MLB30球団分析:ボルティモア・オリオールズの2015シーズン開幕前戦力分析

Baltimore Orioles Top Catch

2008年から2011年までは4年連続で最下位になるなど低迷が続いたオリオールズでしたが、2010年7月に監督に就任したバック・ショーウォルターと2011年11月にGMに就任したダン・デュケットのコンビのオンフィールドとオフフィールドでの指揮・指導により、2012年からチームが浮上しました。

2012年はディビジョンシリーズでヤンキースに敗れましたが、93勝69敗で首位と2ゲーム差の地区2位に甘んじるもワイルドカードでプレーオフに進出しています。

そして2013年は85勝77敗と3位でプレーオフを逃したものの、2014年は96勝66敗で地区優勝を果たし、リーグチャンピオンシップシリーズまで進出するなど、勝てるチームへの変革が推進されています。

しかし、シーズンオフに主力選手がFAで流出したにもかかわらず、補強が積極的でなかったため、総じて米メディアがからあまり高い評価を得ていない2015年シーズン開幕前のオリオールズです。

そのボルティモア・オリオールズの2015年シーズン開幕前の戦力分析です。

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オリオールズの2014年のチーム成績とオフの主な戦力の加入・流出の一覧

2014年シーズンのオリオールズのチーム全体の打撃、投手、守備の成績は以下のとおりとなっています。

*SP:先発投手 QS:クオリティスタート RP:リリーフ投手 SV率:セーブ成功率

2014年打撃陣成績 得点: 705点(MLB:8位 AL:6位)
打率: .256(MLB:9位 AL:6位)
出塁率: .311(MLB:17位 AL:11位)
長打率: .422(MLB:3位 AL:2位)
盗塁: 44(MLB:30位 AL:15位)
2014年投手陣成績 防御率:3.43(MLB:7位 AL:3位)
SP防御率:3.61(MLB:12位 AL:5位)
QS:78回(MLB:25位 AL:12位)
RP防御率:3.10(MLB:6位 AL:3位)
SV率:73.61%(MLB:8位 AL:4位)
2014年投手陣成績 守備防御点(DRS):+49(MLB:3位 AL:1位)
UZR:+54.8(MLB:2位 AL:2位)

長打力のある打線による高い得点力のイメージが強いオリオールズですが、実際には投手力と守備力の高さが、ア・リーグ東地区を制する原動力となりました。

投手陣全体の防御率は3.43とア・リーグ3位で、特にリリーフ陣の防御率は3.10と安定感があり、守備では守備防御点(DRS)が+49でア・リーグ1位、アルティメット・ゾーン・レイティング(UZR)では+54.8でロイヤルズに次ぐ2位となっています。

ダン・デュケットGMとバック・ショーウォルター監督はともに選手の守備力を非常に重要視していて、3A以下のマイナーでの育成でも力を入れています。

この守備力を重視している理由は、試合に勝つ確率を高めると同時に、若い投手を育てる上で、味方の守備力が非常に重要だと考えているためで、その方針を維持している結果、若い投手が次々とメジャーレベルで活躍し始めているオリオールズです。

もちろん打線の得点力もしっかりしているため、このような投手力と守備力がバランス良く保たれているため、意外と穴が少ないと考えられるオリオールズです。

オリオールズの主な戦力の加入・流出の一覧は以下のとおりとなっています。

*TR:トレード FA:フリーエージェン

主な戦力加入 FA:ネルソン・クルーズ(OF/DH)
FA:ニック・マーケイキス(RF)
FA:ニック・ハンドリー(C)
FA:ケリー・ジョンソン(UT)
FA:アンドリュー・ミラー(RP)
FA:アレクシー・カシーヤ(IF)
FA:ヨハン・サンタナ(SP)
FA:ジョー・ソーンダース(RP)
主な戦力流出 FA再契約:デルモン・ヤング(OF/DH)
トレード:トラビス・スナイダー(OF )
FA:ウェズリー・ライト(RP)
FA:エバース・カブレラ(UT)

オリオールズの評価が高くならない理由の1つが、本塁打のタイトルを獲得したネルソン・クルーズとゴールドグラブ賞を獲得する守備力と高い出塁率でチームを引っ張っていたニック・マーケイキスという主力野手2人を失い、オリオールズ移籍後の23試合20イニングで防御率1.35の圧倒的な成績を残したアンドリュー・ミラーを失ったためです。

それにも関わらず大きな補強はなかったのですが、地味ながらもロースターのバランスを良くなる補強をしたと考えられるオリオールズです。

2012年に115試合で44盗塁、2013年に95試合で37盗塁を記録するなどオリオールズに足りない走塁面での期待ができるエバース・カブレラ、左のリリーフとして一定の計算ができるウェズリー・ライト、2006年ドラフト1巡目全体14番目指名で、2009年のMLBプロスペクトトップ50で7位にランクされていた、かつてのトッププロスペクトであるトラビス・スナイダーらを獲得し、選手起用が柔軟にできる態勢を整えています。

