MLB30球団分析:サンフランシスコ・ジャイアンツの2015シーズン開幕前戦力分析

San Francisco Top Catch

2010年から2014年の5年間で3度のワールドシリーズ制覇という偉業を成し遂げ、2010年代のDynasty(王朝)とも形容されたサンフランシスコ・ジャイアンツですが、連覇を達成したことはありません。

2010年は地区優勝(92勝70敗)からワールドシリーズ制覇を果たし、その翌年は地区2位(86勝76敗)でポストシーズンを逃し、2012年も地区優勝(94勝68敗)からワールドシリーズ制覇を果たしたものの、翌年は76勝86敗で地区3位に甘んじました。

2014年は88勝74敗で地区2位ではあったものの、ワイルドカードから勝ち進みワールドシリーズ制覇を成し遂げていますので、注目されるのはこの隔年でのワールドシリーズ制覇という流れを断ち切って、2015年に結果を残せるのかというところになります。

その2015年のサンフランシスコ・ジャイアンツのシーズン開幕前の戦力分析です。

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ジャイアンツの2014年のチーム成績とオフの主な戦力の加入・流出の一覧

2014年シーズンのジャイアンツのチーム全体の打撃陣と投手陣の成績は以下のとおりとなっています。

*SP:先発投手 QS:クオリティスタート RP:リリーフ投手 SV率:セーブ成功率

2014年打撃陣成績 得点 665(MLB12位/NL5位)
打率 .255(MLB10位/NL4位)
出塁率 .311(MLB18位/NL7位)
長打率 .388(MLB13位/NL6位)
盗塁 56(MLB29位/NL15位)
2014年投手陣成績 防御率 3.50(MLB10位/NL7位)
SP防御率 3.74(MLB16位/NL10位)
QS 86(MLB16位/NL10位)
RP防御率 3.01(MLB5位/NL3位)
SV率 71.88%(MLB11位/NL6位)
2014年守備成績 守備防御点(DRS) -5(MLB17位/NL12位)
UZR +2.9(MLB15位/NL7位)
UZR:

2014年はマット・ケインが故障で苦しんだ挙句に離脱し、リンスカムも不調に陥るなどしたため、先発投手陣の防御率は良くありませんでしが、安定したブルペン陣がそれをカバーしました。

また打線は強力とは言えないものの、試合を勝つのには十分な点数をとれ、接戦をものにできる勝負強さが光りました。投打ともに圧倒的なスタッツはないものの、バランスが良く穴が少ない2014年のサンフランシスコ・ジャイアンツでした。

そのジャイアンツのシーズンオフの主な戦力の加入・流出の一覧は以下のとおりとなっています。

*TR:トレード FA:フリーエージェン

主な戦力加入 TR:ケーシー・マギー(3B)
FA:青木宣親(OF)
FA再契約:ジェイク・ピービ(SP)
FA再契約:セルジオ・ロモ(RP)
FA再契約:ライアン・ボーグルソン(SP)
主な戦力流出 FA:パブロ・サンドバル(3B)
FA:マイケル・モース(OF)
リリース:マルコ・スクータロ(2B)

ワールドシリーズ制覇にバムガンナー、ポージー、ペンスと並んで大きく貢献したパブロ・サンドバルがFAとなり、その穴埋めとしてマリーンズからケーシー・マギーを、同じくFAでチームを去ったマイケル・モースの穴埋めとして青木宣親を獲得しました。

投手は新たに外部から投手を獲得するのではなく、ジェイク・ピービ、セルジオ・ロモ、ライアン・ボーグルソンという優勝メンバーを再び連れ戻すことを選択しました。

ジャイアンツの打撃陣の予想スターティングメンバーと分析

予想されるスターティングメンバーと打順並びにベンチメンバーは以下のとおりとなっています。

【予想スターティングラインナップ】

  1. (CF)アンヘル・パガン
    打率.300/本塁打3/打点27/出塁率.342/長打率.389
  2. (2B)ジョー・パニック
    打率.305/本塁打1/打点18/出塁率.343/長打率.368
  3. (C)バスター・ポージー
    打率.311/本塁打22/打点89/出塁率.364/長打率.490
  4. (1B)ブランドン・ベルト
    打率.243/本塁打12/打点27/出塁率.306/長打率.449
  5. (RF)ハンター・ペンス
    打率.277/本塁打20/打点74/出塁率.332/長打率.445
  6. (3B)ケーシー・マギー
    打率.287/本塁打4/打点76/出塁率.355/長打率.357
  7. (SS)ブランドン・クロフォード
    打率.246/本塁打10/打点69/出塁率.324/長打率.389
  8. (LF)青木宣親
    打率.285/本塁打1/打点43/出塁率.349/長打率.360

