■ マイアミ・マーリンズの2017年シーズン戦力分析の目次
1. 2016年シーズンの主要な成績の一覧
マイアミ・マーリンズの2016年シーズンの、打撃、守備、投手の主要な成績の一覧です。
攻撃 | スタッツ(リーグ順位) |
---|---|
得点 | 655(13位) |
打率 | .263(2位) |
出塁率 | .322(8位) |
長打率 | .394(12位) |
OPS | .716(12位) |
本塁打 | 128(14位) |
盗塁 | 71(10位) |
盗塁成功率 | 72%%(6位) |
守備 | スタッツ(リーグ順位) |
---|---|
UZR | 22.9(4位) |
DRS | 14(4位) |
投手 | スタッツ(リーグ順位) |
---|---|
防御率 | 4.05(6位) |
先発防御率 | 4.32(6位) |
ブルペン防御率 | 3.63(8位) |
セーブ数 | 55(2位) |
セーブ成功率 | 65.48%(11位) |
打線はチーム打率はリーグ2位と良いものの、出塁率はリーグ中位にとどまり、長打率はリーグの下位に沈むという効率の悪さが目立ち、得点はリーグ13位に沈みました。
野手の守備力は内外野ともにしっかりとしているのは強みで、投手陣もそこそこ悪くないのですが、エースのホセ・フェルナンデスを事故で失ったことが大きな痛手となっています。
先発ローテの防御率はリーグ6位ですが、これはホセ・フェルナンデスの182.1回で防御率2.86があってこその数字です。
2. 2016-17シーズンオフの戦力補強動向
2016-17シーズンオフの戦力補強動向の一覧は以下のとおりとなっています。
獲得/流出 | 選手名(ポジション) |
---|---|
流出 | マイク・ダン(RP) |
流出 | アンドリュー・キャッシュナー(SP) |
流出 | ジェフ・マシス(C) |
流出 | フェルナンド・ロドニー(RP) |
流出 | ブライアン・モリス(RP) |
流出 | コーリー・ルーブキー(RP) |
トレード流出 | ルイス・カスティーヨ(SP) |
トレード流出 | オースティン・ブライス(RP) |
獲得 | エディンソン・ボルケス(SP) |
獲得 | ブラッド・ジーグラー(RP) |
獲得 | 田澤純一(RP) |
獲得 | ジェフ・ロック(SP) |
トレード獲得 | ダン・ストレイリー(SP) |
獲得 | A.J.エリス(C) |
ホセ・フェルナンデスを失い、アンドリュー・キャッシュナーがFAとなった先発ローテに、エディンソン・ボルケスを2年2200万ドルで獲得し、トレードでダン・ストレイリーを獲得しています。
リリーフでは左腕のマイク・ダンがFAとなったのですが、補強したリリーフ投手はブラッド・ジーグラー、田澤純一がFAから、ジェフ・ロックをトレードで獲得しています。
ホセ・フェルナンデスが事故になる前は、先発2番手クラスを補強すれば良いというスタンスでした。その後、エース級の獲得に動くか注目されましたが、先発は頭数を揃えて、ブルペンで補うことを選んだシーズンオフの動向でした。
3. 2017シーズン開幕時のロースター編成の予想
マイアミ・マーリンズの2017年シーズン開幕時に予想される先発スターティングメンバー、ベンチ要員、先発ローテーション、ブルペンの編成などは以下のとおりとなっています。
【先発スターティングメンバー】
- ディー・ゴードン(2B)
- マーセル・オズナ (LF)
- クリスチャン・イエリッチ (CF)
- ジャンカルロ・スタントン (RF)
- ジャスティン・ボーア (1B)
- J.T.リアルミュート (C)
- デレク・ディートリック (3B)
- アデイニー・エチェバリア (SS)
【ベンチ要員】
- A.J.エリス (C)
- タイラー・ムーア (1B/OF)
- ミゲル・ロハス (IF)
- イチロー(OF)
- DL:マーティン・プラド(3B)
マーティン・プラドはWBCで足を故障しましたが、深刻なものではなく4月中旬には復帰することが見込まれています。プラドが不在の間はデレク・ディートリックを起用するプランとなっています。
オズナ、イエリッチ、スタントンという外野の3つのポジションにチームのコアとなる選手がいるため、引き続きイチローは4番目の外野手となり、主力に負傷・故障がない限り、起用は限定的となる見込みです。
【先発ローテーション】
- エディンソン・ボルケス(右)
- ダン・ストレイリー(右)
- トム・コーラー (右)
- チェン・ウェイン(左)
- アダム・コンリー (左)
【ブルペン】
- CLO:A.J.ラモス (右)
- SET:ブラッド・ジーグラー (右)
- SET:田澤純一(右)
- RP1:カイル・バラクロー (右)
- RP1:デイビット・フェルプス (右)
- RP2:ダスティン・マゴワン (右)
- RP3:ニック・ウィットグレン (右)
- RP4:ホセ・ウレーニャ (右)
- DL:ジェフ・ロック (右)
先発ローテはボルケス、ストレイリー、コーラー、チェン、コンリーという顔ぶれで、エースと呼べる存在がいないだけでなく、ミドルスターター、バックエンドスターターで構成された布陣で弱さがあることが否定できません。
その弱さをカバーするためにブルペンを強化する道を選びました。
フェルナンド・ロドニーとマイク・ダンがチームを去ったのですが、防御率2.81・40セーブのA.J.ラモスの前に、ジーグラーと田澤を加えて、デイビット・フェルプス(防御率2.28)、カイル・バラクロー (防御率2.85)、ダスティン・マゴワン (防御率2.82)の3人と組み合わせるブルペンを形成しています。
4. 寸評・評価
先発ローテーションはエース、フロントスターターと呼べる存在が見当たらず、投手陣はブルペンの頑張りにかかっています。
しかし、似たような編成でワールドシリーズ制覇にたどり着いたロイヤルズのように、ブルペンが相手チームを圧倒するような強力さがあるかと言えば疑問符がつきます。
また、仮にブルペンが機能したとしても、先発ローテが弱さからくる序盤の失点は跳ね返すだけの得点を、現在の打線が供給できるかについても疑問が残ります。
マーリンズが浮上するためには打線では打率.240/出塁率.326/長打率.489/OPS.815、27本塁打、74打点とやや期待はずれに終わったジャンカルロ・スタントンの活躍が欠かせず、その上で、前後を打つオズナ、イエリッチ、ボーアのさらなるステップアップが必要と考えられます。
戦力的には穴が大きく、主力が故障した場合の選手層も薄いため、地区優勝を争うであろうナショナルズとメッツには見劣りすることが否めないマーリンズです。
ワイルドカード争いに絡むためには補強したボルケスとストレイリーが3点台前半の防御率をキープし、強化したブルペンが機能し、ジャンカルロ・スタントンが以前のような攻撃力を見せ、オズナとイエリッチというコアプレイヤーが更に躍進するという様々な条件が満たされる必要があり、ハードルが高い状況ではあります。
様々な要素が上手く噛み合った時にはワイルドカード争いに絡めるかもしれませんが、そうでなければ5割前後の勝率がラインとなりそうなマーリンズです。