オリオールズの打撃陣の予想スターティングメンバーと分析

予想されるスターティングメンバーと打順、ベンチメンバーは以下のとおりとなっています。

【予想スターティングラインナップ】
1(LF)A.デアザ(率.293 本3 点10 出.341 長.537)
2(SS)J.J.ハーディ(率.268 本9 点52 出.309 長.372)
3(CF)A.ジョーンズ(率.281 本29 点96 出.311 長.469)
4(C)M.ウィータース(率.308 本5 点18 出.339 長.500)
5(1B)C.デービス(率.196 本26 点72 出.300 長.404)
6(3B)M.マチャド(率.278 本12 点32 出.324 長.431)
7(DH)S.ピアース(率.293 本21 点49 出.373 長.556)
8(RF)T.スナイダー(率.264 本13 点38 出.338 長.438)
9(2B)J.スコープ(率.209 本16 点45 出.244 長.354)

【予想ベンチメンバー】
R(C)C.ジョゼフ(率.207 本9 点28 出.264 長.354)
R(DH/OF)D.ヤング(率.302 本7 点30 出.337 長.442)
R(UT)E.カブレラ(率.232 本3 点20 出.272 長.300)
R(UT)R.フラハティ(率.221 本7 点32 出.288 長.356)
R(OF)D.ラフ(率.247 本4 点16 出.309 長.385)
R(3B)J.パレデス(率.286 本2 点8 出.308 長.444)
R(C)S.クレベンジャー(率.225 本0 点8 出.289 長.337)
R(1B)C.ウォーカー(率.167 本1 点1 出.211 長.389)

レフトはアレハンドロ・デアザ、ライトはトラビス・スナイダーが主に守ることが有力です。ですが、バック・ショーウォルター監督が多くの選手に複数ポジションを守らせるスタイルを重視していますので、起用は対戦相手により大きく変化することになりそうです。

J.J.ハーディがショート、マニー・マチャドがサード、マット・ウィータースがキャチャー、アダム・ジョーンズがセンターというコアのメンバー以外は、多くの選手が複数ポジションを守ることになります。

  • ライアン・フラハティ:1B/2B/3B/SS/LF/RF
  • スティーブ・ピアース:1B/3B/DH/LF/RF
  • アレハンドロ・デアザ:CF/LF/RF
  • エバース・カブレラ:SS/2B/CF
  • クリス・デービス:1B/3B/DH
  • ジョナサン・スコープス:2B/3B
  • デルモン・ヤング:RF/DH

エバース・カブレラは主にショートで、セカンドも守ることができるのですが、さらにオリオールズでは走力を活かすために外野にもチャレンジしていてセンターでも試合経験を積んでています。

このように多くの選手が複数のポジションを守ることができるため、投手の右左での使い分け、さらには主力選手の故障による大きな戦力ダウンを避ける事ができる陣容となっています。

162試合を過酷な日程でこなすレギュラーシーズンでは主力の休養が必要であり、1人も故障離脱がないと考えるのは無理がありますので、そのことに対応する準備もできていると考えられるオリオールズです。

攻撃面では出塁率.342でリードオフヒッターを務めていたニック・マーケイキスと40本塁打・108打点のネルソン・クルーズの穴が大きいのですが、マニー・マチャドとマット・ウィータースがフルシーズン働き、クリス・デービスが2013年ほどではなくてもややバウンスバックすれば、十分に補うことができます。

マニー・マチャドは82試合の出場で打率.278/本塁打12/打点32/出塁率.324、マット・ウィータースは26試合で打率.308/本塁打5/打点18/出塁率.339の数字を残していますので、健康でさえあれば期待できます。

また、かつてのトッププロスペクトであったトラビス・スナイダーは、まだ27歳になったばかりでまだ伸びしろがあるとデュケットGM、ショーウォルター監督は考えているようで、マイナーの質の良い投手を出して獲得しています。

2014年のトラビスス・ナイダーは打率.264/本塁打13/打点38/出塁率.338/長.438という成績を残していますが、シーズン後半の60試合だけでは打率.288/本塁打9/打点24/出塁率.356/長打率.524と素晴らしい成績を残しています。

シーズン終了時点からスティーブ・ピアースのような大ブレイクできそうな選手に目星をつけているとショーウォルター監督が話していましたが、どうやらこのトラビスス・ナイダーが2014年のスティーブ・ピアースのような大ブレイク候補の1人となりそうです。

守備面ではゴールドグラブ賞受賞経験があるJ.Jハーディ、マニー・マチャド、マット・ウィータース、アダム・ジョーンズ、ゴールドグラブ賞の投票で2位に入ったこともあるクリス・デービスと揃い、守備力も良い状態をキープできると考えられます。

オリオールズ投手陣の予想先発ローテーションとリリーフ陣の分析

オリオールズの予想される先発ローテーションとブルペン陣の編成は以下のとおりとなっています。

【予想される先発投手陣】
SP1:C.ティルマン(207.1 回 防御率3.34 13勝6敗 WHIP1.23)
SP2:C.ウェイン(185.2 回 防御率3.54 16勝6敗 WHIP1.23)
SP3:B.ノリス(165.1 回 防御率3.65 15勝8敗 WHIP1.22)
SP4:M.ゴンザレス(159.0 回 防御率3.23 10勝9敗 WHIP1.30)
SP5:K.ゴーズマン(113.1 回 防御率3.57 7勝7敗 WHIP1.32)

