MLB30球団分析:ワシントン・ナショナルズの2015シーズン開幕前戦力分析

Washington Nationals Top Catch

2014年シーズンは96勝66敗とナ・リーグ最高勝率で、2位以下に17ゲームの大差をつけて独走して地区制覇を果たしたワシントン・ナショナルズでした。

ポストシーズンでは、MLB最高のロースターと評価され、ワールドシリーズ制覇の最有力候補との声も少なくなかったのですが、ディビジョンシリーズでワイルドカードゲームを勝ち上がってきたジャイアンツに1勝3敗で敗れ、リーグチャンピオンシップにも進むことができませんでした。

ポストシーズンではあっさりと敗退してしまったものの、充実した戦力の大部分が残り、そこにオフの最大の目玉であったマックス・シャーザーを獲得しています。

そのワシントン・ナショナルズの2015年シーズン開幕前の戦力分析です。

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ナショナルズの2014年のチーム成績とオフの主な戦力の加入・流出の一覧

2014年シーズンのナショナルズのチーム全体の打撃陣と投手陣の成績は以下のとおりとなっています。

*SP:先発投手 QS:クオリティスタート RP:リリーフ投手 SV率:セーブ成功率

2014年打撃陣成績 得点 686(MLB:9位/NL:3位)
打率 .253(MLB:12位/NL:5位)
出塁率 .321(MLB:8位/NL:4位)
長打率 .393(MLB:10位/NL:5位)
盗塁 101(MLB:12位/NL:6位)
2014年投手陣成績 防御率 3.03(MLB:1位/NL:1位)
SP防御率 3.04(MLB:1位/NL:1位)
QS 110(MLB:2位/NL:2位)
RP防御率 3.00(MLB:2位/NL:2位)
SV率 72.58%(MLB:9位/NL:5位)
2014年守備成績 守備防御点(DRS) +10(MLB:14位/NL:10位)
UZR -6.3(MLB:20位/NL:12位)
UZR:

投手陣は先発とリリーフともに両リーグトップクラスで、打線も指名打者制のないナ・リーグではトップクラスの得点力を誇り、投打ともにハイレベルなところでバランスがとれていたナショナルズです。

強いて弱点を上げるとするならば守備力となるのですが、それも決定的な悪さではなく、平均をやや下回るレベルにとどまっていますので、MLB30球団の中で最もバランスの良いチームでした。

そのナショナルズのシーズンオフの主な戦力の加入・流出の一覧は以下のとおりとなっています。

*TR:トレード FA:フリーエージェン

主な戦力加入 FA:マックス・シャーザー(SP)
FA:ケイシー・ジャンセン(RP)
TR:ユネル・エスコバー(SS/2B)
TR:ダン・バトラー(C)
FA:トニー・グウィン Jr,(OF)
FA:マイク・カープ(1B)
FA:ヒース・ベル(RP)
FA:ダン・アグラ(2B)
FA:リード・ジョンソン(OF)
主な戦力流出 TR:ロス・デトワイラー(SP/RP)
TR:スティーブン・ソウザ(OF)
TR:タイラー・クリッパード(RP)
FA:アズドルバル・カブレラ(IF)
FA:アダム・ラローシュ(1B)
FA:ラファエル・ソリアーノ(RP)
FA:ネイト・シャーホルツ(OF)

投手ではFAでラファエル・ソリアーノ、トレードでタイラー・クリッパードとロス・デトワイラーらがチームから流出した一方で、FA市場の最大の大物であるマックス・シャーザー、ブルージェイズのクローザーを務めていたケイシー・ジャンセンなどを獲得しました。

野手ではトレードでユネル・エスコバーを獲得し、FAとなったアズドルバル・カブレラの穴を埋め、さらにセカンドのバックアップとしてダン・アグラをマイナー契約で獲得しました。

打線では主砲のアダム・ラローシュがFAとなったものの、その穴を直接的に埋めるような補強は行いませんでした。

ナショナルズの打撃陣の予想スターティングメンバーと分析

予想されるスターティングメンバーと打順並びにベンチメンバーは以下のとおりとなっています。

【予想スターティングラインナップ】

  1. (CF)デナード・スパン DL
    打率.302/本塁打5/打点37/出塁率.355/長打率.416
  2. (3B)アンソニー・レンドン DL
    打率.287/本塁打21/打点83/出塁率.351/長打率.473
  3. (LF)ジェイソン・ワース DL
    打率.292/本塁打16/打点82/出塁率.394/長打率.455
  4. (1B)ライアン・ジマーマン
    打率.280/本塁打5/打点38/出塁率.342/長打率.449
  5. (SS)イアン・デズモンド
    打率.255/本塁打24/打点91/出塁率.313/長打率.430
  6. (RF)ブライス・ハーパー
    打率.273/本塁打13/打点32/出塁率.344/長打率.423
  7. (C)ウィルソン・ラモス
    打率.267/本塁打11/打点47/出塁率.299/長打率.399
  8. (2B)ユネル・エスコバー
    打率.258/本塁打7/打点39/出塁率.324/長打率.340

