MLB30球団分析:オークランド・アスレチックスの2015シーズン開幕前戦力分析

Oakland Athletics Top Catch
2012年は94勝68敗、2013年は 96勝66敗でア・リーグ西地区を2連覇し、2014年も8月15日まで首位を守り続けたものの、シーズン終盤は故障者が続出したこともあり失速し、レギュラーシーズンの最終戦でワイルドカードに滑り込んだアスレチックスでした。

シーズン中のトレードではMLBでも5本の指に入るほどの評価を受けるアディソン・ラッセルや主砲のヨエニス・セスペデスらを放出した末に、失速してしまったため、少なからず補強を行ったビリー・ビーンGMへ批判の声がありました。

しかし、ビリー・ビーンGMはそのような声にひるむことなく、大胆なトレードを次々と成立させてロースターを若返らせ、年俸総額も削減するだけでなく、2015年に勝負する態勢を整えてきました。

その2015年のオークランド・アスレチックスのシーズン開幕前の戦力分析です。

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アスレチックスの2014年のチーム成績とオフの主な戦力の加入・流出の一覧

2014年シーズンのアスレチックスのチーム全体の打撃陣と投手陣の成績は以下のとおりとなっています。

*SP:先発投手 QS:クオリティスタート RP:リリーフ投手 SV率:セーブ成功率

2014年打撃陣成績 得点 729(MLB4位/AL3位)
打率 .244(MLB21位/AL12位)
出塁率 .320(MLB10位/AL5位)
長打率 .381(MLB16位/AL9位)
盗塁 83(MLB21位/AL10位)

2014年投手陣成績 防御率 3.22(MLB3位/AL2位)
SP防御率 3.37(MLB4位/AL1位)
QS 102(MLB5位/AL1位)
RP防御率 2.91(MLB3位/AL2位)
SV率 59.62%(MLB28位/AL14位)
2014年投手陣成績 守備防御点(DRS) +30(MLB7位/AL3位)
UZR +24.3(MLB8位/AL5位)

投打ともにバランスが良い数字が残っているのですが、得点に関してはシーズン前半の貯金によるものです。オールスター前までは95試合466点と1試合平均で4.90点でしたが、オールスター後の67試合では263点と1試合平均で3.92と、ほぼ1点近く落ち込みました。

防御率はオースター前が3.09だったのに対して、オールスター後は3.42と落ちたことと相まって、エンゼルスに追いつかれ、大きく突き放されることとなってしまいました。

このようにシーズン後半には投打ともに数字が落ちたアスレチックスですが、このオフにこれらの投打の軸となっていた選手をFAやトレードで流出しています。

アスレチックスのオフの主な戦力の加入・流出の一覧は以下のとおりとなっています。

*TR:トレード FA:フリーエージェン

主な戦力加入 トレード:アイク・デービス(1B)
FA:ビリー・バトラー(1B/DH)
トレード:タイラー・クリッパード(RP)
トレード:ケンドール・グレーブマン(SP/RP)
トレード:ユーリー・デラロサ(RP)
トレード:クリス・バシット(SP)
トレード:ショーン・ノリン(SP)
トレード:ブレット・ロウリー(3B)
トレード:ジョシュ・フェグリー(C)
トレード:マーカス・セミエン(SS)
トレード:ジェシー・ハーン(SP)
主な戦力流出 FA:ジョン・レスター(SP)
トレード:ジェフ・サマージャ(SP)
FA:ジェイソン・ハメル(SP)
FA:ルーク・グレガーソン(RP)
FA:アルベルト・カヤスポ(UT)
FA:ジョニー・ゴームズ(OF)
FA:ニック・プント(IF)
FA:ジェド・ラウリー(SS)
FA:ジオバニー・ソト(C)
引退:アダム・ダン(DH/OF)
トレード:ジョシュ・ドナルドソン(SS)
トレード:デレク・ノリス(C)
トレード:ジョン・ジェイソ(C)
トレード:ブランドン・モス(OF)

7月のトレード期限前に大型トレードで獲得したレスター、サマージャ、ハメルの3人に加えて、セットアップマンとして活躍したルーク・グレガーソンをFAで失いました。

さらにトレードで見返りは得たものの、シーズン中にはヨエニス・セスペデスを、シーズンオフにはチームの主砲であったジョシュ・ドナルドソン、ブランドン・モスの2人に加え、チームの主力して働いていたジョン・ジェイソやデレク・ノリスらを放出しました。

チームの主力を次々と交換要員にしながらメジャー昇格したばかりで、6年間チームがコントロールできる選手を多数獲得し、ロースターを一気に若返らせ、さらに年俸調停前の選手ばかりとなり、メジャー最低年俸の選手ばかりとなり、年俸総額には余裕がうまれました。

しかし、これらの主力選手を放出した一方で、目立ったFA補強はロイヤルズからFAとなったビリー・バトラーだけにとどまっています。その一方、投手陣で目立つところではメジャーでもトップクラスのセットアップマンの評価もあるタイラー・クリッパードを獲得し、ルーク・グレガーソンの抜けた穴を埋めています。

