフ・リーが本来は先発ローテに入るはずでしたが、左肘の故障で復帰の見通しは立たず、2014年シーズンも大きく期待を裏切ったミゲル・アルフレド・ゴンザレスは今年のスプリング・トレーニングでも冴えず、ウェーバーにかけられ40人枠から外されてしまいました。

このミゲル・アルフレド・ゴンザレスは当初6年4800万ドルで合意したものの、右腕に問題があることがわかり3年1200万ドルで契約することとなりました。

契約が4分の1となっていることは救いなのですが、それでもマイナーの選手に大金を払っている状態なので、あまり好ましい状況ではありません。

ブルペンはフィリーズの中では一番戦力として計算できるところで、クローザーのジョナサン・パペルボンとセットアップのケン・ジャイルズを中心に勝ちゲームを締めくくれるメンバーがいます。

ただ、先発ローテではエースのコール・ハメルズ、クローザーのジョナサン・パペルボンがシーズン中にトレードになる可能性が高いため、ここからさらに戦力ダウンすると予想されます。

また、シーズン後半にメジャーで経験を積ませれるような投手が出てきた場合には、アーロン・ハラングやチャド・ビリングスリーをトレードに出しても不思議ではありませんので、シーズンを通じてみると、やはり大きな期待はしにくいと予想されます。

期待されるのはチーム再建の上で、重要なになると見られているのが、セットアップのセットアッブのケン・ジャイルです。パベルボンがチームを去れば、今シーズンに限らずチームのクローザーの座を守り続けることが期待されています。

このケン・ジャイルの成長は、フィリーズ再建の計画の上にもおいても重要なものとなりそうです。

総括・まとめ

コール・ハメルズ、ジョナサン・パペルボンともに優勝を狙えるチームで投げたいので、トレードをしてほしいという希望を出していますが、シーズン開幕前にそれを成立させることはできませんでした。

現在のフィリーズの主力メンバーで、プロスペクトの見返りが見込めるのは、コール・ハメルズ、ジョナサン・パペルボンの2人くらいだと言われていますので、シーズン中のトレードの動向に注目集まることになりそうです。

2005年の11月にGMとなり、2007年に地区優勝、2008年にワールドシリーズ制覇を成し遂げたのが現球団社長のパット・ギリック氏で、2008年シーズン終了後にGMを勇退し、その後を引き継いだのが現GMのルーベン・アマロです。

一旦は、球団のシニアアドバイサーに退いたパット・ギリックでしたが、2014年シーズン中に球団社長のデビッド・モンテゴメリーが療養のため休養に入った際に、近年のチーム低迷に業を煮やした投資家たちの要請を受け、臨時の球団社長に就任しました。

チームが再建モードに移行することを頑なに拒否していたアマロGMとモンテゴメリー社長でしたが、臨時の球団社長となったパット・ギリックがチームの再建が必要であることを明言し、その方向へと舵をきることになりました。

パット・ギリックはGMとしてブルージェイズのワールドシリーズ2年連続制覇、マリナーズの116勝と2年連続プレーオフ進出の際のGMで、野球殿堂入りを果たしている名ゼネラル・マネージャーです。

そのパット・ギリックが2015年1月には臨時ではなく、正式な球団社長に就任しましたので、今後は彼の方針がより色濃く出てくることになりそうです。

ルーベン・アマロGMは、ミゲル・アルフレド・ゴンザレスの契約も「失敗ではない」と強弁するなど、頑なな姿勢は相変わらずで、チームは再建の色合いが濃くなっていきますが、ルーベン・アマロが来季以降もチームにいる可能性は低そうです。

アマロGMの契約は今シーズンが最終年となっていますが、投資家側の要望があってパット・ギリックがフロントに戻った経緯からしても、今シーズン限りで退任となり、新しいGMの下でチーム再建が本格化していくのではないかと予想されます。

スポーツ・イラストレイテッドは100敗手前の99敗を予想するなど、チームの戦力は非常に厳しいものがあります。

パット・ギリックが2005年にGMに就任した時には、ジミー・ロリンズ、コール・ハメルズ、ライアン・ハワードらの台頭がすでにあったため、比較的早い段階で結果に結びつけることができました。

しかし、現在はそのような有望株が少なく、パット・ギリック本人が、今回のチームの再建については「その時よりも時間がかかるだろう」と話しています。フィリーズのファンにとってはフラストレーションがたまる1年となりそうです。