【ベンチメンバー】

  • (CF)マイケル・テイラー
    打率.205/本塁打1/打点5/出塁率.279/長打率.359
  • (1B/OF)タイラー・ムーア
    打率.231/本塁打4/打点14/出塁率.300/長打率.385
  • (C)ホセ・ロバトン
    打率.234/本塁打2/打点12/出塁率.287/長打率.304
  • (OF)マット・デン・デッカー
    打率.250/本塁打0/打点7/出塁率.345/長打率.322
  • (2B)ダニー・エスピノーサ
    打率.219/本塁打8/打点27/出塁率.283/長打率.351
  • (OF)リード・ジョンソン
    打率.235/本塁打2/打点25/出塁率.266/長打率.348
  • (2B)ダン・アグラ
    打率.149/本塁打2/打点10/出塁率.229/長打率.213
  • (1B/OF)クリント・ロビンソン
    打率.333/本塁打0/打点2/出塁率.400/長打率.333
  • (LF)ネイト・マクラウス DL
    打率.173/本塁打1/打点7/出塁率.280/長打率.237

上記の打線のラインナップは、開幕時は故障者リストに入っている選手が全部揃った場合に予想されるものです。ナショナルズは野手では、ジェイソン・ワース、デナード・スパン、ネイト・マクラウスらが開幕をDLで迎えることになります。

ジェイソン・ワースは肩の手術からのリハビリと調整が続き、開幕時は故障者リストに入るものの、シーズン開幕から1週間程度で復帰できる見込みとなっています。

デナード・スパンが腹部の腹直筋の手術を受け、予想よりも早い回復を見せているため、4月末には復帰できると予想されています。本来はそのスパンのバックアップとして入るのがネイト・マクラウスだったのですが、マクラウスも故障者リストで迎えることになたため、マイケル・テイラーが代役となります。

ネイト・マクラウス自身はは左肩の故障で、まだ投げることできずにいるため、いつ復帰できるか見通しが立たない状態です。

同じく復帰のメドがたっていないのが膝を痛めたアンソニー・レンドンで、その穴を埋めるために当初はセカンドでの起用が予定されていたユネル・エスコバーがサードにまわることになりました。

そしてその空いたセカンドにはマイナー契約から這い上がったダン・アグラが入ることが濃厚です。

上記のようなメンバーが故障者リストに入るため、それらの選手を除いだ当面のスターティングラインナップは以下のとおりとなります。

  1. マイケル・テイラー(CF)
  2. ユネル・エスコバー(3B)
  3. ブライス・ハーパー(RF)
  4. ライアン・ジマーマン(1B)
  5. ウィルソン・ラモス(C)
  6. イアン・デズモンド(SS)
  7. ダン・アグラ(2B)
  8. タイラー・ムーア(LF)

アダム・ラローシュが抜けたものの、2014年に61試合しかプレーできなかったライアン・ジマーマンがフルシーズンいることで、カバーできると見られていましたが、開幕時は上位打線の3名が抜けているため、明らかな迫力不足となっています。

しかし、現時点では4月を終わる頃にはデナード・スパンとジェイソン・ワースが戻ってくる見込みのため、そこまで大崩れせずに5割のライン前後にいれば、シーズン全体でのナショナルズの優位性は揺るぎないものとなりそうです。

仮に打線が十分に機能しなくても、投手陣は非常に強力なため、多くの点数を取らなくても勝ち星は積み重なっていくと考えられるため、これ以上の故障者を出さないことが重要なポイントとなります。

ナショナルズ投手陣の予想先発ローテーションとリリーフ陣の分析

ナショナルズの予想される先発ローテーションとブルペン陣の編成は以下のとおりとなっています。

【予想される先発投手陣】

  1. (SP) マックス・シャーザー
    220.1回/防御率3.15/18勝5敗/WHIP1.18
  2. (SP) ジョーダン・ジマーマン
    199.2回/防御率2.66/14勝5敗/WHIP1.07
  3. (SP) スティーブン・ストラスバーグ
    215.0回/防御率3.14/14勝11敗/WHIP1.12
  4. (SP) ダグ・フィスター
    164.0回/防御率2.41/16勝6敗/WHIP1.08
  5. (SP) ジオ・ゴンザレス
    158.2回/防御率3.57/10勝10敗/WHIP1.20

