MLBの「8月のトレード」のルールについて – ウェーバー公示後にトレードが可能

野球狂ロゴ

2017年は例年どおり7月31日に設定され、2016年は8月1日となったトレード期限(trade deadline)ですが、簡略して言われることが多いのですが、正式にはウェーバー公示なしのトレード期限(non-waiver trade deadline)となります。

この期限前には選手をウェーバーにかけることなくトレードを成立させることができるのですが、8月以降はウェーバーにかけることでトレードを成立させることもできます。

日本のプロ野球では7月末をもってトレード、新外国人選手の獲得などが一切できなくなるのとは、その点で異なります。

この8月以降のメジャーリーグのトレードについて、あらためて整理しておきたいと思います。

スポンサードリンク

8月以降のトレードはウェーバーにかけることが必要に

初回更新日:2016年8月4日
最終更新日:2017年8月2日

8月以降からシーズン終了までに選手をトレードする場合は、ウェーバーにかける(他球団が獲得できる状態にする)必要があります。しかし、40人枠に入っていない選手は、ウェーバーを経ることなくトレードに出すことができます。

ただし、故障者リスト(DL)に入っている選手はウェーバーにかけることができず、ウェーバー期間中にその選手が故障者リストに入ってしまった場合には、そのウェーバーは取り消されることになります。

原則非公開で行われるものの、それまでのFA契約やトレードの情報と同様に内部関係者から何かしらの形でメディアに情報が漏れることが少なくありません。

ウェーバーにかけられた選手に対しては、どのチームもクレーム(獲得申し込み:claim off)することができますし、クレームしないこともできます。

ウェーバーに選手をかけた後に、起こる動きには主に3つのパターンがあります。

  1. クレーム(獲得申し込み)がなかった場合
  2. 1球団のみクレーム(獲得申し込み)した場合
  3. 複数のチームがクレーム(獲得申し込み)した場合

1. クレーム(獲得申し込み:claim off)がなかった場合

2営業日(47時間)の間にクレームするチームが現れない場合は、ウェーバーにかけられた選手は、全球団に自由にトレードできる状態となります。一般的に「ウェーバーをクリアした」と言われます。同時に、その選手を保有している球団はマイナー降格させたり、自由契約にもできます。

2. 1球団のみクレーム(獲得申し込み:claim off)した場合

2営業日(47時間)の間にクレームするチームが一つだけ現れた場合には、その球団のみが交渉権を獲得します。

3. 複数のチームがクレーム(獲得申し込み:claim off)した場合

2営業日(47時間)の間にクレームするチームが複数あらわれた場合には、以下のような順序で優先交渉権を手にした1チームのみが交渉できます。

  1. 同一リーグのチームからの申し込みが優先。かつ今季の一番勝率が低いチームが優先され、そのチームが交渉権を獲得
  2. 異なるリーグからのみのクレームの場合、その中で今季の一番勝率が低いチームが優先

複数のチームの場合は以上のような優先順位によって交渉権が与えられるのですが、あくまでもその選手を獲得できるのは最優先の1チームだけです。

続いて、クレーム(獲得申し込み:claim off)があった場合の選手保有球団の対応ですが、クレームがあった場合に、選手をウェーバーにかけたチームは以下の3つから選択することになります。

  1. クレームがあってから2営業日(48.5時間)で申し込みがあったチームとトレードを成立させる
  2. ウェーバーを破棄して、選手をメジャーのロースターに戻す
  3. 特に何もせずに、現在の契約(年俸など)をそのままクレームしたチームに引き継いでもらう

クレームしたチームは交渉権を得ただけにとどまります。2球団間でトレーが合意に達しない場合には、ウェーバーを取り消して、メジャーのロースターに戻すことが1回だけできます。

