大型トレードで主力を放出したドジャースの意図と目的は?2014年末時点の現状と今後の動向について

Los Angels Dodgers Top Catch

2014年のウィンター・ミーティング中に活発に動いた球団の1つがロサンゼルス・ドジャースでした。

マット・ケンプ、ディー・ゴードン、ダン・ヘイレンらを放出し、ジミー・ロリンズ、ハウィー・ケンドリック、ヤスマニ・グランダル、クリス・ハッチャーなどを獲得しました。

そしてFAではブランドン・マッカーシー、ブレット・アンダーソンらの先発投手2人を加えています。

ドジャースは2014年のクラブハウスの雰囲気が良くなかったため、それを改善することと、年俸が高い外野手の整理のためにトレードでの整理が必要であることをアンドリュー・フリードマン社長らフロント陣は、シーズンオフ当初から話していましたが、一連の動きの目的はそれだけではないようです。

一連のトレードや補強が成立した後に、アンドリュー・フリードマン社長は、「機能不全(dysfunction)だったロースターを、機能的な(functional)ものに作り変えることができた」と話しています。

ドジャースの補強の意図と目的は?

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先発ローテは、クレイトン・カーショー、ザック・グレインキー、柳賢振、ブランドン・マッカーシー、ブレット・アンダーソンの5人で固まったようで、これ以上は積極的な先発投手の補強はないと見られています。

また打線も同様で、特にこれ以上、外部から補強することはなく、あってもアンドレ・イーシアがトレードに出される可能性がある程度と考えられています。

このように目立つ補強ポイントは埋まりつつあるのですが、さらに動く可能性が高いと見られているのが、ブルペンをより強固にするための補強です。

これらの情報からわかることは、ドジャースの幹部は、「大枠の補強はすでに終えていて、2014年に94勝したチームを、さらにグレードアップさせることができた」と考えている、ということになります。

しかし、打線に関してはマット・ケンプ(打率.287/本塁打25/打点89/出塁率.346/長打率.506)、ハンリー・ラミレス(打率.283/本塁打13/打点71/出塁率.369/長打率.448)の2人に、64盗塁で盗塁王となったディー・ゴードン(打率.289/本塁打2/打点34/出塁率.326/長打率.378)の3人を失っています。

その一方で、ハウィー・ケンドリック(打率.293/本塁打7/打点75/出塁率.347/長打率.397)とジミー・ロリンズ(打率.243/本塁打17/打点55/出塁率.323/長打率.394)、ヤスマニ・グランダル(打率.225/本塁打15/打点49/出塁率.327/長打率.401)の3人を獲得していますので、ある程度は補えると見込めます。

ですが、マット・ケンプはオールスター以降に、打率.309/本塁打17/出塁率.365/長打率.606と打ちまくりましたので、攻撃面でケンプが抜けたことによってできる穴は大きいと考えられます。

しかし、アンドリュー・フリードマン社長は、ケンプのトレードが合意する前に、「得点力が落ちても守備が良くなるのであれば構わない」という趣旨の発言をしていたと、ロサンゼルス・タイムズのディラン・ヘルナンデスが伝えています。

つまり、ロースターを作りかえていく上で、年俸の負担を減らすことやエゴや礼儀を欠く言動で乱れていたクラブハウスの雰囲気を良くするという目的に加えて、守備面でのグレードアップが重要な課題であると、フロント幹部は考えていることになります。

そして、先に述べたように、ロースターを機能的できたと、トレードの成果として話をしていますので、選手起用の柔軟性をもたらすことも重要視していることがうかがえます。

ドジャースは一連の補強で目的を達成することができたのか?

これまでの内容をまとめると、ドジャースのトレードなどの動きでは以下のような目的があったことになります。

  1. 年俸の負担を減らす
  2. 余剰人員があふれていた外野を整理する
  3. クラブハウスの雰囲気を良くする
  4. 守備面でグレードアップする
  5. ロースターを機能的にする

「年俸の負担を減らす」という項目に関しては、2015年の単年だけ見ると、ダン・ヘイレンとディー・ゴードンの年俸を全額負担し、ブランドン・マッカーシーとブレット・アンダーソンを獲得しているので達成できていません。

しかし、5年1億700万ドルのマット・ケンプの年俸を3200万ドルの負担に減らしましたので、4年から5年のスパンで見ればこの目的は達成できていると言えます。

「余剰人員があふれていた外野を整理する」ことは、マット・ケンプを放出することで達成しています。

「クラブハウスの雰囲気を悪くしていた選手を整理する」という項目ですが、その大きな原因となっていたとされるハンリー・ラミレスとマット・ケンプがチームを去ることで、一定の成果が期待される状態となっています。

ただ、理想を言えば、獲得に動いていた、リーダーシップに優れるとされるラッセル・マーティンとジョン・レスターを加えて、チームの一体感を作り上げたかったはずですが、2人の争奪戦は、ドジャースにとって金額的に折り合えないレベルになっていましたので、やむを得ないところです。