【予想ベンチメンバー】

  • (OF)グレゴール・ブランコ
    打率.260/本塁打5/打点38/出塁率.333/長打率.374
  • (1B/OF)トラビス・イシカワ
    打率.252/本塁打3/打点18/出塁率.311/長打率.393
  • (IF)ホアキン・アリアス
    打率.254/本塁打0/打点15/出塁率.281/長打率.301
  • (2B)マット・ダフィー
    打率.267/本塁打0/打点8/出塁率.302/長打率.300
  • (C)ヘクター・サンチェス
    打率.196/本塁打3/打点28/出塁率.237/長打率.301
  • (IF)エイーレ・アドリアンサ
    打率.237/本塁打0/打点5/出塁率.279/長打率.299
  • (OF)ジャスティン・マクスウェル
    打率.150/本塁打0/打点3/出塁率.222/長打率.175

上記のメンバーの中でハンター・ペンスが故障者リストで開幕を迎え、復帰まで1ヶ月かかる見込みです。トラビス・イシカワは故障者リストに入るか五分五分の状況で、その動向次第でベンチ入りメンバーの構成も変わることになります。

青木宣親が1番バッターを務めることになるのですが、ボウチー監督が”right now”という限定的な表現を使っているため、ハンター・ペンスが復帰すれば、アンヘル・パガンが当初の予定通りに1番に戻る可能性が高いと予想されます。

しばらくは青木宣親が1番を務め、投手の左右でパガンが3番に入り、4番ポージー、5番ベルトという並び、もしくは3番ポージー、4番ベルト、5番パガンという並びで開幕1ヶ月は動く試合が多くなる見込みです。

ペンスが戻ってきた場合には、青木宣親がレフトに戻ることになるのですが、ボウチー監督はトラビス・イシカワは一塁がメインもレフトでも起用する方針で、さらにポージーがファーストを守る際に、ブランドン・ベルトにレフトを守らせる考えがあることを明かしていて、実際にスプリング・トレーニングでテストも行っています。

また、すぐには実現しないようですが、外野手の補強を模索していることも明らかにしていますので、青木宣親はペンスが戻ってくるまでの1ヶ月の間にジャイアンツのチーム内で確固とした地位を築くことが重要になりそうです。

打線ではパブロ・サンドバル(打率.279/本塁打16/打点73/出塁率.324)とマイケル・モース(打率.279/本塁打16/打点61/出塁率.336)が抜けた穴が大きいのですが、その穴をパワーヒッターで埋めようとするのではなく、広角に打てる打者を並べることで必要な得点を稼ぐ方針です。

青木宣親、ケーシー・マギーともに広角に打てる打者ですし、同様に広角に打てるアンヘル・パガンが2014年は96試合しか出場できませんでしたので、ラインナップに戻ってくることで、逆方向に打てないという極端なプルヒッターがいない打線となります。

守備シフトが投高打低に大きな影響を与えていて、そのシフトの制限が検討されるほどです。ジャイアンツはそのシフトによる得点力の低下を、スタンドインさせるパワーではなく、シフトをひくことができない打者を並べることで解決しようとしています。

昨シーズンのロイヤルズのブルペンとディフェンス重視のスタイルが今年の補強に大きな影響を与えたように、このジャイアンツのアプローチがうまくいけば、新たな流れを生み出す可能性がありそうです。

ジャイアンツ投手陣の予想先発ローテーションとリリーフ陣の分析

ジャイアンツの予想される先発ローテーションとブルペン陣の編成は以下のとおりとなっています。

【予想される先発投手陣】

  1. (SP)マディソン・バンガーナー
    217.1回/防御率2.98/18勝10敗/WHIP1.09
  2. (SP)マット・ケイン
    90.1回/防御率4.18/2勝7敗/WHIP1.25
  3. (SP)ティム・ハドソン
    189.1回/防御率3.57/9勝13敗/WHIP1.23
  4. (SP)ジェイク・ピービ
    202.2回/防御率3.73/7勝13敗/WHIP1.28
  5. (SP)ティム・リンスカム
    155.2回/防御率4.74/12勝9敗/WHIP1.39

