■ ニューヨーク・メッツの2017年シーズン戦力分析の目次
1. 2016年シーズンの主要な成績の一覧
ニューヨーク・メッツの2016年シーズンの、打撃、守備、投手の主要な成績の一覧です。
攻撃 | スタッツ(リーグ順位) |
---|---|
得点 | 671(11位) |
打率 | .246(12位) |
出塁率 | .316(12位) |
長打率 | .417(6位) |
OPS | .733(7位) |
本塁打 | 218(2位) |
盗塁 | 42(14位) |
盗塁成功率 | 70%%(8位) |
守備 | スタッツ(リーグ順位) |
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UZR | 0.5(7位) |
DRS | -21(11位) |
投手 | スタッツ(リーグ順位) |
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防御率 | 3.58(3位) |
先発防御率 | 3.61(3位) |
ブルペン防御率 | 3.53(3位) |
セーブ数 | 55(1位) |
セーブ成功率 | 77.46%(1位) |
メジャー最高の先発ローテーションと評価された布陣に故障者が続出したのですが、それでも投手陣はナ・リーグのトップクラスの水準となるなど、質の高さと層の厚さを発揮し、ワイルドカードに滑り込みました。
打線がメッツの泣き所でシーズン途中にテコ入れのためにジェイ・ブルースやジェームズ・ローニーらを獲得しました。しかし、ブルースは移籍後の50試合で打率.219/出塁率.294/長打率.391/OPS.685、ローニーは100試合で.265/.307/.397/.703と期待はずれに終わり、起爆剤とはなりませんでした。
2. 2016-17シーズンオフの戦力補強動向
2016-17シーズンオフの戦力補強動向の一覧は以下のとおりとなっています。
獲得/流出 | 選手名(ポジション) |
---|---|
流出 | ジェームズ・ローニー(1B) |
流出 | アレハンドロ・デアザ(OF) |
流出 | ケリー・ジョンソン(IF) |
流出 | バートロ・コロン(SP) |
流出 | ジム・ヘンダーソン(RP) |
再契約 | ヨエニス・セスペデス(OF) |
再契約 | ニール・ウォーカー(2B) |
再契約 | ジェリー・ブレビンス(RP) |
再契約 | フェルナンド・サラス(RP) |
故障者が続出した先発ローテを支え191回2/3を投げて防御率3.43、15勝8敗という成績を残したバートロ・コロン、た130試合に出場したアレハンドロ・デアザ、100試合に出場したジェームズ・ローニーなどが流出しています。
先発ローテは元々豪華な布陣が復帰してくることもあり積極的な補強に動くことはなく、リリーフに関してはジェリー・ブレビンスと1年650万ドル、フェルナンド・サラスと1年300万で再契約しています。
打線の得点力不足が課題のメッツにとって132試合で打率.280/出塁率.354/長打率.530/OPS.884、31本塁打、86打点のヨエニス・セスペデスを失うことは大きな痛手となることもあり、4年1億1000万ドルの大型契約で再契約しています。
また打率.282/出塁率.347/長打率.476/OPS.823、23本塁打のニール・ウォーカーに1720万ドルのクオリファイング・オファーを提示し、ウォーカーが受諾したため再びチームに戻ってきています。
補強というよりは2016年の主要な戦力を連れ戻し、復帰してくる故障者と組み合わせることで勝負をすることを選んだと考えられるメッツです。
3. 2017シーズン開幕時のロースター編成の予想
ニューヨーク・メッツの2017年シーズン開幕時に予想される先発スターティングメンバー、ベンチ要員、先発ローテーション、ブルペンの編成などは以下のとおりとなっています。
【先発スターティングメンバー】
- ホセ・レイエス(3B)
- アズドルバル・カブレラ(SS)
- ヨエニス・セスペデス(LF)
- カーティス・グランダーソン(CF)
- ニール・ウォーカー(2B)
- ジェイ・ブルース(RF)
- ルーカス・デューダ(1B)