「守備面でグレードアップする」という項目に関しては、セカンドがディー・ゴードンからハウィー・ケンドリックに、ショートがハンリー・ラミレスからジミー・ロリンズに、外野にマット・ケンプを起用しなくなることで達成できたと考えられます。

これらの選手のDRS(守備防御率)とUZR(アルティメット・ゾーン・レーティング)による比較は以下の表のとおりとなっています。

LAD Defense 141225

【用語】

  • 守備防御点(DRS):同じポジションの平均的な野手と比較して、守備でどれだけ失点を防いだかを示す指標。
  • アルティメット・ゾーン・レイティング(UZR):同一リーグの同じポジションの平均的な選手と比較して、守備でどれだけの失点を防いだかを示す指標。
  • DRSとUZRの評価基準:ゴールドグラブ級(+15)、優秀(+10)、平均以上(+5)、平均(0)、平均以下(-5)、悪い(-10)、非常に悪い(-15)

ディー・ゴードンのDRSは-5で平均的な野手よりも5点多く失点していることになり、UZRは-3.4で3.4点多く点を許していることになっています。しかし、ハウィー・ケンドリックは、平均的な野手に比較してDRSでは7点多く防いだことになり、UZRでも6.7点多く防いだことになっています。

そしてショートはハンリー・ラミレスのDRSが-9、UZRが-10.3と、多くの失点を許していることになるのですが、ジミー・ロリンズはDRSが4、UZRが3.7と平均的な野手よりも失点を防いでいます。

また特に大きいのがマット・ケンプを外野手に起用しなくなることで、ケンプの2014年のDRSは-23、UZRは-22.4で、このいずれの数字も規定に到達した外野手59名の中で最下位です。

ドジャースは2015年にレフトにカール・クロフォード、センターにジョク・ペダーソン、ライトにヤシエル・プイグが起用されることが有力視されているのですが、いずれの選手もメジャーの平均、もしくは平均よりやや上です。

そのため、この3人を起用していれば、2015年は2014年よりも、外野の守備による投手陣への負担が減るせることが期待できます。

最後に「ロースターを機能的にする」ということですが、ジミー・ロリンズとヤスマニ・グランダルはともにスイッチヒッターで、打線の中で柔軟に起用できます。さらにマーリンズから獲得した23歳のエンリケ・ヘルナンデスは投手と捕手以外のポジションをマイナーでは守った経験があるユーティリティプレーヤーです。

エンリケ・ヘルナンデスは2014年にメジャーでは打率.248/本塁打3/打点14/出塁率.321と今一歩でしたが、3Aでは98試合で打率.319/本塁打11/打点42/出塁率.372/長打率.484という成績を残していて、今後は攻撃面でも期待ができる選手と評価されています。

このような選手の獲得により、故障者による大きな戦力低下やバランスを欠く状態になるリスクを軽減することができる状況となっています。

2015年の成績で不満を抱くファンを納得させることが重要に

ドジャースのアンドリュー・フリードマン社長、ファラハーン・ザイディGMらは、ドジャースの強みは投手陣にあると考えているようで、それを支える守備陣を強化することで、勝てるチームを編成しようとしています。

攻撃面を軽視しているわけではないのですが、投手有利の傾向が強い現在の流れもあるためか、より守備面を重要視していることは明白です。

ただ、このような動きに対して、地元ファンの間からは不満の声がないわけではありません。というのも、ファンに人気のあるスタープレーヤーであるマット・ケンプ、ディー・ゴードン、ハンリー・ラミレスらをチームから去らせてしまったためです。

さらにスタープレーヤーを放出した代償として獲得している選手は、実力があるものの、どちらかと言えば地味な選手で、地元ファンからすると物足りないものがあるようです。

ドジャースの観客動員は2013年が374万3527人、2014年が378万2337人と2年連続で両リーグトップで、さらにシーズンチケットはキャンセル待ちという人気があるため、すぐに人気面で心配する必要に迫られることはないだろうと地元メディアは予想しています。

しかし、一連のトレードによって、94勝したチームを解体して、より守備重視のロースターにシフトさせたことにもなりますので、これで結果が残せない場合は風当たりが強くなりそうで、「ファンを納得させるためにも、2015年の勝利は需要だ」と地元メディアの声が挙がっています。

先発ローテは、キャリアの中で7回も故障者リストに入っているブランドン・マッカーシーとブレット・アンダーソンで構成されているため、さらにバックアップは必要と考えられますし、リリーフ陣もジャイアンツやロイヤルズのような圧倒的な布陣ではありませんので、守り勝つには不安が残っているのは事実です。

今後の補強で、どのようにロースターのバランスをとっていくのか、年明け以降の動向は小規模かもしれませんが、重要になりますので、今後も注目していきたいと思います。

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