【予想されるリリーフ陣】

  • (CLO)サンティアゴ・カシーヤ
    58.1回/防御率1.70/19SV/WHIP0.86
  • (SET)セルジオ・ロモ
    58回/防御率3.72/23SV/WHIP0.95
  • (SET)ジェレミー・アフェルト
    55.1回/防御率2.28/0SV/WHIP1.1
  • (RP)ハビアー・ロペス
    37.2回/防御率3.11/0SV/WHIP1.33
  • (RP)ジェーン・マチ
    66.1回/防御率2.58/2SV/WHIP0.95
  • (SP/RP)ライアン・ボーグルソン
    184.2回/防御率4/8勝13敗/WHIP1.28
  • (SP/RP)ヤスメイロ・ペティット
    117回/防御率3.69/5勝5敗/WHIP1.02

先発ローテはワールドシリーズMVPのバムガンナーが1番手に、右肘の手術から復帰するマット・ケインが2番手、ティム・ハドソンとジェイク・ピービのベテラン2人が3番手・4番手、復活を期すサイヤング賞投手のティム・リンスカムが5番手を務めることになります。

そしてライアン・ボーグルソンとヤスメイロ・ペティットの2人がロングリリーフと先発ローテのバックアップを務める態勢となっています。

懸念されるのはバムガンナーがポストシーズンも合わせて270イニングを投げていることです。フィリーズのコール・ハメルズが2008年に262イニングを投げて、翌年の2009年は防御率4.32/WHIP1.29といずれもキャリアワーストの成績となったのと同様の問題が起こるのではないかと懸念があります。

しかし、ジャイアンツにとって明るい材料はマット・ケインが復帰することで、右肘の問題をだましだまし投げていたことが成績の低迷につながっていましたが手術を受けて、その問題を解消したためバウンスバックすることが期待されています。

またティム・リンスカムもスプリング・トレーニング全体の成績はイマイチですが、終盤にかけての登板では復活しつつあることを感じさせる投球を見せていて、バウンスバックが期待できる状態です。

ポストシーズンではマット・ケインが不在で、ティム・リンスカムは1試合1回2/3しか投げていない中で、ワールドシリーズ制覇を果たしていますので、この2人がしっかりと働けば、バムガンナーの成績が多少落ちたとしてもカバーして余りある状態となります。

ブルペンはクローザーをカシーヤが務めることになりますが、調子が悪ければロモと入れ替えることができるため、この2人の調子が良いほうが最終的にクローザーとして固定されると考えられます。

昨シーズンのワールドシリーズ制覇を支えたブルペン陣が残っているため、今年も一定のパフォーマンスが期待できそうです。

総括・まとめ

打線はそれぞれ16本塁打を打ったサンドバルとモースを失った穴埋めとして1本塁打の青木宣親と4本塁打のケーシー・マギーを獲得しているため、長打力の低下が必至という2015年のサンフランシスコ・ジャイアンツです。

ただ、このチームは本塁打で大量点をとるというよりも、試合に勝つのに必要な点数を、相手のミスにつけこんだりしながら、したたかに奪っていくという試合運びがううまい試合巧者のチームです。タクトをふるボウチー監督は殿堂入りが確実な百戦錬磨の名将で、それを理解して実行できるコアのメンバーが揃っています。

また、仮に長打不足が問題になった場合には、チームに適合した選手をトレードで獲得することもできる優秀なフロント陣もいるため、シーズン中にバランスを取りながら修正していくこともできます。

チームの中心であるバスター・ポージーに対する投手陣の信頼は厚く、ライアン・ボーグルソンは「投手に安心感を与えてくれる」と語り、昨シーズン途中に移籍してきたジェイク・ピービは「彼は特別な才能を持っている」、「チームの柱だ」と絶賛していて、チームスタッツでは測ることのできない大きな価値を生み出しています。

チーム個々人の実力だけで言えば、ドジャースやパドレスよりも見劣りするところもあるのですが、ボウチー監督とコーチ陣、そしてクラブハウスに一体感をもたらすコアのメンバーが揃い、クラブハウスの雰囲気も良く、チームをFamily(家族)と形容する選手も多く、チームとしての強さでは、ジャイアンツが大きなアドバンテージがあります。

ワールドシリーズの翌年はポストシーズンを逃すということが2度あったジャイアンツですが、再び同じ失敗をジャイアンツのフロントと首脳陣がおかすとは考えにくく、昨シーズンの疲労などによりポージーやバムガンナーなどの主力選手の故障で長期離脱するというようなことがなければ、ポストシーズン争いに絡んでくると予想されます。

地区優勝はドジャースがいるため簡単ではありませんが、少なくともワイルドカードの一枠に滑りこむ有力な候補となりそうなる2015年のサンフランシスコ・ジャイアンツです。