ダルビッシュはカブスでさらなる進化を遂げる?スタットキャストが示す可能性

Chicago Cubs Top Catch

ダルビッシュ有の評価が高いのは持っている球種が多彩である上に、それらの質が極めて高いこと、三振で打者を仕留めることができることなどが上げられます。

その能力ゆえに、ダルビッシュが先発ローテに加わることは、どのチームにとっても戦力アップにつながります。

それはカブスにとっても同様で、球速の低下など衰えを感じさせる面があったジェイク・アリエッタの穴を補って余りあるものとなる可能性もあります。

ただ、カブスと契約したことは、ダルビッシュ有がさらなる進化を遂げるキッカケになる可能性もあるようです。

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ダルビッシュはもっている力量を十分に活かしきれていない?

MLB公式サイトのデビッド・アドラー(David Adler)氏は、ダルビッシュとカブスはパーフェクトな組み合わせになるかもしれないと述べて、その根拠として以下のものをあげています。

  1. 新しくカブスの投手コーチとなった前レイズ投手コーチのジム・ヒッキーは高めのファーストボールを多く使う配球を取り入れさせることで、投手を成功させている。
  2. ダルビッシュ有のフォーシームファーストボールは高速であるだけでなく、スピン量はMLB全体で3番目にランクされている
  3. ダルビッシュ有の高めのフォーシームの空振り率はMLB全体でNO.1

新しくカブスの投手コーチとなった前レイズ投手コーチのジム・ヒッキー氏は、高めのファーストボールを有効に使うことを投手に教えることで、成功させています。

With Tampa Bay, before reuniting with Joe Maddon in Chicago, Hickey instilled the high fastball as a foundational weapon for the Rays’ pitching staff. Pitchers like Jake Odorizzi and Drew Smyly became heavy high-fastball users under his tutelage.

ヒッキー投手コーチはストライクゾーン高めのファーストボールを有効に使うことを強調していて、ジェイク・オドリッジ、ドリュー・スマイリーらはその割合を増やしていました。

ジェイク・オドリッジ、ドリュー・スマイリーらは健康であればメジャーの先発ローテ3番手から4番手を任せられるような投手となっていますが、ジム・ヒッキーの指導やアドバイスが助けになったということです。

このジム・ヒッキー投手コーチの元で、ダルビッシュ有はプレーすることになるのですが、フォーシームファーストボールの質が高いため、さらに進化を遂げる可能性があるとデータを元にデビッド・アドラー(David Adler)氏は述べています。

Darvish’s four-seamer not only sits in the mid-90s — it also has elite spin. In 2017, across the regular season and postseason, his average fastball spin rate was 2,502 rpm. Of the 128 MLB starting pitchers who threw at least 500 four-seamers last year, Darvish had the third-highest spin rate, behind only two of the game’s true aces, Justin Verlander and Max Scherzer. The MLB average four-seam spin rate was just 2,255 rpm.

ダルビッシュのフォーシームは90マイル台中盤を記録する球速の速さだけでなく、スピン量が2502回転でジャスティン・バーランダー、マックス・シャーザーの2人に続く3番目の多さで、MLB平均の2255回転を大きく上回るものであることが紹介されています。

ちなみにMLBのトップ5は以下の投手となっています。

1. ジャスティン・バーランダー: 2,552 rpm
2. マックス・シャーザー: 2,504 rpm
3. ダルビッシュ有: 2,502 rpm
4. ソニー・グレイ: 2,484 rpm
5. タイラー・チャットウッド: 2,482 rpm
5. ジェフ・サマージャ: 2,482 rpm

このオフにカブスはダルビッシュ有とタイラー・チャットウッドを獲得していますので、このあたりのデータも高く評価する根拠となった可能性があります。

スピン量が多いことは打者にとってはボールが浮き上がってくるように見える効果が生じます。このスピン量の多い高速のファーストボールを高めに多く投げることで、ジャスティン・バーランダーとマックス・シャーザーは成功しています。

しかし、ダルビッシュはスピン量ではバーランダーとシャーザーに遜色ないものでありながら、フォーシームを高めに多く投げていません。

On average, a Darvish four-seamer in 2017 crossed the plate at a height of 2.36 feet off the ground, according to Statcast™. That was tied for the 14th-lowest average four-seam pitch height out of the 128 starting pitchers who threw 500-plus four-seamers. Scherzer, by contrast, had an average four-seam height of 2.81 feet; Verlander’s was 2.79 feet.