【予想されるリリーフ陣】
CL:Z.ブリットン( 76.1回 防御率1.65 37SV WHIP0.90)
SET:D.オデイ(68.2回 防御率1.70 4SV WHIP0.89)
SET:T.ハンター(60.2回 防御率2.97 11SV WHIP1.10)
RP1:W.ライト(48.1回 防御率3.17 0SV WHIP1.39)
RP2:B.マティス(51.2回 防御率3.48 0SV WHIP1.32)
RP3:R.ウェブ(49.1回 防御率3.83 0SV WHIP1.26)
RP4:B.ブラック(62.1回 防御率3.18 0SV WHIP1.17)
RP5:T.J.マクファーランド(58.2回 防御率2.76 0SV WHIP1.42)
RP6:U.ヒメネス(125.1回 防御率4.81 0SV WHIP1.52)

オリオールズの2014年の躍進は、このリリーフ陣の働きが大きく、ミラーを失ったものの、ウェズリー・ライトを獲得していますので、ほぼ主力投手が全て残っている状態でシーズンを迎えることができそうなオリオールズです。

先発投手陣はクオリティスタートが78回でMLB全体で25位、ア・リーグで12位とあまり強くはありません。また防御率は3点台で揃っているのですが、投手の実力を示す指標として重要視されているFIPはクリス・ティルマンが4.01、チェン・ウェインが3.89、バド・ノリスが4.22、ミゲル・ゴンザレスが4.89、ケビン・ゴーズマンが3.41とあまり良くありません。

ただ、オリオールズは投手陣の力量不足を、野手の守備力で補う編成をとっていますので、FIPが多少悪くてもある程度の成績を残せるようになっていますので、大きな期待はできないものの、試合を壊さずに打線の得点力を活かせるようにすることは期待できそうです。

またオリオールズは投手のプロスペクトの昇格も控えています。すでにショーウォルター監督がスプリングトレーニングでの投球を見て、シーズン後半にメジャー起用できると判断したため、マイナーでの投球回数を制限する意向を示唆しているハンター・ハービーがいます。

ハンター・ハービーは2013年ドラフト1巡目全体22番目指名の投手で、MLB.comのプロスペクトランキングではMLB全体で42位にランクされ、フロントラインスターターになれる素材と評価されています。

また2011年1巡目全体4番目指名で、MLB.comのランキングで全体21位にランクされ、フロントラインスターターになれると評価されているディラン・バンディもシーズン後半にはメジャー昇格できると見られていて、シーズン終盤からプレーオフに向けての戦力としても期待できそうです。

総括・まとめ

バック・ショーウォルター監督は事実上のアシスタントGMのような役割も担っていて、3Aでの選手育成や選手獲得にもかなりの発言力があり、ダン・デュケットGMと素晴らしいコンビネーションを見せています。

3Aで投手を育てるために、守備に優れるマイナーリーグの内野手をトレードで獲得するなど、限られた予算の中で継続的に勝ち続けるための土台作りも並行して行っているオリオールズです。

セイバーメトリクスによる分析では、2015年のオリオールズは負け越してしまい下位に低迷するとの予想もあり、オッズメーカーの予想でもあまり高い評価は得ていないオリオールズですが、ロースターの編成を見たり、ショーウォルター監督の話している内容を見る限り、その下馬評を2年連続で覆す可能性がありそうです。

FOXスポーツのロブ・ネイヤーは、オリオールズはサイバーメトリックスによる成績予想を上回る結果を、ここ数年にわたって残し続けていることを指摘し、予想を上回る可能性があることを指摘しています。

スタッツの分析では、選手個々人の能力を把握することはできるものの、チームとしての一体感、クラブハウスでのケミストリー(化学反応)までは把握できません。

選手起用と人心掌握術に長けるバック・ショーウォルター監督は、クラブハウスでのケミストリーを非常に重要視していて、過去にクラブハウスで問題があった選手もうまく抱えて活躍させているため、オールスタープレーヤーでありながら、素行に問題があるとされているエバース・カブレラを獲得しましたので、どのように操縦するかも注目されます。

そして、そのショーウォルター監督のクラブハウスでのケミストリーを重視する方針を支えることができるアダム・ジョーンズのようなリーダーシップにあふれるコアプレーヤーも揃っています。

選手の質も高く、投打ともに選手層を厚くしていて、故障や不調に対応するオプションを多く抱えていますので、ア・リーグ東地区ではレッドソックスと優勝争いをすると考えられます。そして、少なくともア・リーグのワイルドカード2枠の争いには絡んでくるのではないかと予想されます。

オリオールズは2015年シーズン終了後に、チェン・ウェイン、トミー・ハンター、バド・ノリス、ダレン・オデイ、クリス・デービス、マット・ウィータース、スティーブ・ピアースらの投打の主力がFAとなり、2016年はやや戦力ダウンすることが避けられませので、2015年はワールドシリーズ制覇を成し遂げたい重要な1年となりそうです。