マリナーズの補強は?2014年のウェイバー公示なしトレード期限前の移籍情報

賛否両論が巻き起こったシアトル・マリナーズのロビンソン・カノとの10年2億4000万ドルの長期契約ですが、2014年のオールスター前には補強の成果が出ていると考えられるチーム状態となっています。

ア・リーグ西地区はアスレチックスとエンゼルスがMLB全体でも1位、2位の勝率のため3位に甘んじていますが、オールスター前には51勝44敗と貯金を7つ作り、ワイルドカード争いではロイヤルズとブルージェイズに2.5ゲーム差をつけて、プレーオフ進出圏内に入っています。

このように久々にマリナーズがプレーオフを狙える状況となったわけですが、注目されるのが、このウェイバー公示なしのトレード期限前(7月31日)にマリナーズがどのような補強に動くのかということではないでしょうか?

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マリナーズの補強のポイントは?

マリナーズのGMであるジャック・ズレンシックは7月31日までに補強がないとすれば驚きだとして、トレードの成立に向けて積極的な発言をしています。

そこで気になるのがマリナーズの補強のポイントです。それを把握するためにいくつかのスタッツをまとめています。

まず前提として、ア・リーグはDHがある分、基本的には投手にとっては不利な環境となり、ア・リーグとナ・リーグの投手スタッツは平均値では以下のような差があります。

    ア・リーグ

  • 防御率3.94/被打率.254/被OPS.714/WHIP1.31/奪三振率7.64
  • ナ・リーグ
    防御率3.69/被打率.250/被OPS.698/WHIP1.27/奪三振率7.79

このようにア・リーグのほうが投手の平均の数字も悪くなっています。そのためマリナーズの補強ポイントを知るためには、単純にMLB全体での位置だけでなく、同一リーグ内でのチームの位置づけが重要となりますので、ア・リーグとMLB全体の両方での順位を表に記載しています。マリナーズのオールスター終了時点のスタッツは以下のとおりとなっています。

マリナーズのオールスター2014終了時点のスタッツ

打撃面では得点こそ両リーグ18位、ア・リーグ11位ですが、打率は両リーグ24位でリーグ14位と下から2番目、出塁率とOPS(出塁率+長打率)がア・リーグで最下位となっています。そしてそのOPSを押し下げている原因の1つが左投手への弱さで、対左投手のOPSは.642とかなり低い数字でリーグ最低となっています。

打線は主力クラスがカノ、シーガー、モリソン、アクリー、ミラーなど左打者ばかりで、右打者で出場し続けたのはマイク・ズニーノくらいで、コリー・ハートや両打ちのジャスティン・スモークは、長期離脱しましたので、その影響も大きく出てしまいました。

この不安定な打線でも勝つことができていたのは、投手陣が安定していたためでした。チーム防御率3.16は両リーグで3位、ア・リーグでもアスレチックスに次ぐ2番目と安定しています。

先発では4番手、5番手が弱いものの、フェリックス・ヘルナンデスと岩隈久志に加えて、ベテランのクリス・ヤングが防御率3.15/8勝6敗/WHIP1.10と頑張り、新人のロエニス・エリアスもまずまずの投球を続けていますので、先発投手陣の防御率も3.52でリーグ2位となっています。

特に安定感を発揮しているのが、クローザーにフェルナンド・ロドニーを加えたリリーフ陣です。リリーフ陣の防御率2.39は両リーグ1位、セーブ成功率もリーグ2位と安定しているため、試合の終盤に大崩れすることが少なくなりました。

チームの勝ち星が増えたのは、この投手陣が、得点力の弱い打線がなんとか作ったリードを守り切ることができるのが大きな要因と言える状況です。

このようなチーム状況のため、補強が必要なのは打撃面で、特に右打ちの野手を必要としていると考えられるマリナーズです。

マリナーズはデビッド・プライスを獲得するのか?それとも?

マリナーズが右打ちの打者が必要なことは、開幕前から多くのメディアが指摘し、ロビンソン・カノも自分だったらケンドリス・モラレスと契約すると述べるなど、明らかな課題の1つでした。

しかし、マリナーズは予算上の制約もあり、FAで獲得したコリー・ハートとジャスティン・スモークにかける選択をしましたが、残念ながらうまく機能していない状態です。

そのためメディアの大勢の見解も、打撃陣の補強が急務の課題となっているのですが、一部の専門家はもう打撃陣はあきらめて、さらに投手力を強化したほうが良いのではないかという声もあります。

投手の補強をすすめる専門家は、大きなインパクトを与えることができる右打ちの外野手がトレード市場に少ないとして、それならば投手をさらに強力にしたほうが良いのではないかというのが、その理由です。

具体的にはタンパベイ・レイズのデビッド・プライスを獲得してはどうかということなのですが、プライスに関しては、シーズンオフの間もマリナーズの補強候補として名前が浮かんでは消える投手の1人でした。

デビッド・プライスの獲得ができれば、フェルナンデス、デビッド・プライス、岩隈久志とローテに並び、かなりの強力なローテーションとなるので、守り勝つ態勢がより整うのは間違いありません。

シーズン開幕前も、プライスのトレードに関する交渉は水面下で行われていたようですが、結局まとまらなかったのは、レイズがマリナーズのトッププロスペクトであるタイファン・ウォーカーやジェームズ・パクストンを交換要員と求めていて、マリナーズがそれを渋ったからだとされています。