2017年のダルビッシュのフォーシームの高さは、平均で地面から2.36フィート(約72センチ)で、フォーシームを500球以上投げた先発投手128名の中で14番目に低い数字でした。

その一方、シャーザーは2.81フィート(85センチ)、バーランダーは2.79フィート(85センチ)と、ダルビッシュよりも13センチ程度高い数字が記録されています。

スタットキャストのデータによると、ストライクゾーンの縦3分割の一番上のゾーンにダルビッシュがフォーシームを投げたのは33.3%ですが、バーランダーは54.2%、シャーザーは54.0%となっていますので、大きな隔たりがあります。

これらのデータからもダルビッシュは低めにフォーシームを制球している一方で、バーランダーとシャーザーは高めのストライクゾーンに投げていることがわかります。

では、「フォーシームは低めと高めのどちらに投げた方が有効」なのでしょうか?

結論から言うと、xwOBAという「三振と四球の数、スタットキャストによって計測された打球の初速と角度をもとにはじき出されたwOBA(打者が1打席あたりにどれだけチームの得点増加に貢献したか)」という指標では、高めのファーストボールのほうが有効であることが示されています。

xwOBAは高めのフォーシームは.305、低めは.379という数字となっていて、明らかに高めのファーストボールのほうが有効であることを示しています。

このようなデータからフォーシームは高めに投げたほうが効果的であると考えられるのですが、ダルビッシュは低めに多く配球していることになります。

投球の軸であるフォーシームのクオリティや球速はマックス・シャーザーやジャスティン・バーランダーと遜色ないのですが、サイヤング賞を獲得できる成績とまではならないのは、このあたりが原因となっている可能性もあります。

しかも、実際にダルビッシュ有のフォーシームは高めに投げたときに、圧倒的な効果を発揮しています。

Darvish’s high fastball was especially hard to hit. Last season, he ranked No. 1 in whiff rate on elevated four-seamers, of the 128 starting pitchers who had at least 100 swings against those pitches. Batters whiffed on 42.2 percent of their swings against Darvish’s high heat. Of the 145 total swinging strikes Darvish got on his four-seamer last year, 92 — nearly two-thirds — came when he elevated.

「ダルビッシュの高めのファーストボールは取り分け捉えることが難しい」「昨シーズン、『高めのフォーシームの空振り率』が、100回以上ファーストボールが打者にスイングされた128名の投手でNO.1にランクされている」ことが紹介されています。

ダルビッシュは高めにフォーシームを投げている回数が145回あるのですが、そのうち92回は空振りで、その空振り率42.2%が両リーグトップの数字とのことです。

高めのファーストボールを100回以上スイングされた投手の、空振り率のトップ5は以下のとおりとなっています。

  1. ダルビッシュ有: 42.2%
  2. ジェイコブ・デグロム: 40.1%
  3. リッチ・ヒル: 38.0%
  4. ダニー・サラザー: 37.0%
  5. ロビー・レイ: 35.7%

ダルビッシュ有のファーストボールが高めにいった場合のクオリティはメジャーNO.1だったとも言えます。

このように「MLB全体でファーストボールは低めよりも高めの方が有効」であることが証明されていて、なおかつ「ダルビッシュ有自身のデータを見ても高めのファーストボールが有効」であるにもかかわらず、効果的に使えていなかったことになります。

しかし、高めのファーストボールを強調するジム・ヒッキーとの出会いにより、この十分に活かしきれていない能力が完全に生かされる可能性があるということです。

ダルビッシュはメジャー1年目の2012年にサイヤング賞投票で9位、2013年に同2位となった後は、そこから遠い成績しか残せていません。が、カブスと契約したことで、さらなる進化を遂げる可能性があり、2018年シーズンはより期待できるものとなりそうです。

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