- トラビス・ダーノー(C)
【ベンチ要員】
- レネ・リベラ(C)
- ウィルマー・フローレス(IF)
- タイ・ケリー(IF/OF)
- T.J.リベラ(IF/OF)
- マイケル・コンフォルト(OF)
- DL:デビッド・ライト(3B)
- DL:フアン・ラガーレス(OF)
- DL:ブランドン・ニモ(OF)
ジェイ・ブルースのトレード放出をシーズンオフに試みたメッツでしたが、それが上手くいかずチームに残ることになりました。
しかし、フアン・ラガーレス、ブランドン・ニモといった期待された有望株が故障者リストでシーズン開幕を迎える可能性が高まり、結果としてブルースが残ったことが幸いしている状況です。
これらの外野手2人の離脱により、3Aでプレーすることが濃厚だったマイケル・コンフォルト、センターのカーティス・グランダーソンのバックアップと代打の一番手として開幕ロースターに残る可能性が浮上しています。
フアン・ラガーレスが開幕に間に合った場合には、マイケル・コンフォルトは既定路線通りマイナーに降格する見込みです。
デビッド・ライト、ブランドン・ニモらは、復帰する時期について明確なメドが立っていない状況で、サードはホセ・レイエスが守ることになる見込みです。
【先発ローテーション】
- ノア・シンダーガード(右)
- ジェイコブ・デグロム(右)
- マット・ハービー(右)
- ザック・ウィーラー(右)
- ロバート・グセルマン(右)
【ブルペン】
- CLO:ジェウリス・ファミリア(右)
- SET:アディソン・リード(右)
- SET:フェルナンド・サラス(右)
- RP1:ハンセル・ロブレス(右)
- RP1:ジェリー・ブレビンス(左)
- RP2:ジョシュ・スモーカー(左)
- RP3:ジョシュ・エジン(左)
- RP4:ラファエル・モンテロ(右)
- DL:スティーブン・マッツ(SP)
先発ローテーションはノア・シンダーガード、ジェイコブ・デグロム、マット・ハービーの3人が早々に確定し、残る2枠を巡る争いとなっていました。
その候補の一人であったスティーブン・マッツが開幕時は故障者リストに入ることになり、ザック・ウィーラー、ロバート・グセルマン、セス・ルーゴが争っていたのですが、ルーゴが外れることになりました。
ルーゴはロングリリーフとしてラファエル・モンテロに代わってメジャーに残る可能性もありますが、3Aに降格する可能性もあるという状況です。
ジェウリス・ファミリアはDV問題で15試合の出場停止処分を受けたため、復帰は最短で4月20日なる見込みで、戻ってくるまではアディソン・リードが穴を埋める可能性が高くなっています。
4. 寸評・評価
投手陣では同地区のライバルであるナショナルズを上回るものの、ナショナルズも優れているため、大きな差をつけることができにくくなっています。
その一方で得点力に関しては差があり、上位から下位まで穴のない打線を組めるナショナルズに対して、メッツは幾つかのポジションで弱さがあります。
デビッド・ライトは首の手術などで2シーズンで75試合しか出場できなかったのですが、背中や首への負担を軽減するために、サイドからスローイングを試みるようになった結果、肩を痛めるという悪循環に陥っています。
デビッド・ライトの受けた手術はプリンス・フィルダーを引退に追いやったものと同様な深刻なものとされているため、今季の戦力として大きな期待はしないほうが無難な状況です。
そのため地区優勝するためには、各チームのエースクラスが並ぶ若い優秀な先発投手が長期離脱することなく、フルシーズンの大半を戦ってくれることが必要条件となります。
それらの投手に健康面の不安があることがメッツにとっての大きなリスクともなっているのですが、バックアップとしてセス・ルーゴ、故障から復帰が見込まれるスティーブン・マッツらもいるなど、ある程度は対応できる布陣です。
地区優勝するには、メッツの看板である先発投手陣が健康で、打線が機能することが必要で、さらにナショナルズに複数の故障者や主力の不振・低迷などが加わることが必要になるかもしれません。
ただ、地区2位となることが難しい戦力ではなく、ワイルドカード争いに加わる確率は高いと予想される2017年のニューヨーク・メッツです。