アスレチックスの打撃陣の予想スターティングメンバーと分析

予想される2015年のオークランド・アスレチックスのスターティングメンバーと打順は以下のとおりとなっています。

【予想スターティングラインナップ】

  1. (LF)ココ・クリスプ
    打率.246/本塁打9/打点47/出塁率.336/長打率.363
  2. (CF)サム・ファルド
    打率.239/本塁打4/打点36/出塁率.321/長打率.342
  3. (2B)ベン・ゾブリスト
    打率.272/本塁打10/打点52/出塁率.354/長打率.395
  4. (DH)ビリー・バトラー
    打率.271/本塁打9/打点66/出塁率.323/長打率.379
  5. (3B)ブレット・ロウリー
    打率.247/本塁打12/打点38/出塁率.301/長打率.421
  6. (1B)アイク・デービス
    打率.233/本塁打11/打点51/出塁率.344/長打率.378
  7. (RF)ジョシュ・レディック
    打率.264/本塁打12/打点54/出塁率.316/長打率.446
  8. (C)スティーブン・ボート
    打率.279/本塁打9/打点35/出塁率.321/長打率.431
  9. (SS)マーカス・セイメン
    打率.234/本塁打6/打点28/出塁率.300/長打率.372

【予想ベンチメンバー】

  • (C)ジョシュ・フェグリー
    打率.216/本塁打3/打点7/出塁率.211/長打率.514
  • (1B)マーク・カナ
    打率–/本塁打–/打点–/出塁率–/長打率–
  • (IF)エリック・ソガート
    打率.223/本塁打1/打点22/出塁率.298/長打率.268
  • (OF)クレイグ・ジェントリー
    打率.254/本塁打0/打点12/出塁率.319/長打率.289
  • (OF)ビリー・バーンズ
    打率.167/本塁打0/打点0/出塁率.167/長打率.167

故障がちのため、守備による負担を減らすことを目的としてセンターを守り続けてきたココ・クリスプをレフトに移動させ、サム・ファルドらにセンターを守らせるという方針で開幕を迎えることになりそうです。

ジョシュ・ドナルドソンが抜けたサードには、ドナルドソンのトレードで獲得したブレット・ロウリーが、ブランドン・モスらが守っていたファーストにはアイク・デービスがメインで起用される予定です。

ジョン・ジェイソ、デレク・ノリス、ジオバニー・ソトを失った捕手にはスティーブン・ボートがメインで守ることになる見込みです。

アスレチックスの場合は、開幕ロースターが一旦決定されても、固定されるわけではなく、頻繁に入れ替えがあり、打順や守備位置も柔軟に変える方針のため、あくまでも参考程度にしかならないというのが現実です。

2014年は得点力のあった打線でしたが、ジョシュ・ドナルドソン(打率.255/本塁打29/打点98)、ブランドン・モス(打率.234/本塁打25/打点81)、ヨエニス・セスペデス(打率.256/本塁打17/打点67)、デレク・ノリス(打率.270/本塁打10/打点55)、ジョン・ジェイソ(打率.264/本塁打9/打点40)、ジェド・ラウリー(打率.249/本塁打6/打点50)を失っています。

しかし、打線の主だった補強はビリー・バトラーとブレット・ロウリーとなりますので、長打力の面で比較すると見劣りする感が否めません。ただ、アスレチックスの場合は、他チームで活躍できていなかったブランドン・モスのような選手を主力として開花させるということをやってきていますので、ドナルドソンやモスの穴埋めをするような選手が現れる可能性が否定できません。

特にメジャーレベルに到達している若い選手を、このオフのトレードで多く獲得していますので、突然の大ブレイクがあっても不思議ではありません。

ただ、そのような大ブレイクする選手が現れれば別の話となりますが、シーズン開幕前の時点では、得点力の低下は避けられないという印象のアスレチックス打線です。

アスレチックス投手陣の予想先発ローテーションとリリーフ陣の分析

アスレチックスの予想される先発ローテーションとブルペン陣の編成は以下のとおりとなっています。

【予想される先発投手陣】

  1. ソニー・グレイ
    219.0回/防御率3.08/14勝10敗/WHIP1.19
  2. ジェシー・ハン
    73.1回/防御率3.07/7勝4敗/WHIP1.21
  3. スコット・カズミアー
    190.1回/防御率3.55/15勝9敗/WHIP1.16
  4. ケンドール・グレーブマン
    4.2回/防御率3.86/0勝0敗/WHIP0.86
  5. ドリュー・ポメランツ
    69.0回/防御率2.35/5勝4敗/WHIP1.12
  6. ジェシー・チャベス
    146.0回/防御率3.45/8勝8敗/WHIP1.31
  7. クリス・バシット
    29.2回/防御率3.94/1勝1敗/WHIP1.58
  8. ショーン・ノーリン
    1.0回/防御率9.00/0勝0敗/WHIP1.00
  9. ジェロッド・パーカー
    –回/防御率–/–勝–敗/WHIP–
  10. A.J.グリフィン
    –回/防御率–/–勝–敗/WHIP–

