真のプロフェッショナル『黒田博樹』の2014年シーズン成績・投球内容と過去のデータとの比較

ジーターの劇的なサヨナラヒットの陰に隠れるかたちになりましたが、その試合で黒田博樹はいつもと変わらずに忍耐強く投げて、試合を作りました。

結局、2014年は32試合199.0回/防御率 3.71/11勝9敗/奪三振146/WHIP1.14という数字を残して、39歳で迎えたMLB7年目のシーズンを終えました。

今後の身の振り方や契約の動向もまだ見えてこない黒田博樹ですが、本人がメジャーに残ると決断すれば、複数球団から誘いがあると考えられる成績を残しています。

その黒田博樹の2014年シーズンの成績と投球内容、そして過去のMLB6年間のデータ等を比較しながら黒田博樹の2014年を見ていきます。

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黒田博樹の通算成績と2014年成績

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黒田博樹の2008年から2014年のメジャーリーグ7年間のシーズン別成績は以下の表のとおりとなっています。

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4年連続の200イニングには惜しくも到達しませんでしたが、5年連続の二桁勝利、そして7年連続で防御率3点台とレベルの高い安定感のある投球を、若くはない33歳にメジャーにわたりながら継続しています。

ジーターのサヨナラヒットはあったことで今シーズンの黒田博樹の最後の試合は盛り上がりはしましたが、シーズン12勝目、メジャー通算80勝、そして4年連続200イニング達成を逃すことになったのは、応援している身としては複雑な気持ちにもなります。

2014年はヤンキース移籍後では一番悪い3.71という防御率になりましたが、故障者続出のヤンキース投手陣にあって、ただ1人ローテーションを守り続けました。

そして何よりも素晴らしいのは、本人がシーズン前から思い描いていたとおり、シーズン終盤の重要な時期に調子をあげたことです。

昨シーズンは140イニングを前後して別人のような成績となってしまいました。7月までは防御率2.38/10勝6敗という成績でサイ・ヤング賞の可能性もありましたが、140イニングを超えた8月以降は防御率5.40/1勝7敗と失速してしまいました。

ヤンキースの首脳陣もそのことを考慮して、昨年のように負荷をかけることを避けたことも助けとなって、終盤に調子が向上した面もありましたが、黒田博樹本人がコンディショニングを含めて、工夫と努力を重ねたからこそ、2014年は失速ではなく、加速していくことができたことは間違いありません。

オールスター後のシーズン終盤にピークを合わせたプロとして黒田博樹の凄さ

黒田博樹の2014年シーズンのオールスター前後の成績は以下の表とおりとなっています。

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オールスター前は116.1イニングで防御率4.10/奪三振80/WHIP1.21でしたが、オールスター後の後半戦では82.2イニングで防御率3.16/奪三振66/WHIP1.03と成績を向上させています。

打線の援護に恵まれなかったり、リリーフが失敗したりしたため、勝ち星は大きく伸ばせませんでしたが、クオリティスタートも13試合中で10回と、ヤンキースが勝てるような流れを数多くつくりました。

さらに月別の黒田博樹の成績を見ると、シーズンの勝負どころにピークをもってきていたことがわかる数字が残っています。

hiroki-kuroda-2014-monthly

開幕当初の2ヶ月は苦しみました。4月は防御率5.28、5月は4.00と打ち込まれることが多く、シーズン最後まで持たないのではと地元メディアから酷評されることもしばしばでした。

しかし、6月以降に成績を上げていきました。6月は3.52、7月は3.38、8月は3.45と安定した投球を続け、勝負どころの9月には、勝敗こそ2勝1敗ですが、5試合32.0回で防御率2.81/奪三振34/WHIP0.91と素晴らしい成績を残しています。

またシーズン終盤の9月に投球回数を上回る三振を奪って、月間の奪三振率は9.56と高い上に、9月の5試合はいずれも無四球という圧巻の内容です。

さらに今季最終戦となった試合では、今シーズン最長となる8イニングを投げ、今シーズン最多となる9奪三振という投球を見せています。

ヤンキースのチーム自体は9月に入った時点で、すでにポストシーズン進出は難しい状況にありましたが、黒田博樹の姿勢や信念は微塵も揺らいではいませんでした。そのプロとして意識の高さには唸るしかありません。

何のはばかりもなく、“真のプロフェッショナル”と呼ばずにはいられない、調整力、プロとしての意識の高さが見られた2014年の黒田博樹でした。

2015年も黒田博樹は十分にメジャーで通用するのではないか?

