GMが否定してもダルビッシュのトレード放出の噂が絶えない理由

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テキサス・レンジャーズがダルビッシュ有をトレードする、トレードしないという噂、報道が出ては消えるということを繰り返しています。

ジョン・ダニエルズGMは、一度もダルビッシュのトレード放出を選択肢として話したことはなく、ポストシーズンを目指すために、必要なので手放せないと繰り返しています。

にも関わらず、ダルビッシュのトレード放出の噂は絶えません。

GMが否定しても、ダルビッシュのトレード放出の噂が消えないのは理由として、以下のようなものが上げられます。

  • ダルビッシュ有が今季終了後にFAとなること
  • 新労使協定の成立によりクオリファイング・オファーを出しても、その見返りは「ドラフトの全体70番目前後の指名権」にしかならないこと
  • トレード期限前に放出すれば、クオリファイング・オファーによるドラフト指名権よりも遥かに大きな見返りがあること
  • ダルビッシュ有の投手として能力が素晴らしく、今年のトレード市場で間違いなくNO.1であること
  • ワイルドカードまでは3.5ゲーム差も、その間に5チームがいて、簡単には圏内に浮上できないこと
  • ダニエルズGMは表向きは否定するものの、複数の情報筋が「適切なオファーであれば応じる姿勢で他球団とコンタクトしている」と伝えていること

大前提として「ダルビッシュ有の契約が今季限りで、シーズン終了とともに自動的にFAとなること」が大きな影響を与えています。

そして、このことが大きく分けて2つの選択肢で、レンジャーズのフロント陣を悩ませることになっています。

  1. ダルビッシュをシーズン終了まで残してポストシーズンを狙いつつ契約延長を模索。契約延長できなけれ、シーズン終了後に拒否されることが確実なクオリファイング・オファーを出して、見返りとしてドラフト指名権を手にする
  2. ダルビッシュをトレード期限前に放出して、プロスペクトのパッケージを獲得する

ダルビッシュを残す決断をする上で障害となっているのが、クオリファイング・オファーを拒否された場合の見返りが小さくなった一方で、トレード市場での価値が高騰していて、獲得できるプロスペクトの質が高くなると予想されることです。

ドジャースのデーブ・ロバーツ監督が「どの球団もダルビッシュを欲しい」と話し、メディアも「ダルビッシュは全てのチームの先発ローテをアップグレードさせることができる」と評価するほどの存在です。

現在のトレード市場でNO.1はソニー・グレイですが、市場に出た場合の評価はダルビッシュが間違いなくNO.1です。そのためレンジャーズが獲得できるプロスペクトの質は高くなることが予想されます。

その一方で、クオリファイング・オファーによる代償は小さくなることが確実です。

以前は1巡目指名と2巡目指名の間の指名権を獲得できました。クオリファイング・オファーを拒否した選手を獲得したチームが指名権を失うため、場合によっては30番目までの指名権を2つ確保することも可能でした。

しかし、新労使協定によりレンジャーズが、ダルビッシュにクオリファイング・オファーを拒否された場合に、手にできる見返りは70番目前後となる見込みです。

新労使協定では、クオリファイング・オファーを出すチームが、「ぜいたく税の基準を超過しているか」と「球団の収入が少なくレベニューシェアリングの対象になっているか」、クオリファイング・オファーを拒否した選手が「新しい契約の総額が5000万ドルを超過するか」などの基準により、手にできるドラフト指名権が変わります。

ダルビッシュが「新しい契約の総額が5000万ドル」を超過することは確実で、レンジャーズは「ぜいたく税の基準」は超過していないとされています。その一方で「レベニューシェアリングの対象」ではないと報じられています。その結果、手にできる指名権は3巡目の直前の指名権となるため、全体では70番目前後となります。

【関連記事】新労使協定(2017-2021)でのクオリファイング・オファー(Qualifying Offer)

以前のような指名権であれば、トレード期限前に獲得できるプロスペクトを逃しても、かなりの上位の指名権を獲得することで穴埋めできました。しかし、現在はそうではありません。

レンジャーズが一番避けたいのは、「ダルビッシュを残して契約延長できない、ポストシーズンを逃す、シーズン終了後にクオリファイング・オファーを拒否されて再契約できず、70番目前後のドラフト指名権しか手にできない」という事態です。

ワイルドカードまでは3.5ゲーム差ではあるのですが、圏内まで多くのチームが間に入っているため、大型連勝がないと一気に浮上することができません。先発ローテの防御率は4.39でリーグ7位、ブルペンの防御率は4.39で12位と今一歩のため、大きく浮上するためには、それなりの補強が必要となるレンジャーズの現状です。

契約延長に関しても見通しは明るくはありません。

ダルビッシュは「契約」に比重をおく姿勢を明確にしていますし、今季終了後のFA市場では、ダルビッシュがNO.1の評価を得る可能性が高い状況のため、レンジャーズが合意に達するにはかなりの高額オファーが必要で、成立させるのは容易ではありません。

このように契約延長とワイルドカードの確率も高いとまでは言えない現状であることを踏まえると「ダルビッシュをトレード期限前に売り払って、質の良いプロスペクトを獲得するほうが良いのではないか」という方に傾くことになります。

ただ、それを決断すれば、まだポストシーズンの可能性が残るにも関わらず、チームに残るメンバーとファンに「フロントが白旗を揚げた」というメッセージを送ることになる大きな弊害があります。

そのためかレンジャーズのフロント陣も「ダルビッシュのトレード放出に関しては見解が分かれている」とも報じられています。

このような要素が複雑に絡み合うため、チームやファンには「ポストシーズンを目指す」というメッセージを送りながら、トレード期限前のギリギリに放出を決断した時に備えて、最大限の見返りを手にできる下地を作っていると考えられるジョン・ダニエルズGMです。

それが現在のような報道につながっていると考えられます。

そもそもダニエルズGMが補強やトレードに動いていることを漏らすことは少なく、動きが大きければ大きいほど、表向きは否定する傾向があります。本人が交渉を否定していても、実際には水面下では進んでいて、成立したというケースが多くあります。

ダニエルズGMは、ギリギリまでチーム状態と市場の動向の両方を注視する可能性が高いため、期限前ギリギリまでダルビッシュのトレードに関する情報は報道され続けることになりそうです。

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