【予想されるリリーフ陣】

  • (CLO)ショーン・ドゥーリトル
    62.2回/防御率2.73/22SV/WHIP0.73
  • (SET)タイラー・クリッパード
    70.1回/防御率2.18/1SV/WHIP1.00
  • (SET)エリック・オフラハティ
    20.0回/防御率2.25/1SV/WHIP0.95
  • ダン・オテロ
    86.2回/防御率2.28/1SV/WHIP1.10
  • フェルナンド・エイバッド
    57.1回/防御率1.57/0SV/WHIP0.86
  • ジェシー・チャベス
    146.0回/防御率3.45/1SV/WHIP1.31
  • R.J.アルバレス
    8.0回/防御率1.13/0SV/WHIP1.00
  • ライアン・クック
    50.0回/防御率3.42/1SV/WHIP1.08

アスレチックスの最大の強みは投手陣で、層の厚さと質においてはア・リーグ西地区No.1であることは間違いないと言えます。

開幕時の先発ローテはソニー・グレイ、ジェシー・ハン、スコット・カズミアー、ケンドール・グレーブマン、ドリュー・ポメランツの5人となることが有力で、さらに昨年も先発ローテで活躍したジェシー・チャベスがロングリリーフ兼任のバックアップとして控えています。

またトレードで獲得した若い先発ローテ候補投手であるクリス・バシット、ショーン・ノーリンの2人に加えて、トミー・ジョン手術から復帰する実績のある投手がシーズン中には戻ってくる見込みです。

その2人のうちの1人はエース格であるジャロッド・パーカーで、2012年は181.1回で防御率3.47/13勝8敗、2013年が197.0回で防御率3.97/12勝8敗。そしてもう一人は先発ローテの2番手格であったA.J.グリフィンで、2012年82.1回で防御率3.06/7勝1敗、2013年が200回で防御率3.83/14勝10敗という成績を残しています

ジャロッド・パーカーはシーズン中頃、A.J.グリフィンが6月頃に復帰予定で、トミー・ジョン手術前と同等のパフォーマンスを発揮すれば、シーズン終盤に向けて大きな戦力アップとなり、既に層が厚い投手陣がさらに強固になります。

この2人が戻ってくれば、先発ローテの人員がだぶつくことになりますので、2015年シーズン終了後にFAとなるスコット・カズミアーをトレードの交換要員にできます。

さらには2014年に先発として52.1回で防御率2.58/4勝3敗という良い成績を残しだだけでなく、リリーフとしても16.2回で防御率1.62と力を発揮したドリュー・ポメランツをブルペンに回すことができるようになります。

ブルペンはクローザーはショーン・ドゥーリトルが務めることが有力ですが、肩の故障により調整が遅れていて、復帰は5月の頭ごろにずれ込む予定です。そのためトレードで獲得したタイラー・クリッパードが代役を務めると見られています。

タイラー・クリッパードは2014年に40ホールドもあげるなどメジャーでトップクラスのセットアップマンとしての評価があるのですが、2012年にナショナルズで32セーブをあげた実績もあるため、大きな不安はありません。

ドーリトルが戻ってくればエリック・オフラハティとタイラー・クリッパードが勝ちゲームの7回と8回を締めることができるようになりますので、試合の終盤も安心して見ることができそうです。

ブルペン陣は他にも実績のある投手がズラリと顔を並べ、さらには将来的にクローザーになれると評価されているユーリー・デラロサもマイナーで控えていますので、先発ローテと同様に分厚い布陣となっています。

総括・まとめ

2014年のような得点力を発揮できるとは思えない打線の顔ぶれとはなっているものの、投手力は強力でア・リーグ西地区だけでなく、ア・リーグNO.1と考えても差し支えないと言えるものとなっています。

また打線も2012年のメッツ時代に32本塁打を記録したこともあるアイク・デービス、高い出塁率を誇り安定感のあるベン・ゾブリスト、故障さえなければそれなりの数字を残すとの声もあるブレット・ロウリーらがうまく働けば、強力な投手陣で勝ちきるだけの得点を供給できる可能性が十分にあります。

特に投手陣の選手層が厚く、シーズン中に必要な穴を埋めるためのトレードを行うだけのカードも多く抱えていますので、柔軟に戦力バランスを整えることができます。

シーズン開幕前の段階においては、打線は得点力が低下していると評価せざるを得ませんが、投手陣はかなり強力なため、長いレギュラーシーズンを戦う上で、やはり侮れないアスレチックスです。

ビリー・ビーンGMのあまりに激しい動きに、一時は「再建モードに入ったのか?」という声もファンからは上がりました。しかし、ビリー・ビーンGMには、そのような意志は毛頭もなく、十分に戦えるロースターに仕上げてきています。

ビリー・バトラー、アイク・デービス、ベン・ゾブリスト、ブレット・ロウリーらの活躍次第では、エンゼルスとマリナーズと最後の最後までつばぜり合い続けることになりそうな2015年のアスレチックスで、少なくともワイルドカード争いには残ってくるのではないかと予想されます。