そしてマリナーズの地元メディアにも、トレードで多くのプロスペクトを放出するのは、2008年のエリック・ベダードの時のようになる危険性があるとして、このウォーカーを含めたプロスペクトの放出には否定的な声もあります。

2008年にマリナーズはオリオールズからエリック・ベダードを獲得するために、クリス・ティルマンとアダム・ジョーンズを含む5選手を放出しました。

その結果、獲得したベダードは、故障もありマリナーズでの2年半で46試合に先発し15勝するにとどまった一方で、放出したティルマンは2013年に16勝をあげ、アダム・ジョーンズはゴールドグラブ賞3回、シルバースラッガー賞1回、オールスター4回出場のスタープレーヤーになりました。

このような苦い経験の他にもトレードの失敗が多いためか、同じ間違いを犯すべきではないというのが、一部の地元メディアが否定的な理由です。

ただ、微妙なのは期待されているウォーカーの今シーズンのパフォーマンスが、春先の故障の影響のためか、期待されたほどは良くなかったことです。

メジャーに復帰した2回の登板では防御率3.60/WHIP1.40と及第点と考えられる数字を残しましたが、4シームは昨年ほどの威力とキレがなく、ブレーキングボールも曲がりが悪く、制球もイマイチでした。

身体能力の高さやポテンシャルの高さは垣間見れ、トップスターターになる可能性はあるものの、先の2回の登板を見る限りでは、MLBで活躍するにはもう少し時間がかかりそうな印象でした。

そのためかアメリカの専門家の中にも、タイファン・ウォーカーは、マイアミ・マーリンズのホセ・フェルナンデスほど洗練されていないから、ウォーカーにこだわるよりもトレードに出して、プライスなどを獲得したほうが、プレーオフの可能性が高まるので良いのではとの声も見受けられます。

打線の補強はどうなるのか?

では、得点力が低い打線の補強はどうなるのか?ということ問題となるわけですが、そちらでも多くの名前が候補として上がっています。

一時はフィリーズのマーロン・バードが有力候補として浮上しました。しかし、話が進まなかったようで、最近はその可能性が低くなりつつあるとFOXスポーツのJon MorosiやCBSスポーツのJon Heymanは分析しています。

そして最近になって名前が頻繁に上がるようになってきたのが、タンパベイ・レイズのベン・ゾブリストです。

ベン・ゾブリストは両打ちですし、内野は捕手以外は守ることができる上に、マリナーズの手薄な外野の守備もこなすことができるユーティリティプレーヤーでもあるため、マリナーズの補強ポイントに合致します。また現在のゾブリストの契約には2015年の1年間を750万ドルで延長できるチームオプションがついていることも魅力となっています。

このゾブリストに関するトレードの動きはすぐに折り合う状態ではないものの、多くのやりとりがレイズとマリナーズとの間で行われていて、その話の中にはデビッド・プライスも含まれているとJon Morosiは述べています。

その情報に加えて、CBSスポーツのJon Heymanはリーグ関係者からの情報として、トッププロスペクトであるタイファン・ウォーカーを含む複数のプロスペクトの名前が、デビッド・プライスに関する交渉で上がっているようだとも伝えています。

そしてJon Heymanは、マリナーズにはプロスペクトが豊富にいて、現在ポジションがないニック・フランクリンだけでなく、ジェームズ・パクストン、そして野手のプロスペクトとしては一番高い評価を受け、マイナーでもベストの打者の1人とされるD.J.ペターソンもいて、タンパベイ・レイズが興味を持つであろう選手がいると分析しています。

もしマリナーズがここに名前が上がったような複数のプロスペクトを放出すれば、レイズもデビッド・プライスとベン・ゾブリストの両者を放出することに応じる可能性は十分にあると考えられます。

そしてこの両者を獲得することにマリナーズが成功した場合には、打線の強化だけにとどまらず、ア・リーグ屈指の先発ローテも組めますので、かなりのインパクトがある補強となります。

同地区のライバルであるアスレチックスとエンゼルスにとっても十分に脅威となる戦力となりますし、マリナーズがア・リーグのワイルドカード争いでは有利な立場に立つことが予想されます。

ただ、デビッド・プライスやベン・ゾブリストに関心を示しているチームはマリナーズだけではありません。両選手ともに引く手あまたの状況のため、もしマリナーズが獲得しようとするならアスレチックスのように思い切ったプロスペクトの放出が必要となりそうです。

レイズは捕手にも興味があるようですが、マリナーズはマイク・ズニーノは出す意志がないものの、ショートのプロスペクトが育ってきているので、ブラッド・ミラーも出す可能性があるとJon Heymanは分析しています。

マリナーズが本腰を入れて大型トレードに踏みきって勝負に出るのか?それとも今年はまだ我慢して数年後を見据えながら戦うのか?マリナーズ首脳陣の決断が注目されます。

マリナーズが獲得に動く可能性があると報じられた選手リスト一覧

  • マーロン・バード(PHI)
  • ジョシュ・ウィリンガム(MIN)
  • ダヤン・ビシエド(CHW)
  • ビリー・バトラー(KC)
  • ベン・ゾブリスト(TB)
  • アレックス・リオス(TEX)
  • ジュニオール・レイク(CHC)
  • デビッド・プライス(TB)