【予想されるリリーフ陣】

  • (CLO) ドリュー・ストーレン
    56.1回/防御率1.12/11SV/WHIP0.98
  • (SET) ケイシー・ジャンセン DL
    45.2回/防御率3.94/25SV/WHIP1.18
  • (SET) マット・ソーントン
    36.0回/防御率1.75/0SV/WHIP1.14
  • (RP) クレイグ・スタメン
    72.2回/防御率3.84/0SV/WHIP1.27
  • (RP) ゼイビア・セデーニョ
    7.0回/防御率3.86/0SV/WHIP1.43
  • (RP) アーロン・バレット
    40.2回/防御率2.66/0SV/WHIP1.30
  • (SP/RP) ブレイク・トレイネン
    50.2回/防御率2.49/2勝3敗/WHIP1.38
  • (SP/RP) タナー・ロアーク
    198.2回/防御率2.85/15勝10敗/WHIP1.09

シャーザー、ストラスバーグ、ジマーマン、フィスターというフロントスターターとしての力量を持つ投手が4人並び、5番手のジオ・ゴンザレスとロングリリーフにまわったタナー・ロアークもチームによってはNO.2に入ってもおかしくない投手がさらに控えています。

またロアークと同様にロングリリーフとスポット先発もできるブレイク・トレイネンも控えているため、先発ローテは質と量共にMLBでNO.1の布陣となっています。

クローザーは昨シーズン途中にラファエル・ソリアーノから代わったドリュー・ストーレンが務め、タイラー・クリッパードが務めていたセットアップはケイシー・ジャンセンが務めることになります。

そして左のセットアップマンとしてはヤンキースとナショナルズの2球団にまたがって防御率1.75という好成績を残したマット・ソートンが務め、その他のリリーフ陣も質が高く充実しています。

不安材料はドリュー・ストーレンがスプリング・トレーニングで足の水ぶくれに悩まされていて、連投のテストをできていないため、開幕から1週間程度は、ストーレンが投げた翌日のセーブがつく場面では、他の投手が代役を務めることになります。

通常であればその役割をケイシー・ジャンセンが務めることになるのですが、ジャンセンも開幕時は故障者リストに入り、復帰は4月中旬ごろとなりますので、代わる代わるで乗り切ることになると見られています。

野手同様に主力リリーフ投手が故障のため開幕に間に合わないのですが、幸いな事に長期間の離脱にならないとは見られていますので、こちらも4月をうまく乗り切ることが重要になりそうです。

総括・まとめ

2012年に98勝64敗という圧倒的な成績で地区優勝を果たし、2013年はシーズン開幕前からワールドシリーズ制覇の最有力候補として名前があがっていたナショナルズでした。

しかし、故障者が続出してしまった結果、86勝76敗という成績でブレーブスの後塵を拝しただけでなく、ワイルドカードすらも逃してしまいました。

2015年シーズンは、シーズン開幕前から故障者が続出していて、2013年の悪夢が脳裏をよぎるような状況です。

ただ、現時点では長期離脱になる可能性が高そうな主力メンバーはアンソニー・レンドンくらいとなっていますので、これ以上故障者を出さなければ、4月に少々苦しんでも、シーズンが終われば2位以下に大差をつけることができる戦力です。

2015年のナ・リーグ東地区はフィリーズとブレーブスが完全な再建モードに入った一方で、マーリンズとメッツが力をつけてきて、ナショナルズに挑戦するシーズンとなります。

マーリンズとメッツの両チームは若い選手の台頭があり、ポテンシャルは非常に高いのですが、チームとして熟成していくには、もう少し時間が必要と考えられ、2015年のシーズンにおいてナショナルズを上回るほどのパフォーマンスを発揮するとことは想像しにくいものがあります。

このような状況のため、ナショナルズにとってレギュラーシーズンで怖いのは「故障」だけと言っても過言ではない状況です。

ナショナルズは2015年シーズン終了後に、投手ではジョーダン・ジマーマンとダグ・フィスター、野手ではデナード・スパンとイアン・デズモンドがFAとなり、チームを去ることが濃厚のため、今年がワールドシリーズ制覇を狙うには重要な1年です。

故障者が復帰してくれば、ナショナルズのロースターはMLB最高と呼んでも差し支えのないもので、ナ・リーグ東地区2連覇は難しくないと考えられる2015年のワシントン・ナショナルズです。