「ウェーバーを破棄する行為は、シーズンに1回だけ認められていて、2回は行使できない。」ルールとなっているためです。

3番目の内容はトレード交渉をして見返りの選手を求めることもなく、ただ選手を引き取ってもらうというものです。この3番目の動きがあるため、大型契約が残る選手の多くがウェーバーをクリアすることができます。

クレームした場合に、そのまま契約を引き取ることになるという大きなリスクがあるためです。

8月以降のトレードに注意すべきこと

スポンサーリンク

8月以降のトレードでのポイントとなる内容があるのですが、以下の3つを最低限踏まえておくと、より動きが理解しやすくなります。

  1. 8月31日までに25人枠に入れないと、その選手はポストシーズンは出場できない。
  2. トレード両チームが合意しても、その選手が40人枠にいる場合にウェーバーをクリアしないといけない
  3. 7月31日前に比較すると選手の価値は下がる傾向

1番目ですが、セプテンバーコールアップと呼ばれる、アクティブロースターが25人から40人に広がる9月1日以降に入った選手はポストシーズンをプレーできません。トレードで獲得する選手をポストシーズンでも起用したいチームは8月31日までに獲得する必要があります。

2番目のポイントですが、保有球団が選手をウェーバーをかける場合には、具体的にトレード先が決まっている場合と、トレード市場でどれくらいのチームが関心を持つのかを探るためという場合があります。

後者の場合は、ペナルティなく1回はウェーバー公示を破棄できるため、クレームされても保有球団がウェーバーを破棄し、選手をロースターに戻すことが一般的です。

前者の場合は、その選手をトレードしたいチームのところまで、たどり着くかどうかは、他球団の出方次第となります。

というのも、勝率の低いチームに交渉の優先権があるため、仮にワイルドカードや地区優勝争いで下位にいるチームは、その選手が必要ではなくても、上位チームの補強をブロックするためにクレームすることが多くあるためです。

このようにトレード成立のためには、ウェーバーをクリアさせる必要があるため、トレードに出したい選手を隠すために、40人のロースター全体をウェーバーにかけるチームもあるとされています。

その理由は、他球団の補強を妨害するために、ウェーバーのクレームが下位の球団に優先権があることを利用して、ライバルの上位チームが補強したいであろう選手をクレームしてしまい、トレードを成立させないようにする動きを回避するためです。

例を挙げると、仮にレンジャーズのAという選手とレイズのBという選手のトレードが球団間で合意していても、その両名ともが40人枠にいる選手の場合は、ともにウェーバーをクリアしないと成立しません。それを察知した下位球団がその補強を成立させないように、クレームしてしまうことがあります。

その妨害を回避し、トレードしたい選手を隠すために、同時に大量の選手をウェーバーにかけるという駆け引きが行われることもあります。

ウェーバー公示なしでトレードできる7月までとは異なり、クレームされた場合には、基本的に1チームとしか交渉できないため、複数のチームにオファーをしてもらいながら条件を釣り上げることができません。そのため、期限前に比較すると選手の価値は下がる傾向となります。

それでも過去にも大きなトレードがあったように、ポストシーズンを狙うチームが大胆に動く可能性もありますので、試合だけでなく、各チームのフロントの動きもヒートアップしていくことになります。

2015年はこの8月以降にマイク・ナポリ、オースティン・ジャクソン、マーロン・バード、フェルナンド・ロドニー、ニック・スウィッシャー、マイケル・ボーンなどがトレードされています。

2016年はあまり大きい動きはありませんでしたが、有名なところでは2012年にドジャースがエイドリアン・ゴンザレス、カール・クロフォード、ジョシュ・ベケット、ニック・プントを獲得し、レッドソックスがアレン・ウェブスター、ジェームズ・ローニー、ルビー・デラロサ、ジェリー・サンズ、イバン・デヘスースを獲得する大型トレードが成立したことがあります。

8月のトレード市場で動く気配を見せているチームもありますので、残り1ヶ月足らずのトレード市場の動きにも注目です。

スポンサードリンク

よく読まれています

    

このページの先頭へ