ダルビッシュ獲得に至った「12分の交渉」 米メディアがトレードの内幕を伝える

Los Angels Dodgers Top Catch

ダルビッシュ有のトレードは一時は可能性がなくなったかに思われました。興味を示していると思われたヤンキースはソニー・グレイの獲得にこぎつけ、アストロズは積極的な動きを見せず、ドジャースはトッププロスペクトの放出をためらったためです。

そのため一時は、最後に大どんでん返しのような動きが無い限りダルビッシュはレンジャーズに残留するかと思われました。

しかし、トレード期限が10分ほど過ぎた時点でダルビッシュのトレード放出、そして移籍先がドジャースであることが明らかになりました。

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劇的なトレード成立となったドジャースのダルビッシュ獲得だったのですが、その舞台裏の動きをYAHOO!SPORTSのジェフ・パッサン氏が“Inside the frenzied 12 minutes that led to the Dodgers’ deal for Yu Darvish”という記事で伝えています。

In the minutes leading up to 3:40 p.m. ET on Monday, the Los Angeles Dodgers’ brain trust was lamenting a missed opportunity. The Dodgers hoped they had the pieces to complete a trade for Baltimore Orioles closer Zach Britton. At 3:35 p.m., they were told there would be no deal.

Earlier in the day, after more than a week of the posturing and pretense that defines conversations leading up to Major League Baseball’s trade deadline, they had abandoned hope of getting the other available elite pitcher, Texas Rangers starter Yu Darvish, too.

ドジャースが一番のターゲットとしていたのはオリオールズのザック・ブリットンでしたが、トレード期限当日の3時35分の時点でオリオールズ側から放出しない旨を通知されたようです。
 
その日の早い段階で、一旦はテキサス・レンジャーズからダルビッシュを獲得することも難しい状況になっていたこともあり、ブリットンを逃したことで、ドジャースのフロントには落胆の色がにじんだようです。

このブリットンのトレードが破談となった5分後にレンジャーズのジョン・ダニエルズGMから電話があり、事態は急展開することになります。

Then Farhan Zaidi’s phone rang. Zaidi is the Dodgers’ general manager, and the voice on the other line had grown familiar in recent days. Jon Daniels runs the Rangers, and with 20 minutes to go before the deadline, he was ready to make a deal.

GMのファルハン・ザイディの電話が鳴り、その電話の相手は、ここ数日やりとりをしていたジョン・ダニエルズGMからでした。それがちょうど期限まで20分という時だったのですが、ダニエルズGMは交渉を成立させたい雰囲気をにじませていたようです。

Reality had crashed on Daniels in the hours leading up to 4 p.m., when no market materialized for Darvish and efforts to create one came up empty. Darvish had his flaws. Teams had their hang-ups. The trade market isn’t always rational. And even though Daniels had told Darvish after his previous start that he almost certainly would be traded by July 31, the clock was ticking, the deadline approaching, the Dodgers the only team left in the sweepstakes.

7月31日までにトレードすることになるとダニエルズGMはダルビッシュには話していたようです。にも関わらず、ほとんどのチームがダルビッシュ争奪戦から降りてしまい、トレード成立の可能性が残っていたのはドジャースだけという現実に直面していました。

しかし、そのドジャースは74勝31敗と105試合を終えた時点では、第2次大戦後3番目に高い勝率を記録し、特に83試合で64勝していました。そのため「ドジャースはダルビッシュが必要ではなかった(The Dodgers did not need Darvish.)」とジェフ・パッサン氏は、ドジャースのスタンスを説明します。

ただ、「期限前まで残り僅か」というタイミングでダニエルズGMがコンタクトしてきたことにより、ドジャースはディスカウントされた価格で獲得できるという可能性を嗅ぎ取り、交渉が進展することになります。

その1分後となる3時41分には具体的な選手名の交換が始まり、ダルビッシュのメディカルレコード、フィールド、メディア対応、クラブハウスを含めて選手としての評価、査定などにも同時に目を通しながら、ザイディGMは交渉を続けます。

A few days earlier, the Rangers insisted a deal for Darvish include one of Los Angeles’ two best prospects, pitcher Walker Buehler or outfielder Alex Verdugo. The Dodgers refused to consider either, a position on which they held firm in all offers. Texas eventually softened its stance and considered a deal around Willie Calhoun, one of the most unique prospects in years.

