ゲリット・コールのシーズン序盤は「サイヤング賞」級!その背景にある変化とは?

Houston Astros Top Catch

レギュラーシーズンを一ヶ月終えたばかりの段階ではありますが、2017-18シーズンオフのトレードで最も成果を挙げていると言えるのがアストロズのゲリット・コール獲得です。

2018年アストロズはエンゼルスとマリナーズの追撃を受けていますが、それでも地区のトップを走り続けることができているのは、ゲリット・コールの活躍によるところがあることは否定できません。

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ゲリット・コールが本格ブレイクアウトの気配

5月4日のダイヤモンドバックス戦では1安打完封勝利に加えて、奪三振は16と相手打線を完全に制圧し、中4日で登板したアスレチックス戦では6回で9個の三振を奪うなど素晴らしい投球を続けています。

ゲリット・コールが8試合を投げ終えた時点での成績は56回2/3、防御率1.43、4勝1敗、奪三振86(奪三振率13.66)、与四球12(与四球率 1.91)、WHIP0.74、被打率.155という非の打ち所がないものとなっています。

これまでボールのクオリティの高さを評価されながらも完全には活かしきれず、パイレーツでの通算での奪三振率は8.4にとどまっていましたが、完全に殻を破りつつあることを感じさせる2018年シーズン序盤です。

そのゲリット・コールの移籍後の変化についてESPNのデビッド・ショーンフィールド氏が分析しています。

2017 RANK 2018 RANK
三振率 23.1 23 41.3 1
空振り率 21.9 37 35.9 3
ストライク率 51.8 14 54.9 5
被打率 .254 29 .155 2
ゴロ比率 46.5 32 32.4 86
被本塁打率 3.7 48 1.4 12

2017年の数字もメジャーで上位にランクされるもので悪くはないのですが、2018年はほとんどの項目で数字が向上していて、しかもメジャートップクラスにランクされています。

唯一、落ちているのがゴロ比率なのですが、それはパイレーツとアストロズの球団の方針の違いによるものだとショーンフィールド氏は述べています。

As you might expect, and as others have reported, it’s a change in philosophy. The Pirates like two-seamers and ground balls; the Astros like four-seamers and strikeouts.

パイレーツは「ツーシームでボールを動かしゴロを打たせる」ことを重視する一方で、アストロズは「フォーシームで三振を奪う」ことを重視するという球団の「投球に関する哲学の違い」が、ゴロ比率が下がり、空振り率、奪三振率の上昇につながっているということです。

さらにショーンフィールド氏はファーストボールを投げるゾーンの変化についても指摘しています。

上が2017年で下が2018年のデータです。

2018年は低めに投げることはなく、高いゾーンにファーストボールを投げる割合が増えていることがわかります。

フライボール革命が本塁打量産につながっているとされていますが、その対策として有効なのが高めのファーストボールだと考えられています。ボールの下を叩いて角度をつける、スピンをかけるというスイングが主流になってきているのですが、このような打ち方をするとベルトから低めのボールは対応しやすいものの、高めのボールへの対応が難しくなるという問題があります。

ゲリット・コールの2017年の数字の内容は悪くないのですが、被本塁打率は1.4と高いことが響き防御率4.26という結果につながりました。しかし、今年はフォーシームを増やし、なおかつ高めのゾーンに投げる配球にした結果、本塁打量産のトレンドの中、被本塁打率は0.5と大幅に改善されています。

ファーストボールの使い方に関しては上記のような変化が見られるのですが、投球全体で見たときにはオフスピードのボールを増やしているのも大きな変化だとショーンフィールド氏は指摘しています。

2017 2018
ファーストボール 60.1% 53.6%
スライダー 17.2% 21.8%
カーブ 12.2% 18.8%
チェンジアップ 5.9% 5.9%

チェンジアップの割合は変わりませんが、ファーストボールが減り、その分がスライダーとカーブといったブレイキングボールの増加へとつながっています。このようなブレイキングボールを増やしたことが、よりファーストボールを効果的なものにしていると考えられます。

アストロズは非常にデータ解析を重視するチームで、高速のファーストボールとブレイキングボールが打者にとってもっとも攻略しにくいコンビネーションと結論づけ、投手陣全体にこの方針が共有されています。

この方針が効果的であることはゲリット・コールの移籍後の成績に加えて、ジャスティン・バーランダーの移籍後の活躍からも証明されていると言えます。

さらにショーンフィールド氏は以下のような影響もあることを指摘しています。

Of course, the execution has been excellent as well, as Cole is throwing more strikes, which allows him to get into a few more advantageous counts each game. His miss rate on swings on pitches outside the zone has increased from 36 percent to 57 percent, which helps explain the lower batting average……

I heard Charlie Morton, who also played with Cole in Pittsburgh, on MLB Radio the other day, and he talked about how Cole just looks more relaxed, like he doesn’t have to be The Man like he was expected to be in Pittsburgh.

ボールの制球も素晴らしくストライクを多く取れるようになった結果、投手有利のカウントを多く作れるようになり、ストライクゾーンではないボールの打者のスイング率が36%から57%に改善されたことが被打率の低さにつながっています。

メンタル面ではダラス・カイケル、ジャスティン・バーランダーというサイヤング賞投手2人が前にいることもあり、かかるプレッシャーが小さくなり、それも好影響を与えているとショーンフィールド氏は指摘しています。

その証拠としてパイレーツ時代にも同僚だったチャーリー・モートンが「ゲリット・コールはパイレーツで期待されていたような役割を果たす必要がなくなり、アストロズにきてリラックスできる」と話していることを引用しています。

今はエンゼルス、マリナーズと接戦となっていますが、打線全体の厚みや先発ローテの厚みを考えると、最終的にはアストロズが完全に抜け出すことが予想されます。その原動力となりそうなのがゲリット・コールです。

2011年ドラフトで1巡目全体1番目で指名されたその高いポテンシャルを、サイヤング賞という形で証明することになるのかどうか、ゲリット・コールの2018年が注目されます。

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