気になるのは来季の黒田博樹はどうなるのか?ということですが、数字を見る限りではまだまだやれるし、実際にメジャーに残る決断をすれば、必ずオファーがあると考えられる成績です。

まずは黒田博樹の2014年の投球の球種の内訳、球種別の空振り率、被打率などのスタッツをまとめた表は以下のとおりとなっています。データはBrooks Baseballを参照しています。

FA:4シーム SI:シンカー(2シーム) SL:スライダー CU:カーブ FC:カットボール FS:スプリット
hiroki-kuroda-2014-variety_1

投球の割合こそすくないものの、今シーズンは新たにカットボールを加えるなど、39歳にして努力を怠ることはありません。

投球の割合で一番高いのがシンカー/2シームで37.3%、それに次ぐのがスプリットの28.2%、スライダーが20.8%、4シームが9.0%となっていて、常にボールを動かしていたことがわかる比率となっています。

*Pitch FXではシンカーとしてカウントされていますが、握りそのものは2シームのため、シンカー/2シームと記載しています。

素晴らしいのは、来年の1月には40歳になるにもかかわらず4シームの最速は95.1マイル(153 km)、平均で91.9マイル(147.9 km)。シンカー/2シームは95.7マイル(154 km)、92.1マイル(148.2 km)を記録していることです。

スピードはアメリカに渡った当初よりは落ちてはいるのですが、大きな下落ではありません。黒田博樹のシーズン別の球種別の最速と平均球速を比較したデータの一覧は以下のとおりとなっています。

hiroki-kuroda-2008-2014-verocity

4シームの最速は渡米当初より落ちていますが、平均球速ではこの7年間で大きな変化はありません。

黒田の主要な球種である4シームとシンカー/2シームは92マイル(148 km)、スプリットは87マイル(140 km)という数字で、この7年間ほぼ安定しています。このように39歳になった2014年でしたが、球速の面で大きな衰えを感じさせるのもはありません。

また黒田博樹の素晴らしいところは、年齢を重ねてからのヤンキース移籍にも関わらず、ドジャース時代と成績がほぼ同じであることです。

ドジャースの4年間とヤンキースの3年間の成績の比較は以下のとおりとなっています。

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ドジャース時代は防御率3.45/WHIP1.19で奪三振率6.73でしたが、ヤンキース移籍後は防御率3.44/WHIP1.15で奪三振率6.72となっています。

また年間の平均イニング数ではドジャース時代が175イニング弱ですが、ヤンキース時代は206イニング超と、平均200イニングを超えています。

ドジャース時代は33歳から36歳の4年間でしたが、ヤンキースのこの3年間は37歳から39歳の3年間です。

この年齢を重ねた状態で、高いレベルの投球を継続できているのは、黒田博樹の節制と鍛錬の賜物に他なりません。

また、移籍前後の本拠地の違いを考慮すれば、成績が保たれているのではなく、実際には向上していると考えられます。

ドジャースは投手有利のドジャー・スタジアムを本拠地としますが、ヤンキースの本拠地であるヤンキー・スタジアムはホームランの出やすい打者有利の球場です。

2013年のデータではヤンキー・スタジアムが7番目に点の入りやすい球場であるのに対して、ドジャー・スタジアムは28番目となるなど、大きな差があります。

その打者有利のヤンキー・スタジアムを本拠としながら3年連続の防御率3点台という成績は、称賛に値するのではないでしょうか。

この成績の推移や今シーズン終盤のパフォーマンスを見ていると、2015年も黒田博樹がメジャーで十分に通用すると考えられますし、ヤンキース以外の球団でも獲得に興味を示す球団がいるであろうことは間違いありません。

黒田博樹もこれからゆっくりと考えて決断するとコメントしていますので、まだ誰にも今後は予想できません。

しかし、できるならば黒田博樹がメジャーで投げる姿をもう一度見れることを願うばかりです。

追記:黒田博樹が広島復帰を選んでメジャーで見れないのは残念ですが、日本のプロ野球でその姿を見れることを楽しみにしています。