トレード期限前に売り手が欲しいのはプロスペクトではない?パイレーツのGMが語る現状

ワイルドカードが2枠に広がったことに加えて、プレーオフの可能性を残すチームが多いため、極端な売り手有利のトレード市場となっている2015年シーズンです。

売り手と買い手の両方になる可能性を秘めたチームが複数あり、それらのチームは、ウェーバー公示なしのトレード期限となる7月末ギリギリまでチームの状態を見極めようとしています。

そのような状況で売り手が有利な状況となっているのですが、その売り手が主力選手の見返りとして求めているのは”プロスペクトではない”とピッツバーグ・パイレーツのゼネラルマネジャーであるニール・ハンティントンが地元メディアに話しています。

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パイレーツのGMが語る現在のトレード市場の傾向

ニール・ハンティントンGMは2007年10月にパイレーツのGMに就任し、2013年に21年ぶりとなるプレーオフ進出にチームを導きました。

2014年も2年連続となるプレーオフ進出を果たし、2015年もオールスター前に53勝35敗と大きく勝ち越し、同地区の盟主とも言えるセントルイス・カージナルスに2.5ゲーム差に迫る2位につけ、ワイルドカード争いではトップを走っています。

ニール・ハンティントンはドラフト指名、トレードによる選手育成に長けるゼネラルマネジャーで、予算に制約が多いためチームの年俸総額は8,827万8,500ドルと、両リーグ25位と小規模です。

そのような限られた予算の中で穴が少ないバランスのとれたチームを編成していることもあり、その手腕は高く評価されています。

そのニール・ハンティントンはトレード期限前の状況について、地元メディアに以下のように話しています。

“It’s a seller’s market, so there are fewer teams that are looking to trade established major league players for prospects,” Huntington said. “The impatience of the industry. The expectation that you can turn an organization around in a year. Rather than (targeting) the best prospect in the system that may be in A-ball, teams are starting to look for the guy in Triple-A that might have an impact in a year or two.”

引用元:The Pittsburgh Tribune-Review “Pirates notebook: ‘Extreme’ seller’s market expected at trade deadline”

管理人訳『売り手有利の市場になっていて、プロスペクトの獲得のためにメジャーレベルで確立した選手をトレードしようとするチームは少ない。この業界の忍耐不足が理由だ。1年で組織を上昇させようという期待を持っている。1Aにいるようなチーム内のベストプロスペクトよりも、1年から2年のうちにチームにインパクトを与える可能性のある3Aの選手を探している。』

大物の主力選手のトレードとなると、その見返りは複数のプロスペクトのパッケージという流れが続いてきたのですが、昨シーズンのトレード期限前の動向では異なるものがありました。

このニール・ハンティントンのコメントが掲載されている記事の中では、パイレーツはレイズからデビッド・プライスの獲得に動き、十分に魅力的と考えられるプロスペクトのパッケージをオファーしたものの、レイズはタイガースからのオファーを受け入れたとしています。

このデビッド・プライスが絡んだトレードでは、レイズ、タイガース、マリナーズの3球団で成立しましたが、レイズが見返りとして獲得したのはタイガースからドリュー・スマイリーとウィリー・アダムス、マリナーズからニック・フランクリンの3人でした。

ウィリー・アダムスは2015年シーズン前には各メディアのプロスペクトランキングで100位以内にランクされた1Aの選手ですが、ドリュー・スマイリーはすでにメジャーで先発ローテを守っていましたし、ニック・フランクリンは3Aとメジャーを行き来する選手で、2人ともにプロスペクトという段階は卒業しています。

レイズはエース投手の見返りとして、パイレーツがオファーしたようなマイナーリーグのプロスペクトではなく、ある程度プレイヤーとして育成された選手のほうを選んだことになります。

レイズはベン・ゾブリストのFAが近づいていたので、その後継候補欲しかったのと、トレード時点ではかすかにプレーオフの可能性も残っていましたので、すぐに戦力になるスマイリーを選んだというような事情はあったにせよ、長期的な観点といよりは、即座の結果を求めてのトレードとはなりました。

このような傾向は他にもあり、ブレーブスがゴールドグラブ賞のジェイソン・ヘイワードをトレードした際には、カージナルスから、すでにメジャーで実績のあったシェルビー・ミラーを獲得しています。

またレッドソックスがジョン・レスターをトレードした際にはアスレチックスからヨエニス・セスペデスを、同じジョン・ラッキーの見返りとしてはジョー・ケリーとアレン・クレイグを獲得しています。

大物選手が絡むトレードにおいて、完全な再建モードに移行したチームは、質の高いプロスペクトを多く獲得して、数年ががりでチームの層を厚くすることを選択するわけですが、その傾向は全体的に弱まり、どのチームも即戦力、もしくは即戦力の一歩手前の段階の選手を見返りとして要求する傾向が強くなっています。

そして、実際に現場でトレード交渉を行っているニール・ハンティントンGMの言葉によって、この傾向が続いていることが確認できます。

2015年のトレード期限前に、大物投手ではコール・ハメルズ、ジョニー・クエト、野手ではジャスティン・アップトンらの名前が上がっています。

それらの選手を放出するチームが獲得する選手によって、チームが今後数年のビジョンをどのように描いているのかを知ることができます。

大物選手の行く先とともに、その選手を放出するチームの今後の戦略も気になるトレード期限前の動向となりそうです。