トレード期限の数日前にはレンジャーズはアレックス・バーデュゴ、ウォーカー・ビューラーを要求し、ドジャースが拒否していました。しかし、今回はレンジャーズ側が態度を軟化させて、3Aのウィリー・カルフーンを軸に交渉を成立させる方向に動きます。

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レンジャーズはウィリー・カルフーンが22歳の若さで3Aに到達していること、パワーとコンタクトの両方を備えていることなどを高く評価し、このカルフーンを軸として交渉に踏みきったとのことです。

この決断を強く後押ししたのが、ドジャース以外の選択肢がなくなったという現実でした。

ダニエルズGMが電話をかける30分前に、ヤンキースがグレイ獲得に成功し、さらに1時間前には候補の一つであったアストロズとの交渉が進展せず、ストラスバーグの健康面に不安があるナショナルズ、同じく健康面に不安があるプライスを抱えているレッドソックスにもコンタクトしたようですが、それらの交渉が深い段階に進むことはなかったとパッサン氏は伝えています。

レンジャーズにはドジャースしか選択肢がなくなったため、態度を軟化させたということです。

さらに新しい労使協定により、レンジャーズがダルビッシュに提示した場合でも、その代償はドラフトの70番目の指名権しか手にできないということも、レンジャーズが軟化した大きな理由となっています。

以下は同じ記事からの引用です。

The clock was still moving, 3:42 p.m. and 3:43 p.m. and 3:44 p.m. More names exchanged, more potential deals, 3:45 p.m., 3:46 p.m., 3:47 p.m. The medicals got a thumbs up, the names narrowed, 3:48 p.m., 3:49 p.m., 3:50 p.m. One piece, two pieces, three pieces, 3:51 p.m. And at 3:52 p.m, a dozen minutes after Jon Daniels called Farhan Zaidi, Yu Darvish was the newest Los Angeles Dodger.

3時41分から多くの選手の名前が交換される中、3時47分の時点でダルビッシュの健康面に関してメディカルスタッフからGOサインが出ます。さらにその後選手が絞り込まれていき、3時52分というトレード期限まで8分の時点でトレードが正式に成立したと、パッサン氏は伝えています。

3時40分にジョン・ダニエルズGMから電話があってから、僅か12分の間に今年最大のトレードが成立に至ったことになります。

ダルビッシュが前回の登板で10失点したことはやはり懸念材料の一つとはなっていたようです。さらに2ヶ月後のシーズン終了時にはFAとなり、その後1億ドル以上の契約を要求することが確実なため、再契約は簡単ではないこと、などが加わり脱落するチームが多くなってしまったとパッサン氏は述べます。

ドジャースもダルビッシュがレンタル選手で、多くの代償を支払うことには躊躇するところがありました。それでも、最終的に獲得に踏みきった理由を、パッサン氏は以下のように説明しています。

It wasn’t just Darvish’s name. His stuff remains among the game’s best. He would provide a right-handed bridge between Kershaw and the Dodgers’ other standout starter, Alex Wood, or, in case Kershaw’s back continues to sideline him, insurance for an October in which the Dodgers will enter as favorites.

「ダルビッシュ」という名前だけでなく、(1) ボールのクオリティがMLBでベストの中に属していて、(2) 左腕のカーショーとアレックス・ウッドの間に質の高い右腕を挟めるローテが組め、(3) カーショーの腰痛が長引いた場合のポストシーズンにおける保険となること、などがドジャースがトレードを決断させる要素となったと、パッサン氏は述べています。

アンドリュー・フリードマン社長がトップになってからは、ファームのテコ入れを重視したこともあり、MLB屈指の層の厚さとなりました。

高く実力を評価していたウィリー・カルフーン、A.J.アレクシー、ブレンドン・デービスらを、ファームシステムから失うことには痛みもあったようですが、今年のチームにはその犠牲を支払ってでも補強を行う価値があると判断したようです。

つまりドジャースのフロントは、チームの状態や、様々な要素を観察した時に、ワールドシリーズ制覇の大きなチャンスが到来していると判断していたことになります。

ナ・リーグのライバルとなるナショナルズやカブスは良いチームではありますが、昨年のほうが厚みを感じさせるチームでした。

ア・リーグはアストロズ、ヤンキース、インディアンスらが勝ち上がってくる可能性があります。が、アストロズはここにきて脆さも出始め、インディアンスも昨年ほどよくありません。脅威があるとすれば伸びしろの大きい若手を抱える打線に、ベテランを加え、ブルペンをメジャー屈指のレベルに仕上げていたヤンキースでした。

ただ、ヤンキースは今年急激に状態が良くなったチームのため、熟成度で言えば地区4連覇を果たしてきたドジャースほどではありません。

トレード期限前の補強により、早くもドジャースとヤンキースのワールドシリーズを期待する声が上がっていますが、それに相応しい、大胆な補強を行った両チームは称賛に値します。

ドジャースにとってトレード期限前に一番大きな代償を支払って獲得したのはダルビッシュ有です。そしてその目的はワールドシリーズ制覇以外にはありません。これを実現するかどうかが、このトレードの評価を決定すると言っても過言ではありません。

ダルビッシュ有の移籍後のパフォーマンスと10月の戦いぶりが注目されるロサンゼルス・ドジャースです。

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