ドジャースのロースター組み換え後の現状と2016年シーズン以降の展望について

Los Angels Dodgers Top Catch

2015年シーズンの開幕時の年俸総額が2億7278万9040ドルとなるなど、MLB史上でも最高となる年俸総額を記録しているロサンゼルス・ドジャースです。

この年俸総額には2015年シーズンにドジャースでプレーしないプレーヤーであるマット・ケンプ(1800万ドル)、ダン・ハレン(1000万ドル)、ディー・ゴードン(250万ドル)、ブライアン・ウィルソン(950万ドル)などに、4400万ドル近くの金額を費やしています。

このような年俸負担をしてまで大幅なロースターの組み換えに踏み切ったドジャースは13試合を終えた段階では9勝4敗と良いスタートを切っています。

では、そのロースターの組み換えを行った現状で、どのセクションが良いパフォーマンスを発揮しているのか?そして2016年シーズン以降の展望について見て行きたいと思います。

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シーズンオフの補強で打線と投手陣は機能するようになったのか?

まずは野手ですが、マット・ケンプ、ディー・ゴードンを放出し、ジミー・ロリンズとハウィー・ケンドリックを加え、外野にトッププロスペクトのジョク・ペターソンを起用するラインナップに組み替えました。

昨年のドジャースは得点718(MLB6位/NL2位)、打率.265(MLB3位/NL2位)、出塁率.333(MLB1位/NL1位)、長打率.406(MLB6位/NL2位)、盗塁138(MLB2位/NL1位)と、軒並みリーグトップクラスの数字を残していました。

そのドジャース打線の2015年は13試合で65得点と1試合平均で5点を奪い、総得点65はMLB全体で9位、ナ・リーグで2位となっています。そして打率.284はリーグ2位、出塁率.367、長打率.502が同1位で、チームOPSの.870は両リーグトップと13試合を終えた段階ではありますが、今のところ良く機能しています。

そして課題だったのが守備面で、その改善を重視してロースターの組み換えを行ったドジャースのフロント陣です。

守備に関するセイバーメトリクスのスタッツはシーズンが進まないと出てこないため、現時点では従来からのデータで見ることになります。

エラー数に関しては、2014年が162試合で107個のエラーで両リーグ27位、守備率.983は同23位となっていたのですが、今季は13試合で11個のエラーと多く、守備率.977は両リーグ26位となっているという状況です。

そのため少ないサンプルではあるのですが、守備面では改善されたというよりも、引き続き問題を引きずっていると考えられる現状です。

続いて投手陣は2014年が防御率3.40(MLB6位/NL4位)となっていましたが、13試合を終えた段階では防御率3.48と両リーグ11位、ナ・リーグ6位と、全体の順位ではやや落ちているものの、横ばいに近いものとなっています。

ただ、投手陣の中でも先発投手陣とリリーフ陣を分けてみてみると、昨シーズンとの違いが如実に現れます。

強力だった先発投手陣は?課題だったリリーフ陣は?

昨年のドジャースは先発投手陣の防御率が3.20で両リーグ2位、ナ・リーグで2位と非常に強力だったのですが、その一方でリリーフ陣の防御率は3.80(MLB22位/NL12位)と泣きどころとなっていました。

ところが今シーズンのドジャースは先発投手陣の防御率は4.08と両リーグ18位、ナ・リーグ9位とあまり良い状態ではなく、逆にリリーフ陣は防御率2.40で両リーグ6位、ナ・リーグ3位と奮闘しています。

ジョシュ・ベケットが引退し、ダン・ハレンをトレードに出した先発投手陣はブランドン・マッカーシーと4年4800万ドル、ブレット・アンダーソンと1年1000万ドルとFAで補強をしました。

柳賢振が故障者リストに入っていることもドジャースにとって良い材料ではないのですが、グレインキーは防御率1.83/WHIP0.71と良いものの、カーショーが防御率4.42/WHIP1.53、マッカーシーが防御率4.50/WHIP1.17、アンダーソンが防御率4.80/WHIP1.47と、それぞれ3試合の登板を終えた時点では芳しくないことが、イマイチな先発投手陣の防御率ににつながっています。

ここまでは日程の関係で、5番手が必要となるのは1回だけでしたが、ここからは5番手が必要になってくるのですが、柳賢振の復帰のメドがたっていません。

2週間にわたり30メートル程度の距離でのキャッチボールを続けているものの、ブルペンにも入っていない状態で、そのブルペン入りのスケジュールも決まらない状態でかなり長引く可能性がある状況です。

故障がなければ強力も、離脱すると層が薄いのでコマが足りなくなる可能性が、開幕前から指摘されていましたので、シーズン中の補強ポイントとなってきそうです。

このような先発投手陣をカバーしているのが、リリーフ投手陣です。今シーズンのリリーフ陣の年俸総額は1150万ドル程度にしかならないのですが、高いパフォーマンスを発揮しています。

2014年のドジャースのブルペンは、年俸が高額の上にパフォーマンスが悪かったのですが、ブライアン・ウィルソン(1000万ドル)、ブランドン・リーグ(850万ドル)、クリス・ペレス(230万ドル)といったクローザー経験のあるベテラン投手たちが機能しませんでした。

ブライアン・ウィルソンが61試合48.1回で防御率4.84とセットアップを務めることができず、ブランドン・リーグは防御率2.57とまずまずでしたが、与四球率(9イニングあたりの与四球数)が3.9と高いため、ランナーを塁にだすことが多く、WHIPは1.46と低迷しました。

クリス・ペレスは先の2人に比較すれば年俸こそ安いものの、49試合46.1回で防御率4.27/WHIP1.36と不安定で、期待されたパフォーマンスは発揮できませんでした。

