2014年シーズン途中にデトロイト・タイガースに3球団間トレードで移籍したデビッド・プライスが、2015年の契約を1年1975万ドル(約23億2,240万円)で更新しました。
この金額は2014年にマックス・シャーザーとタイガースが結んだ1年1525万ドルを上回り、年俸調停権を有する選手としては史上最高額となりました。
2014年のデビッド・プライスの年俸は1400万ドルだったため、575万ドル余りの年俸アップとなりました。
名実ともにメジャートップ10スターターのデビッド・プライス
デビッド・プライスは2007年のドラフトでタンパベイ・デビルレイズ(現レイズ)に1巡目全体1番目で指名され、2008年にはメジャーデビューを果たしています。
そのデビッド・プライスの年度別投手成績と年俸の推移は以下の表のとおりとなっています。
2012年には31試合211.0回で防御率2.56/20勝5敗/奪三振205/WHIP1.10という成績で、ア・リーグのサイヤング賞を獲得しています。
2014年はレイズ在籍時に170.2回で防御率3.11/11勝8敗/奪三振189/WHIP1.05、タイガース移籍後は77.2回で防御率3.59/4勝4敗/奪三振82/WHIP1.15とやや数字を落としています。
シーズン通算では248.1回で防御率3.26/15勝12敗/奪三振271/WHIP1.08で、投球回と奪三振数がリーグトップ、WHIPがリーグ5位となっています。
2014年はタイガース移籍後に数字が全般的に落ちているのですが、プライスのパフォーマンスが落ちたというよりも、タイガースの守備に足を引っ張られたと考えられます。
投手の実力・能力を測る指標として用いられる擬似防御率のFIPは、レイズ在籍時が2.93で、タイガース移籍後は2.44と向上しています。
- FIP(Field independence Pitching):味方チームの守備力の影響を除外して、投手の実力を測るための指標で、与四死球、本塁打、奪三振、投球イニングを元に算出する擬似防御率。防御率よりもFIPが低ければ味方の守備によって自責点が増えていると考えられ、FIPよりも防御率が低ければ、味方の守備によって自責点が減っていると、一般的に考えられている。
FIPはいずれも防御率よりも良い数字となっていて、味方の守備から十分なサポートは受けていなかったことが伺え、特に守備力に難があるタイガースでは、足を引っ張られたことがわかります。
デトロイト・タイガースの守備は、チームの守備防御点(DRS)が-65、アルティメット・ゾーン・レイティング(UZR)は-48.1といずれも両リーグの下から3番目と悪く、ブルペンと並んで大きな弱点となっています。
- 守備防御点(DRS):同じポジションの平均的な野手と比較して、守備でどれだけ失点を防いだかを示す指標。
- アルティメット・ゾーン・レイティング(UZR):同一リーグの同じポジションの平均的な選手と比較して、守備でどれだけの失点を防いだかを示す指標。
2014年のは、キャリアハイの271奪三振に加えて、奪三振率は9.82と高く、9イニングあたりの与四球も1.38個と抜群の安定感を発揮していますので、防御率や勝敗などの成績以上に、内容のある投球を続けたデビッド・プライスでした。
2015年シーズン終了後のFA市場で目玉投手の1人となることが確実に
デビッド・プライスは2015年が年俸調停3年目で、シーズン終了後にFAとなります。2016年FAはジョーダン・ジマーマン、ジョニー・クエトらと並んでトップクラスの評価を受けることが予想されています。
2012-14年の3年間のデビッド・プライスの成績は、646.0回で防御率3.05/WHIP1.09/奪三振率8.74/FIP2.94/となっています。
これらの3年間の数字は規定投球回数に到達した投手の中で、防御率がMLB全体で9位、WHIPが同7位、FIPが同6位、奪三振率が同11位となっていて、デビッド・プライスが、近年3年間のメジャーリーグで名実ともにトップ10スターターであることを証明しています。
デトロイト・タイガースはデビッド・プライスに契約延長のオファーは出していないようで、そのままFAとなることが濃厚です。
2015年にすでに2000万ドルに到達する手前の年俸となりました。2016年シーズンでも30歳とFA投手の中では比較的若いため、2015年に例年通りの成績を残せば、ジョン・レスターの6年1億5500万ドル以上の契約を手にする可能性があります。
2015年のデビッド・プライスがどのような投球をするかは、ア・リーグ中地区の優勝争い、そしてシーズンオフのFA市場に大きな影響があるため、今後も追いかけていきたいと思います。