大型トレード後のドジャースは勝てるチームになったのか?クラブハウスの雰囲気はポジティブになったとの評価

Los Angels Dodgers Top Catch

スター選手が顔を並べ、戦力的にはダントツとも言える戦力を整えた2014年のドジャースでした。レギュラーシーズンでは94勝を上げて地区優勝を飾るなど、その実力通りの結果を残したものの、ディビジョンシリーズではあっさりとカージナルスの前に敗れてしまいした。

その直後から一部の米メディアで、ドジャースのチームには一体感がなく、雰囲気が良くなかったことが、早期敗退の原因となったとの指摘がありました。

その時点では、具体的な選手名はあまり目にしなかったのですが、ただ「スター選手のエゴが強すぎた」という論調であったことは一致していました。

スポンサーリンク

オフの補強はロースターを機能的にするだけではなかった

シーズンオフになった当初、新しく球団社長となったアンドリュー・フリードマン、GMとなったファルハン・ザイディらはトレードで大幅なロースターの組み換えに動きました。

その一連トレードは、フリードマン社長いわく『機能不全となっていたロースター』を組み替えると同時に、クラブハウスの雰囲気を改善することを目的としていました。

そのフロント陣は、チームの主砲としてシーズン後半に活躍したマット・ケンプをトレードに出し、健康であれば攻撃面での貢献が大きいFAのハンリー・ラミレスを積極的に引き留めず、1000万ドル近い年俸の契約が残っているブライアン・ウィルソンをDFAにしてリリースしました。

そして迎えた2015年のスプリングトレーニングでドジャースの『クラブハウスの雰囲気が良くなっている』、さらに『ドジャースの幹部は口にしないだろうが、チーム関係者によればマット・ケンプがいなくなることで、クラブハウスの良くない緊張感が緩和されている』とCBSスポーツのジョン・ヘイマンが伝えています。

マット・ケンプがとりわけヤシエル・プイグとの関係が良くないことでクラブハウスに緊張が生まれていたようです。そのことについてはディビジョンシリーズの最中に、複数のメディア関係者が目撃しているようで、マット・ケンプはヤシエル・プイグにかなりキツくあたっていたとされています。

またマット・ケンプはリーダーシップをとっているかのような時もあったが、それは上っ面のものに過ぎなかった、と語るプイグ側の関係者もいることも合わせて伝えられるなど、関係はかなり悪化していたことは間違いないようです。

そのためドジャース関係者はマット・ケンプがいなくなることで、ヤシエル・プイグに良い影響があることを願っていたようですが、その期待が実現しつつあるとのことです。

ヤシエル・プイグは、このスプリングトレーニングで練習態度の良さ、継続的に午前7時に練習場に入って打撃コーチとともにトレーニングをするという姿勢が激賞されていて、さらにメディアとのインタビューでも『自分が若い子どもたちの見本となれるようになりたい』と語るなど、プロとしてメンタル面でも成熟しつつあるとドン・マッティングリー監督も認めています。

チームの他の選手達は、チームを去った選手について言及することは避けているものの、新しく加入したジミー・ロリンズ、ハウィー・ケンドリックの雰囲気、態度の素晴らしさについては言及していて、特に捕手のA.J.エリスは彼らがもたらしているポジティブなプロフェッショナルとしての雰囲気について話しています。

そのジミー・ロリンズはすでに2時間にわたってヤシエル・プイグと話し合って、いくつかのガイダンスとアドバイスをしたとも伝えられています。

数字の分析に長けるフロント陣が重視したのは『チームの雰囲気』

チームの雰囲気を悪くしていたとしばしば名前が上がっていたのが、マット・ケンプの他にはハンリー・ラミレスとブライアン・ウィルソンでした。

ハンリー・ラミレスは調子が良い時は雰囲気が良いものの、調子が悪くなると雰囲気も悪くなるなど気分屋のところがあったようで、クラブハウスに好ましくない緊張をもたらしていたようです。

ブライアン・ウィルソンはパフォーマンスが悪かったにも関わらず、ポストシーズンでの起用法に不平を口にしていたようで、そのことによる悪影響があったとのことです。

ブライアン・ウィルソンは2015年に950万ドルで契約更新を選択できるプレーヤーオプションを有していて、それを行使しました。しかし、ドジャースは950万ドルという高額年俸のブライアン・ウィルソンをDFAとして、リリースしました。

ザイディGMは、ブライアン・ウィルソンの人間性などに触れることは避けた上で、『(ロースターに残る)ベストの7人のリリーバーの1人にはなれない』と判断したと説明しています。

しかし、CBSスポーツのジョン・ヘイマンは、『ウィルソンよりも実績もない複数のベテラン投手たちがブルペンの残り2枠を争っている現状』と『ザイディGMの説明』が噛み合っていないことを指摘して、ウィルソンのリリースは、選手としてパフォーマンスの問題ではなく、クラブハウスでの問題が大きかったと考える方が自然だろうとヘイマンは暗に述べています。

アンドリュー・フリーマンがレイズの元GMの、ファルハン・ザイディが元アスレチックスのアシスタントGMと、数字を使った分析で定評があるチームからやってきたこともあり、チーム編成をデータにだけ頼っているように誤解されがちです。しかし、実際にはそうではなく、『彼らはデータを超えたところをケアできるスマートなフロント陣』だとジョン・ヘイマンは述べています。

つまり選手の能力が全てではなく、チームの調和・雰囲気が勝てるチームを作る上で、重要であることを認識しているということです。ヘイマンはその証拠として捕手のA.Jエリスが「彼らは選手の性格や自分たちがつくりあげている文化がどのようなものかを、真剣に観察している」と話していることを伝えています。

ドン・マッティングリー監督も、昨シーズンはクラブハウスに問題があり、『楽しむ時』と『ビジネスとして集中すべき時』との境界が曖昧になっていたことを認めると同時に、今シーズンの『クラブハウスの雰囲気はとても良い』と話しています。

2015年のドジャースはジミー・ロリンズ、ハウィー・ケンドリック、ブランドン・マッカーシー、ブレット・アンダーソンらを獲得したものの、マット・ケンプ、ハンリー・ラミレスの他にも、トレードでダン・ハレン、ディー・ゴードンなどを失っているため、94勝を挙げたチームより強くなっているかどうかは不透明です。

しかし、5年で3度のワールドシリーズ制覇を果たした同地区の最大のライバルであるサンフランシスコ・ジャイアンツとの大きな違いは、チームとしての一体感でした。

レギュラーシーズンのような長丁場では、戦力の層の厚さなどで押し切ることができますが、ポストシーズンのような短期決戦では、チームのケミストリーは非常に重要になります。

ジミー・ロリンズはメジャー通算2306安打を記録し、フィリーズでチャンピオンリングを手にした経験もある素晴らしい選手ですが、人格的にも優れている選手で、トレード直後にもリーダーとしてチームをまとめて引っ張っていく役割を担うことにも積極的でした。

パドレスが積極的な補強を行いましたが、戦力的にはナ・リーグ西地区トップであると考えられる状態は維持している考えられるドジャースです。

数字の分析に優れるフロント陣が、あえて数字では測れない『クラブハウスの一体感』を作り出すことを重視した補強が、どのような結果を生み出すのかは、今年の注目ポイントの1つになりそうです。