野手での大きな動きが続いたシーズンオフのドジャースでしたが、リリーフ投手陣のテコ入れ策はレイズとのトレードでジョエル・ペラルタ、マーリンズからジョー・サッチャー、ロッキーズからファン・ニカシコなどを獲得する程度で、目を引くようなものではありませんでした。

その上、クローザーのケンリー・ジャンセンが開幕に間に合わない状況となり、2015年シーズンも不安材料となるかと思われましたが、非常に良いパフォーマンスを見せています。

  • ジョエル・ペラルタ(300万ドル)
    5.1回/防御率0.00/WHIP0.56
  • アダム・リベレーター(50.7万ドル)
    4.1回/防御率0.00/WHIP0.23
  • フアン・ニカシオ(230万ドル)
    7.0回/防御率1.29/WHIP1.43
  • イーミ・ガルシア(51万ドル)
    7.0回/防御率1.29/WHIP0.57
  • J.P.ハウエル(400万ドル)
    4.0回/防御率2.25/WHIP1.75
  • パコ・ロドリゲス(52.3万ドル)
    4.0回/防御率2.25/WHIP0.75
  • ペドロ・バエズ(51万ドル)
    6.0回/防御率3.00/WHIP1.33
  • クリス・ハッチャー(52.3万ドル)
    3.2回/防御率12.27/WHIP1.91

トレードで獲得したペラルタ、ニカシオは安定した投球を続けていて、同じくトレード移籍のクリス・ハッチャーは良くない登板が2試合続いたため成績が良くありませんが、最近の登板では無失点を続けていますし、3回2/3で三振を7個も奪うなど、今後に期待させるものがあります。

このメンバーの中で一番の高額年俸がJ.P.ハウエルの400万ドルですが、これは現在のアンドリュー・フリードマンとファーハン・ザイディ体制の前の契約です。このハウエルの契約を含めても1187万ドルという年俸で高いパフォーマンスを発揮しているドジャースのブルペン陣です。

さらにベテラン投手ばかりのブルペンからの若返りにも成功しています。トレードで獲得としたペラルタは39歳ですが、それ以外ではハウエルが31歳、サッチャーが30歳、ニカシオが28歳、リベレーターが27歳、ガルシアが24歳、ロドリゲスが24歳という構成で、年俸調停権をもたない若い選手がしっかりと働いています。

面白いことに、お金をかけたFAによる補強で整備した先発投手陣よりも、トレードで組み替えた野手とブルペンの方が機能しているという状態のドジャースです。

2016年の年俸総額は一気に削減されチーム改革が本格化する可能性大

アンドリュー・フリードマンはレイズでゼネラルマネジャー、ファーハン・ザイディはアスレティックスでアシスタント・ゼネラルマネジャーとして働いていたわけですが、両チーム共にスタッツとスカウティングを駆使し、トレードと安いベテラン選手を獲得することでチームを強化し、FAである程度のお金を動かすのは稀にある程度でした。

やはり今までの慣れ親しんだアプローチのほうがうまくいくのか、お金を使ったFA獲得よりも、全チームでやっていたようなトレードでのロースター組み換えのほうが、うまく機能している現状です。

前ゼネラルマネジャーのコレッティ時代は、チームを急激に変えるために大金を使ってきましたが、この状態を続けることは健全ではないと考え、ファームを充実させて、ロースターの構成をより若くし、年俸総額も抑えていく方向性であるとされているドジャースです。

今シーズン終了後にはジミー・ロリンズ(1100万ドル)、ハウィー・ケンドリック(985万ドル)、フアン・ウリーベ(750万ドル)、ブレット・アンダーソン(1000万ドル)らがFAとなり、年俸総額からその分が減ります。

さらに、マット・ケンプの年俸負担も来季以降350万ドルに減り、3年7700万ドルの契約が残るグレインキーもシーズン終了後に契約を破棄してFAを選択できるオプションを有するため、FAを選択する可能性が高いと見られています。

そうなるとドジャースの2016年の年俸総額は一気に削減されます。ドジャースの2016年分の確定している契約では、ザック・グレインキーの年俸を含めた場合には約1億6633万ドル、含まない場合には1億4033万ドルまで削減されることになります。

そしてFAとなる選手が守っているポジションには、それぞれその後を担えるような選手が揃いつつあります。

ジミー・ロリンズの守るショートにはコリー・シーガー、ハウィー・ケンドリックの守るセカンドにはダーネル・スウィーニーらのメジャー昇格が近づきつつあり、フアン・ウリーベの守るサードにはアレックス・ゲレーロが穴埋めすることができる可能性を見せています。

スマート(賢く)にお金を使うことで知られていたアンドリュー・フリードマンとマネーボールのビリー・ビーンの右腕だったファーハン・ザイディでしたが、シーズンオフの補強により、2015年の年俸総額は過去最高となり、2014年よりも4000万ドルも増えてしまいました。

しかし、これはあくまでも「ロースターを若返らせて機能的」にしながら、「優勝できる戦力であり続ける」という両者を実現するための暫定的な措置で、このチームの抱えている契約とファームでの選手の育成状況を見れば、より少ない予算で良いパフォーマンスを発揮できるチームに変わりつつある兆しを感じさせるものとなっています。

3月にはキューバからの亡命選手であるヘクター・オリベーラ(Hector Olivera)と6年総額6250万ドル、パブロ・フェルナンデス(Pablo Fernandez)と総額800万ドルで契約し、今月も同じくキューバのヤディール・アルバレス(Yadier Alvarez)と合意したと報じられるなど、今シーズンだけでなく来シーズン以降のための布石を打ち続けているドジャースの新フロント陣です。

アンドリュー・フリードマンとファーハン・ザイディがどのようにドジャースを作り変えていくのか、今後も注目していきたいと思います。